「なるほど、交渉する気はない、と」「そうは言ってない。だが、そなたらは我々にとっては叛逆者だ。キンショー様は何を思ってこの交渉を進める気になったのか、そなたらと手を組んでどんな得があると踏んだのか判らんのでな」 「様」? いや、そこはとりあえず置いといて、僕はオギンを振り返る。 オギンは黙して目を閉じるだけ。 くぅ……。「では、まずこちらのことでご存知のことをお聞きしましょうか?」「三年前だったか? 最奥の寒村の分際で恐れ多くもズラカルト男爵様に反旗をひるがえし、奥の村を小賢しい策を弄して収奪、一昨年秋には第五中の村を急襲してこれもまた男爵様から奪った反逆者であろう」 ……間違っちゃないけど、なんか腹立つ言い方だな。「そうですね。オルバック軍どころか男爵軍も戦で退けた新興領主だと認識して欲しいところですが?」「なに?」「なにか?」 すごむ男にとぼけて見せると、さっき目を見張ってた若い従者がぷっと吹き出す。 男がむすっとした後で咳払いをすると真面目な顔を作って背筋を伸ばす。 それを見て今度はサラがクスッと笑うのでこちらも咳払いでごまかす。「いいだろう。確かに一寒村と侮って二度も戦に敗けているのば事実だ。しかし、調子に乗って領主を名乗るとはおこがましい」「いえいえ、第五中の村、今はセザン村と名を改めていますがその村を我が軍が接収した後、オルバック家は軍をおこせなかったと聞き及んでおります。キンショー様は村の叛乱一つ抑えられない領主など取り替えてしまった方が民のためだと、そうお考えになられて帰順の打診をされたのだと考えておりましたよ?」「む……」「ところで……」 短くうめく男を無視して、僕は後ろに控えている従者の目を見る。「いつまで茶番に付き合わせるつもりなのでしょう?」
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