Todos os capítulos de 暴君幼女は愛されたい!: Capítulo 51 - Capítulo 60

86 Capítulos

第三章 第19話 アリシア、偉そうなおっちゃんに絡まれる

 お店のほうの準備はだいたい良いでしょう♪ あとは肝心なローラーシューズショーのほうの仕上げねー。「3人ともどう? 自主練進んでる?」 最近あんまりかまえていなくてごめんね。わたしの天使ちゃんたち♡「うっす、アリシア。ちょっと見ない間に美人になったんじゃないか?」 にこやかにお世辞を言ってくるエリオット。「わたしはもともと超絶美人よ!」 エリオット……あなたそんなキャラだっけ? もっと寡黙で筋肉がお友だちな魔族イケメンのはずじゃ……。「エデンに教えてもらってスピンのコツがわかってな。良い感じなんだわ」 それでニヤニヤ軟派なイケメンになってるわけね。まあ手ごたえがあるのは良いことね。「エデンは調子いいの? エリオットに教えられるくらいには余裕なんだ?」「エデンはすげ~っすよ。自分たちのはるか先を行ってるっす。な?」 セイヤーがエデンの肩を組んで話しかける。エデンもまんざらでもない様子。「なになに? ずいぶん仲良しじゃないの。チーム感出てきた?」「私たちはとっくにチームですよ。アリシアが全然顔を出さない間に以心伝心の仲です」 エリオットも加わり、3人でイチャイチャ……カシャリ。 ほぅ……これはとりあえず念写しておこう。人気が出たらチームドラゴンのブロマイドを販売するのもやぶさかではない……。けれどまずは個人で楽しむようとして。カシャカシャ……カシャカシャカシャカシャカシャカシャ。ホクホク♡「それじゃあ練習の成果をみせてもらおうかしら? 基本の滑り、スピン、ジャンプ」* * * 3人の上達振りはわたしの想像以上だった。 とくにエデン。 もともと所作の美しさは目を引くものがあったけれど、それがこの数日で洗練されてきている。人に魅せるための演技を意識したせいなのか、それとも出自について知ることができたせいなのか、それはわからないけれど。「とってもいいわ! 第1段階としては文句なく合格!」 拍手して3人を出迎える。「手応えあったもんな!」「自分やったっす!」「ええ、2人ともとても良かったです。……良かったよ」 それぞれの喜び方で合格を噛みしめているようだった。「次はコンビネーションにチャレンジしていこうと思うの。最初のショーでどこまで実践するかは決めていないけれど、いずれはコンビネーション技を披露していきたいと思っている
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第三章 第20話 アリシア、貴族のおっちゃんに酒や料理を振舞う

 とりあえず大柄な態度の貴族様とそのお付きを、応接室に連れ込むことには成功しましたよ、と。「こちら、今度お店で提供をする予定の試作品でございます。どうぞご賞味くださいませ」 連れ込んだだけで何も歓待しないわけにもいかないので、すりおろしリンゴジュースをコップに注いでテーブルの上に置く。「お付きの方もどうぞ。そこに立っていてもあれでしょうから、お座りになってください」 さすがに主人の隣には座れないだろうから、少し離れたところにイスを置いてあげる。わたしって気が利くね。でも惚れるなよなっ?「どうぞどうぞ。冷たくておいしいですよ。試作品なのでぜひ感想を聞かせていただきたいです」 はよ飲め。 毒とか入ってないから。「毒見しますか?」みたいな目配せとかいらないから。わたしがその気なら、廊下で声が聞こえた時点でお前たち2人ともすでに死んでるんやで?「おお、これは……美味だな」 はい、美味いただきました♪ やっぱりあらごしのリンゴジュースはまちがいなさそう。まあ、1つ問題があるとすると、この品種のリンゴはこの地方では取れないってことだけかな。ためしにこの辺りの原産の姫リンゴを『創作』で品種改良して王林っぽい感じに調整してみたんだよね。でも量産するには原木から育てないと、さすがに怪しまれてしまう。「おかわりいりますか?」 あっという間にコップが空になっているので、どうやらお世辞じゃなくておいしかったみたい。「ぜひもらおう」「どうぞ。良ければこちらもご賞味ください」 昨日試作してみた出来立てホヤホヤの鳥料理。その名もチキンタツタ!「ほう、これは良い香りだ……」「どうぞ。これで刺してお召し上がりください」 爪楊枝を手渡す。「お、おう。そうか。めずらしい食べ方だな。これを直接刺すのか」 一瞬躊躇する様子を見せたが、漂う香りの誘惑に負けたのか、貴族のおっちゃんは爪楊枝を受け取るとチキンタツタを口に放り込んだ。 庶民の食べ物ですからね。まあ、ナイフとフォークでチキンタツタを食べる人はいないでしょう。「んふ……」 口に入れた瞬間、目を閉じて、声にならない声を上げる。 おいしいのはわかるんですけど、おじさんの喘ぎ声はちょっと……。いや、お付きの人も同じ表情やめて? こわっ、夢に出そう……。「これはなんという料理だ?」「はい。コカトリスのタツタ
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第三章 第21話 アリシア、ガーランド伯爵をおもてなししていたらし

 セドリック=ガーランド伯爵⁉ この街の支配者だー! やばい。おっちゃん呼ばわりして適当にお酒飲ませてつぶそうとしてた……。「そうか、アリシアは天才か。そうかそうか。料理も……日乃本酒も……うまい……」 ガーランド伯爵はテーブルに突っ伏してしまう。 あれ? おっちゃん寝ちゃった?「あらあら。セドリックったら、お酒弱いくせにたくさん飲むから……」 ソフィーさんが飽きれたようにつぶやいた。だけど、ものすごくやさしい眼差し。ただの知り合いって感じではないのが想像つくね。昔から一緒にいる雰囲気の……やっぱり冒険者仲間なんじゃないのかなってわたしは予想してる。「今日のところはもう使い物にならなそうね……。仕方ないから後日仕切り直しましょう。あなた、悪いけど、この酔っ払いを連れて帰ってくれる?」 赤ら顔のお付きの人に向けて言った。実は調子に乗ってガーランド伯爵と一緒にけっこう飲んでたよね。ガーランド伯爵の様子を心配そうに見つめているけれど、立ち上がれてないし……たぶんこっちの人にも介助が必要なんじゃないかなー?「店の前の馬車まで……まあいいわ。私が運ぶわよ」 ソフィーさんがガーランド伯爵を軽々と肩に担ぐ。ローラーシューズを起動させると、そのまま滑って部屋から出て行ってしまった。 おう、使いこなしてますなあ。「ソフィーさんたちいっちゃいましたけど……あ、これ、お土産のナゲットクン。忘れないで持って帰ってあげてください」 お付きの人にお土産の袋を握らせる。 ロイス嬢に届けてあげてね。わたしと同じ年のロイス嬢かー。会ってみたいな。「ありがとうございます。失礼いたします」 小さく頭を下げると、お付きの人は若干千鳥足で走り去っていった。 初めて声を発したんじゃない? わりと渋い声。でも酔っ払い……。大人ってお酒を飲むとダメね。ってわたしが飲ませたんでした♡* * *「まったく、あんなに酔っぱらうまで飲むなんて……」 ソフィーさんがまだグチグチ言いながら戻ってきた。「ごめんなさい。わたしが飲ませちゃって。ちょっと試作のお酒を試してもらうかなーと」 テーブルを片付けながら出迎える。まあかなり喜んでもらえたみたいだから良かったんじゃないのかなー。「試作のお酒? 興味あるわね。ちょっと私にもいただけるかしら?」「もちろんどうぞー」 隠す必要も
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第三章 第22話 アリシア、あだ名をつけられる

「ア~リシアッ♪」 ソフィーさんがひどく上機嫌な様子で話しかけてくる。「なんですか? わたしお酒の搬入で忙しいんですけどー。あ、そのお酒はこっちの瓶に詰め替えて、そう、そこのバーカウンターに並べてください。これは並べて見せる用なので。残りは地下の保管庫へ。あ、その日乃本酒だけは常温保存できないので保冷庫に入れてください」 わたしの指示で天使ちゃんたちがテキパキと動いていく。 今夜からはプレオープンだし、大忙しだよー。「アリシアちゃ~ん。私の話も聞いてちょうだいな♪」 ソフィーさんが猫なで声で肩を揉んでくる。 さすがにこの態度はちょっと気持ち悪いな。逆に警戒しちゃうよー。「はいはい、なんでしょうか?」「セドリックがね。お金出してくれるって♡」「え、マジですか! あのガーランド伯爵が⁉ やりましたねー!」 お金を出してくれるってことは、アイテム収納ボックスを購入する資金を貸してくれるってことですね!「まだちゃんと事業計画を説明してないのに大丈夫だったんですか?」 適当に料理を振舞ってお酒飲ませてつぶしただけな気が……。怒ってなかったのかな。「ひさしぶりにずいぶん楽しかったみたいよん♪ 今日ね、城に呼ばれて話をしたのよ~。お嬢さんもナゲットクンのことを大変お気に召したみたいで。それも手伝ってのことかしらね」「おー、それは良かったです。わたしと同い年くらいなら絶対喜ぶと思ったんですよね」 お土産に持たせておいて良かったよー。「今夜のプレオープンにはぜひお嬢さんも参加したいそうよ」「おお、ロイス様にお会いできるんですね。楽しみー」 ザ美人対決! なんてねっ♪ 年齢も近いし、お友だちになれたりしないかなあ。「あ、そのカートちょっと待ってください! 料理の確認するのでこっちへ。はい、OKです。収納するからできてる分全部持ってきてください。はい、棒棒鶏サラダあと50人前です。え、レタスがたりない? 困ったな。誰か市場に確認に行ってもらえます?」 予定通りに材料の消費が進まないなあ。 新メニューを一気に増やしたから、まだ調理が安定しなくて廃棄が多いのが悩みの種。『調理』スキルを持った天使ちゃんがあと何人かいてくれたら楽なんだけど……。「あ、すみません! ついでに市場で卵も仕入れてきてもらえると。あ、はい。それくらいの量で」 ロイス嬢
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第三章 第23話 アリシア、プレオープンセレモニーを切り盛りする

「いらっしゃいませ。龍神の館へようこそおいでくださりました」 プレオープンセレモニー。 天使ちゃんが入り口前でお客様を1組ずつ、丁重におもてなしをする。「あ~ら~♡ 今日は遠いところからわざわざお越しいただきありがとうございます~♡」 そしてお店の中でソフィーさんがお一方ずつ歓迎をしていく。 招待状は約50組に出している。その中で来てくれそうなのは30組程度となりそうだとか。まあ、料理は軽く100人前を用意してあるから問題なしだよね。準備万端だ。 わたしはというと、ローラーシューズショーの最終調整中だ。「エリオット、セイヤー、エデン。今日はあなたたちチームドラゴンのデビュー日よ。だけどね、まだまだ練習も足りてないし教えてない技術もある。だから今日は無理しないでケガだけはしないように楽しんで。変に気取って良いところを見せようとしなくて大丈夫だから。プレオープンセレモニーだし」 程よい緊張感を与えつつ、変なプレッシャーをかけないように心がけたい。 でも正直どんな言葉をかけるのが正解なのかはわかっていない。わたしならどう言われたいかなあ。「うーん、ちがうわね。好きなように滑ってきなさい! これね!」「なんだ~。今日やさしいっすね。暴君」「おい、セイヤー。わたしのことを暴君って呼ぶな! 本番前にケガして滑れなくなっても知らないぞ? それ、敬称じゃないからな?」 陰口は陰で言うから陰口なんだぞ?「え、そうなんですか? ソフィーさんから『アリシアは暴君幼女って呼ばれたいらしいからみんなよろしくねん♪』と伺っているのですが」 エリオット……それを信じるの? こんなかわいいわたしが、暴君幼女って呼ばれたいって思ってると思う? あと敬語禁止な。「暴君……そろそろ開演の時間では?」「エデン……あなたまで……まあいいわ。まずはセド……ガーランド伯爵にご挨拶いただいて、それからローラーシューズで料理を運び込むパフォーマンスをお見せするのが先ね。あなたたちの出番は、そうね、会場の雰囲気が温まってから。30分後ってところかしら」 料理とローラーシューズで度肝を抜いてから、解体ショー、そして最後にローラーシューズショーでとどめを刺す! これでお店の常連ゲットで、出資金ガッポガッポよ♡「あ、始まるわ。わたし、裏に行って料理の準備してくるから、3人はしばらく
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第三章 第24話 アリシア、コンビニ飯を振舞う

「アリシア、あなたは転生者よね?」 ロイス嬢から耳打ちされた衝撃的な言葉に、一瞬固まってしまう。「それは肯定と受け取ってよろしいかしら?」 ロイス嬢の勝ち誇ったような顔。え……何が狙いなの⁉「えっと、転生者……とはなんでしょうかー?」 冷や汗ダラダラでしどろもどろ。 いや、今さら苦しいかもしれないけれど、相手の出方がわからない以上はごまかすしか!「シャンパン、からあげクン、ローラーシューズ、ほかにもありそうね。ずいぶん派手に立ち回っていますものね」 え、ええ。ちょっとばかり派手でしたかね……? やっぱりわかっちゃいますか?「って、ロイス様、もしかして――」「そうよ。私も転生者なの」 いたずらっぽく笑うその顔が、初めて年齢相応の、同い年の女の子に見えた。 あれ?「え、じゃあ、わたしが転生者だからって……」「別に周りにバラしたりするつもりはないわよ。仲間がほしかったの」「仲間、ですか……」「そう、仲間よ。先日の洗礼式で、急に前世の記憶を戻されて、右も左もわからず心細かったのよ」 おお、なんと! まったく同じ境遇では!「わたしもとっても心細くて……」『そのわりにはグイグイと自分の要求を通してきましたね』 あ、ミィちゃんだ! こんばんはー。転生者の仲間が見つかったよー。『はい、そのことで。ロイス=ガーランドはスークルの信徒です。アリシアと出会ってすぐに転生者であることを明かすとは思っていませんでしたが、お互いに素性がわかってしまったわけですから、今後についてじっくりと話し合う必要がありそうです』 なるほどー。転生者であることはあまり人には言わないほうが良いんだもんね。2人で秘密を守っていけるか話し合ってみるよー。「ロイス様。少し別室で、今後についてお話しませんか?」 転生者同士、情報交換もしないとだし。「いいわ。案内して」「ソフィーさん、閣下。ロイス様と意気投合しまして、少し2人でお話ししたいなーなんて思うので、席を外させてください」「あらそう? それは良かったわね。セドリックも大丈夫かしら?」「同世代の友人ができるのは良いことだ。ロイスは引っ込み思案で困っていたところだ。アリシアが友だちになってくれるなら助かるよ」 わたし、平民ですけど信用して大丈夫ですかー? まあ、料理とお酒で気に入られたみたいだし、いいのか
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第三章 第25話 アリシア、衝撃の事実を知って激しく後悔する

「私は災害や事故で死んだのではないわ。寿命でもない……」「それじゃあロイスが亡くなったのって……」「ええ、自死よ。よくある話。ひどいいじめを受けていたのよ……」 いじめを苦にした自死。 なんてことだ……。「高校1年の冬に……」 わたしの前世よりもずいぶん若い。「どうしようもなかったの。誰にも相談できず、もう抱えきれなかった……」 悲しい、でもなく、つらい、でもなく、ただ目を伏せるロイスに、わたしは掛けてあげられる言葉を持っていなかった。「こんな前世なら、記憶なんて戻してほしくなかったわ……」 確かにそうだと思う。 なぜ? 洗礼式の時に明かす決まりだから? でも、どう考えてもプラスにならない……。「なぜ私が転生者に選ばれたんだろう。今日までずっとそればかり考えてきたわ。今もその答えは出ていないのだけれど」「スークル様はなんておっしゃっているんですか? 聞いたら何か教えてくださるかもしれない」「スークル様? 洗礼式の時以来お会いしていないわ。そんなに気軽にお会いできるような方でもないもの……」「えっ⁉」 そうなの⁉ わたしは毎日お祈りしてミィちゃんとお話してるし、何なら夢の中でも♡『アリシアは特別です。普通はもっと女神のことを敬い、畏怖の念で距離を置くものなのですよ』 あ、ミィちゃん。わたしは特別かあ。ウフフフフフフフ♡『そういう意味ではなくてですね……。ロイスのことですが、スークルだって何も考えていないわけではないのですよ。ロイスのことは女神の間でも共有されていましたが、特例として記憶を戻さないという案も出ていたくらいです』 ですよねー。普通に考えて自死の記憶は……。 ところで転生者ってどうやって決まるんですか? 前世の行い?『詳しいことは明かせませんが、前世の行いはまったく関係がない、とだけ伝えておきましょう』 ケチー。 構造把握のレベルを上げて、そのうちミィちゃんの頭の中を全部覗くからね!『その時を楽しみにしていますよ。アリシアはロイスの良き友人として、話し相手になってあげてください。スキルを使い、心の安定を図るという手もあるかもしれませんね』 ちぇっ、余裕ぶってるなあ。 友人ね。うん、そうだね。それは良いと思う。ロイスと友だちになろう。「わたしはねー、ミィシェリア様の信徒なんだけど、毎日お祈りしてお話を聞
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第三章 第26話 アリシア、ローラーシューズショーを始める

「な、なーんてね。冗談よ!? せっかくできた友だちをそんな目で見るわけないじゃーん!」 なんつって……あっぶなっ! これは作戦練り直さないとなー。ロイスにごり押しはやばそう……。 なんか良い方法ないかなー。「アリシアが将来有望なのはこのお店を見ればわかるわ。よほど良いスキルを手に入れたのでしょうね。私とは大違い……」 ロイスが小さくため息をつく。 この感じ、外れスキル引いちゃったのかなー。レア度CとかDとか? でも、レア度Dでも使いようによっては使えるからね。「ちなみにロイスのいただいたスキルはどんなスキルなの?」 何か一緒に考えてあげられるかも。「私のスキルはね。レア度Cの『舞踊』スキルよ」「え、『舞踊』? 踊り? わりと良さそうに聞こえるけど」 なんだ、石を上手に積めるスキルよりはだいぶ良くない? もっとなんかひどいのを想像してたよ。小指の爪上手に切れるとかそんなの。「たいして役に立たないわよ、こんなの……」 コーラを呷るように飲み干し、ポテチを口に放り込んだ。 のりしおが口の周りにいっぱいついてる。かわいい♡「そっかなあ。貴族なんだし、この間も夜会があったんでしょ? 普通に踊る機会っていっぱいあるよね?」「あんなの決まりきった動きをするだけだから『舞踊』スキルを使うまでもないわよ。もっと複雑な、ヒップホップやK-POPダンスみたいなのをやりたいわ」 そんな無茶な……。 この国にはそんな軽快なビートを刻んだり、ハイテンポな音楽なんて存在してないのにダンスを……。あ、待って、もしかして?「ちょっとね。ホールを覗きに行かない?」「何、急に? 私、人が多いところ苦手なんだけど」 こらー、アメリカンドックの皮のところだけはがして食べるのやめなさいよね。甘くておいしいけど、お行儀悪いぞー。「いいからいいから。わりとおもしろいものが見られると思うよ? わたしの自信作ー♪」 ロイスをイスから無理やり立たせて、口の周りののりしおを拭いてあげる。貴族のお嬢様なんだから身だしなみしっかりねー。ほら元通りかわいい。……かわいいな。うーん、1回くらいチューしても罰は当たらないかな? チュー♡「何?」 いいえ、なんでもございません……。次の機会を……。「あ、ロイスは靴何センチ? これに履き替えてー」 何足かサイズ違いのローラーシューズ
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第三章 第27話 アリシア、ステージに乱入する

「ロイス。わたしと一緒にショーに出て!」 あなたには才能がある。 その『舞踊』スキルも踊りたがっているはずよ。 さあ、わたしの手を取りなさい!「私、人前は苦手で……」「彼らだって今日が初めての舞台よ。ねえ見て、あんなに楽しそうに踊ってる」 完ぺきな演技とは程遠い。 ステージだって音楽だって上等なものが準備できたわけじゃない。 でも、彼らは観客たちの手拍子に合わせて、あんなにも楽しそうにステップを踏んでるじゃない。「だけど……うまくできるかわからないし……」「最初からうまくできる人なんていないわ。やりたいか、やりたくないか、それだけのことなんじゃない?」 ねえ、ロイス。自分の足を見て。 さっきから音楽に合わせて無意識にステップを踏んでるよ。「私、貴族だし。お父様がなんておっしゃるか……」「ロイスは仮成人でしょ。もう自分の将来は自分で決めていいのよ」「私……」 ロイスは手を伸ばしては引っ込めて、どうしても踏ん切りがつかない様子だった。 もう、じれったいなあ。「ほら、いいからいくよ!」 わたしは強引にロイスの手を取る。「あっ」 ビクンと体が強張り、手を引っ込めようとするもそれを許さない。 スキル:創作! ロイスとわたしの服をステージ用の衣装へと創り変える。ロイスはブルー。わたしはパープル。金糸と銀糸で流れ星をイメージした双子のデザイン。「覚悟を決めて。後のことは後で考えましょう!」 流し目で、ビクついているロイスの表情を確認しながら、わたしは滑りだす。  さあ、ステージへ。 突然の乱入者に気づき、会場がざわつきだす。 空いているほうの手を振り、笑顔で観客にアピールする。 もう一方の手はロイスの手を握り、決して離さない。 近くにいたエデンがさっと近寄ってきたので耳打ちをする。「ロイス。今日からわたしたちの仲間よ」 エデンは小さくうなずくと、ロイスのもう1つの手を取った。「ロイスお嬢様。本日はこのステージでご一緒できてうれしく思います」 エデンは大きな動作でロイスに向かって頭を下げる。「さあ、ロイス。わたしに付いて踊ってちょうだい」 アップテンポなリズムに合わせてステップを踏んでいく。「ほらほら、みんなの手拍子に合わせて、円を描くように足を組み替えて! 細かく!」 エリオットとセイヤーも近くに寄っ
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第三章 第28話 アリシア、プレオープンセレモニーを閉会する

「みんな、お疲れさまだったわね」 ショーを終えたわたしたちを、ソフィーさんが出迎えてくれる。「アリシア~。もう! あなた、ずいぶんやらかしたわね。ロイス嬢まで巻き込んで~」「でも最高だったでしょ? ロイスもね?」「ゾクゾクしたわよ♪」「私も、とっても楽しかったです!」 ロイスとソフィーさんと3人で顔を見合わせて笑う。 今やらなきゃって思ったら体が勝手に動いていたの。だからぜんぜん後悔なんてしてないわ。ねー、ロイス! 楽しかったよねー!「ソフィー、今日はすばらしかったですわよ」 貴族の方が近寄ってくる。「あら~、閣下♡ わざわざ遠方からお越しいただきありがとうございますぅ♡」 え? 誰? 中性仲間?  という顔をしていると、「ビーリング伯爵よ」とソフィーさんが小声で教えてくれた。  ああ、この人が金づ……もう1人の出資者候補の!「あらあら、さっき踊っていた子たちじゃないの~。どっちがソフィーの隠し子?」「ご冗談を♡ 2人とも私のかわいい子よ♡ シュトゥルヒに運んできてもらったんですよ♡」うへ、中性オヤジギャグ……。やだよ、シュトゥルヒ――コウノトリに運んできてもらった赤ちゃんとか。見ればロイスもわたしと同じ、げんなりした顔をしていた。「汝、アリシアと言ったな」 と、後ろから呼びかけられて慌てて振り返る。鮮やかな緑色のマントを深々と被ったお客様が立っていた。  マントのお客様はわたしくらいの身長しかない。でも雰囲気は子どもって感じじゃないわね。「あ、はい! アリシア=グリーンと申します! 本日はお越しいただき誠にありがとうございます」 どんな方でもお客様よー。わたしー、気をつけてー! よそ行きスマイルスマイル♪「ロイス、この方ご存じ?」と小声で確認してみたけれど、ロイスは首を振った。うーん、招待客の誰かだと思うんだけど、ロイスが知らない人かー。「我は満足したぞよ」「それはありがとうございます! 今後ともぜひご贔屓にしてください!」 おお、小さいお客様も喜んでる! ど派手なパフォーマンスして良かったね。「贔屓にか。それが望みか?」    変なこと聞く人ね?「ええ、そうですね? 今度はご予約いただければもっとゆったりとショーやパフォーマンス、そしてお料理もコースでお楽しみいただけますのでぜひ!」「良かろう。また来るぞ
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