All Chapters of 夫が心を入れ替えたと思ったのに、結局嘘だった: Chapter 21 - Chapter 22

22 Chapters

第21話

しばらくして、陸も距離を保って後ろからついていった。交差点に差し掛かると、ちょうど赤信号になった。湊の車の後ろに、陸の車が停まる。湊の車のテールランプを見つめる陸の思考は、混乱していた。今すぐ車から降りて、湊の車から汐里を降ろし、後悔していることを伝えたい。そして、もう一度やり直したいと縋り付きたい。だが汐里が聞いてくれないことも、自分が嫌われていることも、陸は自覚している。信号が青に変わり、湊の車がゆっくりと動き出した。その時だった。対向車線から黒いセダンが猛スピードで飛び出し、湊の車に向かって一直線に突っ込んできたのだ!「汐里!」陸の頭が真っ白になり、意識より先に、体が反応した。ハンドルを切り、アクセルをベタ踏みして、自分の車を湊の車の前に割り込ませる。ドンッ。激しい衝突音。エアバッグが開き、強烈な痛みに襲われた後、陸の意識は闇へと消えていった。気がつくと、陸は病院にいた。消毒液の匂い、白い天井、ベッド脇の点滴。少し動いただけで、全身に激痛が走る。「目が覚めた?」汐里の声だった。陸が顔を向けると、汐里がベッド脇の椅子に座っていた。表情は読み取れなかったが、目が少し赤くなっている。陸は声を絞り出した。「怪我はないか?」「私は大丈夫。あなたの車が盾になってくれたから、かすり傷ですんだよ」と汐里が答えた。陸はほっと安堵の息を漏らす。「ならよかった……」汐里が言葉を続けた。「犯人は玲だった。狂ってるよね。私を殺そうとしたみたい。もう警察に逮捕されたんだけど、今回は逃げられないと思う」玲。陸は目を閉じた。また、自分が蒔いた種だ。自分があの時玲と関わらなければ……希望なんて抱かせなければ、玲だってこんな最後を迎えることはなかったのだから。「汐里」と陸は目を開けて汐里を見つめる。「今回のことで、少しは許してくれる気になった?」汐里も陸をじっと見つめ続けた。そして彼女は笑った。それは、とても冷ややかな笑みだった。「陸、まだ分かってないの?あなたがいなければ、私と玲が知り合うことはなかった。さらに言えば、命を狙われることもなかったんだよ?だから、全ての元凶は……陸、あなたなの。あの時、あなたが腎臓を提供してくれて、命が救われたって思ったの。だから、感
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第22話

3ヶ月後。空港の国際線ターミナル。カートを押す汐里の後ろに、湊が続いていた。汐里を見つめる湊の瞳から、珍しくふざけた雰囲気が消えていた。「本当に行くのか?お前の会社も軌道に乗ったばかりだし、国内じゃ駄目なのか?『カホ・キャピタル』は今や業界のルーキーと言われるほどになったんだからさ」汐里は歩みを止める。「でも、一度離れる必要があるの」色々なことがあったこの街から、遠ざかりたかったのだ。父のお墓。ミルキーの眠る場所、それに陸と歩いた道、一緒に食事をしたレストランの数々……何をしていても、過去10年間の日々を思い出してしまう。忘れたいわけではない。ただ、その思い出を過去にするには、時間が必要だった。「どれくらい行くんだ?」汐里は正直に答える。「1年……もしかしたら、3年になるかもしれない。でも、昔からの夢をやっと叶える機会が来たから、海外でデザインを学びたいの」湊は数秒沈黙した後、ふっと笑った。「分かった。行ってこい。ただ、汐里。一つだけ約束してくれないか?」「なに?」湊は少しふざけた表情で言う。「どこかの知らない男にさらわれないでくれよ。俺がお前の帰りを待ってるんだからさ」汐里は出会ってまだ半年にも満たない、この男の顔を見つめた。湊は復讐を支えてくれ、辛い日々を共に歩んでくれた。何度も拒絶したのに、それでも笑って「待っている」と言ってくれた人。陸との10年で、自分が持ちうる情熱と信頼はすべて擦り減らしてしまった。だが、湊と過ごしたこの半年で、自分はまた笑えるようになり、人を信じる気持ちも取り戻せたのだ。それが、友人としての絆であっても……「湊、ありがとう」湊は手を振りながら、目元を少し赤くした。「着いたら連絡しろよ。誰かにいじめられたら、すぐに言え。俺が飛んでってぶん殴ってやるから」汐里は微笑む。「うん」湊を抱きしめ、セキュリティチェックへと向かった。汐里は一度も振り返らなかった。時を同じくして、神谷グループの本社ビルでは、陸が大きな窓の前に立ち、灰色の空をぼんやりと眺めていた。彼は3ヶ月前の事故で肋骨を3本折り、1ヶ月入院していた。退院後、取締役会によってCEO職を正式に解任された。今の陸はただ名前だけの役員に過ぎず、実権は何もない。汐里の手により、神谷グ
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