Lahat ng Kabanata ng 銀の怪盗は真夜中に覚醒する: Kabanata 61 - Kabanata 70

73 Kabanata

番外編 永遠の陽だまり

 桜が散って新緑が顔を出し、少しずつ暖かくなる5月。この頃になるとふと子供の頃を、思い出すんだ。 ――大好きだったばあちゃんのこと。 子供の頃、俺は泣き虫だった。 そんな俺をばあちゃんは、いつも優しく抱きしめてくれた。 変な百面相をしながら、笑わせてくれた。「泣きたい時は、泣いていいんだよ」「我慢する必要はない」 優しく微笑む。「…だけど、俺は男だし」 グッと拳を握る。 そう言うとばあちゃんは俺の手を握って「男の子だって泣いたらいい」 そっと俺の目に溜まった涙を拭いながら、頭に触れる。「我慢するとな?」「我慢すると…?」 ばあちゃんを見つめる。「顔が水ぶくれになるー!」 自分の顔を左右に伸ばしながら、脅かすようにばあちゃんが言う。「なにそれー?それは嫌だー」 泣いてたのが嘘のように笑みが溢れた。 ふふっと笑いながら、ばあちゃんは続ける。「でも…」「誰かを守るために、泣くのを我慢する姿はカッコいいかもしれないね」「そういう男になるんだよ」 頭をポンポンと叩く。「それって、じいちゃんのことー?」 何気に聞いてみる。 ばあちゃんは少し照れくさそうに笑った。 それから5年後―― 突然の出来事だった。 昨日まで話していたのに、急な訃報。 笑ってる顔しか思い出せない。 信じられなくて、ただ走った。無我夢中で。 間違いであってほしいと願いながら―― 家に着くと、何だか空気が重い。 自分の家ではないような感覚。 母さんも、父さんも、じいちゃんですら何も言わない。暗い空気の中、押し黙っている。 目の前の布団に横たわるばあちゃん。 顔に血色がない。 ただ眠ってるだけで、今にも目を開けそうなのに―― そっとばあちゃんの頬に触れる。「……っ!?」 冷たい。 硬い。 まるで人形のように、動かない。 何とも言えない感情が押し寄せてくる。 気づくと涙が溢れていた。 どうしようもなく、悲しくて… 気づけば、母さんも、父さんも泣いている。 いつも飄々としているじいちゃんも、声を押し殺して泣いている。 その姿が、余計に俺に現実を突きつけてくる。 ふとばあちゃんの言葉が頭を巡る。「大好きな自慢の孫だよ」「泣くとブッサイクだねー」「紫音のお嫁さんが見たいねぇ……」「人に優しく、困ってる人を助け
last updateHuling Na-update : 2026-09-20
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第61話 謎の会社

〜ログチーside〜「とにかく大地と合流しなきゃ!今日は大地を独りにしたらダメだから、シルバーの家に連行しよう!力づくでも!」 分身が元気よく頷く。「うん!大地くん助ける!」(フンスッ) ログチーが頭を抱えながら呟く。「…シルバーはそんな話し方しない!」「でもぉ……」「でももだってもない!顔もなんか情けないし!」 分身はしゅんと肩を落とす。「とりあえず眉間にシワ寄せて、不機嫌そうな顔してよ!」「う、うん!」 分身は頑張って険しい顔を作る。「よし!それ!それだよ!」 その時、大地がこっちに向かって白石と歩いてくる。「あ!大地だ!」 ログチーは分身の肩に飛び乗った。「オレが言葉を伝えるから、お前はそのまま同じことをシルバーっぽく言え!」 振り向いた大地が目を丸くする。「紫音?」 隣にいた白石も小さく呟く。「黒川くん…」 分身がログチーに言われるがまま話す。「おい大地、ちょっと顔貸せ」「は?」 大地が眉をひそめる。「俺、白石送る途中なんだけど」 白石は慌てて手を振った。「だ、大丈夫だよ?私、家はもうそこだし」 道の先を指差す。「長瀬くん、今日はありがとう……」 そう言って軽く頭を下げ、白石は走って去っていく。残されて、名残惜しそうな大地。 大地はため息をつきながら、呆れたようにこちらを向く。「…何なんだよ、邪魔しやがって…」 下を向きながらブツブツ話す大地。「いいから!今から俺と来い」「は?何言ってんだ?」「来い!」 珍しく強引な紫音に、大地は首を傾げた。「……お前、なんか変だぞ?」 ログチーは焦る。(やべっ!) 背中に貼り付いていたログチーは思わず分身の肩を噛んだ。「いっ!」 分身は再び不機嫌そうな顔を作る。「とにかく、俺の家に来い!」「はぁ?ま…いいけど、さ」 渋々ながら大地は了承した。 紫音の家。「…た、ただいま」(キリッ)  由紀子がリビングかは顔を出す。「おかえり紫音。…あら、大地くんも」「こんばんは、おばさん」 大地は軽く頭を下げる。 由紀子は二人を見ながら首を傾げた。「平日なのに珍しいわね。どうしたの?」 分身は少しだけ間を置いてから答える。「…き、今日、大地泊まるから!」「え?俺、泊まるん?」   大地が分身を見る。 分身は眉間に皺をよせな
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第62話 シルバー絶体絶命!?

 Kurokawa-Project …… 思わず息を呑む。 黒川……俺と同じ苗字。これは偶然か? いや、黒川なんて苗字は珍しくない。  ブラックカンパニーの社長がたまたま同じ苗字なだけ……「キミ、どうした?」 樹さんの声で、我に戻る。「……いや」 そう答えたその時、 ……カツン。 静まり返ったフロアに音が響く。 俺と樹さんは同時に顔を上げた。 ビルの奥。 暗闇の向こうから、ゆっくりと足音が近付いてくる。 カツ、カツ、カツ…… 迷いなく向かってくる足音。 まるで最初から俺たちの場所を知っているみたいに。 嫌な予感がした。俺は反射的にUSBケースを見た。 ケースの裏側。小さな赤いランプが点滅している。「発信機……!」 親指ほどの黒いチップ。 俺はチェーンの先端を引っ掛け、一気に引き剥がし、足で踏みつけた。 バチッ!と火花が散り、赤いランプが消えた。 樹さんの顔が青ざめる。「まさか……追跡されていたのか!?」「……多分な」 背中に嫌な汗が伝う。足音は近くまで来ている。さて、どうする? 樹さんを見る。手が震えて顔が青ざめている。「樹さん」「え?」「今すぐ逃げろ」「なっ!?」「情報を持ってるのはアンタだ。捕まったら全部終わる」「でもキミは!」「いいから行け!」 そう叫んだ瞬間だった。 バンッ!! 奥の扉が吹き飛ぶ。 舞い上がる埃。その中から現れたのは、黒いスーツ、無機質な白い仮面、そして、銀色の銃。「対象を確認」 低い声が響く。 男の銃口が真っ直ぐこちらを向いた。「USBの回収を開始」 冷たい声。 人間というより機械みたいな喋り方。樹さんが息を呑む。俺は一歩前に出た。「樹さん、走れ!!」 男の指が引き金にかかる。 その瞬間、心臓の鼓動が大きく跳ねた。視界が妙に鮮明になる。 男の肩、腕、指、脚、全ての動きが見える。(右に撃ってくる!?) そう感じた瞬間、身体が勝手に動く。 パンッ!! 銃声が響く。俺は床を転がるように飛び退いた。弾丸がさっきまでいた場所を貫く。「……何だ?行動が見える」 いや、弾丸が見えたわけじゃない。 男が撃つ前の動きが妙にはっきりしている。まるでそこだけ時間が遅くなったみたいに。「シルバー!」「何やってんだ!早く行け!」「でも!」「いいか
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第63話 自分の力で立つ

 パァンッ!! 三方向から銃声が鳴り響く。 終わった……そう思った瞬間── 銃弾は俺の頭を打ち抜くこともなく、背後の壁へ突き刺さった。「……え?」 思わず声が漏れる。さっき見た映像《ビジョン》では確かに俺は打たれてたはずなのに……。未来が変わったのか……? ──ガンッ!! 突然、ビル全体を揺らすような衝撃音。仮面の男たちが一斉に振り向く。「……何だ?」 暗闇の奥に一人の男が立っていた。銀色の長髪、夜風に揺れる白いマント。 仮面の男たちが銀髪の男に向かって一斉に銃口を向ける。「新たな対象を確認」「危険度を再評価──」 打とうとした瞬間、銃声は鳴らなかった。引き金を引こうとした仮面の男が固まる。「……あぁ?」 手にあったはずの銃が消えている。「な、何をした!?」 銀髪の男は肩を竦める。「ちょっと借りただけだ」 口角を上げ、余裕の表情。まるでゲームでも楽しんでいるように見える。 別の仮面の男が銀髪の男に向かっていこうと踏み出すが、 ガクンッと突然足がもつれたように前のめりに倒れ込んだ。 さらに三人目の仮面の男は、銀髪の男と距離を詰めてこようとするがいつまでたっても目の前にいるはずの銀髪の男に全く近づけない。「なぜだ……」「なぜ届かない……!」 仮面の男達が明らかに戸惑っている。 銀髪の男が静かに笑う。「つまらんな……」 攻撃も当たらず、近付けず、さらに武器が消えているのに銀髪の男は一歩も動いていない。「……すげぇ」  銀髪の男が振り返り、俺を真っ直ぐに見る。「助けるのは前回だけだと言ったはずだが?」 不敵に笑う。「……アルジェント、俺……」「話は後だ……。体勢を整えろシルバー」「はは……。でも俺、身体が動かね……あれ?さっきより身体が軽い」 アルジェントが、フッと笑う。「とりあえずそこの若者を逃してやれ」 指差す方向には樹が倒れている。俺はアルジェントを見てコクンと頷いた。◻︎◻︎◻︎ 気絶している樹さんに声をかける。「……樹さん、おい!大丈夫か?」 樹が目を覚ます。「……あ、ああ……すまない。足手まといになってしまって……」 弱々しく答える樹。「……いや、俺の暴走を止めたのは樹さんだ」「ありがとな」 俺の言葉を聞いて樹さんは少し照れ臭そうに笑った。「とにかく、樹さんは今す
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第64話 イカれた切り札!?

 三人目の仮面の男と対峙する俺。俺の二倍?いや三倍はある身体。力では全く敵いそうもない。 さて、どうするか? 男はゆっくりとこちらへ歩いてくる。一歩踏み出すたびに床が軋む。「……デカいな」 思わず息を呑む。 そのまま男は距離を詰めてくる。「よし!先手必勝!」 力では敵わなくとも、スピードは俺のが上だ! チェーンを放つ。 ガシッ 男の腕に巻き付く。そのまま思い切りこちら側へ引く。「……くっ」 男の身体は重すぎて微動だにしない。逆に俺の身体が引っ張られる。「クソッ!」 慌ててチェーンを離すが、男が巨漢とは思えないスピードでこちらに向かってくる。男の拳が俺に向かってくる。ギリギリのところで床に転がって避けた。  ドゴォォンッ 男の拳で床が砕ける。「……っ!」 まともに食らったら一巻の終わりだ。男と距離を取りながら、周囲を見回す。 鉄骨、コンテナ、天井、利用できるものは全部使う。「力じゃ勝てねぇなら――」 チェーンを天井へ放つ。 ガキィンッ!! 勢いよく身体を持ち上げる。「頭を使うまでだ!」 俺は天井に引っかかったチェーンをそのまま思い切り引いた。 ミシッ…… 古びた鉄骨が悲鳴を上げる。 男が異変に気付いて顔を上げた。「遅ぇよ」 バキバキバキッ!! 頭上の鉄骨が男の頭上に向けて崩れ落ち、轟音と共に男の身体が瓦礫に埋もれる。 辺りは砂煙が舞い、俺はマントで口を覆いながら呟いた。「……やったか?」 バァァァン! 瓦礫の中から男が立つ。「……化け物かよ。てか、アルジェントの奴、あいつをやっつけてからいけよ!……たくっ……ん?」 ポケットに入れた花札を思い出す。「……運次第か」「でも……」「やるしかねぇ!」 銀のケースから札を取り出す。札が手元で淡く光る、 男は瓦礫を払いながらゆっくりこちらに向かってくる。「……説明書はないのかよ!」 焦りながらケースを振る。何も出ない。 蓋には『効果は運次第。上手く使え』とだけ書かれているだけ。「雑か!」「使ってみるしかないのか、よくわからねぇけど……まあさすがに死ぬこととか、ないよな?多分……」 札を1枚取り出す。『猪』の札。 頭に音声が直接響く。「札、猪適用。猪突猛進!対象めがけて一直進」「は?」 理解する前に身体が勝手に仮面の男に向か
last updateHuling Na-update : 2026-09-24
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番外編 ボーイズトーク

「はぁ……」 俺は悩んでいた。 分身のせいで、毎日のようにくる女子からの手紙《ラブレター》が倍増した。 は?嬉しくないのか?って?いやいや、そういう問題か?俺にとっては不幸の手紙よりタチが悪い。捨てれねぇし、呪いか、これは。 大きくため息をつきながら、とりあえず手紙に目を通す。手書きで書かれた文字が目に入ってくる。◻︎◻︎◻︎ 『黒川くん、大好きです!』 ……俺はアンタのこと知らない。 『黒川くんの食べてる姿が可愛いです』 ……いちいち見てくんな。 『黒川くんの横顔が素敵です』 ……顔に穴があくから見ないでくれ。 『黒川くんとデートしたいです』 ……俺は家で寝ていたいです。 『黒川くんから薔薇の花束が欲しいです』 ……金欠の俺からたかるのはやめろ。 『黒川くんの笑顔が可愛いです』 ……それ、俺じゃなくね? 『黒川くんのYou Tube見ました。歌うますぎ!』 ……俺はYouTubeなんかやってねぇぞ? まさか、大地の奴か?アンニャロ。 「はぁ……」 どいつもこいつも似たようなことばっかだな……マジで面倒くせぇ。◻︎◻︎◻︎ 放課後。 机の上にはまた数枚の手紙《ラブレター》が机の上や中に入っている。一体どこから湧くのか…… 若干苛つきながら追加された手紙をカバンに入れていると、大地達が声をかけてくる。「すげえ量のラブレターだな」 ノブがからかう。「お前それどうすんの?」 大地が言う。「どうもしねぇ」 ナオが尋ねる。「それ、全部読むのか?」「まあ一応」 ノブが聞いてくる。「呼び出されたら行くのか?」 「まあ一応」 ナオが続けて尋ねる。「わざわざ断りにか?」「それ以外何があんだよ?」 三人が一斉に「真面目か!」と笑い出した。「うるせぇ!」「じゃあ聞くけど、お前らだったらどうするんだよ?」 三人は顔を見合わせながら答える。「俺はもらったことねぇし、わからん!」 ノブが堂々と言う。「俺は読まずにつっ返す!」 ナオが言う。「それは鬼すぎんだろ……」「大地は?」 「俺か?まあ読むけど、行かねぇな」「なんか……流されそうだし?」「意思弱ぇ〜」 ノブが爆笑する。「でも……本命だったら速攻で行くけどな?」 照れ臭そうに大地は答える。「てか、紫音は本命いないのかよ?」
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第65話 死闘の末に

「……運任せなんて性に合わねぇんだけどな」 深いため息をつき、銀のケースを見る。仮面の男が俺を探すようにゆっくりと周囲を見渡している。喉がゴクリと鳴る。「……マジ帰りたい」 でも逃げても追われる、止まれば潰される、このままだと俺の平穏な生活は戻らない。「クソッ!無事に帰ったらサムライマック食ってやる!」 俺は覚悟を決め、一枚札を引き抜いた。 現れたのは――『鹿』 札が銀色に輝く。「……猪に鹿って、動物園かよ!」 ツッコミを入れた瞬間、また頭の中に無機質な声が響く。『札、鹿適用。跳躍力上昇。着地の衝撃を無効化』「……今度はまとも……っぽい?」 試しに軽く跳ぶ。「うわっ!」 身体が一気に天井近くまで跳ね上がった。「高けぇし!!」 そのまま床へ落下する。「ひぃぃぃぃぃっ!」 情けない声が漏れる。「足が折れるーー!!」 悲鳴とは裏腹に、着地はストンと決まった。「……は?」 恐る恐る足を動かす。「痛くねぇ」 衝撃がまるでない。「おおっ! すげぇ!」 思わず口元が緩む。「これは当たりだな」 もう一度大きく跳び上がる。視界が一気に広がる。「まてよ?上からなら……?」 鉄骨から鉄骨へ飛び移りながら、仮面の男の動きを見る。男は首だけを動かし、ゆっくり俺を追ってくる。「……よし」 俺はチェーンを握り直し、ニヤリと笑った。「今度は俺の番だ。」 鉄骨を蹴り、一気に男の頭上へ飛び出す。「まずは一発!」 チェーンを振り下ろす。 ガキィィン!!「硬っ……」  頭に直撃したはずなのに、まるで鉄の塊を叩いたような感触が腕に伝わる。腕がじんと痛む。「どんな頭してんだよ!」 男は一瞬だけ仮面に手を添えた。が、そのまま何事もなかったように俺を見上げ、巨大な腕を俺へと伸ばしてくる。「危ねっ!」 鹿の跳躍力で真横へ飛ぶ。 ブォンッ!! 拳がさっきまで俺がいた空間を薙ぎ払う。「なんつースピードだよ!」 俺は鉄骨へ着地すると、そのまま別の鉄骨へ飛び移る。「だったら……」 チェーンをコンテナへ巻き付ける。「これならどうだ!」 チェーンを思い切り引いた。 ガガガガガッ!! 大型コンテナが重々しい風切り音とともに男へ向かって飛んでいく。 コンテナが当たる寸前、仮面の男は軽く片手で受け止めた。「は?」 思わ
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第66話 及第点

 アルジェントはゆっくりとこちらへ歩いてくる。瓦礫を踏む足音だけが静かな廃ビルに響いた。 俺は肩で荒く息をしながら、その姿を睨みつける。「は?及第点?いたんなら助けろよ!」 思わず声を荒げる。「死ぬとこだったんだぞ!?」 アルジェントは表情一つ変えない。「だが、生きている」「それは結果論だろ!」 アルジェントへ詰め寄ろうと立ち上がるが、脇腹に激痛が走る。思わず顔をしかめ、その場に膝をついた。「……くっ」 アルジェントはそんな俺を見下ろし、小さく口元を緩める。「怪我をしたのか?」「うるせぇ! ただのかすり傷だ」「その割には苦しそうだが?」 からかうように微笑むアルジェント。 息を整えながら、俺はゆっくり立ち上がる。「何ともねぇって言ってんだろ」 そう強がってみても、全身の震えと額から流れる冷や汗は止まらない。 アルジェントは無言でジャケットの懐に手を入れる。「……?」 次の瞬間、小さな丸薬のようなものを俺の口へ放り込んだ。「んぐっ!?」 そのまま飲み込んでしまう。口の中に強烈な苦味と薬草のような臭いが広がる。「臭っ」 涙目になりながらアルジェントを睨みつける。「おい!何飲ませたんだよ!毒じゃねぇだろうな!?」 アルジェントは一言「痛みを和らげるものだ」と言い、仮面の男が倒れた場所へそのまま歩いていく。「ちょっ、待てよ!」 そう言ってアルジェントの後を追う。 さっきまで戦っていた仮面の男が目の前に倒れている。全くピクリともしない。アルジェントは仮面の男の仮面を確かめようと手を伸ばすが、その瞬間―― シュゥゥゥ…… 男の身体が黒い粒子となって崩れ始めた。「……は?」 肩が、腕が、胸が順番に崩れていく。まるで砂時計の砂が風にさらわれるように静かに消えていく……「……消えた?」 その光景に目を奪われる。 その後、そこには砕けた瓦礫だけが残った。 呆然となっている俺の横で、アルジェントは当然のようにその光景を見つめていた。「驚くことはない」「いや、驚くだろ!」 思わずツッコミを入れる。「いきなり消えたんだぞ!?」「てか、説明しろよ!色々雑なんだよっ!」 アルジェントは静かに俺へ視線を向ける。「な、なんだよ」 アルジェントは、ははっと笑う。「それだけ軽口が叩けるなら大丈夫だな」「大丈夫
last updateHuling Na-update : 2026-09-27
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第67話 関西弁の怪しい奴

 アルジェントが去った後、廃ビルの中はさらに静けさを増していた。疲れがどっと押し寄せてくる。その場に座り込み、ふと息をついた。「その答えだけ覚えておけ……か」「……たく、雑な怪盗め!」 ブツブツ呟きながらビルの外を見る。満月が廃ビルを照らしていた。 手の中を見て、そのまま握りしめる。「なんとか生きてたな……俺」 そう呟いた後、自分の意思とは関係なく口角が勝手に上がるのを感じた。 少し違和感を感じながら立ち上がる。 廃ビルを見渡す。さっきと特に変わりはない。ビル内は静まり返っている。「あ……カード!!」 思い出したようにポケットから黒いカードを出す。 カードからはタイムリミットの時間も、書いていた文字も消えていた。「上手くいったんだよな……多分」 ホッとして胸を撫で下ろす。そう安心した、その時だった。 ガタンッ!! 廃ビルの奥から大きな物音が響く。 (なんだ……?) 警戒しながら、声のする方向へ視線を向けた。「うわっ!」「痛えよ、押すな!」「ちゃんと前見て下さいよ〜」「僕は僕の顔を見ていたい」「だから前見て下さいって!」 ……人の声? 俺は反射的に物陰へ身を隠す。足音が複数聞こえてくる。そのままゆっくりとこちらへ近づいてくる。 物陰からそっと様子を伺う。「隊長にバレたら絶対怒られるって……」 丸々とした短身の男が辺りをキョロキョロ見回している。「まだバレてないだろ!気合いだ!」 見るからに脳筋男が胸をドンと叩く。「僕の顔を見たら隊長も許してくれるさ」 長髪の男はいかにもナルシストっぽい。「静かにして下さいよ!」 細身で気の弱そうな男が諭す。 ……なんなんだ、あいつら。 敵……なのか?「俺ら、後始末ばっかじゃん?なんかもっと目立ちたいよなぁ?」 ナルシスト男が呟く。「成宮さん!もう鏡いいですから、早く探してくださいよ!」 細身の男が諭している。「もういっそのことなかった!って報告しようぜ!」 脳筋の男が適当に応える。「筋田さん、隊長に怒られますって!」 短身の男がぼやく。「だから僕の顔に免じて許してくれるさ」 成宮と呼ばれた男が鏡を見ながら髪を整えている。「三人ともいい加減、真面目にやって下さいよ!」 細身の男が困りながらオドオドしている。「細谷、お前うるさい!!」 三人
last updateHuling Na-update : 2026-09-28
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第68話 強者の余裕

「兄ちゃんがあの化け物倒したんやろ?」「……っ!」 久我が俺の反応を見て口角を上げる。「反応なくなったから見にきたんや。まあ、コイツらに回収させよう思てたけど……無駄足やったみたいやな」 久我はやれやれといった顔をする。 そして俺へ視線を向けながら言った。「でもまあ、ここに来たんは無駄やなかったけどな」 どこか嬉しそうにしながら久我は笑う。俺は久我を睨みながら尋ねる。「お前たち……ブラックカンパニーの奴か?」 その名前を出した瞬間、久我は露骨に嫌そうな顔をした。「やめてくれるか?」「は?」「そのダサい名前で呼ぶん」「は?」 思わず目が点になる。「く、久我さん!またそんなこと言ったら隊長が……」 丸谷が会話に入ってきた途端、久我がゆっくりと目を開き丸谷を見据えた。「誰が喋ってええ言うた?」「ひ、ひぃっ!」 丸谷は肩を震わせそのまま黙り込む。 あまりのビビり具合に俺は少し後ずさる。「今は兄ちゃんと話しとんねん。黙って聞いとき」 久我は再び俺へ視線を戻す。 「なあ、兄ちゃん?」 笑顔のまま、胸ポケットから一本のナイフを取り出し、指先でクルクルと回した次の瞬間―― シュッ。「……っ!」 咄嗟に避けるが、ナイフは頬をかすり後ろの柱へ深々と突き刺さる。 そっと頬を指でなぞると、赤い血が滲んでいた。「は?……お前!いきなり何すんだよっ!」 久我は楽しそうに笑いながら「兄ちゃん、何勘違いしとるん?」「俺は敵やで?」「怪我するかどうかなんて、知ったこっちゃないわ」 そう言ってこちらに向かって一歩踏み出してくる。「兄ちゃんの実力……俺にも見せてくれや」 糸目の目を見開き、ニヤリと久我は笑った。 その瞬間、二本目のナイフが一直線に飛んでくる。 キィン! 銀のチェーンで弾き飛ばすとナイフは床を滑り落ちた。「ほぉ……」 久我はまた少しだけ目を見開いて笑う。「そのチェーン、飾りとちゃうんやな」「試してんのか?」「そんなとこや」「兄ちゃんがホンマに噂通りか知りたかってん」「噂?」「怪盗シルバー」 俺は無言のまま睨み返す。「……返事せぇへんのか?」 久我はクスッと笑う。「兄ちゃん、気に入ったで」 そう言った後、久我の姿がふっと消える。「なっ!?」 真横に人の気配!?「遅いで?」 耳元で
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