All Chapters of 俺様吸血鬼【ヴァンパイア】と私の甘くて苦い恋愛事情。: Chapter 21 - Chapter 30

34 Chapters

○21

「安心しろ。俺がアイツを殺させたりはしない」「なに言ってるのかわかってる? バカじゃないの? そんなこと、アンタにできるとでも思ってる訳!?」そう聞かれた桜木は「ああ、できるさ」と一言答えた。桜木……アンタって本当にバカだね。「っ……だったらアンタたち二人とも地獄に落としてやるわよ!」「やれるもんならやってみろ」「……なんですって?」桜木は口を開くと真剣な顔で「ただしお前は、この俺が潰す」と、宣言したのだった。「フッ……おもしろいこと言うのね。 いいわ。潰せるもんなら、潰してみなさい」「言われなくても、お前のその骨の髄まで砕いてやるよ」桜木……。「ああ、そうだ。バカなお前に俺から一つ教えてやるよ」「はあ?バカ、ですって?」「ああ。 悪いけどお前には、アイツを殺すことなんて出来ない」え……? それは、どういう意味……?「……それ、どういう意味かしら?」そう聞かれた桜木は、力強い声で「アイツは絶対に俺が守る」と言ったんだ。さ、桜木……どうして?「俺はアイツと約束したんだ。 なにがあろうともアイツを守ってやると。……だから俺がいる限り、お前にアイツは殺させない」「……っ、バカッ」桜木、アンタはやっぱりバカだよ。……でももっとバカなのは、私の方だ。 だって桜木は、私を守ろうとしてくれていた。それなのに私は、何も知らずにあんなことを……。「……ふん。勝手にしなさい!ただし私は、諦めないわよ」「勝手にほざいてろ」桜木はそう言い放ち、そのまま私の方向に向かって歩いてきた。 出来れば……逃げたかった。今すぐにでも、この場から逃げだしたかった。なのに……逃げられなかった。 足がすくんで、動けなかった。「……真琴!? お前、なんで……なんでここにいるんだよ?」桜木が私に気付き、そう声をかけてくる。 だけど私は、何も言えなかった。「まさか……聞いてたのか?」「……桜木、どういうこと?」私がそう聞くと、桜木は「……それは」とはぐらかす。「っ……説明してっ! 今の話はどういうこと?」私は冷静じゃいられなかった。 だって桜木が私のためにあんなことを言ったのではないかと思っているから。「……聞いてたんだな」「はぐらかさないで説明してよ!どういうことよ? ねえ桜木、答えないよっ……!」私は思わず桜木の胸ぐらを掴んだ。「……
last updateLast Updated : 2026-04-29
Read more

●22

「それに俺は、アイツらの仲間になる気なんかサラサラなかったんだよ。……だからこれでいいんだよ。お前はなにも気にするな」「……わかった。 桜木がそう言うなら、気にしないことにする」「ああ。頼むからそうしてくれ」私は桜木を見つめると、「……桜木、一つだけ聞かせて」と問いかける。「なんだよ」「あの人たちの目的は、一体なんなの? なんでアンタのことを狙うの?」私はどうしても、その理由が知りたい。「一つだけ言えることがある」「……なに?」「アイツらの狙いは俺の血だ」「桜木の、血……?」「ああ。前に狙われた時も、俺の血が目的だった」私は桜木に「なんで桜木の血を狙うの?……あ、同じヴァンパイア、だから?」と聞くと「いや、それは違う」と答えた。「えっ……じゃあなに?」ヴァンパイアだから狙われてる訳じゃないって……じゃあなんなの?  「俺の血が特別だからだよ」「……特別?」   特別ってなんだろう……?「ああ。俺の血はヴァンパイアの中でも一番うまいと言われてるんだ。 まあそれもそのはずだ。俺の血は両親から受け継いでるんだからな」「桜木の、両親……?」そっか。桜木にも両親が、いるんだよね……。「俺の両親は、ヴァンパイアの世界じゃ最強とも言われてるんだ。名誉あるヴァンパイアだってことだよ。……だからその血を受け継いでる俺は、相当貴重ってことだ」「……そう、なんだ」なんとなくだけど、話はわかったような気がする。 つまりその貴重な血を奪うために、桜木は命を狙われているってことだ。「だから俺は、色んなヤツから命を狙われるってことだ。……理解したか?」「まあ……なんとなくはわかった。 つまりアンタは、両親から受け継いだ血が最強だから、狙われるってことでしょ?」「そういうこと」それについてはわかった。 でもなんかわかんないんだけどさ……。「桜木がそんな理由で狙われるとか、納得できない」「……は?」「いや、いくら両親が最強だとはいえ、アンタはアンタでしょ? なのになんで狙われるのよ。それこそ私には、意味わかんない。……両親の血がすごいからって、アンタを狙う理由にはならないと思うけど」なんかムカつく……。   「……おい。ちょっと落ち着けって」「なんで?だってそうでしょ?」桜木のことをそれは妬んでるとしか思えない。「真琴、お
last updateLast Updated : 2026-04-30
Read more

○23

私は桜木から離れると、「私を守るって言ってくれた時……桜木を信じてよかったって、心の底から思った」と微笑んだ。「……真琴」「だから私は、自分の命が危なかろうがなんだろうが、関係ないの。……だってアンタがそばで、私を守ってくれるから」私は……桜木のそばにいたいって思った。「だから私、絶対に逃げない。 自分の命が危なくても、絶対に逃げたりしない」私はもう、逃げたくない。 逃げるくらいなら、戦いたい。「……頼むから、無茶だけはするなよ」「それはこっちのセリフだからね。 アンタも絶対無茶だけはしないで。……私のこと守るって、約束したんだから」「ああ、わかってる」私は桜木の手を握り、「絶対だからね。……破ったら、アンタのその首根っこ引きちぎってやるからね」と言った。「……それ前にも言われたような気がするな」「それ言われると、私も言ったような気がする……」なんとなく、そう言ったことを覚えている。「だよな。言ったよな」「多分言ったと思う。 多分出会ってすぐの頃かな」「……ああ、確かにそうだな」なんだか、あの頃が懐かしいな。 私は桜木と出会ってまだそんなに経ってないのに、もう懐かしく感じる。「……ねえ、桜木」「なんだ?」「死んだりしないでね。……約束、だから」「ああ、わかってる」どうしよう、急に不安になる。 もし桜木が私の前からいなくなったら……どうしようって。 もし桜木が死んだらどうしようって、すごく不安で仕方なくなる。だって桜木は、吸血鬼(ヴァンパイア)だから。いつ死ぬかのかもわからないって、桜木自身も言っていた。だからもし桜木が私の前からいなくなったら……私はどうしたらいいのかわからなくて、きっと苦しくなると思う。 桜木が隣にいないなんて、もう考えられない。    「桜木……」「ん……?」 私はそっと、桜木の手を握る。「桜木の手……ちゃんと、温かいよ」「……え?」やっぱり桜木は……ちゃんと人間だ。 だってこんなに、温もりがあるんだから。ちゃんと、体温を感じるんだから。私にとっては、桜木は人間だ。私はこの温もりが、心地いいんだと思う。この手を……離したくない。「桜木の手の温もり……優しいよ」桜木は私の頬にそっと手を伸ばし、そっと優しく触れる。 桜木に見つめられるだけで、妙にドキドキする。このドキドキで胸
last updateLast Updated : 2026-05-01
Read more

●24〜吸血鬼【ヴァンパイア】と直接対決〜

「だってムカつくんだもん。 すごく腹立つから、今すぐぶっ飛ばしたい」桜木は呆れたように「やめとけよ。 お前、噛まれて死ぬぞ」と私を止めた。「大丈夫。 だって桜木が、私を守ってくれるんでしょ?」「いや……まあ、そうは言ったけど……」私は桜木に「あ、あのさ……」と話しかける。「その……ごめんね」   「なんで真琴が謝るんだよ?」私はこの間また桜木にキスをしてしまったことを思い出して、反省してしまったんだ。「その……また、キスしたこと……ごめん」「気にしてないって。俺も……お前にしたし」桜木はそう言っていたけど、本当に気にしていないのだろうか。……そうとは思えない。「……お前って、ある意味ヴァンパイアより怖いよな」「え? なにが?」「お前、俺がヴァンパイアだってこと知ってて俺にキスしたんだろ?」私はそう聞かれて、確かに……と思ってしまった。「……あれは、無意識だったんだよね」桜木のことをどう思っているのか、私にもわからない。 私は桜木のことをどう思っているのだろうか。 少なくとも、嫌いでもないし怖くもない。「ごめん、本当に」    桜木は歩き出す私の腕をガッと掴んだ。「……え?」私は桜木に視線を向ける。「お前、俺のことどう思ってんの?」   桜木から真剣な目で見つめられ、つい「どうって……?」と口にしてしまう。「俺とお前って友達、なんだよな?」「……そう、だね」そうだよね。私たちって友達、だよね……?「言っとくけど俺は……お前と友達だなんて、思ってないからな」「……え?」それは、どういう意味……なのだろうか。「どういう……意味?」桜木にこうして見つめられるだけで、なぜかドキドキしてしまう。 どうしてなのだろうか。……その目に見つられると、胸がときめくんだ。「俺はお前のこと、友達以上だと思ってるから」「友達……以上?」友達以上って、なに? 友達より上って、なに……?「そう、友達以上。……覚えておけよ」桜木は私の腕を離すと、スタスタと歩いていってしまった。「え、なになに……?」なんなの?今の意味深な言葉は……。そんなよくわからない感情に振り回されて、訳がわからなくなる。 だけど今感じているのは、その感情が今まであまり感じたことがない感情だってことだ。桜木という存在に振り回されて、私はおか
last updateLast Updated : 2026-05-02
Read more

○25

「ヤツらの目的は俺の"血"だ。 つまり俺の血をなにか目的があって、狙ってるってことになる」なるほど……。「桜木は、自分がなんで狙われてるのか、わからないの?」「ああ。全くわからない」「……そう。 でもこれから、どうしたらいいのかわからないね」 桜木は「そうだな……」と口にし、校庭を眺めている。「桜木……大丈夫?」「大丈夫だ。真琴は、何も心配しなくていい」「……うん」桜木が狙われる理由……。そして桜木の血をなにか目的があって狙ってるとしたら、それはなぜなのだろうか。桜木になにか恨みがあるのか。……それとも、桜木を傷つけたいだけなのか。いずれにしても警戒が必要だ。私が、桜木を守らないと。 なにがあっても、守らなくちゃ……。桜木を死なせたりはしない、絶対に。「ねえ、桜木……?」「ん?」「桜木を狙う人の中に、桜木を恨んでる人とか……いないの?」桜木は「……恨み、ね」と呟く。「何か心当たり、ないの?」「心当たりね……。どうかな」その言い方だと、心当たりが当たりそうな雰囲気はするけど……。どうなんだろう。「ないなら、いいんだけど」「……まあ、誰かしらには恨まれてるだろうけどな」「え……?」私は桜木に「それ、どういう意味……?」と聞いてみたけど、桜木は「まあ……ヴァンパイアだしな、俺」とはぐらかされてしまった。「ヴァンパイアだから、恨まれてるってこと?」桜木は「……さあな」とだけ答えた。「私、そろそろ帰るね」「ああ、気を付けてな」「うん、じゃあまたね」私はカバンを手にし、教室から出て行った。✱ ✱ ✱【sideユズル④】「……俺を恨んでるヤツ、ね、」そんなの数多くいるからわからねぇしな。見当もつかない。俺は一体どうすればいいんだ。……かといって、アイツに迷惑はかけたくない。苦しませたくねぇし、傷つけたくねぇ。 でもどうすればいいのかわからなくて、ただただ頭を抱えるしかない。「俺を恨んでる人物。俺を傷つけようとしてる人物……」思い当たるヤツはいるが、多すぎてわからない。「……あーくそっ」そんなのわかるわけがないだろうが。恨まれすぎてるし、俺。「なんなんだよ。ちくしょう……」そう思っていた時、スマホが鳴り始めた。 だが通知は、非通知だった。「……もしもし」「桜木ユズルだな」「……誰だお前。な
last updateLast Updated : 2026-05-03
Read more

●26

くっそ……。なんとかして真琴を助け出さねえと。 危害を加えられるのだけは、絶対に避けたい。「ぶっ殺す? アハハッ……笑えるぜ! 殺すだと?俺にそんな口叩くなんて100年早いんだよ!」「……お前もあんまり俺をナメると、痛い目に遭うぜ」「はあ……?」ついにこの瞬間を見せる時が来ちまったのか。本当は、アイツだけには見せたくなかったんだけどな……。 でも仕方ない。 アイツにも本当の俺を正体を見せるしか……。「っ、さく……らぎ……ダメッ……!」「っ……真琴!?」アイツは傷だらけの身体で俺を見ていた。「ぜっ、たいに……ダメッ……。私は、大丈夫……だからっ……」「でもお前、ボロボロじゃねぇか! そんなんで大丈夫なわけねぇだろうが……。なに言ってんだよ」真琴は力を振り絞り「さく、らぎ……アンタは……アンタだけは、死んだら……ダメだよ」と俺に言った。「なに言ってんだよ。お前は俺が守るって言っただろ!」くっそ……。アイツ、真琴になんてことしやがる!「……フッ、この女も所詮は人間だな。 やはりここまでか」「ふざけんな! お前、コイツに何をした……?」「なにって……これを打ったのさ」……っ!? あ、あれは……。「お前、それ……」「ああ、ヴァンパイアの血だよ。 コイツをその女に注射させてもらったよ」ヴァンパイアの……血、だと……?「っ……てめぇ、ふざけんなよ!」「ヴァン、パイアの……血……?」真琴が声を微かに震わせていた。「……おい、まさか」「ああ、コイツはヴァンパイアの血を打ったなんて知らねぇよ。 言う訳がないだろう」「え……?」真琴の意識が、少しずつなくなっていくように見える。「っ……てめぇ、ふざけんなよ! お前の目的はなんだ!?誰の指示だ!? 答えろ!」俺はもう怒りが爆発していた。 感情的になってはいけないこともわかっている。 でも感情は抑えられない。 コントロールするなんて俺にはムリだ。「さく……らぎ……やめ、てっ……」「なんでだよ! だってお前……」「わた、しは……へ……いき。だか、らっ……」そして真琴の意識はそこで途切れたーーー。「真琴……? しっかりしろ、真琴!」「フッ……その女も人間だ。 そこまでだな」「っ……てめぇ、ふざけんなよ! アイツはなんも関係ねぇだろうが!関係ないアイツ巻き込むんじゃねぇよ
last updateLast Updated : 2026-05-04
Read more

○27〜吸血鬼【ヴァンパイア】が守るべきもの〜

「フッ……お前はつくづくバカだな」「なんだと? バカなのはてめぇだろ」「何度でも言えばいい。俺はお前が憎い。……だがまだ、生かしといてやる」「ふざけんな! 次は絶対に殺す」「お互い様だな」くっそ……。真琴は大丈夫なんだろうか。 ひどくケガをしている。「ああ、一つだけ言っておく。 あの女にヴァンパイアの血は飲ませたが、死んだりはしない」「……なんだと? どういうことだ?」「俺もあの女が゙欲しぐなったんでね。 俺のモノにするまで生かすことにしたんだ」俺はそれを聞いて、目を見開いた。   「お前っ……!」「フッ……せいぜい俺のモノになるのを、大人しく見ておくんだな」「ふざけんな!お前にはぜってぇ渡さねぇ。……お前みたいな卑怯なヤツに、真琴のことを渡すわけねぇだろ」俺は真琴を守ると約束したんだ。 だから絶対に約束を守る。「それはどうかな」「……どういう意味だ?」「彼女はいずれ、俺のモノになる。 絶対にな」「……ほざいてろ」アイツには絶対に渡したりしない。この命をかけても、真琴を守る。「フッ……」そして男は怪しく微笑み、俺の前から姿を消した。「……真琴がアイツのモノになる、だと?」ふざけんな、真琴は誰にも渡さない。 アイツのモノになんかさせない。ーーー絶対に。「おい、真琴! 起きろ!」意識を失っている真琴の身体を揺らしてみる。 だがやはり、意識はない。 当たり前か……。ヴァンパイアの血を飲まされたんだ。 アイツは死んだりはしないって言っていたけど、本当なのか……?「おい。起きろよ……起きろって、真琴」「………」いくら揺さぶっても、真琴は起きない。 確認すると脈はあるし、微かだが息はしているみたいだ。「真琴……真琴、しっかりしろ! 起きろって!」くそっ……俺はどうしたらいいんだ。女一人助けられない自分が悔しくて、余計にイライラする。 なんか……なんかいい方法はないのか。ちくしょう……。真琴を助けてやれなくてごめん。 俺は、俺は……。「……そうか。その手があったか」俺は持っていたナイフで自分の手首を軽く切る。俺の手首から流れる真っ赤な血。 だがその血を真琴に飲ませれば、もしかしたらなんとかなるかもしれない。 そう思った俺は、真琴を助けるために行動を取った。「……真琴、頼む」助かってくれ。 もうお
last updateLast Updated : 2026-05-05
Read more

○28

「……ああ、信じろ」   俺は真琴の身体を優しく抱きしめる。「……ありが、とう」「身体……大丈夫か? 痛いところないか?」「……ちょっと、痛いかな。 あとはちょっと、ダルいかも……」「そうか。……でもよかった。 意識取り戻してくれて、本当によかった」真琴が生きてるだけで、俺は安心したんだ。「っ……なんか、口の中が、血の味がする……」「ああ、多分……お前に俺の血を飲ませたからだと思う」真琴は「……え? 桜木の……血?」と俺を見つめる。   「ああ。俺の血を飲んだから、少しは楽になると思う」「……ちょっと待って」「なんだよ」「どんな風に……飲ませたの?」そう聞かれた俺は「そんなの、口移し……」と口にしたが、すぐに話すのをやめる。「……え?」「あ、いや……それはその、なんだ。 俺の口から飲ませたに、決まってんだろ……」なんだ、この照れくさい気持ちは……。なんかよくわからない感情になる。 やべぇ……。なんか、急にドキドキしてきた。さっきのこと思い出し、急に恥ずかしくなる。「それってつまり、キス……?」「べ、べつに、そんなんじゃねぇよ!……ただ、お前を助けたくて必死になっただけのことだ」「……ありがとう」「え?」「桜木が助けてくれなかったら……私今ごろ、死んでたかもしれない。 だから桜木には、すごく感謝してる。……ありがとう」アイツのあんな嬉しそうな目を見たら、本当のことなんか言える訳がなかった。……アイツが真琴の命を狙ってるということを。「ねえ、桜木……?」「ん?」真琴は心配そうに俺を見つめ「……私、ヴァンパイアなんかにならないよね?」と問いかけてくる。「え……?」「私は……ヴァンパイア血を打たれた。 つまり今私の中には、ヴァンパイアの血が巡ってるって、ことだよね?……それで私がヴァンパイアになるってこと、あるの?」真琴の身体は震えていて、俺は思わずその身体をギュッと抱きしめて「……ああ、ねぇよ。 つーかある訳ねぇよ、そんなこと。……あってたまるか」と伝えた。アイツが俺みたいになる……? いや、そんなことある訳がねぇよ。 だがアイツが真琴にヴァンパイアの血を打った以上、本当にそうならないとは限らない。俺の血で抑えてるものの、もしかしたらそうなる可能性もある。 死ぬことはねぇって言ってたが、本当にそう
last updateLast Updated : 2026-05-06
Read more

●29〜吸血鬼【ヴァンパイア】の胸の内〜

命の危機にあったところを、桜木に助けられたようだ。「……桜木?」「どうした……?」「……私、死なないよね?」 私は死ぬのだろうか……。変な男に連れ去られて、ヴァンパイアの血を飲まされてしまった。身体を縛られ身動きも取れなくて、意識を失った。「……え?」なのに桜木は、私を必死で助けてくれた。「私の中には、バンパイアの血が流れてるんでしょ?……いつかは私もヴァンパイアになるんじゃないかって、不安なの」ヴァンパイアの血を飲まされてしまった今、私いつヴァンパイアになってもおかしくないってことだ。 「大丈夫だ、心配すんな。……お前はヴァンパイアになったりしない」「……本当に、信じていいの?」「ああ。俺を信じろ」私は桜木に「……わかった」と返事をした。「不安なのは俺もだ。……でもな、俺はお前を俺と同じヴァンパイアには、させたくない」「……桜木……っ」桜木はそんな私の頬を撫でて、いつの間にか流れた涙を優しく拭ってくれる。「だから俺を信じろ。……いいな」私が優しく頷くと、桜木は私の唇に優しくキスを落とす。 私もまた、その目を閉じた。「……桜木、ごめんね」「え……?」「……私のせいで、桜木のこと、傷つけてごめんね」私は桜木に迷惑ばかり掛けてる……。「何言ってんだよ、お前はなにも悪くない」私と一緒にいたら、桜木をきっと困らせてしまうかもしれない。 また迷惑ばかり掛けちゃう……。「……私、これからどうすればいい?」「え……?」「今、すごく苦しいの。……私、自分がおかしくなりそうなの」桜木は私をギュッと抱きしめてくれる。 私は桜木の腕の中で、ボロボロと泣いた。「助けてよ……桜木。私を助けて……。私、どうすればいいの? ねぇ、桜木……教えてよ」私はこれからどうやって、生きていけばいいのだろう。……どうしたら、いいの。「……ごめん、真琴」桜木はずっと謝ってばかりだった。「真琴、とりあえず病院へ行こう」「病院……?」「ケガしてるし、手当してもらおう」私は「……うん」と頷いて、桜木に手を引かれ歩き出した。✱ ✱ ✱  あれから二週間が経った。「……はあ」「どうしたの、真琴?」ため息を吐く私に、萌恵が声をかける。「……え、なにが?」「なんか最近、ずっとため息ばかり付いてるじゃん」萌恵にそう言われて「そんな
last updateLast Updated : 2026-05-07
Read more

○30

「そうだ、今日一緒に帰ろう」「ああ、うん。いいよ」「よし、決まりね」萌恵はそのまま席に戻っていった。最近また桜木とは距離が近くなった気がする。 あんなことがあってから、桜木はよく私を守ってくれるようになった。 気に掛けてもくれるし、心配してくれる。正直に言うと、嬉しい。 でも私は、いつヴァンパイアになるかわからない。 だからどんなに明るく振る舞っても、心の不安は消えない。……心の不安が取り除かれることは、きっとない。私だってわかってる。 自分が今どうするべきなのか。 でも……でも私は、まだ生きていたい。だからヴァンパイアになるのが運命なら、私はそれを受け入れるつもりだ。 自分でも、そう思うことをおかしいとは思うけど。「……ねぇ、萌恵」「ん?」私は昼休み、お弁当を食べながら萌恵に「……ヴァンパイアって、ほんとにいると思う?」と聞いてみた「えっ……ヴァンパイア? て、吸血鬼のこと?」萌恵がコーヒー牛乳を飲みながら私に聞き返す。「うん。 ほら、たまにテレビに出るじゃない?それを見てると、本当にいるのかなぁって思ってさ」「ああ、たしかに。 うーん……でもどうなんだろうね。 いるかもしれないし、いないかもしれないしだけど」「……だよね」まあ、ヴァンパイアなんて空想の中の世界にしか過ぎないし、信じる人なんて少ないとは思う。 信じる方がレアだと思うけど、信じないよね、普通。でも実際に、私のそばには本物の"ヴァンパイア"がいる。 だからヴァンパイア本当に実在するのは確かだ。ーーーバンパイアは人間の敵。 いつからか人間には、そんな変な話が広まるようになった。ヴァンパイアは人間を噛み殺すとか、ヴァンパイアはキバが生えてるとか、ヴァンパイアは満月の夜に現れるとか。 そんな変な話をいつしか人間は信じ込むようになったと、桜木はいつか言っていた。確かにどれも間違ってはいないと言っていたけど……。桜木もヴァンパイアだけど、桜木は悪いヴァンパイアではない。 むしろ心の優しいヴァンパイアだ。「でもさ、吸血鬼がほんとにいたら怖いよね。 だって人間を噛み殺すんでしょ?あの鋭いキバで」「……みたいだね。怖いよね、ヴァンパイアって」「ねぇ。 え、本当に現れたらどうする?」   萌恵は私にそう聞いてくる。「……どうするって言ってもさ、逃げるし
last updateLast Updated : 2026-05-08
Read more
PREV
1234
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status