結局、母国への手紙の件は、城に帰ってからの夕食の支度の忙しさを理由にうやむやになっていた。 しかしそれでもエリオットの中にヴェルクレイン国の現状に対する憂いは消えず、不安と心配が募っていく。 母親殺しと呼ばれ続け疎まれてきた自分に課せられたただ一つの王命を、もう嫁いで半年も経とうかというのに未だに果たせていないなんて思いもしなかった。自分では懸命にやれることはやっているつもりではあったが、それはやはりただの「つもり」でしかないということなのだろうか。 そんなことを悶々と考えつつ、今日もエリオットは書斎で書物を手に取る。ヴェルクレイン国の情勢が安定していないというのであれば、より魔王の魔力を強化する必要があるのではないだろうか。そのためには何か他に効果の高い方法があるのではないか、そう、考えているからだ。 「魔力の最大化……うーん……やっぱり、魔王様とあの儀式を行うことが一番みたいだな……」 どの書物を読んでも、最終的に導き出されるのはあの儀式――魔王と睦み合う、性交をして相手が子を成すことで魔力が最大化するというものだった。 子を成すということは、やはり生贄嫁が必要であるのだろうが……エリオットは生憎男性である。子を成せる機能が体にあるとは思えない。 「でもそれは、魔王様が最初にあった時に問題ないみたいに仰っていた気がする……それこそ儀式でどうにかするのかな……」 儀式の詳細は、ゼフに尋ねてもわからないと言われているし、そもそも書物に儀式のこと自体書かれていないのだ。魔力については魔王であってもその他の魔物であっても大差がないのか、書物から得た知識でどうにか対処出来てはきた。だが儀式については魔王だけが知る秘事なのか、まるでそれだけが抜け落ちたように見当たらないのだ。 「となれば後は魔王様本人に聞くしかないけれど……教えて下さるかな……」 初日にあんな騒動になったせいか、なんとなく魔王に儀式について聞いていいものかためらってしまう。いやなこと
Zuletzt aktualisiert : 2026-07-20 Mehr lesen