柚葉から電話があったのは、海鳴市に戻った翌日の早朝のことだ。昨夜はぐっすりと眠れたのに、着信音の連続であっという間に目が覚めてしまった。「汐里さん!昨日、夜中に例のインタビュー記事をSNSに上げたんですよ。その結果、どうなったと思います?」柚葉の声は、抑えきれない興奮と喜びで弾んでいた。昨晩寝る前、柚葉がまとめ終えたインタビュー原稿を私に送ってきた。特にプライバシーに関わるような箇所はなかったから、それでOKと伝えてあったのだ。まさかこれほどの手際で、真夜中に公開してくれるとは思わなかった。その口調から察するに、かなり反響は良かったらしい。「そうですね」私は彼女の喜びに当てられたのか、思わず笑みをこぼした。「1万人くらいでしょうか?」「もっとです!いいねは10万超えで、閲覧数は100万を突破しましたよ!ああ、もう!」柚葉は電話越しに、興奮のあまり悲鳴を上げていた。私は思わず目を見開いた。これほど多くの人に興味を持ってもらえるとは思ってもみなかったのだ。「汐里さん、早くSNSのコメント欄を見てくださいよ!共感の声がすごいんです!汐里さんを褒める声もたくさんありますから!」電話を切り、彼女が送ってきたリンクを開いた。ある程度の予測はしていたけれど、並んでいるいいねの数を見て、私は思わず息をのんだ。それ以上に目についたのが、投稿の下にあるコメント欄だ。そこには、実に1万人以上からのコメントが並んでいた。その多くは、自身の経験を語る長文ばかりだ。【学生時代に好きになった人は、本当に忘れられない。Sさんと同じで、私も学生時代に一目惚れした相手がいた。違うのは、私が黙って片思いせずに、彼に果敢にアタックしたことだ。拒絶されても諦めず……結局、彼が別の女性と結婚式で誓い合う姿を見て、ようやく目が覚めた】【みんなに聞きたい。愛しても報われないのと、深い愛情の裏での裏切り、どっちが辛い?夫とは幼馴染で結婚し、周りからは誰もが羨む夫婦と言われてきたけれど、4年目に同僚との裏切りが発覚……】【Sさん、よく決断したよね。クズ男と縁を切る勇気は凄い。この先ずっと苦しみ続けるんじゃなくて、1日も早く抜け出して本当に良かった!】【Sさんの気持ち、分かるな。愛されることに甘えている人って、本当に傲慢だよね。これ
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