闘技場に通うようになってから面白いことに気付いた。カジノの時はまったく余裕がなかったから気づけなかったとも言える。 多種多様な人種がこの街に住んでいるのだ。ニンゲンはもちろんのこと、半獣半人が存在する。さらに魔族と呼ばれる肌が紫色の人種までもが存在していた。 女神から邪龍、邪神、魔王の存在を聞かされていた。ならば、魔族はニンゲン族に仇為す存在であるはずだ。だというのに闘技場で平然と魔族たちが賭け事に混ざっていた。 本来ならいがみ合い、殴り合う存在であるはずなのに、お互いに酒杯を掲げていた。(なんてカオスな空間なんだ。俺も混ざりたいよぉ!) 自分は残念ながら16歳。身分証では20歳と偽っているが、それでもお酒は女神から止められている。大人しくミルクで喉の渇きを潤している。そして、こういう場でミルクを飲むということはからかわれる対象になってしまうということだ。「おい、アルトの坊や。賭け事は得意だけど、酒はこれっぽちもダメなのかーい?」 「う、うるせー! 俺は酒癖が悪すぎるからってことで女に止められてんだよっ!」 もちろん大ウソだ。酔っぱらって身ぐるみ剥がされないように用心しているだけだ。闘技場の面白いところは賭け事に強くても、そこまでちやほやされないことだった。 カジノなら勝者が王様であることは間違いない。だが、ここでは酒を奢ってくれるやつこそが王様だ。アルトはここまで一切、この場に集まるメンバーに酒を奢ったことはない。しょせん、一期一会の間柄で終わるんだと相手にしなかった。(さすがはボッチの俺。こんなんだから、高校生活でも河原でエロ本拾ってるスクールカースト最底辺のボッチだったんだろうな) 生まれ変わるなら、今この時なのかもしれない。ちょっとだけ勇気を出して、皆に向かって「奢ってやるぜ、お前ら!」と叫ぶだけでいい。 だが、どうしても自分の中のちっぽけなプライドがそれを許してくれなかった。闘技場はカオスであるがゆえに最底辺のやつらが集まる最底辺の社交場であった。 正直、同じバカになれたら最高に楽しいんだろうなとは思う。でも自分はそんな連中と同じ場所に居たいとは思わ
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