All Chapters of 俺様吸血鬼【ヴァンパイア】と私の甘くて苦い恋愛事情。: Chapter 11 - Chapter 20

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○11〜吸血鬼【ヴァンパイア】を狙う理由〜

【Sideユズル②】「つまり俺のニオイがわかるってことか。……だとしたら、俺を知ってるヤツなのか?」「どうだろうな。可能性はなくもないだろうけど」俺を狙ってるが女だってことがわかっただけでも、収穫ありだな。「なあ、その女のこっちでの名前はわかるか?」「いや、残念ながらそこまでは」さすがに名前まではわからないか……。「……わかった。サンキュー」「とりあえず女子には気を付けろよ、ユズル。……またなんかわかったら、連絡する」「ああ、頼んだ」俺は電話を切った。「……女のヴァンパイアか」女のヴァンパイアは珍しくはない。 だが特徴もわからないし、名前もわからないと。 となると後は、血のニオイだけが頼りか……。だがそれだけじゃ、なにもわからない。「……くっそ」なんでこうなるんだ……。ああもう、どうしたらいいかわからねぇ。 かといって、アイツに危害を加えるわけにはいかねぇし……。アイツは普通の人間だ。そもそも関係ないんだ。ダメだ、アイツを巻き込むわけにはいかねぇ。……俺のせいで、真琴を傷付けたくない。「……とりあえず、早くなんとかしないとな」その日俺は、色んなことを考えながら眠りについた。✱ ✱ ✱次の日、俺はいつも通りに学校の向かうため家を出る。「……見た目は普通の女子高生、なんだよな」それじゃあ、さすがにわからねぇか……。さすがに見た目だけじゃ判断できねぇしな。とにかく一刻も早く解決策を見つけないと、俺の命が完全に危なくなる。「おはよう、桜木」真琴は後ろから俺に挨拶をしてきた。 「え? ああ……おはよう」真琴は俺に「どう? あれからなんか進展はありそう?」と聞いてくる。「まあ、少しはな。 一応そいつについての情報が、少しだけわかったくらいだけど」「え、本当に?」「ああ、俺を狙ってるは女のヴァンパイアらしい。でもって見た目も、俺と同じで普通の人間らしい」俺にとってはクラス全体、いや学校全体の女子が俺の敵ってことになるわけだが……。真琴は絶対に違うとわかっているから、真琴は除外していいだろう。「……そう。あとは?」「それくらいだな」「そっか。……まあ少し情報がわかっただけでも、マシか」真琴は俺にそう言うけど、真琴もきっと気になるのだろう。「そうだな。……まあ早く解決策見つけないと、俺の命が完全に危なくな
last updateLast Updated : 2026-04-23
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●12

「桜木、大丈夫?」「ああ、大丈夫だ」桜木だって、本当は怖いくせに強がっている。 桜木、バレバレなんだからね。でもそこが桜木、なんだよね……。桜木はヴァンパイアなのに人間だし。「……桜木、一つ聞いてもいい?」「なんだよ」「アンタ、自分が死ぬの……怖くないの?」桜木を見てると感じてしまう、そんな感情。 桜木は自分が死ぬことに対して、どう思ってるのだろうか。「死ぬのが怖い……?」「……うん。だってアンタ、命狙われてるんだよ?普通は死ぬのが怖いはずだよ、誰だって」私なら死ぬのが怖いし、死にたくない。 人間なら、みんなそうだ。「……俺は死ぬのが怖いなんて思ったこと、一度もないからな」「……え?」桜木の目をジッと見つめると、桜木は「俺はヴァンパイアだぞ。 ヴァンパイアが死ぬことを恐れていたら、簡単に殺される。……死ぬのが怖いなんて思ってたら、俺は今頃死んでる」とココアを口にする。「……私は人間だから、死ぬのが怖いよ」死んだらやりたいことなんて出来ないし、夢だって叶えられないし。「人間はきっと誰もがそうだろ?」「でも死ぬのが怖いのは、私だけじゃない。……アンタだって本当は、怖いはずだよ」「……は?」桜木不思議そうに私を見つめる。「アンタは怖くないって言ったけど、本当は怖いはずだよ。……心の中ではきっと、そう思ってると思う。 今の人間の姿の桜木なら、きっとそう思うはずだよ」桜木は呆れながら「あのなあ……」とココアを置く。「アンタが例えヴァンパイアだとしても、少なくともアンタには、人間の心がある。……だったら死ぬのが怖いって思うのは、普通のことだよ」「……俺には人間の感情なんかわからねぇよ。 俺が人間なのは見た目だけだ。それ以外はヴァンパイアなんだよ。……人間の感情なんて、ヴァンパイアは知りたくなんてないけどな」桜木はそう言うけど、それが本当に本心なのかわからない。「……そうかな」「ああ。 少なくとも俺は、人間の心をわかろうとだなんて思っていない。……お前が死ぬのが怖いって思ってるとしても、俺はそんなことは思っていない」桜木には少しずつ人間の心が芽生え始めていると思っていたけど、違うのだろうか……。「……まあアンタはヴァンパイアだからね。わからなくて当然か」そうだよね……。私は何を言ってるのだろうか。「………」桜木はなに
last updateLast Updated : 2026-04-23
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○13

それって、ヴァンパイアは一人じゃないってこと……?「つまりこの学校に、バンパイアが゙二人゙いる」「二人……? え、ウソでしょ……?」なんで増えてるの? いつから二人なの?「……しかもどこからか、俺を狙ってる」「え……どうするの?」「とりあえず知らんぷりするしかねぇだろ」知らんぷり……? そんなこと出来るの?「でも……」「とりあえず今は、なにもしてこないはずだ。 落ち着いていれば大丈夫だろ」「……そうだね」本当に何もしてこないの? そんな根拠ある?「心配するな。俺は簡単に死んだりはしねぇよ」「……わかってるよ」そう、桜木はヴァンパイアだ。 だから人間の私とは違う。 ヴァンパイアの桜木がそう簡単に死んだりしないってことは、よくわかってる。でも桜木はいつ死ぬかすら、わからない。……だからこそ、今この状況で何もできない自分がただ悔しい。結局その後はなにもなかったし、起こらなかった。 でも桜木が辛そうな顔をしていたことには、触れないでおこう。「……桜木」「ん?」「ちょっといい?……話があるんだけど」私は桜木に話がしたいと申し出てみた。「……話?」「うん」私は桜木を裏庭へと連れて行った。「なんだよ、話って」「……あのさ、私になにか出来ることない?」「は? 出来ること?」そんな桜木に私は、「アンタを助けるために、私が出来ることって、何かない?」と聞き返す。「……なんだよ、突然」「アンタの命が狙われてるっていうのに、黙って見てる訳にはいかないでしょ。……アンタの助けになれるのは、唯一私だけなんだから」   黙って見てることも、今の私にとっては苦痛でしかない。「気持ちはありがたいんだけど……お前に出来ることは何もない」桜木にそう言われたのが悔しくて、私は「どうして……? アンタ、自分が危険な目に遭うかもしれないんだよ?」と思わず言い返してしまった。「……ふざけんな。人間のお前になにが出来るってんだよ。 いいか、人間のお前に出来ることなんて、何もないんだよ」「何よ。そんな言い方、しなくたっていいじゃない……」私は桜木のためを思って言ってるのに……。「俺だって、自分の命が狙われてるってことくらいわかってる。……でも仕方ねぇだろ。今人間の姿であるこの俺に、出来ることなんかないんだから。 俺だって焦ってんだよ」
last updateLast Updated : 2026-04-23
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●14〜吸血鬼【ヴァンパイア】の苦悩〜

【sideユズル③】「桜木……ごめん」あの時のアイツの顔が忘れられない。 ちょっと言い過ぎたか……。俺もそれほど焦ってるってことかもな。 俺の命がいつなくなるか、わからないから。「……桜木、ほんとに大丈夫?」「ああ。心配いらねぇよ」「……わかった。じゃあ、また明日ね」「ああ」気まずい中、真琴と別れて家へと帰ろうと歩き出した。 ーーーその時。「……っ!?」なんだ……? 血のニオイが俺の鼻をかすめた。 そしてとっさに感じる気配。きっとこれを"殺気"と言うのだろう。……なんかイヤな予感がするな。恐る恐るニオイの方向へと振り返る。「あら、気付かれちゃった?……なるほど、鈍いってわけではなさそうね」「……お前は誰だ?」確かにこのニオイは、俺がずっと感じていたニオイだ。 イヤなものを引き付けそうな、そんなニオイだ。「あら、アンタと同じヴァンパイアよ。ランクはアンタより下だけどね」「……お前がずっと俺を狙ってるの、知ってるぞ」「あら、もう気付いてたのね? 案外、早いのね」誰だ、この女は……。何者なんだ?「やはり見た目は、俺と同じ人間だな。 しかも完璧になりきってるな、人間に」「そうでしょ? この姿になるのに、結構苦労したんだから」 見た目は完全に人間だ。気配を消されたら、全然わからないレベルだ。そのくらい、見分けがつかない。「お前は誰だ? 俺を狙う目的はなんだ?」「フフッ……知りたい?」俺にそう告げて怪しく笑う女。「……言えよ。お前の目的はなんだ? なぜ俺を狙う」「あたしの目的はただ一つだけよ。 アンタの血をもらうことだけ」「……俺の血?」どういうことだ? 何を言ってるんだ……?「ええ。アンタの血を取ってこいって、命令があったの」「命令……だと?」一体誰の命令だ……? 俺の血を狙うとか、何なんだ?「そうよ、アンタのその血を求めてる人がいるの。 だからアンタの血をもらいに来たのよ」「……なるほどな。だからわざわざ人間の姿をしてまで、ここに来たってことか」「鋭いわね。まあそういうこと」俺は目の前にいる女に「……誰の命令だ、言え」と問いかけるが「残念だけど、それは言えないの。絶対に言うなって口止めされてるから」とはぐらかされる。「ふざけるな! 言えよ!」「だからムリだって言ってるでしょ? 諦めなさい
last updateLast Updated : 2026-04-25
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○15

「……ねえ、桜木」私は桜木に言い過ぎてしまったと、反省していた。「ん?」「……今日はごめんね。 ちょっと言い過ぎた」桜木にそう伝えると、桜木は「……いや、気にするな」と言ってくれた。「……でも、よかった」「え?」桜木が立ち止まり私を見る。「桜木に……なにもなくて良かった」桜木が「お前……」と私を見るけど、私は桜木と目を合わせて「本当に……よかった」と桜木の服の裾を掴んだ。「真琴……一つ聞いていいか?」「なに?」桜木は私を見つめ「なんでさっき、俺を助けた?」と問いかける。「……わかんない、なんでかな」「はっ?」私にも正直、わからないの。 無意識に走っていたのだから。「……なんかイヤな予感がして、来た道引き返しちゃったんだよね」人間の私がヴァンパイアを助けようだなんて、何を考えているのかと言われたら、実際にそうだと思う。「……ありがとうな」「え……?」「お前が来てくれて、ほんとに助かった」てっきり桜木に怒られるかと思っていたのに。「気にしないで。 桜木が無事ならそれでいいし」そう、これは私の本音だ。 どうしてそう思うのかなんてわからない。だけどなんか、桜木の助けになりたいって思うんだ。「……正直言って、もうダメかと思った」「え?」桜木は私に「ここで死ぬんじゃないかって……そう思った」と話してくれた。「……バカね。死ぬわけないでしょ。 ていうか、絶対死なせないし」「はっ?」私は桜木に一歩近付くと、桜木を見つめながら「アンタは私が守るって、前にも言ったでしょ。だから約束は絶対に守る。……アンタは絶対に、私が死なせないから」と伝えた。すると桜木は軽くため息を吐き「……あーあ、情けねぇな、俺って」と言い出した。「え?」桜木は再び歩き出すと「ヴァンパイアのくせに、人間のお前に守られるなんてな。……ましてや、女のお前にさ」と言ったのだった。「なに言ってんのよ、桜木」「……え?」「人間だろうがヴァンパイアだろうが、そんなことは関係ないよ。……守るものがあるなら、それを守るために必死になるのが、人間なんだからさ」私もそう。 桜木を守りたいと、守らなきゃいけないって思ったんだ。ヴァンパイアである桜木を守ることに意味なんてあるのかなんて、そんなのはわからないけど、守るべき存在だと感じたんだ。「……必死に、なるこ
last updateLast Updated : 2026-04-26
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●16

「……俺にそう言ってくれるのは、きっとお前だけだろうな。俺はヴァンパイアだから」「言ったでしょ。 そんなの関係ない」「真琴、お前わかってるのか? 俺にとって人間は敵なんだぞ?……下手すりゃ、殺さなきゃイケない相手なんだぞ」それがなに? 私は桜木とこうして話せるんだから、何にも怖くなんてない。「殺さなきゃイケない相手だからなに?」「は?」「殺さなきゃイケない相手だから、関わるなって言いたいの?」私がそう話すと、桜木は「それは……」と口ごもる。 「言ったでしょ。 私はヴァンパイアだろうがなんだろうが、関係ないって」「でも俺は……」「ていうか、今更関わるなとか言われても、無理だからね。遅いし」  そんな桜木に私は「私と桜木は、友達でしょ?」と問いかけた。「友達……? 俺とお前が、友達?」「そう、もう友達だよ」桜木はそんな私に「俺は友達だと思ってねえけど」と言うけど、私は「私はアンタと友達だと思ってるけど」と言い返した。「なんなんだよ、お前……」「桜木、私はアンタの味方よ。アンタが危険な目に遭ったら、私はアンタを助ける。わかった?」私は桜木の肩を叩いた。「……いいか、俺はお前の敵だ。お前を殺すかもしれないんだぞ?」「ううん。アンタは絶対私を殺したりはしないよ」「なんでそう言い切れる? 殺さない保証はどこにもないんだぞ?」桜木は少しだけ感情的になっているけど、私は桜木のことを知っている。桜木が不器用なだけ、なんだということを。「言ったでしょ。私はアンタを信じてるって」「いや、信じるだけじゃどうにもならないこともあるだろ」桜木が不器用なのはきっとヴァンパイアだからだ。 桜木は人間として生きることに、まだ慣れていないだけだ。「わかってる。 でもアンタは、絶対に私を殺さない。……むしろアンタには、私を殺せないと思ってる」「……なんだ、すごい自信だな」「そもそも、アンタは人を殺せるようなタイプじゃないでしょ。……それにアンタは、私がなんと言おうと、私を殺すようなことはしない」桜木が私を殺すとしたら、きっと私がヴァンパイアになった時だろう。そうなったら私は、気持ちよく桜木に殺される覚悟が出来るだろう。「お前を殺すか殺さないかは、俺が決める」「でもアンタ私を殺したりはしないでしょ?……だって私は、アンタの唯一の゙味方゙
last updateLast Updated : 2026-04-26
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○17〜吸血鬼【ヴァンパイア】の味方〜

次の日の朝、学校へ行くと「真琴」と名前を呼ばれた。「桜木……どうしたの?」「ちょっと話があるんだ。いいか?」桜木から話があると声を掛けられた私は「うん……なに?」と桜木を見る。「……とりあえず、来てほしい」「ああ、うん」あの日以来、桜木とは少し気まずくなってしまった。 悪いのは私だってわかってはいるけど、なかなか素直に気持ちを伝えられない。「……なあ、真琴」「ん?」私が桜木を見ると、桜木は「……俺、お前のこと本当に信じていいんだよな」と言われた。「……え?」「あの時お前、言ってくれたろ。私を信じてって。……だから俺は、お前を信じることにした」へ……?「え……なんで?」なんで急に……?「お前が俺を信じてくれるからだ」「……そう。そっか」なんかケンカしたカップルみたいな感覚になっているのは、なぜだろうか。私たち別に、付き合ってる訳じゃないのに……。「一つ聞く。俺はお前のこと、いつか殺すかもしれないぞ。そんな日が来るかもしれない。……それでも、いいのか?」「いいよ。 だって、私のことは殺さないでしょ?」「なんでそう言い切れるんだよ。お前が死なないって保証はどこにもないんだぞ? それなのに、なんで……」確かに私が死なない保証はないかもしれない。 桜木に殺されるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。だけど私は桜木と友達だから、友達のことを信じるのは普通のことだと思ってる。 それが私たち、人間っていう生き物だから。信じてほしいと願うのは、桜木が人間だからでしかない。 私にとっては、普通のことだ。「確かにアンタにとって私は、ただの人間でしかないと思う。 でもね、アンタにはちゃんと人間の心があると思ってるの。だからアンタには、人間の気持ちがわかると思うの」「はっ……?」桜木は私を見ながら「何言ってんだ、お前……」と呟く。 「アンタはきっと、他の人間なんかよりも何倍も優しさがあると思うんだよね」「……そんなの、単なる憶測だろ」桜木はそう言うけど、私はそう思わない。「私はそうは思わない。 アンタが人間でも、そうじゃなくても」「……真琴、お前ってバカなのな」そう言って私の前から立ち去ろうとする桜木の腕を、私は「桜木、ちょっと待ってっ……!」と思わず掴んで引き止める。「真琴……?」あれ、私……何しようとしてる……
last updateLast Updated : 2026-04-27
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●18

桜木は軽く「はあ……」とため息を吐くと、「おい、真琴」と私の名前を呼ぶ。「……ごめん、怒ってる……よね?」私がそう聞き返すと、桜木は「別に怒ってない。普通にビックリしただけだ」と言っていた。「……こういうのは、好きな人とすることだってわかってるのか?お前」桜木にそう言われた時、私はなぜか胸がチクンと痛たんだ気がした。それがなぜなのかは、自分でもわからない。「違うの!……桜木だから、良かったの」「……え?」「なんでなのか、私にもわからないの。 無意識だったし、本当に。……でもっ」「でも……なんだよ」 私は桜木の制服の袖をギュッと掴んだ。 そして桜木の目を見つめる。そんな私に、桜木は「真琴、そんなに見つめると……」と口に出す。「え……なに?」だけど答える間もなく、今度は私の唇が桜木の唇で塞がれていた。「んっ……っ」   そのキスはさっきのキスとは違う、男の人の強引さがあった気がした。 ゆっくり唇が離れると、桜木は「さっきの仕返しな」と言った。「仕返しって……ひどい」まさか二回目もキスすることになるなんて……。「ひどいのはどっちだ。 勝手に俺の唇を奪ったのは、お前だからな」でも桜木はちょっとだけ照れくさそうに笑っていた。「っ……桜木のバカ」バカなのは私も同じか。 だって友達って言ったのに、キスしちゃったし。あんなこと、するつもりなかったのにな……。私って、バカだな。「まあ、結局お前も俺もバカってことだな」……そうかもしれない。「桜木……あのさ」「なんだよ」私は桜木に「さっきのこと……忘れて」とお願いした。「はっ?」「さっきのキスは、なんていうか……その、成り行きで……」キスのことを忘れてほしいと、そうお願いしたかったのに。  「言っとくけど俺……さっきのキス、なかったことにはしないからな」桜木からそう言われて、私は急に恥ずかしくなってしまう。「まさかとは思うけど、俺の唇奪っといて忘れてほしい……とか言わないよな?」そんなこと、言うわけない……。「……忘れないで、いいよ」「忘れるかよ。 つーか忘れられるわけがないだろ」   私は気になって「え、どうして……?」と聞き返してみた。「……言うわけねえだろ、バーカ」「え、なんでよ。……意地悪」すごく気になっているのに、教えてくれない。「……
last updateLast Updated : 2026-04-27
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○19

「……ねえ、桜木」「なんだ?」「なんか最近変じゃない?」「……いや、別に変じゃないけど」「ウソよ。絶対変よ」桜木は変だ。 キスをした日以来から、ちょっとなんか変なんだ。 私のことも避けようとするし……。やっぱりイヤだったのかな、私とのキス……。本当は怒ってるのだろうか、キスしたこと。「別に変じゃないって。いつも通りだし、全然」「ウソつき。アンタのこと見てればわかるよ。……全然いつも通りなんかじゃない」私は桜木に「ねえ、なんかあった?」と問いかけてみるが「……別に。お前には関係ないことだから」と席を立ち上がった。「はあ? あ、ちょっと桜木……!?」桜木はそのまま帰ってしまった。……なによ、なんなのよあれはっ!急にあんな態度とっちゃって! 私とのキスがイヤなら、そう言えばいいじゃない!もうっ!ムカつく! なんなのよ、桜木のヤツ!ふざけんな!「関係ないって、なによ……」私のこと信じるって言ったくせに……。あんな態度取るとか、ひどいんだけど。「……バカじゃないの」桜木なんてもう知らない。 あんなヤツ、大嫌い。 だけどそれと同時に、なんだか放っておけないような気持ちにもなった。「……なんなのよ、この気持ち」そんなことを考えていると、「どうしたの?真琴?」と萌恵が声を掛けてくる。「あ……萌恵」「なんかあったの? なんか暗い顔してるね」「そう?そんなことないよ」と言葉を返したけれど、萌恵から「いや、なんかムスッとした顔してるよ?」と言われてしまった。「別に、なんでもない」「そう?」「うん」私も先生にノートを提出して帰ろうと思っていると、萌恵が「……ねぇ真琴、桜木くんどうしたのかな?」と言ってくる。「え?」「なんか最近、様子変じゃない?桜木くん」「……そうかな。いつも通りだと思うけど」もう桜木なんて知らない。 勝手にすればいい。「ええっ、絶対変だよ! 今日だってもう帰っちゃったし」「……具合でも悪いんじゃない」そう答えてみたけど、萌恵は「えー、そんなふうには見えなかったけどなあ」と言っていた。「あんなヤツ、放っとけばいいじゃない。相手にすることないよ」桜木のことはもちろん気になるけど、本人が話したくないんだから、気にしても仕方ない。 話したいと思う時そのまで、待った方がいいのかな。 でももしあのキスが
last updateLast Updated : 2026-04-28
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●20〜吸血鬼【ヴァンパイア】が選ぶ道〜

ただ今は、桜木の考えてることがわからないせいか、少し苦しくなる。 そして胸が切なくなる。桜木は今なにを考え、なにを思っているのだろうか……。桜木があんなに感情を表に出すことなんて今までなかった。 ましてやあんなに冷たい態度をとることだってなかった。……なのに今の桜木は、感情を露にするくらい不機嫌になっている。なにか理由があるのかもしれないけど、今はそっとしといてあげるほうが、桜木のためにもいいんだと思う。「お待たせ、萌恵。 じゃあ、帰ろっか」「うん、そうだね」私は職員室にノートを提出してから、萌恵と学校を出た。 ✱ ✱ ✱ 「じゃあね、萌恵。私こっちだから」「うん。バイバーイ」「バイバイ」萌恵と別れて、家に帰る道をただひたすら歩く。 だけどずっと考えるのは、桜木のことだ。 あれから学校にも戻ってこなかったし、メールもしてみたけど、返ってこなかった。「……はあ」ため息をついたその時……。「ふざけるな。俺はお前の言いなりになんか絶対にならねえ」「……え?」あれって桜木……だよね? と……あれは誰? なんか言い争ってるみたいだけど……。「へぇ……あれだけ忠告したのに、まだわかってないようね」「うるせぇ。お前みてぇなバカ女の言いなりになるくらいなら、死んだほうがマシだっての」遠くで桜木のそう話す声が聞こえてきた。え、女……? 言いなり……? 死んだほうがマシ……? え?一体なんのこと?なんの話をしてるの……?「へえ……それでも私の仲間になるつもりはないみたいね」「当たり前だ。 お前の仲間になるつもりなんか、サラサラねえから」え……仲間? なに、どういうこと……?「そう……じゃあ仕方ないわね」「……お前、なにするつもりだ?」「決まってるでしょ。アンタが仲よくしてるあの゙人間の女゙を道ずれにするのよ」え……え? 人間の女?ちょっと、これなんの会話? なんかの怖い話をしてる……?「……なっ!? なんだと!?」「っ……!?」はあ?道ずれ……?!それにあの人間の女って、もしかして……私のこと?「あの真琴って子、なかなか美人な子よね」やっぱり私……。なんで私なんかを……? いや、意味わかんない……!「言ったわよね? アンタが仲間にならないなら、あの女を殺すって」なっ、なによそれ……? 私を殺す、ですって?
last updateLast Updated : 2026-04-28
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