悠さんは結婚して家庭を持ったから、そしてその奥さまである栞さんはお腹の中に赤ちゃんがいて、もうすぐお母さんになる。そういう意味では、彼女にも守るべきものができたということだ。 「そうですね。……パワハラの被害に遭っていた時は、あの人のことをそりゃ恨んでましたけど。あの人にも守るべきご家庭があるんですもんね。ご家族のためにあの人が変われたのならよかったです」 貢はやっぱり、島谷さんの新しいスタートが嬉しいみたいだ。手紙が来たことを彼に伝えようかどうか迷っていたけれど、やっぱり話してよかったと思った。 「……さて、今度はわたしが貢の足を揉みほぐしてあげようかな。さっき頑張ってくれたお礼にね」 「えっ、いいんですか? じゃあお願いします」 「うん。じゃあここに仰向けに寝転んで下さ~い」 彼がゴロンと仰向けに寝転ぶと、わたしはさっき自分がやってもらったみたいに彼の脚のマッサージを始めた。 「……どう? 気持ちいい?」 「はい、すごく気持ちいいですよ。僕も脚が疲れていたので……、あー、そこそこ……」 気持ちよさそうに目を細める彼は、さっきのわたしみたい――というか温泉に浸かっているオジサンみたいな声を漏らした。 「――あ、そうだ。ねえ貢、明日お義父さまとお義母さまをお家までお送りしてから、杉本さんのお店に行ってみない? そこで夕飯にしようよ」 「スギの店に……ですか?」 「うん、明日で休暇も終わっちゃうし。わたし、杉本さんが作ってくれたお料理食べてみたい。ちゃんと予約は入れておくから」&
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