All Chapters of ハズレ職業『エスパー』によって追放された俺、魔王すら超える力を手に入れる: Chapter 41 - Chapter 50

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第41話:王城襲撃③

 第3王子は繩でぐるぐる巻きにされて、まるでミノムシのようになっていた。だが、その状態でもやかましい。いっそ、腹に蹴りでも入れて、無理矢理黙らせてやろうかとさえ思えてくる。 だが、それを静止してきたのは大魔導士ミカであった。「人質に手をあげるのはご法度でございまする」 「そんなルールでもあるわけか? この世界には」 「はい、ありまする。人質や捕虜の扱い、あとはその交換に関する国際ルールが制定されておりますのじゃ」 「中世ナーロッパのくせに……」 どうにももやもやとしてしまう。ミノムシ状態にしなければよかったとすら思えてくる。完全に拘束してしまったことが裏目に出てしまった。「吾輩をどうする気でしゅか! このまま親父との交渉に使うでしゅか!」 「ああ、全くその通りだよ!」 「くーくくっ。浅知恵にもほどがあるのでしゅ」 「どういう意味だ?」 「まずひとつ。吾輩を背負ったまま、無事に国王である親父のとこにまで到達できないのでしゅ」 「やってみなきゃわからんだろ」 「さらにもうひとつ。この城にお前たちが探している聖騎士はいないのでしゅ」 「なん……だと!?」 聖騎士シャインはこの城に囚われているままだと思い込んでいた。しかし、実際は違った。急いで、聖騎士シャインをどこに移送したのかを第3王子に詰問した。「クククッ。邪龍が住まう神殿でしゅ。聖女が生贄になるのを拒んだから、今年は代わりに聖騎士シャインを生贄にすることにしたのでしゅ」 「どういうことだってばよ!?」 「おや? そこの聖女様から聞いてないのでしゅか?」 恐る恐る聖女ヴィオレッタの方へと視線を向けた。聖女は「あはは……」と苦笑していた。怒りが湧いてきた。「おい、ヴィオさん。あんたは俺に本当のことを隠していやがったのか!」 「隠してたわけじゃないわよ。話す機会がなかっただけ」 「くっ! 俺がそんなに信用できないってのか!」 「そうじゃないわ。これ以上、私のことで巻き込みたくなかっただけよ」 「どういう
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第42話:王城襲撃④

 自分たちの目の前に黄金色の扉が出現した。その扉は自然と開く。だが、その向こう側からは誰も現れない。 肩透かしを食らってしまった。ゲイルが恐れ知らずなのか、扉の向こう側を確認しに行く。その時だった。ゲイルの姿が忽然と消えたのだ。「!? 今、何が起きたんだ」 「はわわ。ゲイルさんが消えちゃったのですぅ!」 「リリー、ここは下がっていろ! なんか嫌な予感がする」 リリーをすぐさま下がらせる。そして、代わりに自分が前に出る。何故、ゲイルが消えてしまったのかの原因を探ろうとした。だが、その前に口うるさい第3王子がしゃしゃり出てきやがった。「お前の仲間はこの場から逃げたのでしゅ!」 「うるせー! 俺たちのゲイルがそんなことするわけねえだろっ!」 本当に口が減らない第3王子であった。しかしながら、ピーンと来るものがあった。この黄金の扉の前に立っていたゲイルが消えた。 これは転送装置の可能性がある。繩で簀巻き状態にしている第3王子を黄金の扉の前に転がしてやった。「な、何をするでしゅ!? 吾輩は消えたくないでしゅよ!」 「ははーん。お前も気づいているんだな?」 「いやーーー! どこかに飛ばされるでしゅーーー!」 第3王子は叫び声をあげた。だが、その声は途中でいきなりぶった切られることになった。予想通り、第3王子もどこかへと消えてしまった。「というわけだ。これは女神様からの助け舟みたいだ。俺たちも転送しよう」 「……どこに飛ばされるかもわからないってのに?」 「ヴィオさん。ここには聖騎士シャインがいないんだ。長居は無用だろ?」 「それはそうだけど」 「ほら、行こうぜ」 聖女ヴィオレッタに手を差し伸べる。そうだというのにまだ逡巡している聖女だった。そんな彼女の肩に手をポンと置いた大魔導士ミカが「お先に」と言って、黄金の扉の前に立つ。 すると、今度は大魔導士の姿が消えた。次に動いたのはリリーだった。「アルトさん。ヴィオさんをお願いします。でも、浮気は許しませんからね?」 「そ、そんなつもりでヴィ
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第43話:聖騎士救出①

 転送した先で目に飛び込んできたのはおどろおどろしい神殿であった。紫色のオーラを放っていやがった。その紫色のオーラがこちらに近づいてきた。思わず後ずさる。「これ、触れていいやつなのか?」 こんな異様な雰囲気を放つ神殿の前に立つ笑顔の女神に問いかけた。女神はさらに笑みを強くして、こちらに手を差し伸べてきやがった。「ようこそ、アルト。邪龍の神殿へ」 「俺、何の準備もしてないよ!?」 「大丈夫。今回は囚われの聖騎士シャインの救出にやってきただけだから。今のアルトに戦えなんて、そんな自殺行為、お勧めできないわ」 「その言葉、信じていいのか判断しかねるなぁ」 差し伸べられた手に手を合わせた。すると、イメージが脳内に再生された。聖騎士シャインが囚われている姿が見えた。 聖騎士シャインが着ている鎧のあちこちが破損している。さらに逃げられないようにと植物の蔓のようなもので拘束されている。「この映像は!?」 「聖騎士シャインはまだ生きているっていう証拠をあなたに見せてあげたのよ」 「場所はわからないんですか!?」 「神殿の生贄の間だと思うわ。そこにシャインがいるはずよ」 「そこまでわかっているのならば、なんで女神様が助けにいかないんだ!?」 「……そこは男の子が頑張るところじゃないの?」 「……そうなりますよね」 場所までわかっているなら、女神パワーでどうにかしてほしかった。だが、現実は甘くなかった。女神はそうしない。女性を助けるのは男性の役目だとして、こちらに仕事を押し付けてきやがった。「ちなみにやろうと思えば、やれるんですよね?」 「できるわよ。でも、私の力に呼応して、邪龍が目を覚ますわよ」 「ああ、なーるほど? 脆弱な力しかもってない俺なら、刺激しなくて済むってわけですね?」 「そういうこと。理解が早くて助かるわ~~~♪」 「とほほ……」 女神が「行ってらっしゃい」と手をひらひらさせている。うなだれるしかなかった。リリーがこちらに声をかけてくれた。「がんばってください、アルトさ
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第44話:聖騎士救出②

 禍々しいオーラを放つ邪龍の神殿の前に立つ。ボリボリと頭を掻いた。そうしていると、ポンとお尻をゲイルに叩かれた。「どうぞお先に。見えるのでしょう? 聖騎士シャインまでのルートが」 「頼りにされて涙が零れそうだぜ。ああ、しっかりと見てやるさ!」 透視能力を発動する。禍々しいオーラの中から清浄なオーラを見つけた。か細い糸のようなオーラであったが、この糸の先に聖騎士シャインがいるのだろうと予想できた。 ゲイルに向かってこくりと頷く。ゲイルがうんうんと頷き返してきた。二人揃って慎重に神殿内に足を踏み入れた。 その瞬間であった。とんでもなく臭い匂いが鼻をおおいに刺激してきた。吐き気を催した。酸っぱい胃液が食道をせせり上がってくる。「おえええ……なんちゅう匂いだ」 「死臭ですな。それもとんでもない量の」 「この中を歩けってかー?」 「行くしかないですなぁ」 「行くしかないのかぁ……」 ちらりと後ろを振り向く。リリーと聖女が「がんばれがんばれ」と応援してくれていた。そのこと自体は嬉しいのだが、それでも足がすくんでしまう。それほどの悪臭が鼻を襲ってきていた。 鼻に手を当てながら、恐る恐る神殿内に入る。さしものゲイルも自分と同じポーズだった。歴戦の戦士であるゲイルでも堪える匂いなのだろう。 神殿内に入り込んで10メートルもしないところで足が止まってしまった。激臭で目までもが痛くなってきたからだ。視界が歪む。そんな時、ゲイルがこちらの身体を支えてくれた。「トゥンク……じゃねえよ!」 「がーははっ。ワシに惚れるなよ?」 「男前すぎて、胸が高鳴っちまったよ」 「それだけ元気があれば、まだまだ大丈夫ですなっ」 ヤレヤレ……と肩をすくめるしかない。激臭すぎて、嗅覚が麻痺してきた。おかげで手で鼻を抑えなくてよくなった。 目がシパシパするが、直に慣れるだろうということで、ゲイルと一緒に先に進む。突き当りを右に曲がる。先ほどから見えている清浄なる糸のようなオーラがこの先に続いていたからだ。 右に曲がった後に階段があった。そこを
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第45話:聖騎士救出③

 ぐったりとして動けなくなっている聖騎士シャインを背負う。鎧が無い分、彼女本来の重さにびっくりしてしまう。(これが女子の体重ってやつ? 見た目と裏腹に軽すぎる!) 聖騎士シャインは自分と同じ身長だ。そして、胸にはFカップのおっぱいを実らせている。それならば、自分と大して体重はかわらないはずだと思えた。 実際には違った。背負ったことで、男と女がここまで違うものかとびっくりしてしまった。背中に当たるおっぱいの感触を楽しんでいる暇などいっさいなかった。「女子を助けるのは男子冥利だとは思いませんか?」 「それが憎々しいシャインじゃなかったら、もっと良かったって思ってる」 「がははっ。アルト殿は狭量ですな」 「うるせえ。散々ひどい目、見せられてんだこっちは。てか、やっぱり仕返しにおっぱい揉んでおけばよかった?」 「ゆっさゆっさと身体を揺らしてあげなされ。それで背中におっぱいがこすりつけられるでしょう」 「そこまで俺の足腰が強くないから却下かな」 バカ話をしながら神殿から脱出しようとしていた。足元に転がる大量の骨がとにかく邪魔だ。こちらはシャインを背負っている。危なくて仕方がなかった。 変な風に骨を踏んだら、転んでしまう自信があった。来た時以上に慎重に帰りの道を行く。 すると、来た時には気付かなかったものが目に映ることになった。古びた絵画が壁に飾られていた。「こんな絵画、来る時にあったっけ?」 思わず先を歩くゲイルに訪ねてしまった。ゲイルはふむ……と息をつき、足を止めてしまった。「行きはアルト殿のお尻を守ることに集中していたため、気づきませんでしたな」 「俺の尻に集中しすぎじゃね?」 「イイ男ですからなっ」 「うほっ!」 ゲイルがおどけてみせた。ゲイルがホモじゃないことは知っている。彼の性的指向は至ってノーマルだ。もしアブノーマルだったら、二人っきりで神殿内部に入ってこようとはしない。 それはともかくとして、絵画に注目した。一人の男がドラゴンと戦っている姿が描かれていた。 
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第46話:聖騎士救出④

 ゲイルが剣を構える。すぐさま自分はゲイルの後ろに回り込んだ。剣風がゲイルの身から発せられる。 目にも止まらぬ斬撃だ。ゲイルは近づいてくるスケルトンを次々と打ち砕いてくれた。だが、それでも敵の勢いは衰えない。 次に襲ってきたのは骨で出来た獣たちだった。彼らは骨だけの身体でありながらも俊敏に動く。ゲイルが驚きの表情になっていた。「これはちと難儀しそうですわい」 「俺も何か手伝ったほうがいいか!?」 「いえ。シャイン殿を落とさないようにご注意を。駆け抜けますぞっ!」 埒が明かないと判断したのだろう、ゲイルは。大広間を走って突っ切る判断に出た。ゲイルがまたしても剣風を発生させる。目の前に展開していた骨の獣が吹き飛んだ。 空いた道をゲイルと共に走る。そして、自分を先に行かせてくれたゲイルが殿を務めてくれた。 自分はシャインを背負ったまま、走りに走った。階段が見えた。その階段を転げそうな勢いで下っていく。1階部分にやってきた。そこで足を無理矢理止められることになった。 道を塞いでいたのは骨で出来た恐竜だった。強靭な顎を持ち、さらに手には鋭すぎる爪が生えている。 ゲイルは自分の尻を守ってくれていた。そのため、骨の恐竜の相手をするのは自分となる。覚悟を決めた。その場でシャインを床に下ろす。 短剣を身体の前で構える。まずは透視能力を発動させた。敵の弱点を探すためである。骨だけの存在であろうが、その身体を動かしているエネルギーの核があるはずだと睨んだ。 そして、こちらの目論見通り、エネルギーの核が見えた。骨だけの存在だというのに心臓部分にエネルギーの核があった。 そこを的確に短剣で貫けばよいと思えた。しかし、そう簡単にはいかないようである。骨の恐竜が大きく口を開いて、こちらに突進してきやがった。 時間停止を発動させた。短剣を仕舞う。床に置いたばかりのシャインを担ぐ。その後、恐竜の突進を躱せる位置へと移動する。 時間停止が解けた。骨の恐竜がドッスンドッスンと足音を立てて、あらぬ方向へと突っ込んでいく。壁に激突しやがった。顔が半分砕け散っている
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第47話:聖騎士救出⑤

「逃げろ! アルト!」 聖騎士シャインに突き飛ばされた。次の瞬間、そこにいたシャインが消えていた。何が起こったかわからなかった。ただひとつ言えることは、シャインを何者かに奪われたことだ。 絶望よりも怒りが先に沸き上がった。毎度のことだが、シャインはこちらの望まないことを勝手にやってくれる。 なんでそこまで、こちらを頼ろうとしないのかがわからない。怒りで髪の毛が逆立ちそうになってしまった。「アルト殿! 来ますぞ!」 今度はゲイルが警告してきた。ゲイルは剣を構えて、何者かに備えている。こちらも身構える。こちらを襲っている者が何者かを判断するために。 ゲイルの姿が忽然と消えた。その瞬間を待っていた。時間停止をする。ゲイルは大きな手に捕まれていた。 このままではどうすることもできない。空間からにょっきりと手だけが生えている。この手がここではないどこかにシャインを運んでいったのだろう。そして、ゲイルもその場所に連れていかれようとしている。 動いた。ゲイルを掴んでいる手に飛び乗った。落とされないようにしっかりとこの手にしがみつく。時間停止が解けたと同時に、この手ごと別空間に取り込まれてしまった。 真っ暗な場所だった。明かりがまったくない。この場からゆっくりと前方へと歩いていく。少し歩くと遠いところに明かりが見えた。遠目から見るとかがり火のように見えた。 その場所を目標として、歩いて近づいていく。接近したことで気づいた。十字架に磔にされている人物がかがり火に照らされていた。 足が自然と急ぐ。急がなければ手遅れになってしまう気がしたからだ。十字架の近くでふわふわ浮いている人物がいた。 そいつは骨だけでできた身体で、その身体を黒いフードで包んでいた。「死神ってやつか?」 「ほほう。坊やにはわかるのかい?」 「返事が返ってくることに驚いたぜ」 「いいことを教えよう。ここは祭壇。邪龍様を召喚するためのね」 「へーーー。じゃあ、その十字架に磔にされている俺の知り合い二人が生贄ってか?」 こちらの問いかけに対して、死神が「ちっ
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第48話:暗黒騎士①

 死神を撃退できた。十字架で磔にされているゲイルを助け出す。「まったく加勢できずに申し訳なかった」 「その分、シャインさんが働いてくれたから」 「おっと。目のやり場に困りますなぁ!?」 「ふん。この非常時に恰好など気にしていられるか」 聖騎士シャインはほぼ全裸だった。無事だったのはショーツだけである。破廉恥な聖騎士にこちらが困ってしまう。 シャインは男勝りな部分がある。さらに基本、男だらけの騎士生活のせいで、羞恥心がねじ曲がっている可能性が高い。「ほら。マントの替えがあるから、これで身体を隠してくれ」 マジックバックからもう1枚マントを取り出した。それをシャインに手渡す。シャインはバサッとマントを広げて、その身に装着してしまう。なんとも豪快な女だった。 シャインが隠すべきところを隠してくれたので、本題に移ることにした。死神を退治したが、この空間から抜け出せたわけではない。「どうやったら、元の場所へと戻れると思う?」 「う~~~む。もう1度、あの大きな手に捕まえられるとか?」 「いい線行ってる気がするけど、そもそもあの手はなんなんだ?」 「あれはマジックハンドだ」 「知ってるのか!? シャイン」 「ダンジョンから異物を強制的に排除するのが目的で生まれた魔法生物だ」 シャインはやけに詳しい。過去にもマジックハンドに囚われた経験がありそうだった。「大魔導士ミカは引き籠りだった。そして、彼女をパーティに誘うためにとあるダンジョンに潜ったのだが。そこで、マジックハンドに散々苦労させられたのだよ」 「ミカさん……何やってんの!?」 思わぬところで大魔導士ミカの真実がひとつ明らかになった。何かの時に役に立ちそうなネタなのでしっかりメモしておく。 シャインは次にマジックハンドの習性について説明してくれた。ある地点から、ある地点へと物体を運ぶ役割を担っている。そして、何かを運ぶとき、その運ぶものから魔力をいくらか吸い取っている。 マジックハンドが何かを捕まえるのは捕食の意味があった。だから、その習性を
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第49話:暗黒騎士②

 ゲイルが威圧感を放つと同時に剣風をまき散らす。暗黒騎士は鞘から剣を抜き出すと、その剣風のことごとくを剣で打ち落とした。 達人同士の戦いだった。ごくり……と息を飲む。二人の戦いに下手に手を出せば、自分は細切れにされてしまうイメージが湧いた。 その場で一歩も動けなくなってしまう。ゲイルが逃げろと言ってくれたのに、どうしても足が動かない。 そんな自分を肩で担いでくれる人物がいた。「シャイン!? ゲイルは戦ってるんだぞ!」 「時間を稼いでくれているのだろう! ならば拙者たちが逃げなくてどうするっ」 「いつも正論ばっかりいいやがって!」 「アルトはなんでそんなに拙者に当たりが強いんだ」 「そういう正論ばっかり言うところが気にくわない」 「はっ。面白い。はっきり言ってくれるではないか。でも、降ろさないからな?」 聖騎士シャインに担がれたまま、この場を移動する。なんとも脳筋な彼女であった。右肩でこちらを担ぎ、左手には死神の大鎌を持っている。体力お化けすぎた。 もし、自分が女子だったら、シャインに惚れてしまっていたかもしれない。残念なことに自分は男だ。情けなくて涙が出そうになっている。 薄暗い空間をシャインと共に逃げた。しかし、どこまで行っても空間が広がっており、壁にまで辿りつける雰囲気もなかった。 シャインが一旦、ここで足を止める。担いでいたこちらを床に下ろす。彼女はぼりぼりと頭を掻きながら、きょろきょろと辺りを見回している。「アルト。出口の場所はわからないのか?」 「俺にそれを聞くか?」 「エスパーなのだろう?」 「そんなに便利な能力じゃないぜ?」 邪龍の神殿では透視能力を使って、シャインの居場所を探り当てた。だが、この空間は外から閉じられているのか、何も見えてこない。 ただただ空間が広がっている。特定の出口など存在しないような気がしてしまう。死神が言っていた言葉を思い出す。 ここは『祭壇』なのだと。誰のためかと言えば邪龍のためのものだ。生贄を収納しておく空間なのだろう。 自分たちは聖女
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第50話:暗黒騎士③

 暗黒騎士がこちらに向かって何かを投げてきた。ズサっという音と共に、こちらは震え上がることになった。「ゲイル! 生きてるのか!?」 「すみませぬ。たいした時間稼ぎも出来ませんでした」 「そんなことは良い! それよりも動かないでくれ」 血だるまと化したゲイルが苦しそうに呻いていた。ギリッと歯軋りする。暗黒騎士を睨みつけてやった。 暗黒騎士は「おっと……」とおどけてみせる。そして、口を開くなり、驚くべきことを言ってきた。「ここはチェンジしないと出られない部屋なのだ。だから、そこの初老の男を痛めつけた」 「なん……だと!?」 「察しが悪いようだ。外で待っている他の仲間とチェンジさせろ。これでわかっただろう?」 「ぐぬぬ! それで聖女とゲイルをチェンジさせろってのか!」 「そういうことだ! あーははっ!」 暗黒騎士の企みはわかった。そして、同時にこの部屋の仕掛けも判明する。ゲイルは大怪我を負っている。このまま放置しておいていいわけがない。 ゲイルと誰をチェンジさせようか悩んでいた。まごまごしていると、先に聖騎士シャインが動いてしまった。「ゲイルと大魔導士ミカをチェンジだー!」 「おまえっ! 仲間を売る気なのか!?」 「ヴィオは拙者の主だ。主は売れぬ。だが、大魔導士ミカは別だ」 「それ、ミカ本人に聞かれたら、殴られちゃうよ!?」 自分の場合、誰を選んでもあとでこっぴどく怒られる気がして、それで動けなかった。しかし、やはりというべきなのか、動けぬ自分に代わってシャインがしゃしゃり出てきやがった。 行動力ある無能はなんとやらという言葉がある。シャインがそうでないことを願うしかなかった。 ゲイルが音もなく、スゥーとこの場から消えていく。代わりに黒い扉を開けて、この場に大魔導士ミカがやってきた。ミカが扉を通り終わると同時に、扉はバーン! と音を立てて閉まることになる。「おお、シャイン。生きておったか。てか、なんて格好をしておる」 「拙者が聞きたいくらいだっ。気づけばスッポンポン。それ
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