澄音が目を覚ましたのは、夜になってからだった。まぶたを開けると、ベッドのそばで心配そうに付き添っている悠臣の姿があった。澄音はしばらく、ぼんやりと彼を見つめた。 「手術は……終わったの?」 声はひどくかすれていた。悠臣は思わず澄音の手を取り、柔らかな声でなだめた。 「無事に終わったよ。お父さんも落ち着いている。君は何も考えずに休めばいい。あとは全部、俺がついているから」 澄音は小さくうなずき、ふと廊下のほうへ視線を向けた。そこで視線が止まった。 悠臣もつられてそちらを見た。病室のドアのガラス越しに、魂が抜けたような清陽の顔が覗いていた。悠臣は少しためらったが、結局、隠さずに告げることにした。 「清陽が、君に会いたいと言っている。澄音、会いたいか?」 澄音は首を横に振った。 「少し、つらいの」 悠臣はそれで察した。布団を掛け直し、カーテンを引いてから、静かに病室を出た。 病室を出た瞬間、清陽が待ちきれないように悠臣の肩をつかんだ。声には、すがるような必死さが滲んでいた。 「澄音はどうだ?少しはよくなったのか?澄音は、俺に会いたいと言っていたか?」 悠臣は冷ややかにその手を振り払った。 「体調が悪い。誰にも会いたくないそうだ。――特に君にはな。帰れ。これ以上ここにいて、彼女を苦しめるな」 ようやく少し落ち着きかけていた清陽の胸に、また大きな波が押し寄せた。骨の髄まで染み込んだ痛みが、再び鈍く疼き始めた。 清陽は必死に感情を押し殺そうとした。だが喉の奥が詰まり、声が震えた。 「……具合がもう少しよくなったら、また来る」 そう言い残し、清陽はカーテンで遮られた病室の窓を深く見つめた。それから、背を向けて去っていった。 悠臣は清陽の姿が廊下の角に消えるのを見届け、ようやく胸のつかえを下ろした。 病院を出ると、清陽はそのまま車を走らせて宝生家へ向かった。 車を止めた途端、外ではまた雪が強くなった。清陽は宝生家の門の前に立ち、悠臣の言葉を思い出さずにはいられなかった。 白い雪は地面に落ちるそばから溶けて消えていった。そこにあったはずの血の跡は、もうきれいに洗い流されていた。 清陽はその場に膝をついた。冷たい石畳に手を触れると、胸の内側を炎で焼かれるような痛みが走った。皮膚も肉も1枚ずつ裂け
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