駿は急いで、果奈が待つ倉庫裏に向かっていた。 ◆◆◆ だが、足は前へ進んでいるのに、意識はさっきの出来事に引き戻される。 隆二の言葉。 あの真剣な表情。 そして、最後に向けられた視線。 何度も頭の中で繰り返され、その度に胸の奥が重くなった。 待ち合わせ場所にたどり着くと、果奈がぽつんと待っていた。 夕陽に照らされたその姿を見た瞬間だけ、少しだけ心が軽くなる。 「ごめん、練習が長引いて遅くなった」 「私も練習が長引いて遅くなることあったから、それくらい大丈夫だよ」 「う、うん」 本当は違う。 遅れた理由は練習じゃない。 けれど、隆二との話を今ここで口にする気にはなれなかった。 果奈と二人で帰ることが当たり前になった帰り道。 いつもなら、他愛のない会話を交わして、果奈が隣にいるだけで、自然と笑えていた。 ――なのに。 今日は違った。 果奈が何か話していても、ただ相槌を打つだけで、上手く反応出来なかった。 そんなことを繰り返すうち、別れる場所にやっと着いた。 「それじゃ、また明日」 「果奈もまた明日……」 自分でも声に元気がないのが分かった。 そのせいか、果奈もまた、どこか元気がないように見えた。 気のせいかもしれない。 けれど何度かこちらを見ては、何か言いたそうに視線を揺らしていた気がした。
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