All Chapters of 彼女をNTRされ絶望して全てを終わらせようとした屋上で幼馴染に拾われた: Chapter 31 - Chapter 39

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第30話 連鎖する虐めの被害

「佐山って、あの佐山か?」「……はい。夜霧先輩が想像した佐山で間違いないですよ。先輩の悪い噂を流して停学になっていた佐山要の妹です」 そう言って、佐山秋奈は僕の目を見ながら辛そうにしている。 おそらくではあるけど、彼女がこうやってこの屋上に来たのは佐山の件が関係しているんだろう。「なるほど。にしてはあまり似ていないね」 目の前の少女は綺麗な茶髪をポニーテールにしていて、優しそうな顔つきをしている。 瞳は翡翠色で凄く澄んでいて、見ている僕の心まで浄化されそうなほどだった。「兄と言っても、血に繋がりはありませんから」「そっか」 なんと反応していいのかわからないけど、きっと複雑な家庭環境なのだろう。そこにツッコむのはあまり良い事じゃない。「本当にごめんなさい。兄のせいで夜霧先輩には多大なご迷惑をおかけして」 今にも泣き出してしまいそうな顔で、彼女は頭を下げた。彼女が悪いわけではないのに、自分が悪い事をしたかのように。「君のせいじゃないでしょ。君と佐山は別の人間だ。彼の責任を君が感じる必要は全くない」「……でも」「でももクソもないよ。もし、身内の罪が自分にも降りかかるなら、この世界は犯罪者だらけになってしまう」 だから、彼女が気にする必要なんて全くないのだ。「それは、そうかもしれませんが」「だから、気にしなくてもいい」 こんなことを言っても彼女は罪の意識にさいなまれるのかもしれないけど、僕はこの子のことを恨んでもいないし。「ありがとうございます」「お礼を言われるような事じゃないよ。それよりも、君がさっき飛び降りようとしていたのはその件が関係してるの?」「はい。兄がああなって、その、妹だからって私に矛先が向いて」「……そうか。僕の方こそごめん」 僕があんな噂を広められなければ。この子が虐められるような事は無かっただろうに。なんだか、申し訳ない。「先輩が謝る事じゃないです」「なるほど。でも、そんな理由で虐められるのなんてあまりにも理不尽だ」「……ですね。おかげで孤立してて」「じゃあさ、僕が生徒会長になったら役員にならないか?」「……え?」 そうなれば、悪いイメージも払拭できるだろうし。僕のせいで一人の女の子が不幸になるのは耐えられない。 自分の手の届く範囲内にいる子は救ってあげたい。「どうかな。もちろん嫌なら断って
last updateLast Updated : 2026-07-26
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第31話 消息不明の佐山

「なるほど。そう言うことがあったんだね。一時間目の休み時間に湊くんが知らない女の子と一緒にいたときは気が気じゃなかったよ」 「ごめんね。不安にさせて。でも、どうしても見過ごせなくてさ」 「わかってるよ。湊くんはそういう子を見過ごせる人じゃないって。そういう所も私は好きだからいいんだけどさ」 「なんか、お前って本当に色んなトラブルに巻き込まれるよな。そう言う何かに愛されてるのか?」 昼休み。空き教室で僕たちは机を寄せ合って、お昼ご飯を食べていた。 「さあね。僕はそう言う問題に愛されたいとは思ってないんだけどね。でも、あの場に居合わせなかったら僕は後悔してただろうし」 もし、あの時に僕が屋上におらず秋奈さんが死んでいたら。自分のせいでその結末を招いたとしたら。 僕はその現実に耐えることができないかもしれない。 「あの時は本当にありがとうございます。今もこうやって私が孤立しないように一緒にお昼ご飯に誘っていただいて」 「いいって。湊が良いって言ったんなら、俺も思う所はねぇし。これからよろしくな。秋奈さん」 「私もよろしくね。秋奈ちゃん。私は望月日向。一年生だけどクラスは違うよね」 「うん。私は三組だから」 少し、怯えたように秋奈さんは日向に付け加える。 緊張しているのか……いや、初対面の時日向が秋奈さんを鬼のような形相で見ていたからか。 「にしても、秋奈さんも災難だよな。義理に兄のせいで虐められるなんてよ」 「いえ、夜霧先輩に比べたら私なんて。本当に夜霧先輩にはご迷惑をおかけてて申し訳ないです」 「その話は蒸し返さなくていいから。それよりもお昼食べよう」 変な雰囲気になりかけたけど、何とかお昼ご飯に意識を向けて軌道修正をした。 「にしても、妹がそんなことになってるのに兄貴の方はなにしてるんだよ」 「私もわからないんですよね。あの出来事以降、兄はあんまり家に帰ってきてないので」 「そうなの?」 「はい。どうしているのか本当に私のもわからないんです。変な事をしてなければいいんですけど」 不安そうに秋奈さんは語る。確かに、高校生の兄が家に帰ってこなくなったら少しは心配するか。 にしても、家に帰らずに何をしているんだろうか? なんだか少し嫌な予感がする。 「マジか。それはちょっと心配だな」 「だね。でも、本当に何
last updateLast Updated : 2026-07-28
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第32話 ハロウィンパーティーと無邪気な棘

 あっという間に十月も後半に差し掛かり、もう少しで生徒会選挙の本番が行われようとしていた。 その間も、佐山の情報は全く入ってこなくて学校にもほとんど来ていない日が続いた。「湊くんがこの家に住み始めてもうそろそろ二か月かぁ~なんだかあっという間だったね」「だね。もうそろそろ生徒会選挙の本番だし。会長になったら忙しくなりそう」「だよね。湊くんが会長になったら私は副会長になるんだもんね。一緒に頑張ろう!」「もちろんだよ。やりたいことはある程度決まってるから、実現に向けてあとは努力するだけ」「虐めを無くすって目標だよね。すごくいいと思うよ!」 そう。僕は虐めを無くしたい。 虐めがない学校を作りたいんだ。自分みたいな人を増やさないためにも。「ありがとう。まあ、目標の学校を作るためにもなんとしても当選しないとね」 中間発表の結果のまま行けば当選できるかもしれないけど、人生はそう甘くはない。 結果が発表されるその時までは、決して気が抜けないんだ。「絶対大丈夫だよ! 湊くん選挙活動頑張ってたし!」「神凪会長の協力があったって言うのも大きいけどね」 神凪会長は選挙期間中にいろんなことを手伝ってくれた。神凪会長に恩を返すためにもなんとしてでも会長になりたい。「そう言えば、もう少しでハロウィンだね」「言われてみれば。日向は仮装とかするの?」「う~ん、私は基本的に見るのが専門だったからね。湊くんがやるって言うんなら私もするけど」「僕もそう言うのはあんまりしたことが無いからね。家の中だけなら良いかもしれないけど」「ほう。じゃあ、すればいいじゃないか。湊」「小雪さん!?」 休日だが、学校に行っていた小雪さんが音もなくリビングに入ってきていきなりそんなことを言って来る。「ただいま二人とも。何やら、面白そうな話をしているからつい話に割って入ってしまったよ」「おかえりなさい小雪さん。それで、本気で僕たちに仮装をさせる気ですか?」「まあ、家で仮装をするくらいなら良いんじゃないか?」「それは……そうかもしれないですけど」「それとも、君は私達しかいない家でも仮装をしたくないというのかな?」 小雪さんにジッと睨まれて、何も言えなくなる。確かに、そこまで抵抗する理由はないかも。 仮装するといっても身内の中でだけだし、恥ずかしがる必要なんて全くないんだか
last updateLast Updated : 2026-07-30
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第33話 増える思い出

「トリックオアトリート!」「……凄く可愛いね。メイドのコスプレ?」「そう! ちょっと前にネットで良いやつ見つけてさ。そう言う湊くんはドラキュラのコスプレ?」「そうそう。僕も同じくネット通販で良いやつを見つけてさ。似合ってると良いんだけど」「凄く似合ってるよ。めちゃくちゃカッコいい! いつもよりも大人びて見える」 今日はハロウィン。約束通り僕たちは仮装をしていた。 日向はメイドで僕はドラキュラ。この後、仕事から帰ってくるであろう小雪さんも何らかのコスプレをするはずだ。 ……どんなコスプレをしてくるか正直あんまり想像がつかないな。「ありがとう。そう言えば、日向はこの前の中間テストはどうだったんだ?」「バッチリ! 全教九十点以上だったよ!」「凄いな。流石日向だね」「いやいや、湊くんの方が絶対に総合得点違うでしょ。というか、学年順位一位とかじゃなかったっけ?」「うん。最近はそれなりにちゃんと勉強をしてたからね。やっと一位になれて嬉しいよ」 この学校に入学してから、学年順位は基本的に十位以内だったけど。 一位になるのは今回が初めてだ。 だから、かなり嬉しかったりする。 ま、ひけらかす様な事でもなかったから今まで言ってこなかったわけだけど。「うんうん。私も久しぶりに君の子供らしい顔が見れて嬉しいよ」「おかえりお姉ちゃん。仕事の方はもういいの?」「良く無かったら帰ってこないさ。それよりも二人とも似合っているね」 帰ってきた小雪さんは満足そうに僕たちの方を向いて、うんうんと頷いていた。 きっと、日向のメイド服姿を記憶に焼き付けているんだろう。「ありがとうございます。小雪さん」「ありがとお姉ちゃん! それでお姉ちゃんはいつコスプレするの?」 帰っていた小雪さんはパンツスタイルのスーツを着て、リビングに立っていた。 日向はニコニコしながら、小雪さんを眺めている。 日向の瞳からは、絶対に逃がさないという圧のようなものを感じた。 どうやら、日向は小雪さんを逃す気はないらしい。「わ、わかったからそんなに怖い目で見ないでおくれ」「うん。じゃあ、早く着替えてきてよ。せっかく今日は三人でハロウィンパーティーなんだからさ」「はい」 小雪さんは肩を落としながら、自分の部屋に戻っていった。 そこまでコスプレが嫌なんだろうか? ……いや、
last updateLast Updated : 2026-07-31
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第34話 会長当選と日向の問題解決に向けて

「なんかあっけなく会長になっちゃったな」「それだけ、君が支持を集めていたという事だ。誇ると良い」「それも、神凪会長の力が大きいように思うんですけどね」「過程はどうあれ、結果が一番大切だ。結果として君はこうして会長になったワケだからね」 会長選挙の結果は僕が当選して、無事に生徒会長になることができた。「そうですね。神凪会長のような生徒会長になるとは思えないですけど。精一杯頑張るつもりです」「私のようになどならなくていいさ。君は君が信じた道を進めばいい。それを知りためにはうってつけの役職だからな。生徒会長は」「わかりました。短い時間ではありますが見ていてください」 神凪会長はあと少しで卒業してしまう。だから、短い間だけでも神凪会長が認めてくれるような生徒会長になろうと思うのだ。「いやぁ~おめおめ。やっぱりみなとっちが当選したね~私は凄く鼻が高いよ」「ありがとうございます。水無月先輩。先輩にも今までたくさん助けてもらいましたね」「いやいや。私が君にしてあげられたことなんてほとんどないじゃないか」「そんなことないですよ。落ち込んでる時とか、凄く励ましてもらえましたら」 水無月先輩はいつもふざけているように見えて、肝心なところでちゃんと助けてくれる人だ。 今まで何度先輩に助けられたかわからない。 本当に感謝しかない。「それでは私たちはそろそろ行くとしよう。それじゃあ、楽しみにしているよ」「じゃ、またね~今度遊びにくるね」「はい。それでは」 先輩たちが生徒会室を後にした。それと同時に一人の見知った人物が入ってきた。「当選おめでとう湊。生徒会長になった気分はどうだ?」「どうだ? と聞かれても。まだ何もしていないですし」「それもそうだな。と言うわけでこれからよろしく。夜霧生徒会長」「まさか、小雪さんが生徒会の顧問だなんて思っていなかったですけど。これからよろしくお願いします」 そう。小雪さんが生徒会の顧問教師だったのでこれからも長い付き合いになりそうだった。「ああ。もう生徒会のメンバーは決まっているのか?」「全員と言うわけじゃないですけど。それなりにメンバーは決まっていますよ」「ほう? 聞かせてもらっても良いかな」「副会長に日向。広報に佐山秋奈。書記に小清水隆介。今の所こんな感じです」「ふむ。佐山秋奈と言うと、君を貶めた佐
last updateLast Updated : 2026-08-01
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第35話 噂の原因特定と新生徒会発足

「……やっぱりほのかが噂を流していたのか」 会長の権限を使って調べたところ、噂を流している張本人。いわば発生源は彼女だ。 何の目的があってこんなことをしたのかはわからない。 だけど、これ以上日向を傷つけさせないためにも。僕が解決しないといけないんだ。「ありゃ? 望月さんはまだ来てないのか?」「ああ、君が一番だよ。隆介」 僕が生徒会室で考え事をしていると、隆介が部屋に入ってきた。 いつもみたいに陽気な笑顔を浮かべている姿を見て、少し安心してしまった。「そっか。そんで、俺にはどんな役職が与えられるんだよ」「書記だね。隆介は記憶力とか凄く良いから向いてると思うし」「俺はそれで構わねぇよ。秋奈さんはどうすんだ?」「広報かな。そのほうが彼女に付きまとう悪いイメージを払拭できる気がするし」 秋奈さんがいじめられている原因は佐山要が僕のことを嘘の噂で陥れたからだ。 その二次被害で秋奈さんが虐められる結果になった。 でも、そこで僕と秋奈さんが仲いい姿を見せておけば虐める理由はなくなるんだ。 そのために、僕は彼女を生徒会に招き入れたんだから。「本当にお前はお人よしだな。そういう所が俺は結構好きなんだけどよ」「変な事言うなよ。照れるだろ?」「ははっ。でも、だからこそ心配なんだ。お前はお人よしだから、どんな人間でも許しちまいそうでよ」「……どうだろうな?」「お前はもう少し、自分のことを考えたほうが良いと思うけどな」 隆介は困ったみたいに苦笑しながら頬を搔いていた。 その仕草は昔から見慣れたものではあったけど、今回は本当に困っていそうな雰囲気を感じる。「考えてるさ。僕はこれから自分のやりたいことをするさ」「ならいいんだ。それよりも、なんか書かないといけない書類あるんだろ?」「ああ。これに名前書いて望月先生に渡して。それで正式に生徒会加入だ」「あいよ。そんじゃ、いって来る」 書類を持って生徒会室を出て行った隆介を見送りながら、僕は再び椅子にもたれかかる。適度な反発が椅子から帰ってきて座っていて気持ちが良い。「これから忙しくなるな。でも、やっとスタートラインに立てたんんだ。ちゃんと頑張って行かないとな」「当選おめでとうございます! 夜霧先輩」「ありがとう秋奈さん。というわけで、この前話した生徒会加入の件。まだ入ってくれる気があるんな
last updateLast Updated : 2026-08-04
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第36話 過去の清算

「いきなり私のことを呼び出してどうしたの!? もしかして、あの泥棒猫から受けた洗脳が解けたの?」「先に言っておくけど、僕は洗脳なんかされていない。もっと言うと、僕はこうして君と会う事にそれまで乗り気じゃない」「なんで!? 湊は私の彼氏じゃん」「もう別れている。そんな事よりも本題に進もうか」 生徒会室にわざわざほのかを呼び出したのは、ただお話をしたいだけなんて理由じゃない。 もちろん、いま流れている日向の噂について問いただしたかったからだ。「まず、ほのかは僕の彼女。日向の悪い噂を流しているって言うのは本当か?」「噂じゃないもん! 私はただ事実を言っただけ。何も悪い事はしてない!」「なるほど。じゃあ、君が流した日向が他の男とホテル街を歩いていたって言う噂も本当だと?」「そうだよ! 私はちゃんとこの目で見たもん!」 どうやら、この子の目は腐りきっているらしい。 僕は心配性な日向に言われて、位置情報共有アプリを入れている。 日向からこちらの位置がわかるという事は、僕も彼女の位置がわかるという事。 言ってしまえば、彼女の位置情報を知っているからホテル街に行っているなんてことはありえないんだ。「それはありえない。日向はそんなことをするような子じゃないし。そもそもとして位置情報を共有しあっているんだから」「なっ!?」「だから、君が見たって言うのは確実に日向じゃない」「……」 黙り込んでも無駄だ。僕は既にほのかを許す気はないし、この現状を招いた彼女は絶対に罰を受けてもらう。「そう言うわけだ。まだ弁明はあるか?」「スマホを置いて行っていたのかもしれないなじゃない! 位置共有アプリなんていくらでも誤魔化しようがあるし」「なるほど。確かにそう言う線もあるかもしれないけど、ではなぜそんな噂を流した?」 わざわざ噂を流す必要などないのだ。その情報が仮に本当だとしたら、僕にこっそり言うだけでよかったのに。 彼女が浮気をするのなんて、まずありえない。 目の前にほのかと違って。「私はただ、湊を取り戻したくって……」「それは無理だ。そんなことをしてもなんの意味もない。僕は日向と別れるつもりはないのだから」「そんなのって……」 絶望をしたような顔でうなだれるほのか。果たして、彼女にそんなことをする資格はあるのだろうか? 少し前の僕であれば、今
last updateLast Updated : 2026-08-05
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第37話 君が怒ってくれるから

「何があったの? 秋奈さん」 尋常じゃない様子の秋奈さんに水無月先輩も少し面食らっている様子だった。 僕自身も少し動揺しているけど、その動揺を見せるわけにはいかない。 曲がりなりにも今の僕は会長なのだから。「それが、少し揉め事が起きているというか……ですね」「揉め事? 珍しいね。この学校で揉め事なんて。それで? 何があったん?」「そのぉ……日向さんが」「……なんでや」 日向が誰かと揉め事を起こすとは考えにくいけど、この様子からして嘘ではないと思う。何より、ここで秋奈さんが嘘をつく理由が全くない。「えっと、聞いた話なんですけど。どうやら、一年の子が夜霧先輩をバカにしてたらしくて」「……」 なるほど。それなら、日向が怒るのも納得はできる。 まあ、僕なんかのために揉め事を起こしたくて欲しくはないんだけど。 怒ってくれたこと自体は少し嬉しい。「なので、ちょっと来ていただけると」「わかったよ。そういう事なので水無月先輩。ちょっと行ってきます」「おう。行ってらっしゃい。会長の初仕事がんばってね!」「ありがとうございます。じゃあ、秋奈さん案内お願いしてもいいかな?」「勿論です。こっちに来てください」 こうして僕は、気持ちの整理をつける暇もなく問題の解決に向かう事になった。 ◇「もう一回言って見なさいよ!」「だから、何度だって言ってやるさ。神凪会長のおこぼれで会長になった浮気男ってな。あんなのに会長が務まるわけないのに」「……なんですって?」「はいはい。そこまで。二人とも一旦落ち着こうか」 ヒートアップしている二人を一旦離れさせる。 日向は秋奈さんに任せて、僕は日向と言いあっていた男子生徒の話を聞く。「それで? なんでこんな騒ぎになっているんだい?」「もとはお前のせいだろ! お前なんかが会長になったから」「それを僕に言われてもね。会長選挙に出たのは僕の意志だけど、当選したのは学校の総意だ」 そこの責任を僕に問われても、どうしようもないじゃないか。 この子は何をそんなに怒っているんだ。 未だに僕のことを睨みつけながら、男子生徒は悪態をつく。 金色に染めた短髪に鋭い目つき。僕と同じくらいの身長で筋骨隆々と言うわけでもない。この子からはスポーツをしているような感じはしない。「それが納得いかねぇって言ってんだよ。なんでお
last updateLast Updated : 2026-08-08
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第38話 ごめん……隆介の事忘れてた

「今日は騒ぎを起こして本当にごめんなさい」「いいって。そんなに謝らなくても。僕は気にしてないしさ」 帰り道も日向は申し訳なさそうに頭を下げてくる。 僕は元気な顔をしている日向のことが好きだから、出来れば笑顔で居て欲しい。「それよりも、楽しい話をしよう。少し気が早いけど、クリスマスとかどこかに遊びに行かないか?」「クリスマス……うん! 最高に楽しそう」「でしょ? それに、付き合って最初のクリスマスだから盛大に何かやりたいね」「うんうん! どこかに旅行に行くってのはどうかな?」「いいな。日向は行きたいところとかある?」 僕としては、日向と一緒に居る事が出来ればどこだってかまわないんだけど。 でも、何でもいいって言う返答は帰って困らせてしまう可能性だってある。 そうなった場合は僕が何か提案をすることにしよう。「う~ん、ぱっと思いつくものはないけど。逆に湊くんはどこか行きたい場所とかってないのかな?」「僕は温泉旅行とかに行ってみたいけど。日向はどうかな?」「温泉旅行!? 凄く良いね!」「なら、とりあえずはそれでいこう。日向も他に行きたい場所があったら遠慮なく言ってくれ」 日向が行きたい場所が出来れば、二人でそこに行けばいいし、仮に出てこなかったら温泉旅行に行けばいい。 僕たちにはまだまだ時間がある。 ゆっくりと二人で色んな思い出を積み重ねて行けばいい。「もちろん。でも、正直に言っちゃうと湊くんと二人ならどこでもいいよ」「……僕もそう思っているけど、改めて言われると照れるね」 良かった。日向が笑ってくれてる。 やっぱり、日向はこんな風に笑っている方が可愛い。 可愛いというか、もはや尊い。「えへへ。湊くんは案外照れやすいよね。可愛い」「そういう日向だって照れやすい癖に」 精一杯の照れ隠しを言いながら、僕たちは笑顔で帰路を辿る。 時刻は既に午後六時を回っていて日が沈んでいた。 夕陽が日向の顔を照らしていて、すごく綺麗で美しくて。「……なぁナチュラルに俺の存在を忘れてないか?」「「……あ」」 後ろから隆介に声をかけられてはっとする。 そう言えば、今日は三人で帰っていたんだった。 日向と話すのに夢中ですっかり忘れてしまっていた。 すまない隆介。「まあ、お前らが仲いいのは知ってるしさ。別にいいんだけどよ。俺は彼女が
last updateLast Updated : 2026-08-12
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