あの病院での出来事以来、しばらくの間、寧々は直樹と顔を合わせることはなかった。寧々は勲との穏やかで幸せな日々を満喫していた。ただ、ここ最近になってからというもの、寧々の周りでは妙なことが増えていた。雪の降った翌朝、家の前の雪がいつの間にかきれいに片付けられている。深夜、仕事から帰宅すると、玄関先に温かい雑炊が入った弁当箱が置かれている。それに、夜道を歩いていると背後に感じる足音……身の危険がないことを確認した寧々は、特に深く考えないことにした。勲と過ごす時間が増えるにつれ、寧々は本当の愛とは何かを学び始めていた。授賞式の日。長年頑張ってきた証としての初受賞、勲も隣で見守ってくれると寧々は思っていた。だが勲は仕事だと言って断ったため、寧々は一人で式場へ向かった。授賞式当日。新人からベテランまで、緊張の面持ちで賞の行方を見守っていた。寧々は黒のドレスを纏い、細かなダイヤモンドがちりばめられた裾が照明を浴びてキラキラと輝いている。会場の席に静かに座りながら、寧々は緊張と期待に胸を躍らせていた。「続いて、最優秀新人賞の発表です。受賞者は……横山寧々さんです!」会場中から拍手が湧き起こる。寧々は立ち上がると、軽やかで迷いのない足取りで、スポットライトを浴びながらステージ中央へ進んだ。これからは自分のために生きようと心に決めて。ステージでトロフィーを受け取ろうと顔を上げた寧々は、驚きで目を見開いた。プレゼンターとして目の前に立っていたのは、勲だったからだ。勲は優しい微笑みを浮かべ、栄光の証であるトロフィーを手に取り、直接寧々の手に手渡した。2人の視線が絡み合った瞬間、空気の中に目には見えないけれど甘い熱気が漂った。「横山寧々さん、受賞おめでとうございます」「ありがとうございます」勲さん、本当にありがとう。あなたが本当の愛を教えてくれて、本当の自分を見つける手伝いをしてくれて。そのすべてに感謝したい。ライブ中継の画面を通して、2人のやり取りを見たファンたちは大盛り上がり。細かな動作一つ一つがネット上で話題になった。「勲さんがプレゼンターなんてラッキーすぎる。羨ましい!」「てっきり勲さんはこのまま生涯独身かと思ってたよ」「2人で見つめ合ってる時の視線が甘すぎて溶けそう」……ス
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