影の女帝 のすべてのチャプター: チャプター 11

11 チャプター

Ep.11 彼女の正体

あれから、どうやって帰って来たのか……。 よく覚えていない。 ————死体もその痕跡も残っていない。 騎士団へも父親にも報告できなかった……。 ふとした瞬間に、あの暗闇の中での光景が脳裏を過る。 よく見えなかったが、首を掻き切った時の無駄のない動作————。 死体を見る瞳にも恐怖は見えず、淡々とその場の処理をしていた。 ————明らかに手慣れていた。 そして、初めて出会った時の身のこなし……。 (セリーナ……君は一体……) 朝になり、いつもと変わらない日常が始まる。 彼女に会った時、俺はどんな顔をしたらいいのだろうか? 最近は疼くことがなくなっていた胸の棘の代わりに、重い鉛のようなものが胸の奥深くへ沈んでいく気がした。 —————— いつも通りに学院へ登校し、いつも通りに教室へと向かっていると、廊下の向こうからセリーナが友人と話しながら歩いて来るのが見えた。 彼女の姿を目にした瞬間昨日のことが脳裏を過り、思わず立ち止まってしまう————。 友人と笑顔で話しているはずなのに、その瞳には温度が感じられない……。 一瞬セリーナの視線が俺を捉えたが、すぐに興味がないかのように逸らされた。 「あ……」 ————何と声をかけたらいいのか? そんな考えが頭に浮かび、上手く声が出ない……。 だがセリーナはそんな俺の脇を素通りして、そのまま去って行ってしまった。 情けなく零れた声と、思わず伸ばしかけた手が行き場なく空中に残されたまま————。 さっきまではあんなに心が重苦しく感じていたのに、まるで風景の一つかのように俺の存在へ目も向けない姿に、再び胸の中に刺さっている棘の痛みが戻ってきた。 ゆっくりと振り返り、何事もないかのように歩いているセリーナの後ろ姿を見つめ、苦痛で顔を歪めながら胸元シャツをギュッと握り締めた————。 —————— 明らかに様子のおかしい俺を心配したレイルたちに声をかけられるが、昨日の出来事を話せるわけもなく「何でもない」と答えた。 昼食後、少し迷いながらもいつも通りに図書室へ向かう。 (果たして、セリーナはいるだろうか?) 昨夜のことや朝の態度を見れば、いない確率の方が高いだろう……。 それでも、彼女に会わないなんて選択肢は俺にはなか
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