神谷グループの資金不足を補うため、陸は考えうるすべての人脈を頼り、頭を下げて回った。まる2週間、ろくに眠る暇もなかった。昼間は融資の交渉、夜は接待。家に帰る頃には、いつも深夜になっていた。すると、玲が「陸の世話をする」という名目で、家に移り住んできた。だが、陸は却って家に帰りたくなくなる一方だった。なぜなら、彼が帰宅するとすぐに玲がまとわりついてくるのだ。あそこが痛い、ここが辛い、ネットで誹謗中傷されただの、うつ病が再発しただの……愚痴ばかりが続くのだった。そして、陸は気づいた。玲の「うつ病」には法則があるということに。陸の帰りが遅くなった時に、「発作」が起きて、何かを買ってやる約束をすると、決まって「体調が良くなる」のだ。だが、食事はしっかりと食べるし、寝つきもいい。陸の前で泣き喚く以外は、至って健康そのものだった。ある夜、陸はまた酔った足取りで帰宅した。帰宅した時刻は深夜1時過ぎ。部屋に入ると、玲が部屋着姿でソファに座り、目を真っ赤にしていた。「陸くん、どうしてこんな時間まで……」「接待だよ」陸は上着を脱ぎ、バスルームへと向かった。冷たいシャワーを浴びて、少しでも酔いを覚ましたかった。シャワーを浴び終え出てくると、玲はまだソファに座り、クッションを抱えながら俯いていた。陸は尋ねた。「なんでまだ寝ないんだ?」「待ってたの」玲が甘えるように言う。「陸くんがいないと眠れないから」陸は彼女を見つめ、不意に聞いた。「薬は飲んだのか?」玲がきょとんとした。「何の薬?」陸は言った。「うつ病の薬。医者に処方してもらっただろ。飲んだのか?」玲が一瞬黙り込み、すぐにまた俯いた。「忘れちゃった」陸は玲の目の前まで歩み寄る。「忘れた?なあ、玲。お前、本当にうつ病なのか?」玲は顔を勢いよく上げ、堰を切ったように涙をこぼした。「陸くん、それどういう意味?うちを疑ってるの?」陸は疑いの目で玲を見つめた。「お前は医者に出された薬を一度も飲んでないし、俺はお前のカルテだって見たことがない。それに、睡眠障害もあるって言うくせに、俺が夜中に帰ってきた時のお前は、いつも気持ちよさそうに寝ているけどな」玲はさらに声を上げて泣いた。「それは疲れてるから!なんで、うちを疑うの?」ま
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