جميع فصول : الفصل -الفصل 14

14 فصول

第十一話

 不安そうに律を見つめる結衣。そんな結衣が安心するように、律は微笑みながら「問題ないですよ」と告げる。 司からの脅しに不安を感じていた結衣だったが、彼の言葉に少し安堵する。 なぜだか律の笑顔を見ていると、結衣は心の底が安心感に包まれる感覚があった。 なぜそんな感覚を感じるのかは、結衣には分からなかったが、彼といると本当の自分でいられるような気がしたのだ。 なんだか離れたくない様な気持ちになりながら、結衣は律に何か話そうと頭をひねる。 しかし、何も言葉が浮かばなくて、結衣はただただ無言で下を向くことしか出来なかった。 そんな結衣を見て、律は微笑みながら彼女にこう告げた。「そろそろ結衣さんを奏太君に返してあげなくちゃね。お母さんを取られて拗ねているかもしれない」 律はクスクスと笑いながら、結衣にそう言い、部屋へと送る。 部屋に戻る間も会話はほとんど無く、結衣は困ってしまう。 あっという間に部屋に着いてしまい、結衣は慌てたように律に声をかけた。「あの! 律さん、本当にありがとうございます」「……お礼を言われることなんて何もしてませんよ。それではおやすみなさい」 律が去って行く後ろ姿を見ながら、結衣は彼が言いかけた言葉のことを思い出す。 律は一体何を言うつもりだったのだろうか? しかし、そのうち話してくれるだろう。そう思い、結衣は奏太の元へ戻った。「奏太、お待たせ」「ママ、僕、もう眠いよぉ……」 眠そうな奏太に微笑みながら、結衣は奏太をパジャマに着替えさせ、一緒のベッドに入り込む。 隣で眠そうにしがみついてくる奏太がとても愛おしく感じながら、結衣は「早く寝ようね」と声をかける。 眠るのがおしいのか、奏太はイヤイヤと首を振る。そんな奏太がとても可愛らしかった。 奏太のお腹をトントンと一定のリズムで叩きながら、寝かしつけ、結衣は奏太の寝顔を見つめた。 ――今後
last updateآخر تحديث : 2026-08-14
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第十二話

 司の言葉に香織はワナワナと震え出す。 ――あの女さえ居なければ……! そしたら私は今頃……! 司からの寵愛を受けていた香織には、こんな扱いをされることがとても耐えられなく、そして納得できなかった。 香織は司からの言葉が信じられなくて、放心してしまう。 ――ずっと愛していると伝えてくれていたのに……! あの言葉は全部嘘だったの? 香織は悔しさで涙をこぼす。ハラハラと涙をこぼす彼女を、司は冷え切った瞳で睨み付けた。 通話越しにそんなやり取りを聞いていた律は、ほくそ笑みながら司に話しかけた。「さよなら、兄さん。良い夜を」 それだけ告げると、律は通話を切る。そして大きく笑った。やっとあの鉄仮面を崩してやったと歓喜した。 司は放心している香織に「早く出て行け」と告げ、力が抜けている彼女を外へと追い出した。 ドアの外では香織がか細い声で司に縋るように「待って、司さん、開けて……」と声を上げている。 ――くそ、なんで俺がこんな目に遭わなければならないんだ! 司はギリギリと奥歯を噛みしめ、部下に電話をかける。「おい、頼んでおいた件は分かったのか」 苛立ちを滲ませた声色に部下は怯えながら、言葉を発した。「は、はい……。あの子供は神谷様と結衣さんのお子さんのようです」 その言葉に司は目を見開く。 ――なんだと、俺の子? 俺の子だと……! その時司は、前に無理矢理結衣を抱いたことを思い出す。あの時出来ていたのが写真の子供の正体だったとは……。 跡取りを孕んだのは、香織だけだと思い、大事にしていたがもうその必要はない。 元々跡取りを産んだ後に捨てる予定だった女だ。すでに跡取りがいる以上、もう香織に用はなかった。 ますます結衣を取り戻す理由が出来た。なんとしてでも、跡取りである子供と天才日本画修復の結衣をこの手に入れなければ……。 司は焦りに身を焦がす
last updateآخر تحديث : 2026-08-15
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第十三話

あれから結衣達は律の別荘で穏やかに過ごしていた。 こんな穏やかな気持ちで過ごしたのは、いつ以来だろうか? 結衣はそんなことを思っていた。 遊んでいる奏太を微笑みながら見つめる結衣に、冴が急にニヤニヤとしながらこう話しかける。 「ねぇ、結衣。律さんの結衣を見る目が完全に恋する男だと思うんだけど!」 冴にそんなことを言われ、結衣は慌てる。 「な、何言ってるの! 律さんは私と利害一致してるから協力してくれてるだけよ!」 結衣は少し顔を赤らめながら必死に否定するが、そんな彼女の姿に冴はますますニヤニヤと笑うだけだった。 助けを求めるように、結衣は薫を見るも、彼も笑うだけで助けてはくれなかった。 「もう、二人して揶揄わないで!」 「何の話ですか?」 律が急に現れ、結衣はますます慌てる。 そんな結衣を知ってか知らずか、冴が律に尋ねる。 「ねぇ、律さんって結衣のことどう思ってるの?」 突拍子もない質問に、律は目を丸める。 しかしすぐに爽やかな笑みを浮かべる。 「……とても素敵な人だと思ってますよ」 律は結衣を真っ直ぐ見つめながらそう言う。そんな彼に結衣はとても照れてしまった。 律はいつも真っ直ぐ結衣を褒めてくれる。そんな彼に結衣は毎回ドギマギしてしまう。 ずっと尽くしていた司には、労るような言葉も、日本画修復師としての功績を褒めてくれることさえ無かった。 こんなに自分のことを認めてくれる存在が親友達以外でいるとは、思いもしなかった。 司が私を認めてくれないのは、自分の力不足だと思っていた。 だが、そうじゃなかったのだと改めて実感させられる。 「そろそろ朝食を食べましょうか」 律の言葉に、結衣達はテーブルへと着き、みんなで食事を楽しんだ。 その後、奏太を子供部屋に向かわせ、大人だけで今後の話を始める。 「しばらくは何かしらの行動を起こすのは危険です」 律が静かにそう告げる。まだまだ証拠が不十分であること、神谷家がもみ消しを始めていることなどが説明された。 「でも、これだけの証拠を一気にもみ消すことが出来るのか?」 薫が疑問をぶつける。 「神谷家には容易いことです。もっと確実にことを進めるためには慎重になるしかない」 律の言葉に薫が悔しそうに唇を噛む。 「ですが
last updateآخر تحديث : 2026-08-30
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第十四話

 香織はどうにかして、結衣から司の心を取り戻すために、彼女のような「献身的な妻」を演じることを決めた。「お姉様には敵わないのは分かってます……。でも、一生懸命頑張ります! だから、私にチャンスを下さい、司さん……」 健気に自分に縋ってくる香織の姿を思わず、あの頃の結衣と重ねてしまい、司は「好きにすればいい」と答えた。 彼の言葉に、香織は内心結衣に対する嫉妬心でいっぱいだった。 以前の彼はこんな風に冷たくなかった。もっと愛おしい瞳で私を見つめ、妊娠したときには嬉しそうにお腹を撫でてくれていた。 それが今は自分と居ても上の空。どんなに話しかけても適当な返事しかしてくれなくなっている。 理由は分かっていた。司の妻である結衣のせいだ。 司はまだ自分の感情に気付いてはいないようだが、自覚されては困る。そうなってしまったら、今度こそ私の居場所がなくなってしまう。 だが、香織にはお腹の子という最大の切り札がある。正直子供は好きじゃない。しかし、神谷家の跡取りを孕んでいる自分は大事な存在に変わりは無いはずだ。 ――子供がいないお姉様より私の方が上よ! 香織は奥歯を噛みしめながら、やりたくない家事をこなす。 家事をする香織を見ながら、司は小さくため息をつく。 結衣と比べたら雑な掃除、下手な料理。香織が何をしても、すべて結衣と比べてしまっていた。 だが、健気に頑張る香織があの頃の結衣のようで、なぜか邪険に扱うことが出来なかった。「司さん、少しお腹が張ってきたので少し休みますね……。本当にすみません……」「いや、お腹の子が大事だからな。……あの時は心にも無いことを言ってしまって悪かったな、愛してるよ、香織」 司は香織に虚偽の愛を囁き、そっと抱きしめる。 香織は嬉しそうに司にもたれ掛かるが、心の中で悪態をついた。 ――気持ちがこもってないこと、気付かないとでも思っているのね……。 それでも、司の意識を自分に向け
last updateآخر تحديث : 2026-08-31
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