LOGIN暴君幼女・アリシア=グリーン(10)がチート級ギフトスキルと女神の加護とラッキーボーナスを獲得したところから始まる非日常な異世界転生ファンタジー。 アリシアは、楽してひっそりと暮らしたいが口癖。 だけど今日もやっかいごとのほうからやってきて、世界を巻き込み&巻き込まれの大暴走! 夢の玉の輿でハーレムな異世界スローライフはどこに行った⁉ そしてアリシアに振り回されっぱなしの愛の女神・ミィシェリア。その運命やいかに……?
View More「アリシア=グリーン。10歳のお誕生日おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます……女神……様」
わたしは頭を垂れ、跪いたまま冷や汗ダラダラだった。
やばい。女神様の名前、度忘れした……。
なんだっけ……。ここパストルラン王国では、七神の女神が信仰されている。10歳の誕生日に七神いずれかの女神に礼拝し、洗礼を受けることになっているのだけど、だけど……。
わたしが洗礼を受けるのは……えっと、愛の女神様なんだけど……名前が……そうだ、ミィシェリア様! あっぶない、思い出したー!「女神ミィシェリア様。ご機嫌麗しゅう」
「もし? 聞いていますか? あなたの名前はアリシア=グリーンですね?」
「ははー! その通りでございまするー。あなたの熱烈な信徒、アリシア=グリーンはここに居りまするー」
地面におでこをこすりつけて返事をする。
ママに習った通りだ。決して女神様に失礼のないように。くれぐれも機嫌を損ねないように。今日は大切な仮成人の洗礼式なんだから!わたし、アリシア=グリーンは今日が10歳の誕生日なのです。つまりもう仮成人! 立派な大人なのです! だから礼儀正しく1人で礼拝もできるのですよ。えっへん!
ん? 誰だぁ⁉ 今「パッと見、少年なのか少女なのか迷う」って言ったヤツぁ! 手を上げろ! この胸が目に入らぬか! 最近ちょっと膨らみ始めたんだぞ! もうレディーなのだよ、レディー! わかる? おいっ、もう二度と幼女って言うなよ⁉ 絶対だぞ⁉
近所に住んでるルースちゃんは同い年でEカップあるって? 知らんわっ! バンパイアと人間を一緒にすんなよ……アイツことあるごとに胸のサイズ自慢してきやがってぇ……。しかもいちいちカレシとか紹介してくんな、ビッチが! わたしだって人間の中ではこれでもけっこう成長早いほうなんだからねっ! 調子に乗ってる巨乳は滅ぶべし!
「アリシア? 聞いていますか?……あなたには、洗礼式を行う前に、とても大切なことを伝えなければなりません」「え、あー、早いところ洗礼の儀式をやって、『システムコール:ステータス』の解放と『ギフトスキル』をいただきたいんですけどー」
あとそろそろ立ち上がっていいですか。石の地面がひんやりしていて冷たくて足がしびれてきたし、ちょっとおでこも痛いです。
洗礼の儀式の中で女神の祝福を賜ると、正式に仮成人として認められることになる。そうすると『システムコール:ステータス』の使用が許可されるらしい。自分のステータスを確認して、強さや健康状態などを管理できるという、まさに大人としての第一歩なのデス!
それともう1つ。『ギフトスキル』というのは、女神の祝福によってスキルが1つランダムで付与されるもので、なんと洗礼式の場で無条件で習得できるんだってさー。
わたしのママはレア度Dの土魔法『クレイウォール』、お姉ちゃんはレア度Cの風魔法『ウィンドウォーク』をいただいたとか。ちなみに普段の生活の中でもスキルは習得できることできるんだけど……。
人間が習得できるスキルのレア度は、冒険者ギルドによってA~Dまでに分類されていて、レア度B~Dのスキルは、解放条件をクリアして、さらに適性があれば習得可能なものらしい。冒険者として活躍し続けても、生涯に習得できるスキルの数は2~3個。5個も習得できたら英雄レベルなんだとか。なかなか大変なものなんだね。 しかもレア度Aのスキルに至っては、分類されているものの習得条件は不明。ここ100年ほどで習得した人も確認されていないんだってー。まあ、冒険者を目指さない人は、女神様からいただいた『ギフトスキル』を生かした仕事に就くのが一般的だからあんまり気にする必要なーし。
参考までにうちのママは『クレイウォール』で作った食器や雑貨を売って生計を立てているよ。近所ではわりと評判のお店なんだよね。 お姉ちゃんは……いっつも遊び歩いてるから、将来何になるのかとはわからないな。あ、でも『ウィンドウォーク』を使って風のようにふらふらするのが将来の夢かもね? おっぱいも風船みたいに膨らんでるし。いっそのこと風に乗ってどっか飛んでいけっ!えー、わたしの夢はねー。口に出して言うのははずかしいんだけど……素敵な人との結婚カナ♡ いつかステキな王子様が迎えに来てくれてー、かわいいお嫁さんになりたいなーって感じなので、今日は愛の女神・ミィシェリアの祝福をいただきにきたのでした。まる♡
七神の女神様からギフトされるスキルには、その女神様の神性によってけっこう偏りがあるらしいって聞いたので、わたしはぜひぜひ愛の女神様に愛に関係するスキルをいただきたいのですよね! ね!うーん、愛のギフトスキル楽しみだなあ。
便利な家事スキルなんかをもらえりしたら、花嫁修業も兼ねて近所の食堂で働いたりもできるんだけどなあ。自動皿洗いスキルなんてないかな? 寝てても仕事できるやーつ! レア度C……あわよくばレア度Bのスキルがほしいです!「おほん、アリシア。私の話を聞いていますか?」
おっと、つい妄想の世界に!
「ああ、すみません、ミィシェリア様。この後いただける『ギフトスキル』のことを考えてしまっていました……」
「もちろん洗礼式の最後に女神ミィシェリアの名において、あなたに『ギフトスキル』を与えます。安心なさい」
「わーい! ありがとうございます!」
「その前に! 伝えておかなければいけないことがあるのです」
「はい、なんでしょうか」
「大変伝えにくいことなのですが……ですが……」
ミィシェリア様の声が尻すぼみに小さくなっていく。
「伝えにくいこと……?」
なんだろう。わたし、なにかやらかしちゃった?
「まずい! ぜんぜんダメ!」 これはひどい! ただ焼いただけのものを料理とは言えない……。「でもお客様には好評をいただいていて……」 ソフィーさんが困惑した表情を見せる。 いや、そうじゃないんですってば!「解体ショーのパフォーマンスは最高でしたよ? たぶん何回見ても良いものだろうし、誰かを会合に招待する時の話のネタにもなる」「それなら!」「そのあとの落差ですよ。最高潮にテンションが上がった後に、ただ鳥を焼いただけの獣臭いものを食べさせられたら、ね」 テンションダダ下がりっていうか、まあ、これは見るもので食べるものではないよね、的な反応をされちゃうかなって。プラマイゼロ的な? むしろマイナス?「巨大な鳥だから――」「焼くのが精一杯は味付けまで手が回らないって? 秘伝のタレはどうしたんですか⁉ 料理を提供する側としてどうなんですか? それ、本気でお客様の目を見て言えます? プロのプライドは?」「めんぼくないわ……」 あんなに生き生きとしていたメスのオークが、小さなゴブリンみたいに……。でもダメ。許しません! これは大事なことですよ!「見て楽しい。食べておいしい。また来たい。料理店として胸を張って言える水準を目指しましょう」「そう、よね……。いつからかお客様に甘えていた自分がいたわ。深く反省します」「よろしい。それでは厨房に向かいましょう」* * *「おお、ここがVIP用の厨房なんですね」 10m四方の正方形の部屋に、10人ほどの天使ちゃんたちが控えていた。 さらにもう1つ部屋がつながっていて、奥のほうに巨大なかまどが見える。どうやら奥の部屋はコカトリスを焼くための専用になっているみたいだった。「ちょっと一通り厨房を見させてもらいますね」 手前の部屋は普通サイズの食材を扱う部屋のように見える。 流し台も、調理台も家庭のものとそう変わりない大きさだ。20種類くらいのナイフが吊るしてあるのはさすが調理店というところかな。 清潔感はある。床も油で滑る、みたいなことはなくて、ちゃんと掃除は行き届いていて好感が持てるね。 あとは冷蔵品をどう扱っているか。 見渡しても保管庫らしきものがなさそう。「冷蔵品はどこに保管してるんですか?」 「それはこっちよ」 ソフィーさんに連れられて、奥のかまどルームへと足を運ぶ。「おお、こ
天使ちゃんたち5人がかり、30分ほどで書類の整理が終わる。「こんな細かい仕事頼んだのに助かりますー。めっちゃ早い!」 それにしても優秀なスタッフたちがそろっていますね。店の規模にしては少し多すぎる人数の天使ちゃんたち。ただ人数をそろえただけではなく、多種多様な能力を持つイケメンたちが集まっているということね。 ソフィーさんはこのお店で何をしようとしているのかな?「そうね~。やっぱりこの2人になるかしらね……」 ソフィーさんがまとめられたメモを見て、案の定といった具合につぶやいた。「候補は2人ですか。どんな方なのか教えてもらえますか?」 2人もいたら何とかなりそうな気もする。エロおやじじゃないといいなー。「本命はガーランド伯爵ね」「え? 城主様も顧客だったんですか⁉」 うそー! マジぃ⁉ もう勝ったも同然じゃないですかー!「ええ、ガーランド伯爵にはご贔屓にしていただいているわ。個人的に、昔からの馴染みなのよ」「それはそれは……もしかして、一緒にパーティー組んだり?」「内緒よ♡」 笑顔で拒絶される。 ちぇっ。いつか絶対聞きだしてやるんだから!「まーでも、もうガーランド伯爵で決まりじゃないですか? よくご利用いただいていて、しかも馴染みでコネもあるときた!」「ただ、あのお方はお金にはシビアよ。私がこのお店を継ぐとなった時に『お金か~し~て~♡』って頼んだけど、ぜんぜんだったわよ」 そりゃまあ、ただ貸してって言っても「い~い~よ~」とはならないでしょうよ。いくら昔からの知り合いとは言っても、城主としてのお立場もあるでしょうし。「近いうちに試食会は開いて、ガーランド伯爵をお招きしましょう。そこでお料理、ショー、カジノなどを見ていただき、アイテム収納ボックス購入の資金援助を求めましょう。駆け引きなしの真っ向勝負です!」 それでダメなら裏口から試せばいいだけのこと。弱みを握ったり、ああ、そういえば――。「わたしと同い年のお嬢様がいらっしゃいましたね。ロイス嬢も試食会にお招きしましょう!」「若い方にも喜んでいただけるようなお料理も用意したいわね」「それは考えてまーす。平民向けのお料理なんですけど、エデン、エリオット、セイヤーの3人にはめちゃくちゃ好評だったので行けると思いますよ!」 クレープ、スパイシーから揚げは主力商品になりそ
「なかなか料理が出てきませんねー」 待つこと3時間。 さすがにテトリスも飽きてきたんだけど……。「次、私にもやらせてちょうだい!」 ソフィーさん……下ボタン押すとすぐ積みあがっちゃうでしょ。下手だなー。「コース料理とはいっても、さすがに3時間は長すぎです。調理法に問題があるんだろうな……」「今は一晩に1組しかVIPのお客様を受けて入れていないのよ。厨房は一般用とVIP用に分けていて、VIP専用の調理スタッフを配置しているわ」 おー、非効率! 付きっきりでこの調理時間はぜんぜんダメですね……。この先3階1組、2階2組、さらにカジノスペースとかなりの量の料理を捌かないといけないわけで。厨房の配置や調理法も見直していきましょうかね。「VIPルームはそこまで気にしなくてもいいですが、1階やテイクアウト料理は回転が命です。ここは設備投資をしっかりしたほうが良さそうです」「設備投資というと、具体的には何をするつもり、なの?」 ちょっと大事な話してるのでゲームやめてもらっていいですか? ソフィーさんじゃわたしのスコアは抜けないからあきらめて?「アイテム収納ボックスの購入です」「それはまたとんでもないことを言うわね……。いくらかかるかわかっているのかしら?」 ソフィーさんもさすがに手を止めて、わたしの本気度を確認してくる。「値段はわかっていないです。でも、アイテム収納ボックスの有用性は理解しているつもりです」 肩にかけた革製のバックをポンと叩いて見せる。 こんなに小さなカバンでさえ、ソファやテーブル、その他巨大な木材などなど、相当なアイテムを収納してもまだ空きスペースがある。「まず食材の保管スペースの問題。そして、賞味期限の問題。ここまではわかりますね?」「ええ、まあ。確かに便利よね……でも価格が……」「アイテム収納ボックスは食べ物を扱う料理店にこそ必要な設備だと思うんですよね」 収納中の時間は止められるという最大のメリットは料理にこそ生かすべきものだと思う。実際わたし、作り置きした料理をいっぱい収納してるし。 でもソフィーさんの反応があんまり良くないな……。「んーと、ほかの料理店でもあまり使用されていないものなんですか?」「聞いたことがないわね……。アイテム収納ボックスなんてレアなものはランカー冒険者の一部か、王族、貴族……少なくと
「料理……料理……どうしようかな……」 やっぱり課題はメイン料理よね。「アリシア、どうしたの?」「ちょーっとだけ困ってるんですよねー」 料理どうするかなー。 何を出しても今よりはクオリティ上げられる自信はあるんだけど、VIPルームはなんでも定食屋ってわけにいかないから、コンセプトを定めないとねー。お店の方向性に合っていて、インパクトがあって、人に語りたくなるような……それでいて超おいしい!「ショー? 設備の建設? うまくいってそうに見えていたけれど何か問題があったのかしら」 ソフィーさんが3階のフロアを眺めてつぶやく。こんなにちゃんとできあがっているのに、って表情だ。「順調ですよー。というか、3階のフロアはこれで完成です」 全方向完全防音で、盗聴・盗撮ができないように魔力遮断対策もバッチリ。最高級のミノタウロス本革張りのソファに、透明度が高いクリアガラスのローテーブルを設置。そしてサイドテーブルには熱々のお鍋も置けるように合金を使いました。あとは床にフローリング材を敷いて、樹液を加工したワックスも塗ってピカピカです☆ ソファもテーブルもボタン一つで下にキャスターが飛び出してきて、移動も楽々ー♡「あれはどう? つけてくれたのかしら?」 ソフィーさんが周りをキョロキョロ。そわそわしだす。「はいはいもちろんですー。ソフィーさんの要望通り、ムーディーな間接照明もつけましたよー。ほらっ」 指をパチンと鳴らせば部屋の照明が落ちて、ゆっくりとミラーボールが回るようにしたのと、怪しげな紫の間接照明が――。「素晴らしいじゃないの~。良い仕事してるわね。これなら自信をもってお客様をお迎えできるわ♡」 ソフィーさんから贈られる惜しみない拍手。 わたし、インテリアコーディネーターとしても食べていけますかね? 実は自分の部屋のコーディネートもけっこうな自信作なんですよねー。「まあ、ここは大丈夫だし、2階のカジノももう少しで完成なので、いよいよ新装開店で営業できそうなところまで来ていると思うですけどー」「ほかに何が必要なのかしら?」「何を言ってるんですか! 料理ですよ、料理! ここは料理店ですからね! ここは料理店ですからね⁉」 一番大事なことなので2回言いました! ちゃんと味で勝負しましょうよ。貴族様が悪いことをするための場所を提供する店に成り下
わたしのステータス、LUK≪幸運≫を上げただけなのに、どうしてこうなった?-------------------------- アリシア=グリーン 種族:転生人族 Lv.10 HP:3720 MP:1860 STR≪筋力≫:220 VIT≪体力≫ :181 DEX≪器用≫:183 AGI≪敏捷≫:223 INT≪知力≫:301 LUK≪幸運≫:150 スキル:なし --------------------------「ミィシェリア様……ステータスがおかしくなっちゃったんですけど」「とくにおかしいところはありませんよ。アリシアはLUK
「そのポイント、ちょっと待ったー!」「何ですか? 何かおかしなことがありましたか?」 ミィシェリア様が、わたしの頭のほうに伸ばした手を止める。 危ない。このままポイントを付与されてなるものか!「ミィシェリア様~。わたしの前世の記憶ってちゃんと見てくれましたあ?」 交渉だ! ここでがんばらないと!「はい、もちろん確認しましたよ。穏やかな環境でしたので、標準的なポイント計算で――」「そうじゃなくて! わ・た・し・の! 個人の記憶ですよー。ひどいものでしょう? 泣けちゃいますよね……。何一つ良いことがなくて……人生ハードモードだった上に暴走した車に轢かれて21歳(童貞)の若さで命を
「洗礼式、早く始めてくださいよー」 ミィシェリア様が再びわたしの頭の上に手を置いたまま、特に何もせずに数分が経過していた。「これで洗礼式を終わります。アリシア、あなたは女神ミィシェリアの名のもとに洗礼を受け、仮成人となりました。おめでとうございます」「へ? 終わり? さっきみたいなぐわーって熱くなったり、なんか光がパーっとなったり、天井から天使が舞い降りてきたり、女神の祝福のキスとか……そういうのないんですか?」「ありませんね。洗礼式はあなたの内側にある鍵を開けるだけですから、私から付与するものは何もありません」 なんだーそれー。期待して損したー。演出弱いなー。ゲームだったらここでプ
ミィシェリア様の手を通じて、わたしの頭の中に、誰かの記憶の断片が流れ込んでくるのを感じる。 これは誰? 男の子? 見たことない服。周りの風景。 あ、待って。なんかちょっと思い出してきたかも。 あ……前世。これが前世なんだ。 わたし、前世では男の子だったんだ。気弱そうであんまりかっこよくない……。王子様とは違う。がっかり。 流れ込んできた記憶、そして知識が紐づいていき、わたしは前世という概念を理解した。 大学。研究。ロボティクス工学。就職活動。 知らない言葉が頭の中に浮かんでは消える。そして脳内に浮かぶ映像とともに理解する。 わたし