薫が目を覚ますと、病室には健志や静子、正樹、智則たちが揃っており、全員が心配そうな顔でベッドを囲んでいた。最初に反応したは正樹だった。「薫、目が覚めたのか!」その声に全員が一斉に振り向く。静子は目を潤ませながら身を乗り出し、布団を丁寧に整えた。「薫、大丈夫?痛くない?少しは楽になったの?」みんなの視線が自分だけに向けられているのを見て、薫の瞳の奥にわずかな優越感がよぎる。だがそれは一瞬で消え、代わりに心配そうな表情が浮かんだ。「琴羽は……?どうしてここにいないの?」そう言った途端、何かに気づいたように顔色を変え、慌てて静子の手を握る。「まさか……私に移植された腎臓って琴羽のものなの?そんなの駄目でしょ……琴羽こそお母さんたちの娘なのに、私なんかが腎臓をもらう資格なんてないわ……」さらに不安そうに続ける。「琴羽は無事なの?どうしてみんな私のところにいるの?お願い、琴羽の様子を見に行ってあげて。私は平気だから……」そこまで言うと胸元を押さえ、小さく咳き込んだ。その瞬間、全員の顔色が変わる。「何を言ってるんだ!」健志が慌てて声を上げた。「お前が腎臓をもらうのは当然のことだ。むしろあいつの腎臓なんて大丈夫なのかと心配したくらいだぞ」静子もすぐに続く。「薫、あんたも私たちの娘よ」正樹は眉をひそめながら言った。「琴羽のことなんか気にしなくていい。彼女は丈夫なんだから。むしろお前は小さい頃から大事に育てられてきたんだ。こんな手術を受けたことないし、今は自分のことだけ考えればいい」智則も続く。「そうだよ、薫、余計なことは考えずにゆっくり休んで」次々とかけられる優しい言葉に、薫は危うく笑みを浮かべそうになった。慌てて目を閉じ、言われた通り横になる。――どうやら、この人たちはまだ琴羽が死んだことを知らないらしい。けれど、知ったところで何だというのだろう。きっと最後まで自分の味方でいてくれる。もともと琴羽には腎臓が一つしか残っていなかった。その最後の一つまで奪ったうえ、さらに苦しめるため、薫は看護師を買収して麻酔まですり替えさせていた。激痛の中で死ねばいい。そう思ったのだ。たかが使用人の娘として育った人間が、今さら青森家の令嬢の座を奪おうなど、身の程知らずでもほどがある。そんなことを考えながらも、薫は唇の端が
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