愛人に夢中のクズ夫へ。実は私、インフルエンサーなの ~離婚カウントダウン開始よ、首を洗って待ってることね~~ のすべてのチャプター: チャプター 21 - チャプター 30

131 チャプター

Mayの予告

夜9時を回った頃、麻衣子は自分の部屋でLilyveの公式アカウントを開いていた。指が少し迷った後、彼女は意味深なストーリーを投稿した。【May】「新しいパーティーの始まりは、もうすぐ。 皆さん、準備はできていますか? あと22日…… 楽しみにお待ちくださいね♡」投稿した瞬間、コメント欄が爆発的に反応し始めた。「Mayさん、また何か始まるの!?」「新しいコラボとか……!?」「こんな先の予告って珍しいんじゃない!? 待ちきれない!」フォロワー数はみるみるうちに増加し、関連ハッシュタグがトレンドに上がり始めた。麻衣子はスマホを置いて、静かに息を吐いた。(これで……少しずつ、動きが加速する)その数分後、スマホが震えた。天野悠からだった。【天野 悠】「麻衣子さん! 今Mayさんの投稿見ました!! すごいですね……! ネットがもう大騒ぎです!」麻衣子は微笑みながら返信しようとしたが、悠からすぐに追加メッセージが来た。【天野 悠】「僕、麻衣子さんのこと、 昔から本当にすごいと思ってました。 モデル時代、僕が事務所に潰されそうになってた時、Mayさんが証拠を集めて助けてくれたじゃないですか。 あの時、麻衣子さんがいなかったら、今の僕はなかったんです。 本当に……尊敬してます」【麻衣子】「ありがとう、悠くん。 あの時はただ、放っておけなかっただけよ」すると、天野からビデオ通話の着信が入った。麻衣子は少し迷ったが、受け取った。「ごめんなさい、いきなりビデオ通話なんて…… でも、ちょっと麻衣子さんと話したくて」「そうなの?」懐いてくる悠が可愛くて、つい笑ってしまった。すると悠は少し落ち込んだように目を伏せた。「子供っぽいですよね? 麻衣子さんのためにもっと役に立ちたいのに…… まだパラリーガルで、司法試験も勉強始めたばかりで…… 自分は本当に大したことないなって、最近よく思います」麻衣子は画面越しに優しく微笑んだ。「そんなことないわ、悠くん。 あなたがこうして資料をまとめてくれたり、いつも心配してくれたり…… 本当に助かっているのよ。 それだけで十分、心強いわ」悠は少し頰を赤らめ、照れくさそうに笑った。「本当ですか……? 嬉しいです…… これからも、麻衣子さんの力になりたいんです。 ずっ
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天野の過去

夕方、麻衣子はスーパーからの帰り道を駅前を通っていた。 歩きながらふと、駅前の掲示板に目を留めた。 大きく貼られた「債務整理無料相談」のポスターが目に入る。 麻衣子は足を止め、ポスターをじっと見つめた。 青を基調にデザインされた「借金」「返済」「相談」といった言葉が、彼女の視界に留まる。 (……そういえば……) 麻衣子は静かに息を吐いた。 「昔、天野君と知り合ったきっかけは……」 ◇◆◇ 会員制のバー「Eclipse」の個室。 Mayとして顔パスで入れる店だった。 「どうぞ」 何も言わなくてもいつものカクテルが出て来る。 情熱的な赤い色の濃い、カシスオレンジ。 薄暗い照明の中、麻衣子はグラスを傾けながら、近くの席から聞こえてくる会話を聞いていた。 男の声が、酒で上擦りながら響いていた。 「いやー、天野の奴、ほんといい金づるだよな!」 誰だと思って顔を見る。 そういえば、どこかで見おぼえがあった。 あまり売れていないけど、モデルをしていた男のはずだ。 この場所には似つかわしくない、安っぽい服と顔の男だった。 隣の女も清楚に見せているが一周回って品がない。 上目遣いで男を見上げながら、超音波みたいな相槌を打っている。 「俺が言えばいくらでも金出すんだぜ」 「えー、そうなのぉ?」 「ああ! まあ、俺もちょっと演技してるんだけどな」 「演技って、わるーい」 「悪いってなんだよ、芸能界だぞ? 騙される方が悪いじゃねえか」 「うふふ、そうだよねぇ。その天野って子、芸能界に向いてないからそうなるんだと思うな」 「はは、そう言うなよ。義理堅いやつなんだぜ。 『昔お世話になったから』って、定期的に金よこすんだよ」 義理堅いだなんて言いながら、男はすっかり天野を馬鹿に仕切った態度でいた。 ――不愉快だ。 天野というのが誰のことなのかは分からないが、この調子に乗った男を分からせてやる必要があると思った。「いやー、ほんと、馬鹿だよな、あいつ」 男はワインを煽りながら、大笑いした。 「まあ、おかげで今月も豪遊できるわ。 天野みたいな馬鹿がいる限り、俺は一生安泰だ!」 同席の男たちが一緒に笑う声が聞こえてきた。 Mayはグラスを静かに置いた。 冷たい視線が、グラスの底に落ちる。 (……悪い男には、お仕置きが必要ね
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インフルエンサーの本気

Mayは廊下に出た瞬間、冷たい視線をバーに向けた。(さて、どうしようかしら……)Mayは静かに呟いた。「まずは、天野って子を探そうかしら?」◇◆◇それから数日後。Mayはインフルエンサーとして築いた人脈を総動員した。モデル業界の知り合い、数人の事務所関係者、SNSの裏アカウントを持つ友人たち。「天野悠」という名前でモデル事務所に所属しているらしい、というところまではすぐにわかったが、連絡先はなかなか出てこなかった。Mayはさらに人脈を広げ、共通の知人や業界の裏情報ネットワークを使って、天野の居場所を絞り込んだ。それでも、新人とはいえ事務所所属のモデルということもあり、ガードは硬かった。しかもあのマネージャーに気取られないでやらなくてはならない。Mayは慎重にことをすすめ――ついには、彼と連絡を取れる人物と繋がることに成功した。そして、夜の公園で待ち合わせをセッティングした。電話でもよかったが、それだと信頼性が低いし、食事にでもと誘ったが断わられたのだ。どうやら本当に経済状態がよくないらしかった。現れた天野は、顔色が悪く、目が落ちくぼんでいた。20歳前後のはずなのにすっかり老け込んだ青年は、肩を落とし、疲れ切った様子でベンチに座った。「Mayさん……ですか?」「ええ、座って」天野は深く頭を下げた。「ありがとうございます……」呼び出したのはMayのほうなのに、天野はあくまで低姿勢だった。きっと、性格が良くて、穏やかで、だからこそ搾取のターゲットにされてしまったのだろうことが顔を見るだけでわかった。「あの、僕と話がしたいって聞いてるんですけど……、 話って、なんですか?」「心当たりはある?」「特には……」天野は困惑した様子だった。その年相応の様子を見て、Mayはクスッと笑った。「何か困ってることがあるでしょう?」「えっ、どうしてわかるんですか?」天野が目を丸くする。「顔を見ればわかるわ」「そうなんですね……。実は僕、ちょっと……、借金があって……」「借金が、ある?」思った以上にひどい状況のようだった。お金を貸していることについて、普通は借金があるとは言わない。そう言うということは――つまりは、彼は、身の丈に合わない金額を出しているということだ。「先輩に頼まれて、かなり貸してしまったそうだけど…
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問題解決に向けて

Mayは天野の目を見て、静かに言った。 「その先輩、君を利用しているだけよ。 証拠を集めましょう。 君をこれ以上、傷つけないために」 天野は目を丸くした。 「でも……どうやって……」 Mayは静かに微笑んだ。 「任せて。 君はこれ以上、危ういバイトに手を出さないで」 「は、はい」 素直にうなずく天野に、Mayは好感を抱いた。 これは彼の美徳なのに、そこを利用して私腹を肥やす悪党がのさばっていることは許せなかった。 ◇◆◇ 数日後。 夜の公園で、再び天野と待ち合わせをした。 Mayは紙袋を手に、天野の前に立った。 天野はまだ顔色が悪く、目が落ちくぼんでいた。 「Mayさん……あの、あれからどうでしょうか……?」 「私に任せれば問題ないわ。まずはこれよ」 Mayは紙袋を天野に差し出した。 中には、厚みのある札束がいくつも入っていた。 「これで、借金を全部返済してきなさい」 天野は袋を受け取り、中を見て息を飲んだ。 「え……これ……全部……?」 札束の量に、天野の指が震えた。 「Mayさん……こんな大金……申し訳ないです……」 「でも、どうせ借金を返す当てもないんでしょう?」 「それはそうですけど……、 でも僕、こんな、借りられません……いつになったら返せるかもわからないのに……」 Mayは静かに微笑んだ。 「借りる? いいえ、これはあなたへの投資よ。 あなたがモデルとしてもっと売れたら、そのときはコラボでもしてちょうだい」 天野は目を潤ませ、袋を強く握りしめた。 「でも……そんな、それだけじゃ……、  僕に何かできることって、ありますか?  どんなことだって……、本当になんだってやりますから!」 「なんだってやるなんて、軽々しく言ったらダメよ」 Mayは冗談っぽくくぎを刺した。 彼のやさしさや誠実さはよく理解しているが、それは芸能界ではマイナスになりうる要素だ。 「でも、それくらいしないと、恩返しができそうにありません」 Mayは優しく、しかしはっきりと言った。 「じゃあ、私が困っていたらあなたが手助けしてね。 それで十分よ」 天野は深く頭を下げ、声が震えた。 「……ありがとうございます。 Mayさんのおかげで……僕、生きていけます」 「大げさよ」 実際、天野の表現はやや大
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制裁前夜

Mayは天野の前でスマホを手に取り、天野の先輩の連絡先を表示させた。天野が不安げにMayを見た。「Mayさん……本当に大丈夫ですか?」Mayは静かに微笑んだ。「任せて」呼び出し音が数回鳴った後、男の声が聞こえてきた。『もしもし?』Mayは穏やかで甘い声を出した。「はじめまして。少し話したいことがあるので、会えませんか?」『天野……じゃないよな?』「彼の電話を借りているんです。この声に、聞き覚えはないかしら?」男は一瞬沈黙した後、明らかにテンションが上がった声で答えた。『お! あのときの美女かあ! 今夜、8時でどう? いつもの店で待ってるよ』「ええ、楽しみにしてるわ」電話を切ったMayは、天野に向かって小さく頷いた。天野は心配そうに言った。「Mayさん……本当に大丈夫ですか?」Mayは静かに微笑んだ。「大丈夫。 あなたは家で待っていて」◇◆◇夜8時、Mayはバーの個室に入った。男――佐々木はすでにワインを飲んで待っていた。Mayを見ると、顔をほころばせて手を振る。「よお、来てくれたんだ! 前より綺麗になってるな」Mayは優雅に微笑み、男の向かいに座った。佐々木はすぐにMayの肩に手を伸ばそうとした。Mayはすっと体を引いて、冷たい視線を向けた。「触らないで」佐々木は手を止め、慌てて笑った。「ごめんごめん、つい…… 美女が来てくれたからテンション上がっちゃってさ」Mayはグラスを軽く回しながら、冷ややかに言った。「そんな野暮なことを聞かないで。 今日はゆっくり話がしたかっただけよ」「話だけか?」「お酒も楽しむわ。……その先は、どうかしらね?」佐々木はMayの言葉を勘違いしたのか、目を輝かせた。(単純な男……)男は下心を隠しきれずに、ワインを煽りながらベラベラと話し始めた。「まあ、いいよ。 今日は俺が奢るぜ」「ずいぶんと羽振りがいいわね」「天野の奴から金入ってるから、余裕なんだよな」Mayは静かに聞きながら、こっそりスマホで録画を続けていた。佐々木はさらに調子に乗った。「私が電話を借りたあの子ね? 弱みでも握ってるの?」「まさか! 単にあいつが馬鹿なんだよ。ちょっと可哀想ぶったら、すーぐ同情してきてさ」「そう……」Mayは内心で冷たい笑みを浮かべながら、男の言葉をすべ
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