「おはようございます」 次の日、機嫌良く出社した功一に竹田が震える声で給湯室から出てきた。 それも来ているのはいつものスーツではなく、喪服だった。「え ? 竹田さん、どなたか不幸ですか ? 」「神代……実は……あの神社の引戸さんだが…………死んだんだ」 真っ青な顔で呟く竹田に、功一はなんとも冷静を保ったまま答える。「そうですか」「一緒に来てもらいたいんだが、今日は客が来る予定だし……」「ソーラーパネルの事業者さんですね。俺が相手しますよ」「うん……まぁ、この辺りでその規模の土地を売りたい奴はなかなかいないしなぁ。農家さんもまだまだ現役だし。とりあえず希望やなんかをもう一度聞いてみて」「わかりました」「山を崩すとか、個人宅に付けるとか……最近トラブルになりやすくてな。 話だけ聞いて、対処しておいてよ。相手も急に今日決めようとはしないだろうし」「そうですね。 あ、では急いで香典を包むのでお願いしていいですか ? それともお客様を対応してから、自分で行った方がいいですかね ? 」「ん〜。いや、俺が代表で行くわ。 ……というか、香典袋……用意してたのか ? 」 竹田が不思議そうに、功一のカバンから出てきた御仏前と書かれた袋を見つめた。「付き合い第一の仕事ですから、常に用意はしてあるんです」「はあ〜っ ! 流石、元トップ営業マンだなぁ〜。 確かに確かに。そういうのは大事だよなぁ〜」「ちなみに……」 功一はデスクに座ると、パソコンを起動しながらなんでもない顔で竹田に聞いた。「引戸さんは……事故で ? 持病とか ? 」
Last Updated : 2026-06-05 Read more