控室に入ったわたしは、ブライダルサロンの女性スタッフの人にヘアメイクをしてもらい、結婚披露パーティーの時に着ていた淡いピンク色のオフショルダーのドレスを着せてもらった。胸元にはもちろん、貢から十八歳の誕生日にプレゼントされたあのネックレス。 今日の実際の内容はあくまでも臨時株主総会だけれど、一応結婚披露宴の形を取っているため、こうして花嫁の姿にならないわけにはいかないわけである。「……篠沢様、完了致しました。いかがでしょうか?」「はい、もうバッチリです! ありがとうございます。すみません、今日は無理なお願いをして」「いえいえ! 本日は当ホテルの宣伝にもなると上司が申しておりましたので、全力でお手伝い致します」「ご協力、感謝します」「はい。――では篠沢様、ご主人がお待ちですので、隣の控室へ参りましょう」「ええ」 女性スタッフと一緒に控室を出て、貢がいる隣の控室のドアをノックした。「貢、そろそろ時間だけど準備できてる?」「はい、大丈夫です。どうぞ」 中からドアを開けてくれたので、わたしは彼の控室へ入る。そこにいたのは、グレーのタキシードでビシッと決めた貢だった。「やっぱりそのタキシード、よく似合ってるよ。カッコいい」「絢乃さん、ありがとうございます。惚れ直しました?」「惚れ直すも何も、わたしはいつだって貢に惚れてるよ。……ねえ、わたしはどう? 結婚式の日と同じくらいキレイ?」「はい。すごくキレイです」「よかった。ありがと。それじゃ、そろそろ会場に行こう」「はい」 表向きは結婚披露宴ということになっているので、貢にも介添スタッフがついている。わたしたちはそれぞれの介添スタッフの人に手を引かれながら、会場となるバンケットルームへ移動した。「会場の準備はもうできてるよ。真弥さんが張り切って、ライブ配信で投票できるようにURLを株主さん全員にメールで送っておいてくれたって」「ああ、そういえば僕のスマホにも来てましたよ、そのメール」 わたしと結婚した時から、彼も株主の一人になった。もちろん、大株主であるわたしや筆頭株主である母のスマホにも同じメールが届いていることだろう。「さて、このパーティーがホントは株主総会で、貢が専務になるっていう発表の場だって知ったら宏司さん、どんな顔するかなぁ。楽しみ♪」「……絢乃さん、なんか悪そうな顔し
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