「そんなの俺は気にしない」「私が気にするから」私は自分のリップを指さした。「それに、メイクしたばかりなの」スタジオ中が再び笑いの渦に包まれた。放送後、#涙した横山大輔、#横山菖蒲の待ち続ける発言、#トマトスープが検索ランキングを賑わせた。視聴者は画面をスクショしまくり、コメント欄には【神すぎる夫婦愛】、【うらやましい】という声が溢れ返った。番組収録最終日、「未来への手紙」という企画が用意されていた。私は10年後の大輔へ宛てて手紙を書いた。【10年後、朋花は中学生になってるけど、あなたはたぶん相変わらず甘やかしているんだろうし、私も変わらず悪役なんだと思う。でも、あなたがそばにいてくれるなら、それでも構わないよ。私を12年も待っていてくれてありがとう。次は私の番。ずっと、あなたを待ってるから】大輔が私に宛てた内容はこうだった。【10年後、たぶん俺はミルクの作り方は忘れているだろうけど、トマトスープの作り方は覚えてるはずだよ。もしその時、君がもう飽きていたら新しいレシピを覚えるし、飽きていなければ作り続ける。菖蒲、俺は12年かけて君に辿り着いたんだ。次の12年も、そのまた先も、君を離すつもりはないからね】番組が放送されると、視聴率は番組最高記録を叩き出した。桜からラインが来た。【ねえ、二人とも演技してる時よりも、素のバラエティの方が面白いんだけど。もうバラエティタレントにでも転向したら?】私はこう返す。【この番組が最初で最後だって、大輔が言ってた。私が笑っている顔を、他の人に見せたくないんだって】桜からは「……」とだけ送られてきて、その最後には、こう一言だけ添えられていた。【独占欲強すぎでしょ】私は笑って、返信はしなかった。実際、大輔が言った言葉は、こうだったから。「俺が一番好きな君の笑顔は、俺だけのもの。レンズ越しでも、他のやつなんかに見せないよ」朋花が3歳の頃、不意に私に聞いてきた。「ママ、なんで私にはパパが二人いるの?」私は呆気に取られる。「誰がそんなこと言ったの?」「幼稚園のお友達。私のパパの他に、もう一人、克哉っていうパパがいるって」私はしゃがみこみ、朋花の目を見つめた。「朋花にパパは一人しかいないよ。大輔だけ。克哉って誰?そんな人、ただの知らない人だからね」朋花はコクンと頷くと、その
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