All Chapters of 暴君幼女は愛されたい!: Chapter 31 - Chapter 40

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第二章 第18話 アリシア、親方にお金儲けの相談をする

「お前さんの実力はよ~くわかったよ。俺が教えることは何もなさそうだな!」 親方が豪快に笑う。 そう言われてもなー。まだ親方と対決してないし、わたしのほうはぜんぜん親方の実力がわかってないんですけど。「そんなこと言わずにいろいろ教えてくださいよー。特許の取り方や商売の仕方も知りたいんですよー」 オリジナル商品の販売経路や販売方法はしっかりと確立させたい。危ない橋はわたりたくないから、もし可能なら親方の伝手を使って、商売の後ろ盾を手にしたいところ。「安心しろい。そっちはちゃんと世話してやるよ。ミィシェリア様から頼まれてっからな」 親方が親指を立てて良い笑顔で頷いた。 頼もしいね! ミィちゃん根回ししてくれてありがと♡「ちなみにどんなものを売りてぇんだ?」「そうですねー。いろいろ考えてるんですけど、あんまり目立ちたくはないのでちょっとずつ様子見をしたいかなとは思ってます」 そう言いながら、ローラーシューズを脱いで親方に手渡す。「これなんかは需要あるかなとは思ってるんですけどー」「こいつはなんだ? 靴底に柔らかい車輪……? なめらかな良い仕上がりだが」「これで地面を滑って移動するんですよ」 親方からローラーシューズを受け取って履き直すと、ちょっとだけ工房の中を滑ってみせた。「こいつはたまげた!」「どうですかー? イメージ伝わりました?」 工房を一周してから、親方の目と鼻の先でピタリと止まる。「すげぇ発想だ。こいつはやられたな」「魔力駆動なんですけど、需要あると思います?」「ある。間違いなく需要はある。だが、価格と売り方次第だな」 ですよねー。 そこがいまいちイメージついていないのよねー。 さすが親方。核心をついてくるなあ。「最終的には商業ギルドに相談することにはなるんだが、俺だったら貴族向けに高額で売り出してぇな」 親方が唸る。「やりようによっては安く普及させることもできますけど、やっぱり貴族向けが良いんですか?」 もう少し理由を深堀したい。「こいつぁアイディアが目新しすぎる。最初は単純な移動手段として売り出すより、娯楽品として売り出すほうが良いと思うぜ」「それはなぜです?」「こいつの有用性を理解できるヤツだけに販売して、そいつらに宣伝させるほうが価値が高まるってぇ寸法だ」「なるほど。貴族の方たちの間での宣伝効
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第二章 第19話 アリシア、親方を遠隔操作で好き放題にする

「うぉ……こいつぁいきなり俺が履いても大丈夫なのか……? うほぉ」 親方に新しいローラーシューズを仕立てて履かせてみた。でも一向に滑ろうとしない。テーブルの端っこをつかんだまま、産まれたての小鹿のようにプルプル震えている。「大丈夫ですよー。魔力を充てんしなければただの靴ですから」 魔力駆動だから、魔力を流さない限り車輪は回らない。だから転んだりもしないってわけ。「親方も多少は魔力を扱えるんですよね?」 魔力が0の人はさすがに想定されていない造りだからね。  大なり小なり魔力があって制御ができる前提のアイテムにはなってしまう。魔力の蓄積はしておけるけれど、制御だけはその場でしてもらわないと止まれなかったら大変なことになってしまうから。「それなら人並みってところだな」「だったら大丈夫ですよ。魔力量が少ない場合には補助できるようにしてありますし、制御が危なっかしい人向けには補助輪的にもっと低速のリミッターもつけられますから」 まだつけてないけど、販売用のローラーシューズにはそういうのも必要だろうとは思ってる。速度が出すぎて大事故になるのだけは避けないと。  たくさんの人に使ってもらうなら、自動ブレーキシステムもほしいかなー。それとエアバッグも。やっぱりどんな場面でも、ローラーシューズを使ってケガをしないようにしてほしいし。「さ、まずは滑るイメージを持って実践ですよ!」 いつまでも小鹿になってないで、おれっちと湾岸を暴走しようぜ!「イメージな……。俺は滑る。滑る。滑るぞー! いけー!」 威勢だけはいいんだけど、体は何一つ動いていない。  はよ滑れや。   「親方……。日が暮れちゃいますよ。早いところ料理店に案内してほしいんですけど」 ダラダラしてるなら、背中にジェット噴射つけるよ?  あーもうじれったいな。「親方退場! 幽霊……ドレフィン先輩。ちょっと代わって」「お、オレ、ですか?」 静かに刺繍をしていたドレフィン先輩。  急に呼びつけたらビクンってなったね。しかも敬語って……もしかして、わたし怖い?「そう、オレちゃん。ちょっとビビってる親方の靴を脱がして、ローラーで滑ってみてくれませんか?」 安全なところを親方に見せて、なんとか自力で滑れるようになってもらわないと。 幽霊先輩が親方からローラーシューズを受け
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第三章 第1話 アリシア、モンスターに遭遇する

「親方、ここ……ですか?」「おう、ここのオーナーとはちと交流があるんだわ」 親方に連れられていった先。そこには立派な料理店があった。……いや、ここってホントに料理店なの? 宮殿かなにかの間違いでは? 紫禁城や首里城を思わせるような美しい門がわたしたちを出迎えていた。赤をベースにした立派な柱に、金や銀のドラゴンが絡みついている。「高級店っぽい店構えですね……。何料理のお店なんですか?」「さあ、俺は食ったことねぇしわかんね~。でも貴族様たちが集まる店だってことは聞いてるぜ」 親方が良い顔で親指を立てる。 まあ、そうか。平民が入れるような店じゃないよっていうのは見た目のまんまみたい。 でもさあ、格式ばったお店だと、ローラーシューズで配膳させてもらえないかもねー。もうちょっと庶民寄りのお店のほうがありがたいけど、貴族が行く店と平民が行く店がきっぱり分かれているとこうなっちゃうかー。「アポなしだから、ちょっと裏口から入って話せにゃならん。いくぞ」「はい、お願いします!」 わたしたちは正殿の門を迂回し、裏門の従業員通用口みたいなところに向かった。 親方が門の前にいる従業員さん……警備員(?)に二言三言、話をすると、2人いたうちの1人の警備の人が奥に引っ込んでいく。「おう、たぶんオーナーと話はできると思うぜ」 「ここのオーナーとはどういう関係なんですか?」「それはこのあとすぐにわかる」 親方が得意げに笑った。 このあとすぐ、ね。CMみたいな引っ張り方……。 警備の人がすぐに戻ってきて、わたしたちは中へと案内される。「うわー天井高い! 立派な建物ですねー」「そうだな。ここはもともと伯爵家の別邸だったものを改築したらしいんだわ」「ガーランド伯爵様の! それでこんなに立派な造りなんですね」 どことなく中華風を思わせる建物だ。天井は高く、平屋作り。太い真っ赤な柱によって支えられている。天井には龍の絵や装飾に交じって、七女神の姿を描いた壁画があった。ミィちゃんの顔、似てなさすぎてウケるー。 しばらく歩いた先、小部屋に通された。応接室という雰囲気ではない。小さな木製の丸テーブルが3つ、それぞれに簡素な木製のイスが3脚ずつ。どちらかというと従業員控室、みたいな質素さを感じる。「こちらへどうぞ。ソフィー様はすぐにお見えになるとのことです」 警
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第三章 第2話 アリシア、下ネタを華麗にかわす

「アリシアと申します。本日はお話を聞いてくださりありがとうございます」「あらご丁寧にどうも。小さいのにえらいわね」 ソフィーさんが膝をかがめて目線を合わせてくる。 小さい、だと……。ソフィーさんの目線の先は……何だ、背か。それなら許すか……。これから大きくなりますからね!「えーと、これがローラーシューズです。靴の裏にやわらかい車輪がついていて、魔力を通すと車輪が回る仕組みになっています」 一応靴の裏を見せて説明を入れてみる。ソフィーさんは不思議そうな顔で車輪を触ったり、靴の中を覗いたりしている。オークにはちょっと難しいかも……。「説明だけだとわかりにくいと思いますので、実際に滑ってみますね」 小さく深呼吸をしてから、わたしはローラーシューズに魔力を通した。 少し部屋が狭いので速度は出せないけれど、小回りが利くところは見せられる、かな。「こんな感じですー。イメージを魔力に乗せて滑るので、歩く時と同じように障害物があれば避ければいいし、止まりたければ止まればいいって感じです」 小さな部屋を一周し、バックステップや軽くスピンなども見せつつ、ソフィーさん前で止まる。「どうでしたか?」「ステキじゃな~い! とってもエレガントよ!」 ソフィーさんの目が輝いていた。かなり気にいってくれたっぽい? もしかして話のわかる人かな?「私も滑ってみたいわ。貸してくれないかしら?」「もちろんです。従業員の方に履いてもらおうと思って持ってきていますから、予備はたくさんあります」 そう言ってアイテム収納ボックスから何足かローラーシューズを取り出す。「サイズはどれが合いそうでしょうかね。いくつか履いてみてください」「あら~。履き心地もいいのね。革製? ところどころ布?」「そうですー。木靴は長時間労働には向いていませんから、クッション材を入れたり、靴自体も改良をしています」 そこは前世の記憶を使ってスニーカー風の履き心地を再現してみたよー。こんなに食いついてもらえるなら、ローラーついてなくてもスニーカーとして売れるかも? そっちの展開もちょっと検討しておかなきゃ!「ソフィーさんだとこのサイズですね。あとは靴紐を縛って足にフィットさせていきます」「縛る⁉ 縛るの⁉ やだもう~、子どもがそんなことしちゃダメよ~。まだ早いわ♡」「……えっと?」 なんのこと
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第三章 第3話 アリシア、ひさしぶりに礼拝する

「というわけなのよ! ねぇねぇ、ミィちゃん、わたしどうしたらいいのー⁉」 今日はひさしぶりに神殿を訪れているのです。 生ミィシェリア様の足に縋りついて弱音を吐いているところ。ぐっすん。「ひさしぶりに礼拝に訪れたと思ったら……もう、足を舐めないでください」 ミィちゃんペロペロ。 女神の加護を直接手に入れるんじゃあ。「そんなことをしても女神の加護は付与されませんから……」 気持ち的にね? だいぶアガるよ? ミィちゃんもやってみなよ。「どこの世界に自分の足を舐めてアガる女神がいますか……」 今ならオンリーワン女神様になれる!「やりません!」「えー、保守的ー。そんなんじゃ新しい信徒を獲得できないよ? もっとエロをバラまきしないと次の総選挙に負けるよ?」「女神に選挙はないので……」「総選挙ないの⁉ 総選挙で選ばれた女神7じゃないの⁉」「いいえ……」「ミィちゃんって女神7の中で何位? もちろん1位だよね⁉ エロで釣ってるし!」「女神に優劣はありませんから。それとわたしは断じてエロで釣ってなんかいません!」「えー。世の中にはこーんな写真も出回ってたから、とうとうミィちゃんもエロエンサー始めたのかと思ったー」 と、わたしはおもむろにインスタント写真をミィシェリア様の前に並べていく。その数100枚ほど。「これは口元を手で隠してからの谷間のドアップでしょー。これはあらあら、お尻を突き出しちゃってーTバックの線が出るなんて相当エロいですよー。おーこれは肩ひもが外れて鎖骨が! ああっ、最後のやつはセルフ足ペロペロしてる!」「これ……出所は絶対アリシアですよね……。しかも身に覚えがない写真ばかり。しかも足ペロペロは今作りましたね?」「てへぺろ。足ペロだけに♡」「全然うまくないですよ……。こんな捏造写真、世の中に流出させるのは絶対にダメですからね」 ミィシェリア様が深いため息をつく。「冗談よー。個人で楽しむだけだからセーフセーフ!」「それもぜんぜんセーフではないのですが……。アリシアはイメージを念写することもできるようになったのですね。成長しましたね」 自分の合成エロ写真を見せられても、やさしく笑いかけてくれるみぃちゃんマジ天使。いや、マジ女神!「そうなんですよー。いろいろ作っていたら創作Lv2になったので、できることも増えた、みたいな?
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第三章 第4話 アリシア、アイドルの選考委員になる

「というわけで、ローラーシューズショーに出てもらうアイドルメンバーを選考します!」 料理店『龍神の館』で働くホールスタッフの中から3人のメンバーを選抜しようと思います。 選考委員は、わたしとソフィーさん!「いいわね。楽しそうじゃないの~♡」 ソフィーさんがノリノリだ。 お店のオーナーだし、従業員のことはよくわかっているはず。迷った時はお願いしますね。「選考基準は、『ルックス』『スター性』『運動神経』『対応力』の4つで行きたいと思います。5段階評価でつけましょう」「難しいわねぇ。私スタッフの天使ちゃんたちを採用する時は、最初に見た時ビビッときた子を採用することにしてるから、基準と言われてもよくわからないのよね……」 ソフィーさんが眉根を寄せる。 なるほど、ソフィー将軍は本能型なのね。「その基準で大丈夫です! フィーリング大事! お客さんも素人ですから、初めて見た時に『おっ?』ってなる人を選びたいって意味なのです」 結局アイドルって理屈じゃないもんね。見たらわかるっていうか、誰にでもわかるほど輝いていないとダメっていうか。「ところでスタッフさんたちは何人くらいいるんです? 10人? 20人?」 店の規模からして数人ってことはないと思うけど、あんまり多いと選考大変だなあ。「100人よ」 はい?「在籍している天使ちゃんたちはちょうど100人よ」 なぜそんなに誇らしげなんですか?「えっと、この店の規模で? 席数100もないですよね?」「そうね。ホールに20席。VIPルームが5つよ」 あー、VIPルームに専属のスタッフがいるのかあ。あとは調理のスタッフとか、そういうのを考えても100人は多いね。「ホールはだいぶ広めですよね。ローラーシューズで各テーブルを回るには理想的な距離感です。だけどショーをするにはちょっと狭いかなあ」 ステージみたいなのを作れればいいんだけど、そうしちゃうと席数も減っちゃうしむずかしいところ。「派手にいきましょ。ショーは毎晩1度。その時間帯は席数を半分に減らして、チャージ料をいただけばバンバンジーよ♡」 さすがやり手のオーナー! それならショー自体にお金を払ってもらわなくてもいいし、席が減ることでのプレミア感も出ていいかも!「ホールの半分もスペースがあればやれることは多そうです! 良いと思います!」「じ
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第三章 第5話 アリシア、100人のイケメンと出会う

「ローラーシューズショーのメンバー選考会をはじめます。1組目の方たち、ローラーシューズは履けましたか?」 1組目、5人のイケメンたちが横並びに整列する。 思い思いのポーズで。 そして、ソファにふんぞり返ったソフィーさんとわたし。 偉そう? チッチッチ。選考委員様は偉いのだよ! たぶんソフィーさんは枕営業を……わたしは受け付けてませんよ⁉ 清らかな魂を持っていないとミィちゃんに嫌われちゃうもん! 裏金は受け付けても、体はノーサンキューよ!「はーい、みなさん準備は良さそうですね。それでは5分間、シューズに慣れるために好きに動き回ってみてください。使い方は説明した通りですが、不明点があれば遠慮なく聞きに来てください。それによって合否に影響はありませんからねー」 イケメンたちは小さくうなずき、それぞれ滑り出した。「かわいいわ~、天使ちゃんたち♡」 ソフィーさん、早くもスタンディングオベーション状態。拍手が止まらない。 これは選考なので……ちゃんと選んでくださいね? 選考基準は、『ルックス』『スター性』『運動神経』『対応力』の4つ、5段階評価、20点満点での採点ですからね? しかしまあ、こうしてみるとおもしろいね。 ただグルグル滑っているだけの人、何かできないか立ち止まって考えている人、ひたすらわたしのほうを見てアピールしてくる人。……まさか惚れられたかな? なかなかイケメン……ナンバー3の人、ルックス4、と……ウィンク、はちょっとわざとらしいし、わたしとキャラがかぶるので、やっぱり3と。ショーだから、固定レスばかりしてると他のお客さんがおもしろくないからね。その辺りがわかってないと困るからマイナス評価。 おお、ナンバー5の人、いいね。出で立ちが違う。指先、つま先まで見せる動きになっているね。「ソフィーさん、あの人、5番の人どうです?」 ソフィーさんに顔を寄せながら小声で話しかけてみる。「ああ、彼ね。彼はいいわよ。ガーランドに出稼ぎに来ていたところをスカウトしたの。孤児でね、冒険者のパーティーに拾われてそのままそこで育ったらしいのよ」「ほえー。つまりあの動きは戦闘訓練によるもの?」「そうね。ちょっとした知り合いのパーティーで、剣術の手ほどきをしてほしいという依頼で見てあげた時に、うちで引き取ることにしたのよ」 なんか複雑な話っぽい。 
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第三章 第6話 アリシア、迫真の演技をする

「ふぅー、疲れましたねー」 アイテム収納ボックスからもう1脚ソファをだして、わたしとソフィーさんはそれぞれ横になる。超ゼイタク! 悪魔的所業!「少し休みましょう。100人を一気に選考するのは私でも疲れたわよ……」 マッスルの塊のオークみたいなソフィーさんでも疲れるってことは……わたしは疲労でこのまま死んでしまうのでは? うーん、死ぬ前にちょっと回復薬飲んどこ……。ファイト一発! 効くぅ! 背中に翼を授かるね♪「それで、どうでしたー? 気になる子はいましたかー?」 ソファでダラダラしたまま、ソフィーさんに話しかけてみる。「どの子も私の天使ちゃんよ♡ 誰を選んでも文句ないわ♡」 ソフィーさんも寝ころんだまま。だけど選考用紙を凝視している。言葉の柔らかさとは裏腹に、その表情は真剣そのものだ。「みんなを愛しているのはわかりましたよー。それで、気になる子はいましたか?」「総合点が高い子をピックアップすると、4、5、21、24、30、55、78、80、92、93かしらね」 わたしも選考用紙を眺めながら、ソフィーさんが言った番号に丸をつけていく。「そうですねー。だけどちょっと多いな。……ここは思い切って、ルックスの項目は切って考えませんか? たぶん、最初からみんなイケメンなので、そこで選考しても仕方ない気がするんですよね」 ルックスは全員合格前提。それとは違うポイントで選考したいかなって。「そうしましょう。そうなると『スター性』『運動神経』『対応力』で見た時に上げていくとすると、5、21、30、55、80かしらね」「なるほど、良いと思います。わたしも概ね一致してます。5人の中から3人を選ぶ。もう一度この5人を見てみましょうか」 自分の中で何とか気合を入れて、ソファから起き上がる。 もうひと踏ん張りしますかねー。「1人ずつ別室に呼んで最終審査をしましょう」* * *「それでは最初の方どうぞー」 と言いつつ、わたしが扉を開けて、応接室に案内する。 まずは80番のお兄さんから。「ようこそー。ささ、気を楽にしてくださいね。最後の面接的な? ちょっとお話を聞きたいなーってだけなので。こちらにどうぞー」 和やかな雰囲気を演出しつつ、ソフィーさんの向かいのソファに案内する。 ソフィーさんもくつろいだ様子を見せていて、わたしの用意したあらごしリン
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第三章 第7話 アリシア、審査結果を発表する

「どのお兄さんもステキでした……」 と、わたしは審査員にあるまじき感想を述べてしまったわけだけど……。「さすが私の天使ちゃんたち……かっこいいわ~♡」 ソフィーさんも同じくらいポンコツでしたとさ。どうするのこれ?「最初の80番のお兄さんで決まりかなと思ったら、55番の人も21番の人も、みんなかっこよくわたしを助けるじゃないですかー。審査のハプニングが甘すぎたのかな……」「違うわよ。私の天使ちゃんたちが優秀なのよ♪」「そう、ですね。そうなんだと思います。ええ、完全にわたしの負けです」 ソフィーさんの審美眼が優れていた、つまりそういうことなんでしょう。 5人の中から誰かを選んだり、落としたりするのは無理! つまり――。「全員合格ですね」「そうなるわね。でもいけるのかしら?」 いけるとは、指導できるのかという意味だ。でも全員合格ならやるしかない、よね。「ミィシェリア様のご神託によると、『難しいことを考えすぎるな。やれることをやりなさい』ということでしたので、最初のうちは基本の滑る・回る・飛ぶ。これだけで勝負したいと思います」 団体演技だとか、フォーメーションだとか、YouTubeだとかは忘れることにします!「十分だと思うわ。さっそく5人を呼び戻して、説明お願いね♡」「イエス、マム!」 すぐに隣で控えていた5人が応接室に入ってくる。それはそれは堂々とした態度。合否を伝えられるような緊張感はまるで感じられない。 なんか、こう、ソフィーさんの天使さんたちは、思っているよりも大化けするようなとんでもない人たちなのかもしれないね。豪胆というか、鉄のメンタルというか。尊敬しちゃうわ。「先ほどはありがとうございました。みなさんのことを何度も試すようなマネをしてしまい、ごめんなさいでした」 まずは真摯に、深々と頭を下げる。 無言。5人は横一列に整列したまま、微動だにしない。「姿勢を崩して良いわよん」 ソフィーさんのお許しを得て、休めのポーズ。両腕を後ろに回して組む。ずっと思ってたけど、休めのポーズってぜんぜん休んでないよね……。「えっとー、これからわたしたちは特別チームです。しばらくの間、みなさんには給仕の仕事は離れてもらいます。そしてわたしの直接の指揮下に入ってもらって、ローラーシューズでのショーの準備をしてもらうことになります」 自分
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第三章 第8話 アリシア、料理店をプロデュース。

「ソフィーさん。このお店の制服を作りませんか?」 おそろいなのがバンダナとエプロンだけっていうのはちょっと淋しいよ。「全身おそろいの服を着たほうが、お店の雰囲気も断然良くなると思うんですよねー」「おもしろいアイディアだわ。……だけど、服をすべて支給するとなると、それなりに予算がかかるのよ……」 ソフィーさんが悲しそうな表情で見つめてくる。 まあそうだよね。もともとやりたかったけれど、現実問題として厳しいので、バンダナとエプロンの揃えにした、ってことなのね……。「でもそれって、ニワトリが先かタマゴが先か問題ですねー。お店のサービスレベルを上げるのが先か、お客さんの人数・単価が上がるのが先か。わたしはね、両方チャレンジしても良いと思います」 どっちかだけなんて淋しいじゃない? せっかくショーもやるんだから、徹底的にお店の質と格を上げてやろうじゃないの! そうすれば評判も上がって貴族様たちが集うお店になるんじゃないの?「まったく、簡単に言ってくれるわね……。商売はアリシアが考えているほど単純ではないのよ」 ソフィーさんが自嘲気味に笑う。いろいろ試した結果が今だ、とでも言いたげな表情。 わかる、わかりますよー。そうそう、この世界の常識に照らし合わせたら、ソフィーさんはオーナーとしてがんばっているんだと思います。 だけどね、わたしは異世界からの転生者なのでー、チートスキルと前世の記憶を持つ存在なのですよ。わっはっは。ここは1つ、泥船に乗ったつもりで任せておきんしゃい! 間違えた。黒船に乗ったつもりで任せろー。カイコクシテクダサーイ!「えーと、どうでしょう。わたしにチャレンジさせてほしいんですよね。しばらくの間の資金はわたしが出します。そうですね、1カ月。それで芽が出なければお店のコンセプトその他すべて元に戻しましょう」「アリシア、あなた、いったい何をしようとしているの……?」 ソフィーさんが困惑した表情を見せている。 いいねー。余裕たっぷりだったソフィーさんにここまでの表情をさせるなんて。わたしもけっこう捨てたもんじゃないねーっと。「やりたいことはショー以外に大きく分けて3つです。『サービスの質の向上』『設備の質の向上』『料理の質の向上』です」 制服以外にも、ずっと考えていたアイディアを発表しーましょ♪ 具体的に言えばこう!『サービス
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