ビールは冷たいはずなのに、体の内側がじんわりと温かくなっていくのが分かる。 照宮さんは、カクテルを軽く揺らしながら、こちらを見ていた。 さっきから、何度か視線が合う。そのたびに、胸の奥が小さく跳ねる。(……聞くなら今だ) さっきから何度も、言おうとしては飲み込んできた言葉。 言ってしまえば、空気が変わるかもしれない。 言わなければ、このまま、なかったことにもできる。 それでも――俺は、意を決して口を開いた。「あの……」「はい?」 照宮さんが、首を少し傾ける。その仕草が、妙に大人っぽい。「俺の……髪の色って、気にしないんですか?」 一瞬、間があった。ほんの一拍分だが、その沈黙が妙に長く感じられた。 照宮さんは、きょとんとした顔をしている。「……髪の色、ですか?」「はい。銀色って……目立って、変じゃないですか」 自分で言っていて、少し苦笑いが漏れる。 だが、照宮さんは少し考えるように視線を上げ、それから、ふっと表情を和らげた。「変……ですか?」「え?」「私は……素敵だと思いますよ」 さらっと、そう言われた。「銀色って、きれいじゃないですか。光の当たり方で表情も変わりますし」 一瞬、頭が追いつかなかった。「……ありがとうございます」 反射的に、そう答えていた。 照宮さんは続ける。「それに……似合ってます。伊原さんの雰囲気に」 胸の奥が、ぎゅっと締め付けられる。(……だめだ、これ) ビールのせいなのか。それとも、この落ち着いた個室の空気のせいな
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