大親友の実の兄・連城公生(れんじょう きみお)と、お酒の勢いで一夜を共にしてから、私は彼の誰にも言えない恋人になった。人目を忍ぶ関係のまま8年が過ぎた頃、実家から無理やり見合いを勧められた。「公生、実家から最後通告を突きつけられたの。今年中に必ず結婚しなさいって」彼は動かしていた手を止め、私の額にそっと口づけを落とした。返ってきたのは、いつもの「もう少し待ってくれ」という言葉だ。ところが、何気なくスマホを眺めている私は、新人社員の戸松リナ(とまつ りな)のSNS投稿を目にした。そこにあるのは、彼女と公生の婚姻届の写真だ。添えられた言葉は【社長なんて、余裕でゲットしちゃった】。私が8年間求めても手に入らなかった人を、彼女はわずか3ヶ月で手に入れた。胸にこみ上げる苦い思いを力ずくで抑え込み、「いいね」を押した。そして、コメントを残した。【おめでとう。末永くお幸せに】その後、私は実家が用意した挙式の日取りを承諾した。すると突然、スマホが鳴り響いた。公生の声が、これまでに聞いたことがないほど慌てている。「彩芽、誤解しないでくれ。友達とゲームをして負けたから、罰ゲームでリナと籍を入れることになっただけで……」私はその言葉を遮った。「公生、私、結婚するの」電話の向こうで、一瞬の沈黙が流れた。やがて、苛立ちを隠そうともしない公生の声が響き、その周囲からは女の子の甘ったるい笑い声が混じって聞こえてきた。「またその話か。そんなに結婚に焦ってるのか?うちの会社は今、資金繰りが厳しくて破綻寸前なんだ。頼むからこれ以上邪魔しないでくれ」私はスマホを握りしめ、夜風の中に立ち尽くしている。メリハリのない声で淡々と話した。「邪魔なんかしてないわ。本当に結婚するのよ」彼は鼻で笑った。まるで途方もない冗談でも聞いたかのように。「君の周りには、いい仲になれそうな男一人いないじゃないか。結婚相手なんているはずがない」私が久木山一弘(くきやま かずひろ)の名前を口にしようとした、その時だ。公生は向こうで急いで電話を切ろうとした。「切るぞ。別の電話が入ったんだ。籍を入れたのは本当にただの罰ゲームだから、変な勘違いはするな」ツーツーと無機
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