All Chapters of 暴君幼女は愛されたい!: Chapter 61 - Chapter 70

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第四章 第1話 アリシア、オープン直前の演説をする

「今日から朝礼なんてものを始めようと思います。みなさんおはようございます!」 おはようございます! 100人の天使ちゃんたちが一斉に挨拶をする。 おお、壮観だね。これがみんなわたしの言いなりに……。ソフィーさんの気持ちがちょっとわかってしまう自分が怖い……。「このあと昼12時から当店『龍神の館』はリニューアルオープンします。いよいよ12時開始です。当店初の昼営業を始めることになります。と言っても昼間はテラスだけを開放してテイクアウト料理のみの販売なので、お店の中にお客様が入ってくることはありません」 まずは平民向けの施策からスタートだ。 テイクアウトの昼営業については、これまでまったくプロモーションを行っていない。つまり今日からが勝負だ。「初日から7日間はテイクアウト料理の大規模キャンペーンを展開します。『1個買ったらもう1個おまけでついてくる』キャンペーンです!」 1個はその場で食べてもらう。そしてもう1個を持ち帰ってもらい、そのおいしさを家族や友人などに宣伝してもらいたい。そういう主旨のキャンペーンだ。 ホントはもう1つキャンペーンをやりたかったのだけれど、ミィちゃんに固く止められちゃったからなー。 わたしが考えていたのは『恋人・夫婦限定! 仲良くミィちゃんのフィギュアと写真を撮ってお店の前に貼ったら、好きな料理を1品タダ』キャンペーン。 良いと思ったんだけどな……。愛の女神のアピールにもなるし、お店の人気も上がっていくし……。でもインスタントカメラは人前に出しちゃダメって……。だけど諦めない! フィギュアはお店のほうが落ち着いたら、量産して絶対販売するからね!「オホン。今日の販売目標は、ナゲットクン200食、Dチキ200食、フライドポテト200食、イチゴクレープ100食、コーラ100杯、ソーダ100杯、オレンジジュース100杯、すりおろしリンゴジュース50杯(これだけ限定品のためおまけ対象外)です。今月の販売ラインナップはこれでいく予定です」 それぞれおまけは別カウントで。 各料理は販売目標の3倍をストック済みだ。 ガーランド伯爵の出資によって、巨大なアイテム収納ボックスも設置できた。これがあれば熱々、そして冷え冷えの料理が即座に提供できる。アイテム収納ボックス内は時間の概念がないため、収納中の料理は腐敗せず廃棄も出ない。料理店
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第四章 第2話 アリシア、リニューアルオープン初日を迎える

「え、どうしました⁉ お客様同士のトラブルですか⁉ 列に割り込みが?」 おぅ……並んで物を買うという習慣は、まあない人もいるよね。 いきなり長蛇の列を前にしてガマンできるかって言われると……。「でも、ちゃんと後ろに並んでいただけるように説得を……試食も忘れずにお願いします」 そんなこんなで、ホールの天使ちゃん、改め、オーダーの天使ちゃんたちはてんてこ舞いだ。「お店が盛況すぎる! まだ開店して1時間も経ってないのにどうしたんだろ、これは⁉」 うれしい方向に予想外だよ。 最初は冷ややかな視線を浴びつつ、「あれ、試食うまいぞ?」的な感じで少しずつ客足が伸びていくイメージでいたのに、いきなり長蛇の列、だと? なんなら開店前からお店の前にけっこう人がいたのはなんでだ……。「暴君、たぶんこれっすよ」 おい、セイヤー口の利き方に気をつけろよ! 列の最後尾まで吹っ飛ばされたいのか?「何? えーと≪龍神の館が今日から新装開店リニューアルオープン。料理のラインナップも一新! プレパーティーにご出席された城主ガーランド伯爵も『こんな料理、王宮でもお目にかかれないだろう。まるで舌が蕩けるようだ≫と大絶賛。その料理の数々が、なんと庶民にも手が届く安価で提供されるとのこと。昼間は店頭販売される。キャンペーン期間中は行列必至だ!』って号外新聞⁉」 なにこれ? こんなプロモーションわたし知らない……。「街で大量に配ってるっす。伯爵の騎士団の人たちが……」 なんで伯爵の騎士団がそんなことやってるの⁉ え、ソフィーさんどういうこと⁉「わ、私も聞いてないわよ? セドリックはサプライズ好きなのよ。ノリノリでやってそうだわ……」 ソフィーさんが肩をすくめて苦笑している。 あの人、そういう感じなの? ちょっと意外だわ……。サンタクロースのコスプレして枕元にプレゼント置いちゃうタイプの人なんだ……。 と、店の前に馬車が止まる。「アリシア、遊びに来たわよ!」 馬車の中から飛び出してきたのはロイスだ。「ロイスー! わざわざ来てくれたの⁉ 見てみてー、リニューアルオープン初日から大盛況よ!」 見よ、この長蛇の列。 超高速でオーダーを捌いてもどんどん列が伸びていくのよー!「私がお父様に頼んで宣伝してもらったのよ。お父様の名前も有効活用していかないとね♪」 ロイスのおかげ
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第四章 第3話 アリシア、天使ちゃんたちを労う

「みなさん、昼営業、大変お疲れさまでした! なんと! 初日、販売目標達成です!」 バンザーイ! みんな拍手拍手ー! イエイエイエーイ♪ 天使ちゃんたちも手ごたえがあったのか、いつにも増して活気づいている。「これはホントにみなさんの努力の成果です! ガーランド伯爵の粋な計らいで営業開始から長蛇の列ができても、みなさんが必死にさばいてくれたおかげです! ホントにお疲れさまでした!」 慣れない機械を使わせたのに、がんばって対応してくれたオーダーの天使ちゃんたち。 試食を配ったり、列の整列やお客様トラブルの対応をしてくれたプロモーションの天使ちゃんたち。 まさかのストック切れになりそうなところを、しっかりペースを守って追加の料理を作ってくれた調理の天使ちゃんたち。 みんなみんなお疲れさまだよ。「予想をはるかに超える人数のお客様が来店されて、みなさん満足そうに帰っていかれましたね。きっとお持ち帰りしていただいた料理で、さらに次のお客様を呼んでくださることでしょう」 もうね、これは平民たちの胃袋はつかんだといっても過言ではないのではないでしょーか!「そして今日、陣中見舞いとしてきてくれたロイス嬢! なんと裏ではガーランド伯爵のネームバリューを使って号外まで配布してお店のプロモーションをしてくれていました。さらにさらにこの類まれなる美貌を使ってお客様を虜にして次の来店を約束させるという反則ギリギリの技まで! はい、みんな拍手ー!」 盛大な拍手、そして指笛。ちょっとしたお祭り騒ぎだよ!「ちょっとアリシア? 私、ぜんぜん褒められてる気がしないのだけれど⁉」 ロイスが真っ赤になって抗議の声を上げる。 そんなロイスの態度に、天使ちゃんたちがどっと沸いた。あー、なんかお店、とっても良い雰囲気だねー。「えー、ほめてるよー? まさに適材適所ー。ずっとロイスがお店の前に立っててくれたら、販売目標倍にできるかも?」「それはありがたいわね♪」 ソフィーさんもホクホク顔。「もう、みんなして私のことをからかって! 知らないんだから~」 プイと後ろを向いてしまう。耳まで赤いロイスさん。あらあら♡ かわいいお顔をこっちに見せて♪ それにしてもロイスはすっかり打ち解けたねー。このお店の天使ちゃんたちは、貴族の方と接する機会も多いけど、相手の身分で変に壁を作らないの
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第四章 第4話 アリシア、ギャンブルの怖さをわからせる

「いらっしゃいませー♪ 龍神の館へようこそー」 18時30分。 予定通り夜営業開始。 とは言っても、予定通りでない部分もあった。開店前からお店の前にたくさんの行列ができてしまい、急きょ整理券を配布することになってしまったわけで……。 ローラーシューズショー見学用のチケットは席代をチャージ制に。 お食事だけの席は60分制にしてもらった。あとは今日だけテラス席も開放して、そっちでも飲食を楽しめるように突貫工事!「危なかったー。天使ちゃんたちが気づいてくれなかったら、また昼間の二の舞を踏むことになってたよ」「ホントよね。でも夜のテラス席もなかなか乙なものね。アリシアの用意してくれたライト、ステキだわ~♡」 ソフィーさんも喜んでくれていた。 各テーブルにランタンを設置してお料理を上から照らすようにしてみましたー。必要以上にライトをつけないようにしたほうがいいよね。せっかくの屋外だし、星空も楽しめるようにね。「それにしてもちょっと意外です」 わたしはぼそりとつぶやく。「どうしたの? 何かまた想定と違ったのかしら?」「えーとですね。お客様の層が意外だなーと。これまでの傾向だと、失礼ですが、もうちょっと裕福な方々が多くお見えになるのかと思っていたので……」「そうね。たしかに。こうしてみると昼間のお客様とそう変わらないかもしれないわ……。ご家族連れも多くみられるし。もしかしたら貴族の方々は様子見をされているのかもしれないわね」 ソフィーさんが腕を組み、分析する。 といっても、胸の筋肉がパンパンで、胸の下に手を添えるだけになっているのがちょっとかわいい。「様子見ですかー。ガーランド伯爵のプロモーションに食いついたのは庶民の方が多いのですね。ガーランド伯爵の支持者はそっちに偏っているのかな?」「あなた、するどいわね……。セドリックは一般の市民をとても大切にしているから、逆に近隣の貴族受けがあんまり良くないのよね。でも王宮とはうまくやっているから大丈夫だとは思うのだけれど、いつもハラハラしちゃうわ……」 周りに聞こえないように配慮しているのか、ソフィーさんが小声でつぶやき、ため息をついた。 政治の話かあ。あっちを立てればこっちが立たず。大人の世界は難しいですなー。「うちのお店をうまいこと利用してほしいのだけれど、肝心の貴族が寄り付かなくなってし
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第四章 第5話 アリシア、VIPのお客様をおもてなしする

「マーチャン様、本日は龍神の館にお越しいただき、誠にありがとうございます」「うむ。約束通りきてやったぞよ」 あ、プレオープンセレモニーの時の小さなお客様だ! 約束してたっけ⁉ 今日も鮮やかな緑色のマントをすっぽりかぶっちゃって……ちょっと怪しい人よね。「これはこれはマーチャン様~♡ いつもご贔屓にしていただきありがとうございます♡」 ソフィーさんが大歓迎、といった具合に膝をついて両手を広げる。幼児を出迎えるパパ? 貴族じゃないけれど常連さんなのよね、きっと。 あれ? でもお連れの方は……?「うむ。今日も楽しませてもらうぞよ」「本日からリニューアルオープンですから、今までよりも一層ご満足いただけると思いますわ。本日は3階の特別な個室をご用意しておりますの。オホホホホ」「うむ。プレオープンのパーティーは大変満足じゃった。今宵も期待しておるぞよ」 上機嫌なのは良いけれど、子どもなのにまるで仙人みたいなしゃべり方ね。店に入ってもマントをぜんぜん脱がないし。「さあさ、3階までお運びいたしますね。失礼して~」 ソフィーさんがマーチャン様を片手で持ち上げると、なんとそのまま自分の肩に乗せる。マーチャン様の体がいくら小さいからって、それは失礼には当たらないの? マントの色的に、まるでオークの肩に止まるオウムみたい。「ほう? おぬしもローラーシューズとやらが使えるのか。めいっぱいスピードを出すがよいぞ!」「言いましたね? 後悔しても知りませんからね。飛ばしますわよ~!」 オークとオウムが笑い合いながら階段を登っていく。なんかすっごい仲良さげ……。ていうか、これは何を見せられてるの? ディスカバリーチャンネル?「あ、置いてかれた……。ほら、あなたたちもぼーっとしてないで、準備にとりかかるー! VIPのお客様をお待たせしないよー!」 わたしの隣で階段を眺め続ける天使ちゃんたちにはっぱをかけて、わたしも後を追うことにした。* * * なんとか3階のVIPルームの入り口で2人に追いつく。「本日のコース料理ですが……3名様でご予約をいただいておりまして……お連れ様をお待ちしてからスタートなさいますか?」 普通にお1人のまま部屋まで来ちゃってるけど、待ち合わせはお店の中なのかな?「アリシア、マーチャン様はこのままで大丈夫よ。すぐに始めちゃってちょうだい
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第四章 第6話 アリシア、闘魂注入する

 VIPのお客様のお相手は、ソフィーさんとマーチャン様のお気に入りの天使ちゃんたちに任せてーと。わたしは調理場の様子と1階のホールの様子も確認しないとね! プロデューサーさんは大忙しなのだ!「どうやってるー? 機械の調子はどうかしら?」 夜の間、ナゲットクンの機械はお休みさせているけれど、他の機械は稼働しっぱなしにしているのです。大盛況だから、製造し続けておかないと明日売るものが足りなくなってしまう恐れがありまして。「はい。順調です。肉の裁断機は正常に動いています。油の温度調節も正常です。オーブンも正常に動作しています」 調理場の天使ちゃんたちはとってもまじめ。 時間ごとにしっかりとシフトを守って働いてくれている。「報告ありがとう! サポートロボットの調子はどうかしら? ちゃんと役に立ってそう?」 重いものを運んだり、料理をサーブする補助のために、ホールの天使ちゃんたちに1人につき1体のサポートロボットをつけてみたのでした。個人認証させて自動追従するシステムだよー。高速で移動しても汁物をこぼさない重力制御搭載! キッチンから天使ちゃんが手で運ぶよりも事故がなくて安全!「ええ、そちらも今のところとても順調のようです。ホール係の話によると、『丸っこくてかわいい』とお客様からも好評をいただいているようです」 でしょうでしょう♪ 皇帝ペンギンの皇ペンちゃんですよー。ローラーシューズでシューっと滑っていく姿がペンギンっぽかったので、外見もかわいらしくしてみたよ♪ ゆくゆくはグッズ化! とりあえず表のガチャガチャに皇ペンちゃんグッズを入れてみて世の反応を見てみるか……。「お席が60分制になっていますから、料理の待ち時間を極力減らすことを心がけていきましょうね。注文したらサッと料理が出てくる。お食事に満足してすぐに帰っていただく。そして次のお客様をお迎えする。大変ですけど短い時間でお客様に満足していただけるように、しっかりとおもてなしをよろしくお願いします!」「「YES、暴君幼女!」」「おい、声を揃えて暴君幼女って呼ぶなっ! ホントに暴力振るうぞ! わたしの全力パンチはホントに痛いからなっ!」 こぶしを振り上げると、天使ちゃんたちが笑いながら散り散りになって逃げていく。 まったく、悪ふざけが過ぎるわ! 君たちのまかないは1品減らす! さて、次は
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第四章 第7話 アリシア、『日乃本酒・龍神』を提案する

「え、何? ソフィーさんが呼んでるの? 3階のVIPルーム?」 ホールに向かってローラーシューズで滑っていたところ、天使ちゃんに呼び止められた。「もうすぐローラーシューズショーなんだけどなー。なんかトラブル?」「はい、どうやらお客様が暴……アリシアちゃんを呼んでいるみたいで」 ギリ許す。キミにはアメちゃんを上げよう。「お客様かー。それはしかたないね。いきます。でもちょっと待って」 しまったなー。体が2つほしい。コピーロボットの開発を本気で進めなければ……。 でも今日のところはこれでなんとか指示を――。 アイテム収納ボックスから開発したばかりのヘッドセットを取り出して装着する。 うまく使えるかな?「あー、あー、マイクテストマイクテスト。こちらアリシア。控室、聞こえますか?」 どうかな。……反応ないな。「こちらアリシア。声が聞こえていたら、緑の〇ボタンを押して通話を開始してください。オーバー?」『……れ、ですね。もしかしてトランシーバー? こちらロイス、聞こえますか? オーバー?』「お、ロイス。さすが! そう、トランシーバーだよ。こっちの声は聞こえてる?」『ええ、クリアに聞こえています。アリシア、あなたこんなものまで作っているの?』「機械類は得意分野なのー。学生時代にちょっとね。だけど魔石って便利ね。音声を集積して電波に変えて飛ばすこともできたのよー。まあ、でも電波が届く範囲は狭いから、せいぜい店内くらいの範囲にはなっちゃうけどね」『それはそれは……。それで何か用事?』「ああ、そう。ちょっとトラブルみたいで、VIPルームに行かないといけないの。だから20時のローラーシューズショーに立ち会えないと思う」『大丈夫、かしら……。みなさん平気?』 さすがにちょっと不安そう。 ロイスが3人の反応を確認してくれているみたいね。『闘魂注入されたからいけるって』「よろしい! 良い返事だ! みんなの活躍に期待してるよ!」『私に何かできることはある?』「そうねー。3人を送り出してくれると助かる」『送り出す?』「そう、送り出すー。ほっぺにキスして『がんばって♡』ってやつー」『うそでしょ⁉ あなたいつもそんなことやってるの⁉』「じゃあ頼んだよー。急いでいるから通話終了。オーバー!」『あ、ちょ――』 はい終了。 顔を赤くして慌てふ
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第四章 第8話 アリシア、技術よりも持久力が大事だと知る

「それで私言ってやったのよ~。あなたとはもう終わったのよ! 話しかけないでちょうだいって!」「おお、はっきり言ってやったのじゃな。それで、相手はどうなったのじゃ?」「それがね。泣くんですよ~。『あの愛し合った日々が忘れられない。俺を捨てないでくれ』って。男らしくないったらありゃしない」 うーむ。ソフィーさんもガンガンにお酒飲んで酔っ払っていらっしゃる……。 マーチャン様が楽しそうだからまあいいんだろうけど、VIPルームってこういうものなのかな? わたしが想像していたものとずいぶん違う……。 なんかほら、アタッシュケースに金貨がぎっしり入っていてさ、サングラスをした男が「確かに、1万枚の金貨を受け取りました。おーい、山田君、例のモノをお持ちして」「かしこまりましたー」「それではですね、そのかつらとサングラスをしていただいて、わたしたちは殺し屋の集団ということになります。わたしが先輩、みなさんが後輩です。『わたしが、おや、そんなに急いでどこに行くんだい?』と後輩のみなさんに声をかけますから、続いてお答えください」って感じのやつを想像してたんだけどなー。「それでね。そいつったら、往来の真ん中で突然服を脱ぎだしちゃって~」「それは傑作じゃの!」「『こんなところでみっともないからやめなさい』って言ったら、『じゃあ最後に1回だけ』って、まさかの体目当てだったのよ~。最低な男よね♡」「それは最低じゃの!」 いや、何の話よ……。 酔っ払いの会話やばいね。『アリシア? こちらロイス。聞こえたら返事どうぞ。オーバー』 お、ロイスから連絡だ。 どうしたんだろ。「こちらアリシア。聞こえてますよ。オーバー」『良かったわ。こっちは無事ローラーシューズショーが終わったわよ。みんながんばってた! お客様も大盛り上がりで大成功だったわよ!』 ロイスのテンションが高い。 それだけうまく行ったってことかな。良かった良かった。「報告ありがとう! うまくいったみたいで良かったわー。初回なのに見てあげられなくてごめんってみんなに謝っておいてくれる?」『うんうん。伝えとくね。セイヤーがね「暴君幼女がいなくてももう大丈夫っす」って言ってるわ』「ほう、そうかそうか。セイヤーはあとでわたしがどれくらい暴君かを体にわからせてやらないといけないようだね」『あ、セイヤーが逃げた
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第四章 第9話 アリシア、踊る。そして――

「それで、この踊りはどのように楽しめばよいのじゃ?」 チームドラゴンの演技を見ながら、マーチャン様が梅酒のグラスを傾ける。丸い氷がグラスの中でカランと音を立てた。 あんまり興味ない感じかなー。ソフィーさんと話をしているほうが楽しそうに見える。「お店のサービスの1つでございますので、お好きなようにご覧いただければ幸いです」「お好きなようにとはどうしたらよいのじゃ? 我にはわからんのじゃ」「そうですね。横目に見ながらお話を続けていただいてもけっこうですし……。わたしでしたら……この柔らかな音楽に合わせて踊る彼らの手足の動きに色気を感じてつい見つめてしまいますね」「色気とな。汝はあの3人の誰かが好きなのか?」 グラスをテーブルに置き、グイと顔を近づけてくる。興味津々といったところかな。どうやら恋愛話が好きな人みたいね。「いいえ、そういうことではなく……。えーと、一般論としてですね。男性のしなやかな動きに美しさと尊さを感じると言いますか……。ずっと見ていたいな。あの筋肉に触れてみたいな……となりませんか?」 なりますよね⁉ マーチャン様も女性ならちょっとはわかりますよね⁉「ならんの~。これっぽっちもならんの。我は未発達な体のほうが好きじゃ」 なんと……。あ、ああ……お気に入りの天使ちゃんたち、わたしと同い年くらいの新人ちゃん2名だったわ。マーチャン様ってば、ショタ好きでしたのね……。自分もロリロリなのに。「さ、さようでございましたか。では……わたしが少し踊りましょうか。なんちゃって」 ショタじゃないけど未発達な体……って誰がまな板幼女だっ!『交渉』スキルの持続効果のおかげで、容姿・体型ともにけっこう良い感じに成長してきてるわっ!「おう。それは見たいの。我はアリシアのことは気に入っておるぞ。ちと踊ってみせよ」 マジですかい。 まあ、それで楽しんでいただけるなら別にかまいませんけれどもね。 「かしこまりました。それでは失礼してわたしも舞台へ。どうぞごゆるりとお楽しみくださいませ」 恭しく頭を下げてから、わたしは3人のもとへ滑り出していく。 大きな動作で滑りつつ、3人それぞれと順番に絡んでいき、小声で事情を説明する。少し演技構成を変えて、わたしを中心にお願いね。 BGMチェンジ! ワルツで行こう! さあ見て。わたしたちの演技。チームの
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第四章 第10話 アリシア、水の女神の加護を受ける

「アリシアよ、我のものになるが良いぞ」 マーチャン様、もとい、マーナヒリン様が手を差し伸べてこられた。 めっちゃ笑顔……。 いざ女神様ですって言われて見ると、そこはかとなく気品を感じて……でもとにかくやっぱり超絶美少女だね! ロイスとは違った美しさよねー。これが人ならざる者の美しさなのかな。 だけど――。「我のものって言われてましても……」 さすがに躊躇しちゃうよね。ミィちゃんはあんなふうに言っていたけれど、本心はどうかなー。独占欲強そうだし。「我ら女神にそのような感情はないぞよ」 ぞよ……。 ああ、マーナヒリン様も心が読めるのね。 女神様はみんなそうなのかな。「汝を気に入った。だから我も加護を与えたい。ただそれだけなのじゃよ」 じゃよ……。 美少女でその語尾はずるい! なんかかわいくて抱きしめたくなっちゃう!「抱きしめてもよいぞ。我なら写真を撮っても、販売してもミィシェリアと違って怒ったりせぬぞ」『私も怒ったりはしていません! ですが派手に目立ちすぎるのを避けるために……』 あ、結局ミィちゃんも会話に参加するのね。 まあそのほうが早いかな。 でもさっきからソフィーさんがなんかオロオロしてるんですけど……。「おおそうか。ソフィー。今アリシアと大切な話をしておるから、部下を連れて下に行っていてくれるか?」「はい。かしこまりました……」 うぉ? ソフィーさんと天使ちゃんたちの目が急に虚ろに。 ゾンビみたいに歩いてVIPルームから出ていっちゃった……。「人払いは済んだぞよ」 うわー。やっぱり何かしらの力で人を操ったんだ! こわっ!「我はアリシアのすべてを受け入れるぞよ。我の裸の写真が撮りたいのか? 良いぞ。遠慮するな」 え、マジ? いいの? 何も言っていないし、今そんなことはちょっとも思ってもいないんですけど……。でも撮っていいなら……。『マーナヒリン! それはさすがにダメです』「冗談じゃよ。あいかわらずミィシェリアは固いの」「おっぱいは柔らかいのにね」「けしからんの」「けしからんの♡」 マーナヒリン様ってばノリがいい! ちょっと好きかも♡『2人して……。アリシア、女神が加護を与えると言っているのです。それは断るものではありませんよ。喜んで受け入れればそれで良いのです』 ふーん。そういうものかあ。 
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