ロビーまで来ると、誠治に連れられた仁香を見て、塁がポカンとしていた。「え…… ? あれ ? 」「塁さん、来てたんですね。お義母さんからは来ないって聞いてて……」 仁香がそう言うと、静かに頷く。「気になって……。兄さんの様子は ? 」「あ……その……」 まさか中身の人格がジャックされているなどとは言い出せず、しかし塁としても祭壇にまつわる話を知っている。仁香の様子を伺うと「そうか」と納得した。 車を回した誠治が戻ってくると、塁に話しかけた。「塁くん。仁香さん、服をうちで着せるからさ。功一くんに言っておいてよ」「分かりました」 仁香は一人ポツンと残される塁にいたたまれない気持ちになりながらも、南川と書かれたのワゴンへ乗り込んだのだった。 □□□「功一くんはどうなってる ? 毎日、家から通ってるんだよなぁ ? 」 誠治が後部座席の仁香をルームミラーから伺う。「はい」「……何も言ってくれねぇのかい ? 今回のことも……功一くんは正装してたのを見かけたって妻が……」「彼は……今忙しくて……」「忙しいって……竹田さんとこの従業員だろ ? そんなに忙しいかねぇ ? 」「……」 それ以上何も聞かず、誠治は突然鳴り出したスマホの液晶を見てから眉を寄せた。 商店街のど真ん中の交差点。 その一角に呉服屋は建っていた。『南川呉服店』「うひ〜」 車を止めてからスマホを見た誠治が額をガリガリと掻き出した。「凄い鬼着信。俺の母親から」「お母様はご在宅です
Read more