All Chapters of 待ち続けた先に君は: Chapter 11 - Chapter 18

18 Chapters

第11話

柚葉から電話があったのは、海鳴市に戻った翌日の早朝のことだ。昨夜はぐっすりと眠れたのに、着信音の連続であっという間に目が覚めてしまった。「汐里さん!昨日、夜中に例のインタビュー記事をSNSに上げたんですよ。その結果、どうなったと思います?」柚葉の声は、抑えきれない興奮と喜びで弾んでいた。昨晩寝る前、柚葉がまとめ終えたインタビュー原稿を私に送ってきた。特にプライバシーに関わるような箇所はなかったから、それでOKと伝えてあったのだ。まさかこれほどの手際で、真夜中に公開してくれるとは思わなかった。その口調から察するに、かなり反響は良かったらしい。「そうですね」私は彼女の喜びに当てられたのか、思わず笑みをこぼした。「1万人くらいでしょうか?」「もっとです!いいねは10万超えで、閲覧数は100万を突破しましたよ!ああ、もう!」柚葉は電話越しに、興奮のあまり悲鳴を上げていた。私は思わず目を見開いた。これほど多くの人に興味を持ってもらえるとは思ってもみなかったのだ。「汐里さん、早くSNSのコメント欄を見てくださいよ!共感の声がすごいんです!汐里さんを褒める声もたくさんありますから!」電話を切り、彼女が送ってきたリンクを開いた。ある程度の予測はしていたけれど、並んでいるいいねの数を見て、私は思わず息をのんだ。それ以上に目についたのが、投稿の下にあるコメント欄だ。そこには、実に1万人以上からのコメントが並んでいた。その多くは、自身の経験を語る長文ばかりだ。【学生時代に好きになった人は、本当に忘れられない。Sさんと同じで、私も学生時代に一目惚れした相手がいた。違うのは、私が黙って片思いせずに、彼に果敢にアタックしたことだ。拒絶されても諦めず……結局、彼が別の女性と結婚式で誓い合う姿を見て、ようやく目が覚めた】【みんなに聞きたい。愛しても報われないのと、深い愛情の裏での裏切り、どっちが辛い?夫とは幼馴染で結婚し、周りからは誰もが羨む夫婦と言われてきたけれど、4年目に同僚との裏切りが発覚……】【Sさん、よく決断したよね。クズ男と縁を切る勇気は凄い。この先ずっと苦しみ続けるんじゃなくて、1日も早く抜け出して本当に良かった!】【Sさんの気持ち、分かるな。愛されることに甘えている人って、本当に傲慢だよね。これ
Read more

第12話

律人は、健二の手からスマホを受け取った。最初は、さらっと流し読みしていた。だが次第に、読むスピードが落ちていく。スマホを握りしめる指先が、徐々に白くなっていった。取材を受けた人物はS。大学時代にある出来事をきっかけに出会い、花嫁が逃げ出し……関係者以外は知らない話だが、当事者である律人と、彼に5年仕えた健二には、それが汐里のことだとすぐに分かった。インタビューをすべて読み終えると、律人は目を閉じ、瞳に渦巻く激しい感情を覆い隠した。結婚生活の中で、汐里はこれほど辛い思いをしていたのか。汐里と結婚したばかりのころ、彼は周防グループを継いだばかりで、仕事に追われる毎日だった。汐里が旅行に行きたいと言ったり、一緒に食事をしたいと言ったりすることもあった。しかし彼は時間がなかったり、急な用事が入ったりして、汐里との約束を何度も反故にしていた。その回数が増えるにつれ、自分でも汐里に対して不誠実だという自覚はあった。だから、健二にお詫びの品を用意させることで帳尻を合わせようとしたのだ。それでも汐里は怒ることなく、毎回いつも優しく「気にしないで」と笑ってくれた。時が経ち、彼はそれを真に受けてしまっていた。だが汐里が気にしていないはずなんて、なかったのだ。彼を愛していたからこそ、悲しみを1人で飲み込んでいたのだと気づいた。ただ……汐里が離婚を切り出したのは、千夏のせいなのか?汐里には、自分がいまだに千夏に未練があるように見えていたのだろうか。律人は不意に目を開けると、健二に問いかけた。「ここ数年、俺は妻に対してどうだった?」健二は息をのんだ。こんな質問、答えを間違えれば職を失うかもしれない。だが周防社長は公私混同を嫌う人間だ。それに、ここ数年の奥様の扱われ方は、側で見ているだけでも理不尽だと感じていた。「周防社長。奥様に対して大切に接していたのは事実です。毎年、誕生日や記念日にはプレゼントも贈られていました。ただ……」彼は律人の冷ややかな表情を窺いながら、勇気を出して一気に本音を伝えた。「結婚当初、周防社長は仕事ばかりで奥様と向き合う時間を作りませんでした。口には出しませんでしたが、奥様は相当孤独だったはずです。そのくせ、相原さんが帰国してからは、食事やアウトドアに連れ出し、社
Read more

第13話

高級なスーツを着た律人が、少し古びたアパートの通路に立っていた。場違いなほど背が高く、その存在が異彩を放っている。なぜか彼が私の姿を見た瞬間、張り詰めていた彼からふっと力が抜けた。「汐里。迎えに来たよ、俺は……」「律人」私は眉をひそめ、彼の言葉を遮った。「送った離婚届、届いていないの?」律人がなぜここにいるのか分からなかった。サイン済みの離婚届と結婚指輪は、すべて返送したはずなのに。書類を見ればすぐに判を押せばいいだけのこと。わざわざ海鳴市まで私に会いに来る必要なんてあるのだろうか?私の言葉を聞いた律人の目に、痛ましげな色が宿った。彼は長く沈黙した。どれくらい時間が経っただろうか、彼はかすれた声で言った。「汐里。ごめん」その「ごめん」という言葉に、胸が痛んだ。どうやら律人は、私がなぜ離婚したがっているのか、ようやく気付いたらしい。でも、もう遅いのだ。「もう何も言わないで。ただ離婚届に判を押してくれればいいの」律人は唇を引き結び、首を縦には振らなかった。「離婚したくないんだ。汐里。お前と別れるなんて考えたことはない。一度だって」まっすぐ見つめてみると、彼の瞳には私が読めないほど深い感情が浮かんでいた。私は視線を逸らして、静かに口を開いた。「でも、私はしたいの」彼がずっと繰り返していた「待ってて」という言葉のたびに、私の愛も少しずつ摩耗していった。今ではもう、跡形もなく消えてしまった。これ以上、玄関先で彼と押し問答をするのはごめんだった。母に見つかれば、律人を家の中に入れてしまうだろう。離婚するつもりでいることは、まだ両親に伝えていない。心配をかけたくなかったから。すべてが片付いてから説明するつもりだった。私は先に階段を下りた。「場所を変えよう」律人は黙って私の後ろについてきた。アパート近くのカフェに入り、私たちは向かい合わせに座った。「インタビューの件、見たよ」律人はまっすぐ私を見て、突然言った。予想外のことだった。あのSNSの記事が、あんなに話題になっていたなんて知らなかった。「見たなら、もう離婚の理由をわざわざ口にする必要もないでしょ」理由を繰り返すたびに、古傷をえぐられるようで苦しいだけだ。律人は必死に言い訳を探して
Read more

第14話

一瞬、耳を疑った。まさか律人が「愛してる」なんて口にするはずがないからだ。だが、彼の瞳に浮かぶ本気の熱を見て、それが嘘ではないことを悟った。おかしくて、思わず笑みがこぼれそうになる。「あなたが、私を?」律人は頷いた。その表情は、これまでになく真剣だった。「汐里、この4年間、いつの間にかお前に惹かれていたんだ。自分の気持ちに気づくのが遅すぎた……」甘い言葉が並ぶほど、私の心は氷のように冷めていった。もし4年間の中でこの言葉を聞けていたら、きっと嬉しさのあまり涙を流していたはずだ。だけど今の私には、ただ空虚で残酷な言葉にしか聞こえない。なぜ離婚を突きつけた今になって、そんなことを言うの?私は彼にとって、呼びたければ呼び、飽きたら捨てるペットのような存在だったの?私が去ろうとする今になって、甘い言葉で私を繋ぎ止めようとしているのね。彼は私の不信を感じ取ったのか、すがるような口調で言葉を重ねた。「あの指輪のこと、デザイナーにはもう依頼してある。お前のために新しくデザインさせるよ。千夏とはもう二度と会わない。汐里、一緒に帰ろう?」その言葉の端々から、彼にしては珍しく弱気が滲んでいた。私はただ首を横に振った。「ねえ、律人。結婚式の時、あなたが何を言ったか覚えてる?私の指にぴったり合う新しい指輪を買うって、約束してくれたよね。その言葉を信じて4年間待ち続けた。でも、一度もその指輪を見ることはなかったわ。もう新しい指輪なんて、必要ないの」指輪どころか、律人のことすらもういらない。私の冷徹な言葉に、律人の背筋がぐらりと揺らいだ。「汐里、自分の過ちを痛感してる。最後にもう一度だけチャンスをくれないか?これからは……」「ダメよ」と私は遮った。「本当はね、あなたの言う『愛してる』なんて言葉、ひとつも信じていないの」彼は言葉を失った。私は容赦なく続けた。「本当に愛しているなら、何度も約束を破って私を待たせたりしないでしょ。本当に愛しているなら、自ら相原さんと距離を置くはずよ。私を捨てて彼女を優先することなんてなかったわ。それに、あの時。私を突き飛ばしてまで彼女を選んだ時、本当に愛しているなら、私だと気づかないまま突き飛ばして、子どもを失わせるようなことにはならなかったわ」
Read more

第15話

汐里が立ち去った後、律人は1人でコーヒーショップに長時間座り込んでいた。店が閉まるまでずっとだ。店主におかわりを促されて初めて、律人は我に返った。カフェを出ると、気づかないうちに白川家の前まで足が向いていた。白川家には、明かりが灯っている。上階からは、楽しげな談笑の声がかすかに漏れてきた。その中には、聞き覚えのある声も混ざっていた。4年間、汐里があれほど肩の力を抜いて笑ったことは、ほとんどなかったように思う。律人は目を閉じ、胸にこみ上げる感情を必死に押し殺して、踵を返した。今回の海鳴市への訪問は、1日も経たないうちに幕を閉じた。愛しい人は連れ戻せなかった。彼は1人ぼっちのまま飛行機に乗った。東都に着くと、すぐに自宅へと急いだ。しかしドアを開けても、ソファで彼の帰りを待っているはずの姿はどこにもない。魂の抜けた人形のように、彼はフラフラと寝室へ向かった。寝室には、まだ汐里の痕跡があちこちに残っている。ウォークインクローゼットの服、サニタリースペースの洗面用具、ドレッサーの化粧品のボトルたち……まるで彼女がまだ、そこにいるかのようだった。けれど、もう汐里は戻ってこない。律人はそれを痛いほど理解していた。彼は普段汐里が座っていた場所に座り、引き出しを開けた。1冊の日記帳が、隅で静かに眠っていた。それを手に取り、ページをめくる。そこには、汐里の途切れ途切れの記録が残されていた。日付は、4年前の入籍した日から、子供を失い退院した日まで。【〇〇〇〇年5月17日律人と籍を入れた。彼が私を愛していないのは知っているけれど、これから少しずつ分かり合えたらいいな】【〇〇〇〇年8月20日律人と2人で外食へ。これがデートなら嬉しい。幸せだ】【〇〇〇〇年9月25日海鳴市の実家に帰りたいと頼んだけど、仕事が忙しいと断られた。わかってるけど、やっぱり寂しい】【〇〇〇〇年11月9日千夏が戻ってきた。私は、お腹の子を失った】その後は、長い空白が続いていた。彼女がここを去るその日まで。日付はなく、ただ1行だけが記されている。【律人、もうあなたを待つのはやめにするわ】そのページには、涙のしずくが乾いた跡があった。日記の内容は短く、ただ淡々と日常を綴っただけのもの
Read more

第16話

その時、階下からインターホンが鳴った。千夏が、どこから聞きつけたのか律人が1人で海鳴市から戻ったという情報を知り、周防家に押し掛けてきたのだ。扉を開けると、彼女は心配そうな表情を作って尋ねた。「律人、汐里さんはまだあなたと離婚したがってるの?」律人は唇を引き結び、何も答えなかった。そんな彼の様子を見て、千夏は求めていた答えを得たと確信した。千夏は表情一つ変えず、密かに口角を上げた。汐里が頑なに離婚を望んでいるのなら、たとえ律人の心に汐里の場所ができたとしても、どうということはない。汐里さえいなくなれば、当然のように自分が律人の傍らにいる唯一の存在になれるからだ。かつての2人の絆があれば、すぐにでも律人が以前のように全身全霊で自分を愛してくれるようになると信じていた。「汐里さんがそんなに望んでいるのなら、離婚に応じた方がいいわ。大丈夫、私はずっとあなたのそばにいるから」離婚が実現するという予感に、千夏は込み上げる高揚を隠しきれなかった。律人が向ける眼差しには、かつてのような温もりはなく、ただ静かな冷たさだけがあった。「千夏、俺が愛しているのは汐里だ。彼女と離婚しようが、お前とどうこうなるつもりはない」無情な言葉を突きつけられ、千夏は瞬時に動揺した。「そんな……帰国してから、あなたは以前付き合っていた頃みたいに優しくしてくれたじゃない。私が悲しい時には慰めてくれたし、仕事も放り出して一緒に旅行だってしたわ。あれは愛してくれているからじゃないの?」彼女は思わず彼の手を取り、以前のような甘えた態度で縋りつこうとした。「……私がまた離れて行くのが怖いから、そう言ってるのね律人?大丈夫よ、今回は二度とあなたの前からいなくならないわ。汐里さんと離婚すれば、また2人に戻れるじゃない。それが自然なことだわ」律人は無表情に腕を引き抜き、一歩下がって距離を取った。「お前だって知っているはずだ。結婚式の当日に俺を捨てて海外へ行ったのはお前だろう。あの時から誓ったんだ、お前との未来なんてあり得ないと。帰国してから良くしたのは、ただ昔の付き合いが体に染みついていたからだ。自分の心と向き合えていなかったんだよ。自分がいつの間にか汐里を愛していたと早く気付いていれば、もっと距離を置いていたはずだ」何度も何度
Read more

第17話

ここまで言いかけて、千夏は慌てて口を閉ざした。汐里を流産させるつもりまでは、なかったのだ。それでも、律人が血走った目で汐里を抱きかかえていた、あの日を忘れることはできない。付き合っていた頃、これほど感情をむき出しにした律人なんて見たことがなかった。当時、彼は汐里に恋をしたのかもしれないと、直感していた。何しろ、律人が自分を助ける過程で汐里を流産させてしまったのだ。彼の怒りが自分に向くのではないかと、千夏は長い間おびえていた。もし本当に汐里を愛していたら、自分が標的にされるのは避けられないから。だが結局、律人は彼女を責めることはしなかった。それどころか、これは彼の責任だとまで言って慰めてくれたのだ。律人は長い間落ち込んでいたが。自分に対する態度は以前と何一つ変わらなかった。あれは、汐里が宿していたのが最初の子どもだったからだと自分に言い聞かせた。周防家のような家柄なら、最初の子どもを重んじるのも当然だ。子どもを失った悲しみで感情が乱れただけだ。彼が汐里に特別な感情を抱いているわけではないと。しかしもし、今の彼が認める通り、本人が自覚しないうちに、すでに汐里に惚れ込んでいたのだとしたら。あの酔っ払いの一件が、すべて自分の差し金だと知れば……千夏の瞳が激しく震えた。たった今、彼に聞こえなかったことを心の中でひたすら祈った。しかし、願いは叶わなかった。律人の冷徹な眼差しが突き刺さり、その言葉には人を凍り付かせるような凄みがあった。「今、何て言った?もう一度言ってみろ」千夏は無意識に後ろへ下がり、バッグを握りしめた手が震えた。気丈を装い、千夏は必死に笑みを浮かべる。「何でもないのよ律人。ただ、あなたが『汐里が好きだ』って言うのを聞いて、混乱して口が滑っただけで……」律人がそのお粗末な言い訳に騙されるはずはなかった。彼はスマホを取り出し、電話越しに冷ややかに命じた。「2年前、あのイタリアンの店の前で俺たちに絡んできた連中の金の流れを調べろ。前後に誰と接触していたのかも、すべてだ!」律人が本気になったのを見て、千夏の中に得体の知れない恐怖が湧き上がる。彼女は、2人の過去を盾にしてすがりついた。「お願い、律人。あれは口を滑らせただけ。3年間も一緒にいた私たちなのに、そ
Read more

第18話

1ヶ月後、2人の離婚が正式に認められた。汐里は東都には戻らず、離婚が成立したことを知らせる書類だけを海鳴市へと郵送した。律人は、届いたその書類を大切に金庫へとしまった。それからというもの、彼は会社での仕事に全てを捧げた。汐里がどうしているのかを調べることは、もうしなかった。知りたいと願わないわけではない。ただ、怖かったのだ。汐里が別の誰かと再婚しているなんて聞きたくなかった。それから3年が過ぎ、彼は港南市での出張を終えた。秘書の健二に帰りの航空券の手配を尋ねられ、何を思ったのか、つい「海鳴市へ向かう」と告げていた。その言葉に、健二は一瞬あっけにとられた。律人はこめかみを押さえ、撤回はしなかった。せき止められていた心のダムが、崩れ去ったような感覚だった。海鳴市にたどり着いた頃には、もう夕暮れ時だった。3年ぶりとはいえ、かつて通った白川家の住所ははっきりと覚えていた。律人は運転手に、マンションの向かいで車を止めるよう指示した。車を降り、大きな木陰に身を隠しながら、マンションのエントランスへと視線を送った。夜8時を回っても、探し求めていた汐里の姿は一向に現れなかった。そこには、1歳くらいの女の子を抱えた男が1人、そわそわと入り口を眺めているだけだった。今日はお会いできないのかと諦めかけた、その時だった。見覚えのあるシルエットが視界に入った。ベージュのワンピースに身を包んだ汐里。記憶の中と何も変わらない、あの優しい雰囲気のままだった。離れゆく時を取り戻そうとするかのように、律人は一瞬たりとも目を逸らさなかった。あまりの懐かしさに、居ても立ってもいられず、飛び出してしまいたかった。しかし、目の当たりにしたのは、汐里がその親子2人を笑顔で迎え入れる光景だった。男に降ろされた女の子は、おぼつかない足取りで、汐里の胸の中へ飛び込んだ。汐里は小さな女の子をひょいと抱き上げると、可愛らしく鼻先をこづいた。男も歩み寄ってきて、慣れた手つきで優しく彼女の肩を抱き寄せた。距離があって会話の内容までは分からない。しかし、3人からあふれ出る幸せそうな表情を、律人は痛いほど見て取ることができた。律人の視線に気づいたのか、汐里がこちらの方へふと視線を投げた。律人は無意識のうちに、幹の後
Read more
PREV
12
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status