Alle Kapitel von 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない : Kapitel 271 – Kapitel 280

297 Kapitel

月下の密会-前篇-

 話し合いが終わって移動した寝室は小さいながらも立派な個室。  ここは代官屋敷ということもあって、大小合わせて七つの客室を用意している。  個室が二つ、二人部屋が二つ、四人部屋が三つだ。  もう一つの個室は亡国のお姫様ということでサラにあてがわれている。  歯磨きなどをすませてそろそろ寝ようかとドアの鍵を閉めにいくと、ドアをノックする音がした。  無警戒にドアを開けると、そこには思い詰めた表情のサラが寝巻き姿で立っている。「…………」「……あー、どうぞ」 いろいろ考えられるシチュエーションな訳だけど、とりあえず廊下に立たせておくのだけはダメだろうと部屋に招き入れる。  サラは無言で部屋に入ってきたけれど、なにも言わずに立ち尽くしている。 …………。 さて、(どうしたものかしらね?) うるさいよ、リリム。「とりあえず座りましょうか」 と、促してまだぬるいポットのお湯でルダー特製ハーブティーをいれる。  気分が落ち着く香りがするやつだ。  神経がたかぶって眠れないときに飲む用に用意されている。  ぬるいお湯でもそれなりに香りも出てるし、まぁいいだろう。  イスに腰掛けてうつむいているサラの前にティーカップを置く。  皿付きとは洒落ている。  まぁ、色もデザインも洗練されてはいないけど。「ありがとうございます」 テーブルから手に取り一口、ホッと一息ついたのを確かめてから声をかける。「眠れませんか?」 と。  まずは相手の意図を探らなきゃいけないからね。  いくつかの予想はたつけど、それを単刀直入に突きつけるのは不躾だし心証を悪くする。  これは一種の戦いだ。  僕はこの勝負にも勝たなきゃいけない。「……はい」 うん、それじゃ話が続かないよ。  こっちから呼び水出さなきゃダメだと思って声をかけたのに。  僕はテーブルを挟
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月下の密会-後篇-

「いえ、…………後宮の、件です」「ああ、あの話ですか」 と、とりあえず言ってはみせたけど、判ってたー。  最初に会って彼女の身の上話を聞いた後、僕が庇護すると宣言した時にはその決意を固めてたでしょ?  互いの利害を考えれば、当然の結論だよね。  も、完璧な政略結婚だわ。  こちらとしても願ったり叶ったりなわけだけど、どう答えるのが最良だろうね?「わ……わたしは」「よろしいのですか?」「え?」「ご領主の令嬢として育てられていたのであれば、許嫁がいたのではありませんか?」 沈黙してうつむく。  そりゃいただろうね。「……ネフェンダーラ様は父が討たれたあと、さる叔爵家のご令嬢と正式にご婚約なされたと聞き及んでおります」 あら、現金。  きっと親同士の政治決断だろうね。「それに、わたしは一度もお会いしたことがありませんので、その……」 未練などない、と。  時代だねぇ。  前世の感覚が残っているんでモヤモヤするけど、これはこれでこの世界・この時代のルールだし、利用させてもらおう。 …………できれば、かわいいコだし好かれたいけどな。「では、僕も天涯孤独の身の上ですし、互いに親族のしがらみがない訳ですから、今この場で正式に婚約ということでよろしいですか?」「…………ふつつか者ですが、末長くよろしくお願いします」 と、声を震わせながら深く頭を下げる。  健気だね。「そんなに緊張しないでください。とって食おうってわけじゃありませんから」「食べないのですか?」「……は?」「あ、いえ、殿方は嫁にする女子を食うときいておりまして、その……」 誰だ、変なこと吹き込んだのは!?「その『くう』ってどういう意味だか判ってます?」「よくは判らないのですが、大事な何かを奪われるのだとか……」 ……まぁ、間違っちゃいないん
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内政は駆け足で01

 春です。  僕は二十歳になってます。  みなさんいかがお過ごしですか?  え? 十九歳のエピソードがないって?  まあまあ、慌てないでくださいな。  ちゃんと説明しますから。  人材探しに商都ゼニナルまで旅をして、優秀な人材とお嫁さんをゲットした僕は、改めて戦略会議を開いて今後の領地運営について話し合った。  参加メンバーは収穫を前に町に戻ってきたジョーと諜報員のヤッチシ、町からは代官のロット、代官補佐のルビレル、侍大将のカイジョー、奥の村からはルダーとイラード。  奥の村はルダーとヘレンの人徳で非常に経営がうまくいっているようだ。  そして、オギンと今や魔法使いのチャールズに僕を加えた十人だった。  会議内容は多岐にわたり、三日も費やすことになったんだけど、三日かけただけの成果を上げることになる。 まず、軍事方面ではその秋のうちに五十人規模の軍を動員して第五中の村に駐屯、ここでも徴収にきたオルバックJr.を追い返し、正式に領地編入を果たす。  その後の調べで判ったことだけど、オルバック家は前年同様軍を差し向けようとしたのだが、傭兵が集まらず断念したらしい。  勝ち味がないと踏まれたんだろう。  一戦覚悟だったからこれはとっても助かった。 その後、数は少ないながらも常備軍を作った。  カシオペアの五人(カイジョー、シメイ、オーダイ、ペギー、アーシカ)と傭兵捕虜だったバンバたち三人(カレン、ブンター)、サビーとガーブラの合わせて十人が軍属として第五中の村に常駐している。  もっとも普段は交代で僕の雑用を頼んでいるので常時駐留しているのは七人前後かもしれない。  まあ軍属と言ってもイメージとしては武家社会の郎等であって近代的職業軍人とはちょっと違う。 カイジョーとバンバによるセレクションで戦闘力の高い住人二十人ほどを選抜、家族と一緒に第五中の村に移住させた。  ある種の屯田兵だ。  第五中の村にも魔道具電話が設置されており、緊急時の連絡体制が整っているのだけれどなにせ移動には数日かか
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内政は駆け足で02

 鍛冶屋のサイコップと弓師・矢師には奥の村で武器の生産を行ってもらっている。  最前線では村が陥落したとき武器の生産が滞るのは困ると考えての配慮だ。  炭や鉄鉱石などの材料を町から輸送する必要があるんだけど、物流促進も兼ねてあえてそうしてる。 物流といえば街道整備は第五中の村編入や人口流入で労働力が増えたこともあって順調に進み、この夏には第五中の村まで二頭立てのホルス車を全速力で走らせて互いにすれ違っても支障のないきれいな道になる予定だ。  町と奥の村間は貨幣経済の浸透と工芸品の物流で頻繁に往来するようになり、宿場もあっという間に軌道に乗った。  第五中の村との間にも宿場ができ域内経済が貨幣で回り始めている。  これで心置きなく年貢が徴収できるってもんだ。 ジョーはちゃっかり乗合のホルス車を経営している。  全く抜け目ない。  ま、この春からギランが乗合ホルス車事業に参入したので一人勝ちにはならないけどね。  ついでに言うとジョーとギランからは領民の義務である農業労働免除の代わりに結構な金額を今年から徴税することになっている。  従業員に結構な人数取られてるけれど、人口増大で農業労働の人手に余裕が生まれたから許可できるんだけどね。 で、ギランは反お館派の何人かと奥の村に移住した。  事業に都合がよかったからか、僕と距離を置いて勢力を広げる心算かは測りかねるけど、今の所は放置しとく。 二十歳となった春現在、領地一町二ヶ村三宿場で人口四百五十人足らずまでになった。  ざっくり元の四倍以上だ。  人口も増え、僻地の寒村レベルでは無くなったので名称を変更することにした。 最奥の村と呼ばれていた僕の故郷は初代代官ロット・バロの名を取ってバロ村。  奥の村は村長家に配慮してボット村。  第五中の村は村長ベハッチ・セザンからセザン村と名付けた。 宿場はバロ村を起点に一の宿、二の宿、三の宿と呼ばれている。 ジャスを棟梁とする建築集団はジャス組(最近ではジャ組と省略されているようだ)と呼ばれ、宿場建設に従事していた。  
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内政は駆け足で03

 行政に目を向けると、バロ村はロットが引き続き代官として村の運営を行っている。  最近はルビレルの助言もあまり必要としていないようだ。  すごいじゃない?  戦略的に何人もの人を他村や宿場に移住させてなお百五十人が住んでおり、一人じゃ行政が捌き切れないと言うことで五人の部下を雇っている。  あら、公務員の誕生じゃないですか。 バロ村の主な特産品は酒と木炭とルンカーとジャリが打った鉄器と名前を忘れちゃったけどおじさんが作る鋳物、それと布だ。  ルダーと木工のおじさんと試行錯誤した織機が普及していて冬の女たちの仕事としてすっかり定着したものだ。  質の良い布は今やジョーのキャラバンの主力商品にまで成長したと言う。 ボット村は村長と代官ルダーの二重行政が続いている。  奥さん同士が仲良くて円滑に村が運営されているようだ。  主に事務向きの仕事は村長が、農業と仲裁が代官の仕事と役割分担されている。  ボット村もそろそろ人口が百人を超えそうだし、行政的には人手が欲しくなるのかと思っていたんだけど、奥さんが二人とも優秀なようで、バロ村が六人で回っているんだから四人いれば回るよな。 ボット村の特産品はようやく製法を確立した紙と焼き物の食器、それに武器だ。  バロ村の窯をルンカー専用にして、食器類の窯をこっちに新たに作らせた。  武器の生産拠点にしているのもあって、防具もこの村で生産してもらおうかと考えている。 イラードはセザン村に移動させた。  村長ベハッチの下で実務に当たってもらうことにしたんだ。  駐留軍との調整もあるし、適任だと思ってね。  この春からは植物研究家のデミタを農業指導者として送り込んだ。  去年一年、ルダーのもとで手ほどきを受けていたし、もともと植物に詳しい彼女は適任だと思ったからさ。 これだけ急に人を送り込んじゃったんで当面は代官を置かない配慮をしている。  だもんで代官屋敷は手狭な村長の家に代わって旅人を泊める宿泊施設扱いだ。 今の所、この村に特産と言えるものはない。  なぜなら貨幣経済を
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内政は駆け足で04

 識字率は相変わらず低迷している。  未成年に限っていえば学者先生を雇って教育している成果が上がっていて八割を超えているけれど、成人の識字率は五割に届いていない。  算術は貨幣経済の浸透もあって盛況なんだけどね。  読めるのは数字と計算記号だけって人が多い。  文化人枠は軍人枠より人材不足で困る。  戦闘はナチュラルボーンでも強い奴は強いんだけれど、物を考える方は知識というバックボーンがあってこそのものってことがよく判る。  人材不足は解消の目処すら立たない。  最近じゃ人口流出を危惧したズラカルト男爵が領民の移動を制限しているらしく、僕の噂を頼ってやってくる人が少なくなった。  やっと、対策に本腰入れて来たってことかな?  遅いけどね。  なんでも、他領からの旅人どころかキャラバンまで規制しているそうで、高い通行料を支払わされているようだ。  そんなわけでジョーには「早いとこ下克上してくんないかな?」 なんてせっつかれているんだけど、まだオグマリー区十三ヶ村のうち三つしか抑えていないんだから先は長い。  ただ、オギンとキャラを放って集めた情報によれば、こちら側に寝返りたい村は多いようだ。  まあ、そう仕向けるために二人には流言飛語を広めてもらっているわけで、成功しているということだけれども。  オグマリー区には区の行政長官オルバックのいるオグマリー市と、村の他に二つの町と商都ゼニナルがある。  現在の目標はオグマリー区全域の掌握で、どうやって攻略するかに頭を悩ませているところだ。
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内政は駆け足で05

 頭を悩ませている事は他にもまだまだたくさんあるさ。 例えば前世の記憶が蘇ったクレタ。  なんか、僕より世代が上だったようで、すげぇやりにくい。  とりあえず、昭和の頃から医者として働いていたのだけれど、過労でポックリという前世らしい。「転生特典に完全記憶ってのがあるんだけど、医療知識は万全?」「万全だけど、現代医療による治療はほとんど不可能よ? 設備・器具が違いすぎるんだから」 ですよねー。「この環境でオペとか言われてもブラックジャックだって難しいからね」 例えがJIN─仁─じゃないところが昭和よね。  そんなこんなで、半年ほどソルブ夫妻に現世の医術を教えてもらい、この春からセザン村に派遣した。  もちろん妹のカルホと一緒だ。  ただその際、ちょっとした騒動があった。 ずっとルビンスの世話をしてもらっていたんだけど、どうもルビンスのことを好きになっていたようだ。  ルビンスの方でも心にくく思っていたようで、双方から相談された時には「まじかぁ!」と唸ってしまったもんだ。  あー、僕が初めて旅をした時に寂しそうな顔で見送りに出てくれたのは、ルビンスと離れ離れになることに対するものだったんだとようやく合点がいったもんだ。  しかし、残念ながらルビンスには別件の命令を出したばかりだったので一緒にしてあげることができず、ずいぶんむくれられた。 しょうがないべや、聞いてないもん。 てか、ルビンスのやつ成人前のクレタに……いつからだ!? 変態紳士め。 え? 僕!? 僕はほら、立場というものもあったし、婚約を交わして成人まではというか、その……ええい、ルビンスの仕事が終わったら正式に結婚でもなんでもすりゃあいいじゃないか! そのサラとはまだ正式な結婚はしていない。  さっきも言った通り立場というものがある。  流浪の姫君とはいえ、さすがに世間的には単なる謀反人でしかない僕との契約は対面や今後の政略から言っても差し障る。  いや、むしろ僕の方で政略的な思惑があって式を
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内政は駆け足で06

 もちろん法治国家であるとはこれっぽっちも思っていないし、きっと権力者が都合よく解釈したり場合によっちゃ自分に都合よく変えて来たんだろうけど、約束事として後の揉め事に発展しないように明文化しているはずだと思うんだ。  領民に下知するためにも文字を読める役人に文章を手渡して触れて回らせるもんだろ。  口頭口伝なんて伝言ゲームみたいになっちゃうべ? たぶん少なくともズラカルト家には写なりなんなりあると思うんだよなぁ。 なぜ、こんなに明文化された法律を必要としているかといえば、僕の領内で僕が政治を行う上で必要なルールを明確化するためだ。  既存の法律と慣例を把握しておかなきゃ自分じゃいいと思っても領民にとって悪法になってしまう恐れがある。 ということで、ルビレルとルビンスにジョーを加えて覚えている限り、思い出せる限りこの国の法律と慣例を書き出してもらっているわけだ。  で、それを参考にとりあえず必要最低限の領内法制定作業を行なっている。  とりあえずは口頭で説明していた税制、前世歴史の授業で習った租庸調制度をこの世界に合わせて修正して先日公布したところだ。 なんと言っても人間社会の基本は農業だ。  生き物は食わなきゃ生きていけない。  人種は農業を確立したが、近代化されていない農業は自然環境におおいに依存するため生産が極めて不安定だ。  だから国家・社会にとって食料の安定供給を実現するための農業は最重要課題であり政策の中心である。 ぶっちゃけ飯さえ食わせておけばとりあえず社会は安定するんだ。  社会の秩序はその先で考えればいい。 ということで、まず最初に税制を整備したわけだ。  繰り返すけど農本社会で農業生産品を確保するためのルールは最重要課題である。 そして、現在は刑法を制定する作業をしている。 罪と罰、そして誰がどう裁くかは国家権力の根幹なんだよね。  私刑を許すと秩序が保てない。  鎌倉幕府も建武新政府もここが信用されずに崩壊した。  民意は民主主義国家じゃなくたって権力維持には重要なファクタ
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内政は駆け足で07

 学者先生には子供たちへの読み書き算盤指導をお願いしているけれども、何も自分の研究を取り上げたわけじゃない。  文学者のアンミリーヤはボット村で先生をしながら文学の研究をしている。  銭で給料を払っているのだけれど、食費なんかをギリギリに削りジョーのキャラバンから大量の書物を買いあさって研究しているようだ。 ちゃんと食べて健康的になれば随分な美人さんだと思うんだけどなぁ。 教室を兼ねた広い家に子供たちを集め、四日午前中に授業をして(授業が午前中だけなのは農作業の手伝いをするためだ)一日全休を繰り返しているそうだ。  休みと言っても子供たちに教えるのを休んで、自分の研究をしているというのが正しい。  ちなみに読み書きより算盤指導の方が上手だってことだ。 あれかな? 自分の領域すぎてつい専門的な指導とかで入れ込んじゃうとかかな? 量産できるようになった紙にえらく感動していたかと思えば、大量に購入して書き物に高じている。  皮紙は高価で手に入りにくく、学者先生は誰もが学術成果を残すのに苦労していたようだが、植物紙の製造工程を確立した我が領内では紙の値段が劇的に下がり、皮紙の需要が激減した。  領内ではすっかり魔法関係以外じゃ皮紙を使うこともなくなった。  今では少なくない領民が、アンミリーヤの書いた物語(といっても彼女の創作物というのではなく、昔話などだが)を回し読むのがはやっている。  最近ではアンミリーヤの家に文学サロン的なものができつつあり、同人誌が編まれているそうだ。 …………。 二次創作じゃないぞ。  「アララギ」とか「ホトトギス」みたいなやつだぞ。 ついでなので読み書きを体系的に教えられるように国語の教科書を作ってもらい、全ての村で同じ教科書を使っている。
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内政は駆け足で08

 セザン村にはこの春から医者として赴任するクレタと一緒にクレタと同い年のケイロを新任教師として送り出した。  ケイロは見込んだ通りの優秀さで、あれよあれよと読み書き算盤を習得した。  体も大きくなったのでカイジョーに戦闘方面の指導もお願いした。  カイジョーは教えるのはブンターの方がうまいとか適当に押し付けたらしいけど、そのブンターがなるほど教えるのがうまいようで、メキメキと剣の腕が上がっているそうだ。 ところで、なぜそこまでケイロに目をかけているかといえば、戦略を練る部下が欲しいからだったりする。  今僕は僕以外に戦略を練れる人材がルビレル親子以外にいないと思っている。  戦闘になれば、もともとカシオペアの一団を率いていたカイジョーや傭兵部隊長経験のあるバンバ辺りが戦術や用兵を駆使して戦果を上げてくれるだろう。  イラードも弓兵部隊を任せて戦果をあげた実績があるから今後もできるに違いない。  サビーには打診したけれどていよく断られた。  ガーブラも自分が戦いたいっていうし隊長候補がいないのが悩みの種だったりする。 あ、ギランはいるんだけどホラ、なかなか信用できないし……。 もしかしたら市井の中に飛び抜けた才能を持った人材がいるかもしれないんだけど、今の所そんな人材を見つけ出す手段が見つからないんで、才能のありそうな人をお試していてその第一候補がケイロってわけ。  今までは弓隊、槍隊という風になんとなく部隊を作ってきたけど、本格的に乱世に打って出るなら兵制も整えて行かなきゃ規模の大きな戦に勝てない。 現在の最大動員数は二百人余り。  槍隊が最も多くて百二十人。弓隊が三十人と投石兵が五十人というのがだいたいの構成だ。  兵種が三種だから各村に三人は隊長が必要だから総大将の僕を含めて部隊長は三村で単純計算十人必要になる。  ホルスがまだ数揃えられないので騎兵隊が編成できていないけど、各隊長級には与えられるくらいにはなってる。  もっとも、乗りこなせているのは騎士だったルビレル、ルビンス親子とサビー、ガーブラ、イラード、バンバしかいない。  乗りこなしだけでいえば世
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