「頼もしいな。だが――俺にも少しは頼ってほしいんだが」 帝の低い囁きが耳朶を打ったかと思うと、強い力で引き寄せられ、私は彼の胸の中にすっぽりと閉じ込められた。 逞しい腕が私の腰を抱え上げ、軽々と執務室の革張りの巨大なソファへと運ばれる。 「あ……帝? 何を――」 「強がるなとは言わない。君のその凛とした強さは誇らしいし、心底惚れ直している」 ふわりとクッションに沈み込んだ私の身体を覆い隠すように、帝の重みが覆い被さってきた。 至近距離で交わる、濡れたような漆黒の双眸。冷酷な覇王の顔はそこにはなく、熱く蕩けるような独占欲と情愛に染まりきっている。 「けれど、俺の前でまで完璧な戦士でいる必要はない。……俺は君の夫で、君を愛し抜くと誓った男だ」 「帝……んっ」 言い終えるのを待たずに、熱い唇が私の唇を塞いだ。 陽太の件が片付き、心のどこかに残っていた張り詰めた糸が、彼の体温に触れた瞬間ぷつりと切れていく。 優しく、けれど逃げ道をすべて塞ぐような深い口づけ。唇を割って滑り込んでくる熱に、私の思考はあっという間に甘く痺れて溶かされていった。 「はぁ……っ、帝……ここは、オフィスですわ……」 「防音もセキュリティも万全だ。誰一人入ってこられない」
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