昨晩の暗殺未遂事件による緊迫した空気のまま迎えた、収穫祭の翌日。 後宮の大庭園にて、女人たちが集めたキノコ狩りの成果に対する授与式が執り行われていた。 後宮は男子禁制の聖域。かしこまる者たちの中に一般的な男子の姿はなく、控えているのは後宮専属の宦官たちと侍女のみ。 正面の玉座には、後宮の絶対的な支配者として君臨する皇后殿下が座し、そのさらに奥――薄い絹の簾(すだれ)の向こう側には、皇帝陛下が静かに事の始末を見守っていた。 皇后殿下の手によって妃嬪(ひひん)たちへ順に労いの言葉と褒美が授けられる中、最も多くのキノコを収穫した者として名が呼ばれたのは――延明宮(えんめいきゅう)所属の『朱璃(しゅり)』であった。 朱璃がその場に膝をつくと、玉座の皇后が悠然とした、しかし冷ややかな声を響かせた。 「九等嬪・朱璃。そなたの知識は、倭国の姫の名に相応しく立派であった。よってそなたには、これを授ける。」 恭しく捧げ持たれたのは、後宮の厨房を管理する『御厨(みくりや)の技師資格』の札。一見すると誉れ高く見えて、実質は「姫の身分でありながら、厨房の下働きのと同等」と暗に侮辱する、皇后らしい冷酷な品であった。 「……ありがたき幸せにございます。」 朱璃が深く頭を下げると、その横に控えていた魏淑妃(ぎしゅくひ)が、扇子で口元を隠しながら甲高い笑い声を上げた。 「あら、さすが自然豊かなところで育った姫様だこと。皇后様の慈悲に感謝するのよ? ――ふふ、私からも、延明宮の主である鳳得妃(ほうとくひ)様の顔を立ててあげるために贈り物を渡すわ。ほらこれよ。」 淑妃の侍女が不気味な笑みを浮かべ、朱璃の前に差し出したのは、埃をかぶった正体不明の古びた木箱であった。中から何とも言えぬ嫌な気配が漂うそれを目にして、淑妃は目を細めて囁く。 「貴女なら使えるのではなくて? ……クスッ。」 得妃の名を引き合いに出しつつ、怪しげなガラクタを押し付ける露骨な嫌がらせ。周囲の妃たちが忍び笑いを漏らす中、朱璃は眉一つ動かさず、静かに拝礼した。 「……淑妃様のお心遣い、恐悦至極にございます。」 * 延明宮へ戻るや否や、爆発したのは鳳 麗華(レイファ)様であった。 「なによあの女たち! 皇后様まで朱
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