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ひとすじの想い의 모든 챕터: 챕터 11 - 챕터 14

14 챕터

第二章 第三話

「じゃあ、お話ししようか」 水緒が言った。 流は水緒に会うまでずっと一人だったから話すのは得意ではない。 だが水緒は相手がいなかったから黙っていただけのようで話をするのは好きらしかった。 流は口下手で、あまりちゃんとした返事が出来なかったが、水緒は気にした様子もなく喋っている。 流も返事こそ碌に出来ないが水緒の声を聞いているのと楽しかった。「あのおじさん、物知りだね」「大人は皆そうだろ」「でも、あのおじさん、ちゃんと教えてくれるよ」 確かに水緒の村の大人達は水緒を働かせるだけで、それ以外はほとんど口を利いてなかったようだ。 遠からず生贄として差し出すことが分かっていたから必要以上に関わらないようにしていたのかもしれない。「ごめんよ」 外から声が掛かり障子が開いた。 女将と呼ばれる女が入ってきた。「桐崎様に頼まれてね。二人の髪を結いに来たよ」「髪を結う?」 水緒が首を傾げた。 女将はまず水緒の後ろに座ると髪を梳かし始めた。「痛た……」 櫛が髪に引っ掛かる度に水緒が顔を顰めた。「随分、長いこと髪を梳かしてなかったんだね」 女将はそう言って水緒の髪を綺麗に梳かすと、水緒の髪を結った。「ほら、見違えるほどべっぴんさんになったよ」「そ、そうかな」 水緒が照れたように俯いた。「これはこの妻籠宿特産の櫛だよ。これで毎日髪を梳かすといいよ」 女将は水緒に櫛を渡した。「おばさん、有難う」 水緒は嬉しそうに櫛を胸に抱いた。「次は坊やだね」 女将は流の後ろに回った。 水緒以外の人間に背後に回られるのは嫌だったが、水緒が髪を結っているのに自分が結わないわけにもいかなそうだったので黙ってやらせた。 女将は二人の髪を結い終えると部屋を出ていった。 二人が桐崎のことや、江戸のこと、宿場町のことなどを話していると、桐崎が布の包み――風呂敷包みを持って帰ってきた。「おじさん、お帰りなさい」「おお、戻ったぞ」「おじさん、これね、ここのおばさんがくれたの」 水緒はそう言って女将から貰った櫛を見せた。「良かったな。それがしも二人に土産を買ってきたぞ」「土産って何? 買ってきたって言うのは?」〝土産〟という言葉も〝買う〟という言葉も知らない流と水緒に、
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第二章 第四話

 徐々に人通りが多くなってきた。 今まで以上に多い。 建物も増えてきた。「おじさん、ここが江戸?」「いや、ここは大宮宿だ。江戸はこんなものではないぞ」 桐崎の答えに水緒が目を丸くした。「ここよりも人が多いの?」「そうだ。着いたらびっくりするぞ」 まだ九つ前だったので大宮宿はそのまま通り過ぎた。 次の蕨宿で桐崎は泊まるかどうか逡巡したようだが、大宮宿との間にあった立場茶屋で一休みしたからか水緒がまだ歩けそうだったので次の板橋宿を目指すことにした。「少々遅くなってしまったな」 もう辺りは日が暮れていた。「水緒、歩けるか?」 流は水緒に訊ねた。 疲れているようなら背負ってやろうと思ったのだ。「うん、平気」 無理をしてるな、と思ったが、とりあえずまだ大丈夫そうだったのでそのまま歩かせることにした。 不意に殺気を感じた。「流! 水緒! 気を付けろ!」 桐崎が抜刀した。「水緒、俺の後ろに」 流が水緒を庇うように立った。 目の前に二体の鬼が飛び出してきた。「お前らに用はない。その娘だけ置いてけ」 流は身構えるように立った。 ここへ来るまで何度か同じようなことがあった。 水緒は本当に良く鬼を呼び寄せてしまう。 しかし桐崎は強かった。 化物討伐で食っていると言うだけあって刀一本で鬼を斬り伏せてしまう。 片方の鬼が飛び掛かってきた。 流が水緒を押し倒して伏せるのと桐崎が鬼の首を落とすのは同時だった。 片方の鬼がやられても、もう片方は逃げる気はないようだった。 残った鬼が桐崎に向かっていく。 鬼が腕を振り下ろす。切り裂く気らしい。 桐崎は体を開いて躱すと鬼の胴を払った。 鬼が真っ二つになって倒れた。 そのとき流は別の殺気を感じて振り返った。 どこからか、もう一体現れた。「おっさん!」 流が伏せたまま叫んだ。 自分で倒しても良かったのだが、鬼になるなと言われてるので桐崎を呼んだのだ。 桐崎が振り返るのと、知らない男が鬼を斬り倒すのは同時だった。「もう大丈夫ですよ」 見知らぬ男が言った。 流は辺りの気配を探り、安全だと確信してから立ち上がると水緒に手を貸した。「これは忝い。しかし、そこもとはこの前、我らを見ていた御仁ではないかな」 桐崎が
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第二章 第五話

「おばさん、私に家事を教えて下さい。よろしくお願いします」 水緒はお加代に頭を下げた。「はいよ」 流達はお加代が持ってきた桶の水で足を洗って家に入った。「わぁ、猫だぁ!」 水緒は居間で丸くなっていた猫を見付けると嬉しそうに近付いた。 ここまで来る途中の宿場町で何度か猫を見掛けていた。 初めて猫を見た時、水緒は顔を輝かせて近付いていったが逃げられてしまった。 水緒はがっかりしながらも桐崎に「あの動物は?」と訊ねて「猫という生き物だ」と教わった。 流と猫の目が合った。 ただの猫じゃない!「水緒! そいつは……!」「それがしの飼い猫でな、ミケというのだ」 桐崎が流の肩に手を置いて言葉を遮った。 そうか……。 化物退治が仕事の桐崎が化猫に気付かないはずがない。 危険はなさそうだ。「こんにちは、ミケちゃん。私は水緒。よろしくね」 水緒がそう言って撫でると、ミケは気持ち良さそうに目を閉じた。「そういえば旦那を訪ねてきた人がいましたよ」「山本殿だろう。家に着くのは今日になると言ってあったのだが、よほど急いてるのだろうな」 桐崎は居間に腰を下ろした。 お加代が台所へ向かうと水緒も後に随いていった。 流が水緒の後に続こうとすると、桐崎が、「流、お加代さんは茶を入れに行っただけだ。すぐに戻る。お前も座りなさい」 と言った。 一瞬迷った後、桐崎の斜め向かいに座った。「旦那、お待たせ」 お加代はそう言って盆に載せて運んできたお茶を桐崎の前に置いた。「はい、流ちゃん」 水緒がお加代の真似をして流の前に膝を突くとお茶を置いた。 旅籠に泊まる度に出されるお茶を飲みながら、なんで普通の水ではなく色と味の付いたお湯を出すのかと思っていたが、水緒が入れてくれたものは美味かった。 お茶を出すと水緒はすぐにお加代と共に台所へ行ってしまった。 物音が聞こえるから夕餉でも作っているのだろう。「水緒の印って言うのはいつ消すんだ?」 桐崎は江戸に着いたら、と言っていた。「野尻宿から文を出しておいたから、後は向こうを訊ねるだけだな」「ならこんなところに座ってないで早く行こう」 江戸は中仙道ほど鬼は多くなさそうだが印を消せるなら早い方がいい。 ミケだって桐崎が飼って
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第二章 第六話

 看板が掛かっており、そこには「よろず御祓い承ります」と書かれていた。 桐崎が玄関でおとないを請うと、 「おお、生きて戻ったか」  総髪の男が出てきた。  髪や髭に白いものが混じっているが、それほど年は取ってなさそうだ。「流、水緒、この人は小川禅定殿だ」  桐崎は小川に流と水緒を紹介した。 「その娘か?」 「印がついてるのはこの子だ。それとこっちの坊主も頼む」 「え?」  流と水緒が同時に桐崎を見上げた。「その坊主が鬼か。長くこの仕事をしているが、子供の鬼というのは初めて見たな。鬼は生まれたときから大人なんだと思っていたぞ」  小川はそう言って笑った。 「おっさん、どういうことだよ」 「いや、鬼避けの結界が張られてるところは意外と多いからな。そう言うところに入れないと困るだろ」  確かに入れなければ鬼だとバレてしまう。  そう言うところを避けようにも流には結界が張ってあるかどうかは分からない。「そんなことが出来るのか?」 「まぁ、儂に任せなさい」  小川はそう言うと奥へと入っていった。  流達が後に続く。  通された部屋は変な匂いがした。「なんかいい匂いがするね」 「これは香の匂いだ」  桐崎が説明した。 小川がごちゃごちゃした絵――曼荼羅というそうだ――の前に座り、水緒に対座するように言った。  水緒が前に座ると、小川は間に置かれた白い台の上の灰が入った器で香を焚いた。  ぶつぶつと何やら言っていたかと思うと、突然、 「喝!」  と怒鳴った。  その瞬間、 「っ!」  水緒が胸元を押さえた。「水緒!」  思わず流が立ち上がった。 「心配いらぬ。印は消えたぞ」  水緒はそっと自分の胸元を覗いてから流を見上げた。 「ホントだよ、流ちゃ
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