娘の宮崎朋花(みやざき ともか)のお披露目パーティーの前日、夫である宮崎克哉(みやざき かつや)から連絡があった。「いつもの店で待ってるよ。サプライズがあるんだ」いつもの店というのは、プロポーズ、入籍祝い、そして毎年の結婚記念日を過ごしているお気に入りのレストランだった。またいつものように小粋なサプライズを準備しているのだろう。ドアを開けると、そこには克哉が女性と親しげに身を寄せ合い、その隣には彼に目元がそっくりな子供が座っていた。私を見た克哉は、慌てたり隠れたりするどころか、悪びれもせずに言った。「子供ができたし、もう隠しておくのも嫌だったから。紹介するよ。俺の初恋相手の恵美。恵美との子も、もう4歳になるんだ」黙り込んでいる私を見て、克哉は続けた。「心配しないで。俺の妻はお前だけだから、お前と朋花の生活が変わることはないよ。明日のお披露目パーティーも予定通りやろう。ただ……健太の戸籍だけは俺たちの方に入れさせてほしいんだ。結婚して6年、お前の芸能活動は俺のおかげでうまくいっているだろ?俺の言う通りにしていれば、今後もお互い上手くいくから」普段ならとことん追及する私だったが、この時は何も言わず、そのまま背を向けた。翌日、克哉は何事もなかったかのようにホテルのロビーでゲストの対応をしていた。人気女優の娘のお披露目パーティーということで、名だたる著名人が多数出席している。話題になるには十分で、ライブ配信も大いに盛り上がっていた。【菖蒲(あやめ)さんはまだ?もしかして、不仲説が本当とか?】【旦那さんのこと見て。目の下にクマができてない?昨夜はさぞかしお楽しみだったんだね】【それはないだろ。自分の娘さんの祝い事だから、楽しみすぎて寝られなかったんじゃないか?】【楽しみだって?迎えにさえ行ってないんだよ!菖蒲さんに一人で来させるなんておかしくない?】コメント欄が飛ぶような速さで流れていく。克哉はオーダーメイドの黒のスーツを纏い、ホテルの前で外行きの笑みを浮かべていた。記者の一人がマイクを向けて問いかける。「宮崎社長、今日は娘さんのお祝いですが、菖蒲さんはなぜ一緒にいらっしゃらないのですか?もしや何か……」克哉は笑顔で遮った。「夫婦仲は良好ですよ。妻は子供を連れて来なければならな
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