俊輔を始末するのは容易い。だが、そうして茉優は生き返るのか?俊輔を殺せば、自分の手も同じ血で汚れることになる。それでは、茉優を死に追いやったあの連中と、一体何が違うというのだ。果たして、この結末を招いた「真犯人」は一人と言えるのか?正宏の欲か?芳美の偏執か?美月の陰湿さか?俊輔の愚かな嘘か?それとも……自分自身の無関心と欺瞞、そして過ちを見過ごしてきた報いか?皆が共犯者だ。見えない網を編み、あの眩しかった少女を死の淵へ追い込んだのは、間違いなく自分たち全員だ。ガタンッ。司の指から拳銃が滑り落ち、高級なカーペットの上に鈍い音を立てて転がった。足取りが乱れ、冷たい壁を伝って床へとへたり込む。司は泣きも叫びもしなかった。見上げれば、華美な天井だけが広がっている。その瞳はひどく虚ろだった。真相は、救いをもたらさなかった。むしろ、果てのない絶望の重石を乗せただけだった。彼らは皆、これから永遠に自分自身が作り出した地獄の中で生きている。癒えることのない後悔を抱え、亡き命の影を追うことで、その生涯を終えていくのだ。……司による執拗な捜索は、数カ月も続いた。彼は街中をひっくり返すほどの勢いで捜索をした。提示した懸賞金は法外な額にまで跳ね上がり、巨額の報酬に釣られて集まった情報で溢れかえった。しかし、それらの真偽不明な情報の山は、すべて虚無という名の暗闇へと繋がっていた。一瞬見かけたあの後ろ姿も、深い沼に石を投げたように波紋だけを残して、跡形もなく消えていた。司が、もはや自分の記憶が生んだ幻影に過ぎないと諦め、さらに深い絶望の淵へと沈みかけていたその時、ようやく、一つの微かな手がかりが浮かび上がった。それは、北区の独立系のアーティストたちが集う新興のアートエリアを指し示していた。情報提供者によれば、プライベート展で車椅子の女画家を見かけたという。その儚げな美しさが、かつて亡くなったはずの陣内家の令嬢にすごく似しているとの話だった。司の心臓は、狂ったように脈打ち始めた。理性では「あり得ない」と分かっていても、彼は衝動のままに車を走らせていた。辿り着いた先は、蔦の絡まる古工場を改装したアトリエ。入り口の表札には「小林夕葉(こばやし ゆうは)」という名があった。茉優ではない。司の心がふっと沈む。それでも
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