あの夜の飲み会で、周囲に勧められて、昭弘は普段より多く酒を飲んだ。静河はもともと酒気を嫌う性分だった。だから別室で一晩過ごし、匂いが落ち着いてから寝室に戻ろうと思っていた。酔いから覚めて気づいたとき、隣に裸の純子がいた。怒りと恐怖が同時に押し寄せた。これほど大胆な女だとは思わなかった。そして静河が知ったらどれほど傷つくか、離れていくかもしれないと思うと、恐ろしかった。そのとき頭にあったのはひとつだけだった。この過ちを揉み消さなければならない。しかし純子は床に跪いて、泣きながら頼み込んだ。ちょうどそのとき、両親から電話がかかってきた。子どもをどうするのかという催促だった。静河には、産めない事情があった。電話を切ってから、一晩中煙草を吸い続けた。気づけば純子の顔が頭に浮かんでいた。純子は静河の従妹なのだから、生まれてくる子どもは静河に似るかもしれない。純子に産ませて、自分と静河の子として育て、純子には大金を掴ませて追い払えばいい。そう決めた通りに動いた。すべては思い通りに進んでいるはずだった。それなのに、こうして何もかもが崩れた。昭弘の言葉の冷たさに、純子は全身から力が抜けた。うなだれて、握っていた手を離す。昭弘がそのまま出ていこうとしなかったのは、自分の体に惹かれているからだと思っていた。田舎にいた頃から、純子は人の情を信じていなかった。愛などというものにとっくに幻想など抱いていなかったし、体で繋ぎ止めるのも悪くないと思っていた。それなのに昭弘はだんだんと純子に優しくなった。何度も静河を置いて自分のところへ来た。そのうちに純子の心が動いた。欲しいものが増えた。子どもを産むだけでなく、この人と結婚したかった。頭のてっぺんから爪先まで、全部自分のものにしたかった。それなのに昭弘は今、冷たくはっきりと言い渡した。静河が子どもを産めないから、お前が必要だったのだと。昭弘の目に凄みが滲んだ。声だけは冷静だった。「明日の朝、手術を受けろ」静河がいなくなった今、純子の腹の子に用はない。死んだような目をしていた純子が、はっと顔を上げて首を横に振った。「嫌、嫌だッ!あなた、それでも人間なの!?この子だって、あなたの子よ!」泣き崩れながら、何度も頼んだ。お腹の中の子どもだけが、今の純子
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