All Chapters of トップシークレット☆後日談 東京~神戸 新婚ラプソディ: Chapter 111 - Chapter 120

120 Chapters

家族のカタチ PAGE6

 悠さんは結婚して家庭を持ったから、そしてその奥さまである栞さんはお腹の中に赤ちゃんがいて、もうすぐお母さんになる。そういう意味では、彼女にも守るべきものができたということだ。 「そうですね。……パワハラの被害に遭っていた時は、あの人のことをそりゃ恨んでましたけど。あの人にも守るべきご家庭があるんですもんね。ご家族のためにあの人が変われたのならよかったです」  貢はやっぱり、島谷さんの新しいスタートが嬉しいみたいだ。手紙が来たことを彼に伝えようかどうか迷っていたけれど、やっぱり話してよかったと思った。 「……さて、今度はわたしが貢の足を揉みほぐしてあげようかな。さっき頑張ってくれたお礼にね」 「えっ、いいんですか? じゃあお願いします」 「うん。じゃあここに仰向けに寝転んで下さ~い」  彼がゴロンと仰向けに寝転ぶと、わたしはさっき自分がやってもらったみたいに彼の脚のマッサージを始めた。 「……どう? 気持ちいい?」 「はい、すごく気持ちいいですよ。僕も脚が疲れていたので……、あー、そこそこ……」  気持ちよさそうに目を細める彼は、さっきのわたしみたい――というか温泉に浸かっているオジサンみたいな声を漏らした。 「――あ、そうだ。ねえ貢、明日お義父さまとお義母さまをお家までお送りしてから、杉本さんのお店に行ってみない? そこで夕飯にしようよ」 「スギの店に……ですか?」 「うん、明日で休暇も終わっちゃうし。わたし、杉本さんが作ってくれたお料理食べてみたい。ちゃんと予約は入れておくから」&
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ハネムーン休暇、最終日 PAGE1

 ――結局、昨夜は何もしないまま二人ともぐっすり眠って、とうとうハネムーン休暇の最後の一日を迎えた。 朝食の後、母は家で留守番することになり、わたしと貢、義両親の四人は貢の運転するクルマで大型スーパーへと買い出しに来た。今日は遠距離というわけではないけれど荷物が多くなりそうなので、運転の交代要員であるお義父さまが一緒なのは心強い。……あ、そういえばお義母さまも運転できるんだった。 「――お義母さま、暑いので今日のお昼は冷やし中華にしましょうか。デザートには両家顔合わせの時にお出ししたイチゴのシフォンケーキを作ろうと思うんですけど、一緒に作りません?」 「あら、いいわね! 一緒に作りましょう。絢乃さん、私にも作り方教えてね。家で栞ちゃんにもまた食べてもらいたいから」 「ええ、もちろんいいですよ。わたしも、お義母さまと一緒に作るのを楽しみにしてたんです」  今日は助手席をお義父さまに譲り、わたしたち嫁姑コンビは後部座席に収まっている。でもわたしとお義母さまの関係は良好で、わたしも母がもう一人増えたみたいで嬉しい。 「お義母さまって、栞さんともこうしてよく一緒にお買い物に行ったりなさってるんですか?」 「ええ、行ってるわよ。ただ、栞ちゃんのお腹が大きくなってからはちょっと遠慮してるのよね。妊娠中に何かあったら大変だから」 「そうですよね。あまりムリをしたら、お腹の赤ちゃんにも影響出ますもんね。わたしもこないだ、貢さんに言われたんです。『妊娠したら、あまりムリはしないで下さいね』って。『会社も大事でしょうけど、絢乃さんは一人しかいないんですから』って」 「そう、貢がそんなことをねぇ……」  話の流れで貢の名前が出たけれど、彼は運転に集中しているのか聞こえていないらしく、何の反応も示さない。 
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ハネムーン休暇、最終日 PAGE2

 ――スーパーで冷やし中華の具材やイチゴのシフォンケーキの材料をドッサリ買い込んだわたしたちは、今度はお義父さまの運転で家に戻った。助手席にはお義母さまが収まり、貢は珍しくわたしと一緒に後部座席に座って荷物を抱えてくれている。 「貢、どう? 初めて自分のクルマの後部座席に乗ってる感想は?」 「なんか新鮮ですね。子供の頃は、兄と並んで父のクルマの後部座席によく乗せてもらってましたけど。大人になってからは初めてなんで……。自分で運転できるようになってからは、タクシーくらいしかなかったですね」 「そっか。じゃあ、これからは重役特権で、時々は寺田さんの運転するクルマで送迎してもらう? あのセダン、乗り心地めちゃめちゃいいよ。……わたしはそれでも、このクルマの助手席がいちばん好きだけどね」 「……まぁ、時々でしたら」  彼はそう頷いてくれたけれど、結局は自分がハンドルを握らないと落ち着かないんじゃないかなと思う。クルマを運転する人ってだいたいはそうなんだろうか。 「わたしが免許取って、自分でクルマ買って運転するようになったら、その時は助手席で教官になってもらおうかな。貢、よろしくお願いします。ただし、お手柔らかにね」 「いいですよ。多分僕、絢乃さん相手には厳しいこと言えないと思うんで」 「……うん、わたしもそう思う」  彼はわたしにはめっぽう甘いし、もちろん自分の方がわたしより立場が下だということもあって、年上なのにわたしには偉そうに言えないでいる。わたしだけじゃなくて部下である麻衣さんにも優しけれど、それが彼のいいところでもあり、直してほしいところでもある。  ――そういえば、去年のゴールデンウィークにもこうして貢と二人、クルマで買い物に行ってい
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ハネムーン休暇、最終日 PAGE3

 ――家に着くと、さっそくわたしと母、そしてお義母さまの三人でキッチンに立ち、調理を始めた。今日この時間はこの三人でキッチンを貸切りにして、普段食事を作ってくれているコックさんたちには休憩を取ってもらっている。  冷やし中華は中華麺を軽く茹でて冷水で締め、タレは市販のものを使うので、あとは具材を細切りにして錦糸卵を作るだけだ。焼き豚、キュウリ、ハムを細く刻み、薄焼き卵を作って冷まし、それも細切りにする。あとは器に彩りよく盛り付けてタレをかければ完成だ。一応レモン醤油とごまダレの二種類あるので、それぞれお好みの方をかけてもらうことにした。ちなみにわたしは断然さっぱりしたレモン醤油の方が好きだ。 「――さて、それじゃお義母さま、一緒にイチゴのシフォンケーキを作りましょうか」 「ええ」  シフォンケーキをフワフワに焼くポイントは、メレンゲをたっぷり加えることだ。卵を割って卵黄と卵白に分け、卵黄は他の材料と一緒に生地に混ぜる。そして卵白のボウルは氷を張ったボウルの上で冷やしながら、泡立て器でひたすらホイップしていく。 今回はイチゴ味なので、生地にはイチゴジャムも混ぜる。そうするとイチゴの味もしっかり引き立つし、焼き上がりの色もほんのりピンク色になるのだ。 「――絢乃さん、生地はこんな感じで混ざったけど、どうかしら?」 「ええ、いい感じですね。お義母さま、ホントにお菓子作り初めてですか? すごくお上手です」 「ホントに? ありがとう、そうして褒めてもらうと嬉しいわ。初めてだけど、やってみると楽しいものね。……あら、メレンゲを泡立てるのにハンドミキサーは使わないのね」 「ええ。大変ですけど、自分の手で泡立てた方が美味しく出来るんです。前はハンドミキサーも使ってたんですけど、美味しいお菓子を作るのに手間を惜しんじゃいけないなと思って」  受け
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ハネムーン休暇、最終日 PAGE4

 ――メレンゲがフワフワになるまで泡立ったら生地に投入し、サックリと混ぜ合わせてシフォンケーキの型に流し込み、温めておいたオーブンで焼く。時間はだいたい三十分くらいだ。 「それじゃ、ケーキが焼けるまでの間に生クリームにイチゴジャムを混ぜてホイップします。けっこう腕が疲れる作業なので、お義母さま、途中で交代して頂いても大丈夫ですか?」 「ええ、いいわよ、絢乃さん。疲れてきたら声をかけてちょうだいね」 「ありがとうございます。助かります。ママはオーブンを見ておいてくれる?」 「分かったわ」  というわけで、わたしはさっそく冷蔵庫から冷やしておいた生クリームを取り出してボウルに入れ(ボウルはさっきまでメレンゲを作っていたボウルをキレイに洗っておいたものだ)、そこにイチゴジャムを加えて氷を張った大きめのボウルの上で、さっきのメレンゲの時と同じように泡立てる。この時にもわたしはハンドミキサーは使わず、泡立て器と自分の腕だけで泡立てていく。 「……なるほど。イチゴジャムを入れるとお砂糖は要らないわけね?」「ええ。ここにお砂糖まで入れてしまうと甘くなりすぎてしまうので。糖分ならジャムに含まれてますから、それだけで十分なんです」  頑張って泡立てていると、だんだんクリームの色がピンク色に変わってきて、甘酸っぱい匂いがしてきた。でも、少し腕が重くなってきた……。 「お義母さま、そろそろ交代して頂きたいんですけど……」 「ええ。代わるわ。やり方はあなたのを見て覚えたから大丈夫よ。左腕でボウルを支えながら混ぜたらいいのね?」 「はい、そうです。もうだいぶ泡立ってきているので、もう少しだと思います。あとは角が立つくらいまで混ぜたら出来上がりです」&
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ハネムーン休暇、最終日 PAGE5

「でもね、子供が大きくなった時にわたしがママのこと『ママ』って呼んでたらちょっとややこしくならない? わたしが『ママ』って呼ばれるかもしれないんだよ?」「なるほどねぇ。じゃあ絢乃、あなたが子供に『お母さん』って呼んでもらえばいいんじゃないの? ほら、ママはあなたの子には『ばぁば』って呼んでもらうつもりだから、それならややこしくないんじゃない? 間違っても孫から『ママ』って呼ばれて返事するようなことはないから」「……そっか。わたしが『お母さん』って呼んでもらえばいいのか。ありがと、ママ。これからもずっと……あ、せめて子供が成人するまでは『ママ』って呼ばせてもらいます」 そんな話をしているうちにオーブンの中のケーキがふっくらとしてきて、甘い香りがしてきた。「ケーキ、もうすぐ焼けそうね」「うん」「絢乃さん、ホイップもいい感じに泡立ってきたわよ。これくらいでいいのかしら?」「あ、はい。完璧です。ありがとうございます」 お義母さまにお任せしていたイチゴジャム入りのホイップクリームも、美味しそうに出来上がった。 焼けたシフォンケーキの生地を方から外して冷ましている間に、クリームも冷蔵庫で冷やしておく。ケーキは人数分に切り分けてお皿に盛り付け、クリームを乗せたら完成なので、その前に冷やし中華を盛り付け、先に頂くことにした。 冷やし中華のタレの好みはわたしとお義母さまがレモン醤油派で、貢と母とお義父さまがごまダレ派に分かれた。ちなみに亡くなった父とお義兄さまもレモン醤油派で、栞さんはごまダレ派である。「あれ、貢はごまダレなんだ? 好みが分かれちゃったね」「僕はどっちも好きなんですけど、ごまダレの方が体によさそうかなと思って。ほら、ごまって健康にいいじゃないですか」「そうだね……。じゃあ、わたしも今度はごまダレにしてみようかな」 夫婦でタレの好みは違うけれど、それくらいでわたしたち夫婦の仲が壊れるわけじゃない。こうしてみんなで一緒に冷やし中華を食べている光景も、ハネムーン休暇最終日のちょっとした贅沢だなと思った。 デザートに母とわたし、お義母さまの三人で頑張って手作りしたイチゴのシフォンケーキも大好評で、お義兄さま夫婦の分にとよけてあった分は義両親が二人へのお土産に持って帰られることになった。栞さんはおめでただから、お腹の赤ちゃんの分まで美味しく食べて
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ハネムーン休暇、最終日 PAGE6

 ――そして夕方六時、わたしと貢は予約を入れていた杉本さんのお店で食事をするために、クルマで赤坂へ向かった。「――それじゃママ、行ってきます」「ええ、行ってらっしゃい。杉本さんによろしくね、貢くん」「はい」 貢は今日、午前中から二回目の運転だ。自由が丘から赤坂まではそれほど遠くないけれど、さすがに二回目となると疲れも出るかもしれない。早く運転免許を取って、運転を代わってあげたいな……。「……ねえ貢、明日からは新しいスタートだね。っていっても、辞令が出たからってすぐに専務になるわけじゃないけど」 多分辞令が執行されるのは七月一日付けになると思うので、それまでの約半月は第一秘書の業務を麻衣さんに引き継いだり、前専務の山崎常務から役員の仕事を教わったりという期間になる。山崎さんはつい一ヶ月ちょっと前の役員人事で常務取締役に就任したばかりだ(ちなみに、我が篠沢グループでは専務より常務の方が役職が上になるのだ)。「はい。麻衣さんには早く一人前の秘書になってもらいたいですね。彼女、入社した時から秘書に向いていそうだなって、僕も上司として見込んでいたんです。室長や小川先輩もそうだったみたいで」「そっか、貢もそう思ってたんだね。わたしも彼女には見込みがありそうだなって思ったから、第二秘書に任命したの。でも、貴方が秘書でなくなるなら、なるべく早く新しい第二秘書と貴方についてもらう秘書を決めないとね」「お願いします。僕のためだけじゃなく、矢神さんのために」  そんな話をしていたら、あっという間に〈割烹 すぎもと〉に到着した。「――いらっしゃいませ」「こんばんはー。六時半に予約を入れておいた篠沢です」 出迎えて下さったのは、ホールを担当している杉本さんのお母さまと思しき女性だった。「はいはい、伺っておりますよ。あら! 桐島くんじゃないの! いらっしゃい。久しぶりねぇ」「どうも。おばさん、ご無沙汰してます。実は僕、結婚して苗字が――」「ええ、優吾から聞いてるわよ。あなたが奥さまね? 初めまして、杉本優吾の母です。さ、どうぞカウンター席へ」「はい。――こんばんは。今日でハネムーン休暇は終わりなんで、貢と二人で来ちゃいました」 カウンター席に通されたわたしたちは、厨房に立つ優吾さんに声をかけた。その間に、お母さまが冷たい緑茶を出して下さっ
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新しいスタートと子作り PAGE1

「――はい、お待ちどおさま。アジの刺身ね。絢乃さんはショウガ醤油でどうぞ」 アジのお刺身は丸ごと一尾分が一枚の大きなお皿に盛られて出てきた。優吾さんはまず、その場ですりおろしたショウガを落とした醤油の小皿をわたしに手渡してくれる。「わぁ! なんかツヤツヤ光ってて美味しそう! ありがとうございます。いただきます」 続いて、その場ですりおろしたばかりの生ワサビと醤油の入った小皿を貢にも手渡してくれた。「キリはワサビ大丈夫だよな? じゃあ、お前の分はワサビ醤油な」「ありがとう」 新鮮な魚のお刺身を食べるのは、新婚旅行で泊まった淡路島のホテル以来だ。アジはちゃんと脂も乗っているけれど、身は引き締まっていてプリプリだ。「美味しい! わたし、こんなに美味しいアジって初めて食べました」「うん。マジで美味いよ、このアジの刺身。スギ、お前腕上げたなぁ。スーパーで買う刺身とは全然違うよ」「よかった、喜んでもらえて。今朝豊洲市場で仕入れてきて、さっきまで氷で締めてたんで。そしてキリ、俺はプロなんだから当たり前だろ? 金払ってもらう以上、下手な料理は出せないって」「そうですよね。プロの仕事っていうのはそれだけ責任も伴いますもんね。お金を払って食べてもらう以上、やっぱり美味しいものを食べてもらいたいから自然と腕も上がりますよね」「そうだよな。ウチの兄貴もそうだもん。あっちはチェーン店だから決まったレシピがあるけど、将来は自分で店出して、自分の味で勝負したいって言ってるよ。和食じゃなくて洋食だけど、プロの料理人っていう意味では一緒だもんな」 貢がお義兄さまのことを話しながら目を細める。悠さんも将来ご自分がオーナーシェフの洋食屋さんをオープンさせるべく、今はチェーン店の雇われ店長として働いて開店資金を貯めているところなのだ。  そして、仕事というのはどんなものでもそうなのかもしれない。 職種こそ違うけれど、わたしたちの仕事も基本的には同じなのだ。クライアントのため、取引先のため、そして社員の生活のために、わたしたち役員は仕事をする。大きな金額も動く分、そこには当然大きな責任も伴うのだ。「優吾さん。実は彼、この度篠沢商事の専務取締役に就任することに決まったんです。正式に就任するのはまだちょっと先なんですけど、今日はその前祝いも兼ねていて」「えっ、そうなのか? キリ、
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新しいスタートと子作り PAGE2

「そうですよね。絢乃さんだって、会長に就任されたのはまだ高校二年生の頃でしたもんね。経営のことや社会のこと、右も左も分からない状態でも何とか会長としての仕事をこなしてこられて、今に至ってるんですから。強い責任感と周りのサポートがあれば、僕だって何とかなりますよね」 「そうだよ、貢。わたしも他の役員のみなさんも、みんな貴方へのサポートは惜しまないから。困ったときはいつでも頼ってね。わたしたち夫婦なんだし、一年三百六十五日いつでも一緒にいるんだから」 「はい。……おっ、上手そうなアユ! スギ、いただきます」  アユの塩焼きは、杉本さんのおススメでカボスを絞って頂くことにした。こちらも脂がたっぷり乗っているけれど、カボス果汁の酸味が後味をサッパリとさせてくれて美味しい。  他にも衣の薄い鶏肉の竜田揚げや、柔らかくてトロトロの豚の角煮、カボチャと里芋の炊き合わせ、炊き込みご飯など次から次へと美味しいお料理が出てきて、わたしたちはすっかりお腹も心も満たされて大満足だ。 お父さまも厨房で腕を振るっておられたのだけれど、無口な人なのでほとんど会話はなかった。  今日はわたしと貢でお金を出し合って現金でお会計を済ませ(ブラックカードを出したら杉本さんのお母さまが腰を抜かされると思ったのだ)、杉本さん親子に「ごちそうさまでした」と二人で言ってから、わたしたちは帰路についた。  家では母と史子さんに出迎えられ、一階のリビングダイニングでしばらく寛いだ後、二階の寝室へ上がった。 「……あ、村上さんからメッセージが来てる。朝お願いしてた件の返事みたい」  スマホに受信していた村上さんからのメッセージには、「明日にも貢の専務就任の辞令を貼り出すよう人事部長に頼んでおきました」とある。わたしはそれを貢にも見せた。 「貢、改めて専務就任おめでとう」
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新しいスタートと子作り PAGE3

 その後は彼にされるがまま、彼の指や舌での愛撫に悶え、喘ぎ、何度もビクンビクンと体を跳ねさせながら一度目の絶頂を迎えた。彼はそのたびに、わたしのことを「可愛い」と言う。喘ぐ声や、絶頂の時に上げる獣みたいな唸り声さえも。「……はぁっ、はぁっ。貢、そろそろ……お願い」 一度目の絶頂の熱も冷めないうちに、彼はわたしの脚を大きく広げさせ、いちばん深いところへ杭を挿入させた。「……あっ! あ……もう、今日は優しくしてねって言ったのに」 彼の律動に喘ぎながら、わたしは口を尖らせる。でも、これは形だけの抗議だ。「そんなこと言って、ホントは優しくされただけじゃ満足できないんでしょう、絢乃さんの体は? だってもう、ここはこんなに濡らしてこんなに僕のコイツを深くまで飲み込んじゃってるじゃないですか」「あ……、バレちゃってる? うん、やっぱり明日の朝ツラくなってもいいから、こっちの方がいい……、あんっ♡ あっ♡」 彼の杭の先端は、奥にあるわたしの気持ちいいポイントをグイグイ衝いてきて、わたしの内膜も彼をしっかり咥えて離さない。彼と結婚してから、こんなに激しい行為は初めてかもしれない。……いや、交わるごとにどんどん激しくなっていっている気がする。今夜は数日のご無沙汰があったからなおさらだろう。「あ……絢乃さん、脚をМの時にできますか? 両膝を立てて、胸にくっつける感じで……」「あ……っ、えっ? ……こんな感じ? …………あぁっ! なんか、さっきより深くなってる……っ?」 言われたとおりにすると、さっきより露わになったわたしの秘部のさらに奥に、一度ズルッと引き抜かれたわたしの蜜まみれの杭が挿入された。 彼がそのまま腰を激しく動かし始めると、体は密着しているので充血してプックリと大きく膨らんだわたしの花芯が押し潰されて、そこからも何とも言えない快感のさざ波が襲ってくる。わたしは思わず、そこに自分の右手を伸ばして指先でそれを弾いた。「……ぁあっ! あん……あっ♡ な……何これ、なんか気持ちい……っ! あぁっ♡」「絢乃さん、ご自分でそんなことしなくても、……僕がもっと気持ちよくしてあげますから……っ」 彼はわたしの手を掴むと、ズンズンと突き上げるのを一層激しくした。これ、もう子宮口まで貫かれてるんじゃないの? 当然のことながら、今夜も避妊は
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