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All Chapters of 影の女帝: Chapter 11 - Chapter 12

12 Chapters

Ep.11 彼女の正体

あれから、どうやって帰って来たのか……。 よく覚えていない。 ————死体もその痕跡も残っていない。 騎士団へも父親にも報告できなかった……。 ふとした瞬間に、あの暗闇の中での光景が脳裏を過る。 よく見えなかったが、首を掻き切った時の無駄のない動作————。 死体を見る瞳にも恐怖は見えず、淡々とその場の処理をしていた。 ————明らかに手慣れていた。 そして、初めて出会った時の身のこなし……。 (セリーナ……君は一体……) 朝になり、いつもと変わらない日常が始まる。 彼女に会った時、俺はどんな顔をしたらいいのだろうか? 最近は疼くことがなくなっていた胸の棘の代わりに、重い鉛のようなものが胸の奥深くへ沈んでいく気がした。 —————— いつも通りに学院へ登校し、いつも通りに教室へと向かっていると、廊下の向こうからセリーナが友人と話しながら歩いて来るのが見えた。 彼女の姿を目にした瞬間昨日のことが脳裏を過り、思わず立ち止まってしまう————。 友人と笑顔で話しているはずなのに、その瞳には温度が感じられない……。 一瞬セリーナの視線が俺を捉えたが、すぐに興味がないかのように逸らされた。 「あ……」 ————何と声をかけたらいいのか? そんな考えが頭に浮かび、上手く声が出ない……。 だがセリーナはそんな俺の脇を素通りして、そのまま去って行ってしまった。 情けなく零れた声と、思わず伸ばしかけた手が行き場なく空中に残されたまま————。 さっきまではあんなに心が重苦しく感じていたのに、まるで風景の一つかのように俺の存在へ目も向けない姿に、再び胸の中に刺さっている棘の痛みが戻ってきた。 ゆっくりと振り返り、何事もないかのように歩いているセリーナの後ろ姿を見つめ、苦痛で顔を歪めながら胸元シャツをギュッと握り締めた————。 —————— 明らかに様子のおかしい俺を心配したレイルたちに声をかけられるが、昨日の出来事を話せるわけもなく「何でもない」と答えた。 昼食後、少し迷いながらもいつも通りに図書室へ向かう。 (果たして、セリーナはいるだろうか?) 昨夜のことや朝の態度を見れば、いない確率の方が高いだろう……。 それでも、彼女に会わないなんて選択肢は俺にはなか
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Ep.12 ヴァレンシュタイン子爵家

昼休みが終わり午後の授業が始まったが、放課後のことが気になって全く集中出来なかった。不安、恐怖——自分でもよく分からない感情が渦巻いている……。時が過ぎるのが早いような遅いような……刻一刻と迫るその時に緊張が強くなっていき吐きそうだ。ついに今日の授業が全て終わり、約束通りに一人で生徒会室へ向かった。見慣れた扉の前に着き、ハンドルを掴もうとする手が震えていた。(真実を知るのが怖いのか?それともセリーナが怖いのか?)ふっ、と自嘲気味に小さく笑ってしまう。血溜まりの中にある男の死体を前に、顔色一つ変えずに立っていた彼女を見たあの時——確かに目の前に広がる光景に理解が出来ず、あの何も映していないような瞳に恐怖で体が動けなくなった。気持ちを落ち着かせる為にふう、と息を一つ吐くと気を引き締め直し、ハンドルをしっかりと握って力強く押した。扉に鍵は掛かっておらず、簡単に開いた。室内へ足を踏み入れるとソファで寛ぎながら紅茶を飲んでいるセリーナと、執務机にだらしなく足を乗せ、頭の後ろで腕を組みながら椅子の背もたれに身を預けて座っているレイルの姿があった。「おーー来たなーー」俺が現れたことに気付くと、|身内《プライベート》モード口調で軽く声を上げながら机から足を下ろし、デスクの上に片腕で頬杖を突いた。「もう!レイちゃん、お行儀が悪いわよ?」その様子を横目で確認しながら窘めると、セリーナは再びカップに口を付けた。「レイル……何で……」「まあ、とりあえず座れよ」レイルはまるで悪戯が成功したかのような笑顔のまま、俺をソファへと促した。脳内がこの状況を上手く処理できず呆然としたまま、俺は黙ってセリーナの向かい側のソファに座る。見計らったかのようにレイルの専属執事が紅茶を供し、そのまま出入口まで歩くと扉の鍵をカチャッと締める音がした。 「とりあえず紅茶を飲んで落ち着いたら?」 俺に視線を向けることなく、そう言うと新しく淹れ直された紅茶のカップを口へと運ぶ。お茶を客人へ供した際は、まずホストが毒などが入っていないことを示す為に先に口を付けてみせるのがマナーだ。 俺もそれに倣って一口飲むと、紅茶の香りと温かさに動揺していた心が凪いでいくのを感じる————。カップをローテーブルの上にあるソーサーへ戻すと、目の前に座るセリーナに視線を向けた。「ふふっ
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