銀の怪盗は真夜中に覚醒する

銀の怪盗は真夜中に覚醒する

last updateLast Updated : 2026-07-06
By:  黒瀬 蓮Updated just now
Language: Japanese
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俺の名前は黒川紫音。 ただの高校生――のはずだった。 身に覚えのない腕時計を手にしてから、俺の日常はズレ始める。 消える記憶。 狂い始める時間。 気づけば、俺は”怪盗シルバー”として夜を駆けていた。 俺が盗むのは金じゃない。 誰かが奪われた『大事な何か』だ。 三年前の抜け落ちた記憶。 いつしか、本気を出せなくなっていた俺。 シルバーとして動き始めてから、謎が少しずつ増えていく。 消えた記憶。 解けない違和感。 隠され続けた真実。 すべてが一本の線で繋がるとき、止まっていた俺の時間も動き始める。 困ってる奴は放っておけない。 だけど、この高揚感は、嫌いじゃない。 ……面倒くせぇけどな。

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Chapter 1

第一話 いつもの日常、忘れられた時計

 いつもの朝。

 母さんの声が朝からうるさく響く。

「紫音ー、のんびりしてるみたいだけど、時間大丈夫なのー?」

「分かってるって!」

寝起きのまま、制服に袖を通し、階段をかけ降りる。

黒川紫音《くろかわしおん》。俺の名前だ。

洗面所で顔を洗う。鏡を見ると、少し伸びた髪の隙間から切れ長の目がのぞいている。

「あ、寝癖……」

ワックスを手に取り、跳ねた髪を手ぐしでサッと整えた。鏡の中の自分を見て、

「…まあ、こんなもんか…?」と小さく呟く。

「紫音、何やってるの?」

振り返ると、母さんがニヤニヤとこちらを見ている。

「……べっ別に、寝癖直してただけだし」

声が少しうわずる。

「もぉ…色気付いちゃって…」

手を口に当て、母さんは何だか嬉しそうにしている。

「は?違ぇし?」

「はいはい…」

母さんが小さく笑う。

「ほら、これ…」

弁当をぐいっと身体に押し付けられる。

「時間ないんでしょ?」

「あー、やっべ!」

慌ててカバンに弁当を突っ込み、食パンを口にくわえる。

ふと目の前の棚を見る。見覚えがあるようなないような黒い腕時計。少し気になりつつ玄関で靴を履き、家のドアを開けた。

「行ってきます!」

「いってらっしゃい!」

◻︎◻︎◻︎

授業はいつも通り退屈で、気づけば放課後になっていた。終業のチャイムが校内に響く。

「はぁぁ、やっと終わったー!」

(まあ、ほぼ寝てたけども…)

椅子に座ったまま、大きく伸びをする。

「紫音ー」

声の方へ振り返ると、見慣れた顔が満面の笑みでこちらを見ている。

「……大地、顔がうるせぇ!」

机に肘をついたまま軽口を叩く。

「顔がうるせぇとか、何だよ!こんなに爽やかな親友に向かって!」

「……自分で爽やかって言う奴の顔が見たいな」

「おう、どんどん見ろよー」

いつものたわいもないやり取り。

珍しく部活が休みらしく、久々に一緒に帰る。

爽やかと自分で名乗る親友《バカ》は、長瀬大地《ながせだいち》。幼馴染だ。

まあ自分で自称するだけあって、清潔感があり、さらさらの茶髪、笑顔を絶やさないコイツはそう言っても間違いではないけれど。

二人で教室を出て、並んで歩く。

「なぁ紫音、ちょっと寄ってかないか?」

「金欠だし、お前の奢りならな?」

 ニヤっと笑う。

 大地は怪訝な顔をしながら

「は?ちげーよ!バスケだよ、バスケ!」

「またかよ!」

 小さくため息をつく。

「……お前、勝てねーじゃん?キャプテンのくせに」

大地は図星をつかれたかのように押し黙った。

「……うるせぇ!今日こそは勝つ!」

「言ったな?」

 大地を見ながら、俺は少し口角を上げる。

「……ああ、言った!」

 少し戸惑いながら、大地は俺の口車に乗る。

「じゃあ俺が勝ったら肉まん奢れよ!」

「望むところだ!!」

 二人でいつもの公園に向かった。

◻︎◻︎◻︎

公園――

夕方の空気が、少し冷たい。

大地が軽く息を吐きながら呟く。

「よし、じゃあ俺からな?」

 ボールを軽くつきながら、こっちを見る。

「紫音、ちゃんと見とけよ?」

 得意げに口元を上げる。

ドリブルして、そのままシュート体制に入り、勢いよくボールを投げた。

バンッ

ゴールポストに当たり、ボールは虚しく地面に落ちた。

「あっ」

大地が気まずそうにこっちを見る。

「よっ!さすがバスケ部キャプテン!」

 パチパチと手を叩きながら、棒読みで揶揄《からか》う。

「い、今のなしで!」

 大地が手をバツにしながら叫ぶ。

「往生際が悪いぞ?」

 ボールを手に取り、指先でクルクルと回しながら、ゴールポストを見る。

「実力の違いを見せてやる!」

 ボールを落とす。

 軽くドリブルして、そのまま投げる。左手がすっと伸び、右手は添えていた名残のまま離れる。

 ボールが静かに弧を描き、リングへ向かって吸い込まれていく。

「……は?」

 ゴール下で、大地が固まり、視線が、こっちに向く。

 俺は、ただゴールを見ていた。

 少しだけ、目を細めて――

 ネットが揺れる。

 遅れて、音が響いたのを確認してから、大地を見て、フッと笑う。

「肉まんゲットな!」

 大地はちょっと悔しそうにしながら、俺の肩を抱き寄せてくる。

「お前やっぱバスケ部入れよ!」

 興奮しながら、顔を思い切り近づけてくる。

「……顔を近づけんな!汗臭ぇよ!」

 手で押し返すが、離れない。

「……お前もだろーが!」

 顔を合わせて、お互いにケラケラと笑う。

 笑い終えた後、少し真剣な顔で大地が呟く。

「……また一緒にバスケやろうぜ」

「中学の時、みたいにさ」

 俺は視線をゴールに向け、少し目を細めた。

「……中学の時、な」

 ペットボトルを開けて、水をひと口飲む。

「まあ、また気が向いたら、な」

 大地が嬉しそうに笑った。

◻︎◻︎◻︎

「そういえばさ……」

思い出したかのように大地が話してくる。

何故かわからないけど、照れ臭そうにボールをいじっている。

(……何だ?気持ち悪いな)

怪訝な顔で、大地を見る。

「あ、あのさ」

「ちょっと、お前には言っておきたくて」

「何を?」

「同じクラスにさ、白石っているじゃん?」

「……白石?」

 水を飲みながら返す。

「……し、白石。白石柚希《しらいしゆずき》。おとなしい感じの子だよ」

 どこか落ち着かない様子で話してくる。

描いて

「ああ……いたっけ…?」

大地を見ると、バツが悪そうに下を向いている。

(……ははーん?)

 少しだけ口元が緩む。

「お前……分かりやすいな」

「あ?」

 大地が顔を上げる。

 顔を真っ赤にしながら「うるせぇよ!」と返してきた。

「プッ」

 思わず吹き出す。

「……笑うなよ!」

 大地が照れ臭そうに言う。

 少しの間、笑い声だけが残った。

◻︎◻︎◻︎

大地と別れ、家に着いたのは、18時を少し過ぎた頃だった。玄関のドアを開ける。

「ただいまー」

「おかえりー」

 キッチンの方から、明るい声が返ってくる。

 着替えてダイニングに降りると、父さんがソファに腰掛けていた。

「父さん、今日早いじゃん」

「たまにはな」

 新聞の隙間からチラッと俺を見て答える。

「紫音ー」

 会話を遮るように母さんが声をかけてくる。

「もうご飯にするからおじいちゃん呼んできてー」

「はいよー」

 廊下から縁側に向かう。

「……アレ?」

 いつもの定位置に、じいちゃんがいない。

「じいちゃん?」

 呼びかけるが、返事はない。

「部屋か……?」

 そのまま奥へ向かおうとした、その時――

 ガタンッ!!

 足を止めて振り返る。

「……っ?」

 さっきまで確かに誰もいなかった。

 それなのに……いなかったはずの場所じいちゃんが座っている。

(なんだ……これ)

 一瞬、眉をひそめる。

「紫音?」

 じいちゃんがゆっくりこちらを見る。

「……じいちゃん、さっきそこにいなかった、よな?」

 疑問をそのまま口にする。

だけど、じいちゃんは何も答えず、ただ飄々と、「夕飯かのぅ?」と聞いてくる。

「あ、ああ……呼びにきたんだ」

「では、向かうとするかのぅ」

確かにそこにはいなかった。それなのに、振り返ったらなぜか··にいたんだ……。

不思議な感覚を覚えながら、じいちゃんの背中を追う。

じいちゃんの後ろ姿を見ながら、ふと違和感を覚える。

……なんだ?

少しだけ、いつもより背中が大きく見えた気がした。まるで、別人みたいに。

◻︎◻︎◻︎

 じいちゃんと一緒にリビングに戻ると、テーブルにはたくさんの料理が並んでいた。

 美味そうな匂いと、温かい湯気が立ちのぼっている。

「いただきます」

 4人で手を合わせる。

 すぐに箸を手に取り、口へ運ぶ。

「めっちゃ腹減ってたんだよなー」

「よく噛んで食べるのよ?」

 母さんが少し心配そうに言う。

「子供扱いすんなよ…たくっ」

 軽く顔をしかめる。

「紫音、わしの分も食うか?」

 じいちゃんが楽しそうに笑う。

「いらねーよ」

 即答する。

「若いっていいな」

 父さんが笑いながら呟く。

 穏やかな空気が家族を包む。

 父さんがリモコンを手に取り、テレビをつける。画面には、今日のニュースが流れていた。

 TVからの声。

『怪盗アルジェントが、再び犯行声明を出しました』

『盗まれた品が、過去の盗難事件の被害品だったことが判明しました』

 母さんがぱっと顔を上げる。

「またアルジェント様のニュースねー」

 嬉しそうに画面を見つめる。

「ただの泥棒だろ…」

 父さんが気のない返事をする。

「違うわよー!」

 母さんは少し興奮した様子で身を乗り出す。

「アルジェント様は違うの!」

「かっこいいのよー!怪盗紳士ってやつー?」

 力説しながら、目を輝かせている。

「由紀子、あまり夢中にならないでくれよ…」

 父さんが寂しそうに呟く。

(アルジェントか、確かによく聞く名前だな)

 両親の会話を聞き流しながら、俺は夕飯を黙々と食べていた。

 箸を置く。

「ごちそうさまー」

「はーい、お粗末さまでしたー」

「食べた食器はシンクにね、紫音」

「へいへい」

 食器をシンクに置き、そのまま風呂場へ向かう。

◻︎◻︎◻︎

 風呂上がり――

 タオルで髪を拭きながら廊下に出る。

 棚の上の時計に目が止まる。

「朝見た時計か……」

 黒いシンプルな腕時計。裏には、小さく文字が刻まれている。手に取って見てみる。

「この時計、いいな……」

 指先で軽くなぞる。

「それ、紫音の時計でしょ?」

 背後から母さんの声。

「え?俺のだっけ?」

 振り返る。

「……何言ってるの?」

 呆れたように母さんはため息をつく。

「おじいちゃんに高校合格した時にもらった大事な時計でしょ?」

「もう、どこにでも放置するんだから!」

「……そうだっけ?」

「思い出せねぇ……」

首を傾げる。

「ま、明日からつけて行くか」

時計を棚に戻す。

◻︎◻︎◻︎

自室――

ベッドに腰を下ろし、ふと、さっきの時計のことを思い出す。頭の中を探ってみる。

もらった時のこと。

高校合格祝い。そう言われても、本当に何も思い出せない。もらった日の景色も、じいちゃんの顔も、もらった日の気持ちさえも……。

何かが少しだけ引っかかる。

でも――

「寝るか…」

胸の奥の小さなざわつきを抑えつつ、ベッドに倒れ込む。気づくと、そのまま眠っていた。

その違和感の正体を、俺はまだ知らない――

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第一話 いつもの日常、忘れられた時計
 いつもの朝。 母さんの声が朝からうるさく響く。 「紫音ー、のんびりしてるみたいだけど、時間大丈夫なのー?」 「分かってるって!」 寝起きのまま、制服に袖を通し、階段をかけ降りる。 黒川紫音《くろかわしおん》。俺の名前だ。 洗面所で顔を洗う。鏡を見ると、少し伸びた髪の隙間から切れ長の目がのぞいている。 「あ、寝癖……」 ワックスを手に取り、跳ねた髪を手ぐしでサッと整えた。鏡の中の自分を見て、 「…まあ、こんなもんか…?」と小さく呟く。 「紫音、何やってるの?」 振り返ると、母さんがニヤニヤとこちらを見ている。 「……べっ別に、寝癖直してただけだし」 声が少しうわずる。 「もぉ…色気付いちゃって…」 手を口に当て、母さんは何だか嬉しそうにしている。 「は?違ぇし?」 「はいはい…」 母さんが小さく笑う。 「ほら、これ…」 弁当をぐいっと身体に押し付けられる。 「時間ないんでしょ?」 「あー、やっべ!」 慌ててカバンに弁当を突っ込み、食パンを口にくわえる。 ふと目の前の棚を見る。見覚えがあるようなないような黒い腕時計。少し気になりつつ玄関で靴を履き、家のドアを開けた。 「行ってきます!」 「いってらっしゃい!」 ◻︎◻︎◻︎ 授業はいつも通り退屈で、気づけば放課後になっていた。終業のチャイムが校内に響く。 「はぁぁ、やっと終わったー!」 (まあ、ほぼ寝てたけども…) 椅子に座ったまま、大きく伸びをする。 「紫音ー」 声の方へ振り返ると、見慣れた顔が満面の笑みでこちらを見ている。 「……大地、顔がうるせぇ!」 机に肘をついたまま軽口を叩く。 「顔がうるせぇとか、何だよ!こんなに爽やかな親友に向かって!」 「……自分で爽やかって言う奴の顔が見たいな」 「おう、どんどん見ろよー」 いつものたわいもないやり取り。 珍しく部活が休みらしく、久々に一緒に帰る。 爽やかと自分で名乗る親友《バカ》は、長瀬大地《ながせだいち》。幼馴染だ。 まあ自分で自称するだけあって、清潔感があり、さらさらの茶髪、笑顔を絶やさないコイツはそう言っても間違いではないけれど。 二人で教室を出て、並んで歩く。 「なぁ紫音、ちょっと寄って
last updateLast Updated : 2026-07-04
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第二話 偶然か、必然か
 翌朝―― スマホが耳元で鳴っている。 ぼんやりと手を伸ばし、音を止める。 「ん…今、何時……」 画面を見る。 7時30分―― 一瞬、固まり、慌ててベッドから起き上がる。 制服に袖を通し、部屋を飛び出す。 階段を駆け下りて洗面所へ向かい、顔をさっと洗う。寝ぐせを軽く整え、キッチンへ向かう。 「母さん!なんで起こしてくれなかったのさ!」 「何度も起こしたでしょ!」 「え……?」 「3回は起こしたわよ!」 「……マジか」 棚の上の腕時計に目が止まる。 「……つけていくか」 腕につける。カチッ。 「おっ!ピッタリじゃん!」 「紫音ー!遅れるわよ!」 「やべっ」 食パンをくわえ、カバンを掴む。カバンが半分開いたまま、靴を履いた。 「行ってきまーす!」 「ボタン、ちゃんと止めなさいよー」 「へーい」 軽く返事をしてから外に飛び出した。 ◻︎◻︎◻︎ 教室―― 息を切らし、何とか席に滑り込む。 「……セーフ!!」 「ギリギリかよ!」 後ろから大地の声。 「朝は弱ぇんだよ……」 そう言って机に突っ伏す。 無意識に腕時計を見る。妙に秒針の音が耳に入る。カチッ…カチッ…と。 「ねむ…」 なんか妙に眠い。耐えきれずそのまま目を閉じる。担任の声が耳元で聞こえた気がしたけど、意識はすぐに沈んでいった。 ◻︎◻︎◻︎ チャイムが鳴り、大地から、肩を揺すられる。 「いい加減に起きろ、昼休みだぞ?」 「……ん」 寝ぼけたまま、顔を上げる。 「もう授業終わったのか?」 佐藤信樹《さとうのぶき》、通称ノブ。 ノブが笑いながらからかってくる。 「担任が耳元で怒ってても起きなかったからな」 坊主頭で声がデカい、いつものノリだ。 山田直之《やまだなおゆき》、通称ナオ。 ナオが呆れたように言う。 「お前ほんとすげぇわ、大物だわー」 ナオは相変わらず冷静。ロン毛に眼鏡。こういう時だけオカンみたいに口うるさい。 「てか飯食おうぜ」 「あ、ああ…」 カバンを探る。 「……ん?」 手が止まる。 「……ない」 「忘れたのかよ?」 「……みたいだな」 「珍しいじゃん」 大地がニヤっとする。 「紫音が弁当忘れるとか珍しー!」 ノブがからかう
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友情、それから——
夕方、帰り道。 外に出ると、冷たい空気が頬に触れる。思わず肩をすくめる。「……さむっ」(……こんな寒かったか) 吐く息が、白い。 その横で、大地が腕をさする。「マジで冷えるな…」 少し歩いたところで、俺は足を止めた。「…腹減った」 ちらっと二人を見る。「なんか食わねぇ?」「いいな!」 大地が即答する。「寒いし、こんな時は肉まんだよなー」「だな!」 静かに微笑む白石。 コンビニに入る。自動ドアが開き、暖かい空気が身体に沁みる。「うわ、あったけ……」 大地が小さく呟く。 レジ横のケースに、肉まんが並んでいる。「肉まん三つ」 会計を済ませ、店を出た。 コンビニを出た後、横で大地が渋い顔をする。「…マジで俺かよ!」「安いもんだろ?」 俺らのやり取りに、白石が慌てたように口を開く。「や、やっぱり私も出す…」「いいって」「そのために誘ったわけじゃないし、な?大地」 大地がコクコクと頷きながら「……俺が奢りたいんだってば!」 鼻を少し掻きながら答えた。「と、いうことで、遠慮なく奢られてくれ」 俺が軽口をたたく。「お前が言うな!」 大地が横目で俺を睨むと、白石が一瞬、きょとんとする。 それを見て、俺は小さく笑う。 白石が、ふっと表情を緩める。「……ありがとう」 大地が視線を逸らし、少し照れながら「だから、遠慮すんなって」 俺は大地に聞こえるよう軽口を叩く。「金欠のくせに」「うるせぇ!お前もだろ!」 白石がまた、クスッとと笑った。 三人で並んで歩く。 冷たい空気の中、手の中だけが少し温かい。「美味っ」「あったけぇ…」「美味しい…」 少し歩いたところで、白石が立ち止まる。「…あの、私、こっちだから」 指さす先は、住宅街の方。「あ、そっか」 大地が少し慌てる。「…今日は誘ってくれてありがとう」 白石が小さく頭を下げる。「…また明日」 白石はそう言って歩き出す。 少し離れてから、振り返り小さく手を振った。 大地が慌てて振り返す。「お、おう!」 そのまま白石の姿が見えなくなるまで。 少しだけ静かな空気。 大地と二人で並んで歩く。 大地が、そわそわと落ち着かない。「…紫音」「ん?」「…あのさ」 言いかけては止まる。視線が泳ぐ。 その様子を見ながら、俺は小
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第4話 夢?消えた記憶
朝、いつもより、少し早く目が覚めた。 ぼんやりと天井を見つめる。目は覚めているのに、頭が重い。眠れていたはずなのに、どこか疲れが残っている。 目をこすりながら、ゆっくりと起き上がる。昨夜のことが、断片的に浮かんだ。 白い影。逆に動く時計。 ドアが、ゆっくり開く音……。 はっきりとは思い出せない。けど、ただの夢とは思えなかった。妙に、現実に近すぎた。 腕時計を見る。カチ、カチ、と、何事もなかったように、普通に動いている。 「…だよな」 小さく息を吐く。 制服に着替えて、階段を降りる。リビングから、味噌汁の香りが漂ってくる。 「おはよう」 母さんの声。 「…おはよ」 席に座る。 じいちゃんは、すでにお茶をすすっていた。いつも通りの朝。そのはずなのに、どこか落ち着かない。 「……なあ、じいちゃん」 「どうした?紫音」 じいちゃんが、ゆっくりと顔を上げる。 「あの、さ」 「昨日の夜、俺の部屋……入った?」 じいちゃんが返事する前に、母さんが、クスッと笑う。 「なにそれ、怖いんだけど」 「変な夢でも見たんじゃないの?」 俺は少し眉をひそめて 「……いや、でも、音がしたんだよ、廊下」 「気のせい気のせい」 母さんは気にした様子もなく 「疲れてるんじゃない?」 少しモヤっとしたまま、俺は無言でトーストをかじった。 その後、じいちゃんが、ゆっくりと口を開く。 「怖い夢でも見たんかのぅ?まあ夢は夢じゃ」 穏やかな声で、いつも通りの言い方。 けど、何故かその言葉が、妙に引っかかった。 じいちゃんを見る。 だけど、いつも通りの顔でお茶をすすっている。まるで、全て把握しているかのように……。 「ただの夢、だよな」 俺はそれ以上、考えるのをやめて、そのまま家を出た。 通学路―― 朝の空気が、冷たい。家を出た瞬間、思わず肩をすくめた。 「……さむっ」 小さく呟く。 そのまま歩き出す。いつもと同じ道。見慣れた景色。 それなのに、どこか、しっくりこない。 時計を見る。 7時58分。 (まだ余裕だな) 視線を前に戻す。 横を通り過ぎた生徒の動きが、ほんの一瞬だけ、遅れて見えた。 「……?」 足を止める。
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第5話 頭の中に、響く声
みんなの笑い声が、遠く感じる。 大地も、ノブも、ナオも、さっきの話で、まだ盛り上がっている。 「紫音、どうした?」 いつもと様子が違うことに気づいたのか、大地が首を傾げながら聞いてくる。 「さっきから会話に入ってこないよなぁ?」 ナオも、続けて尋ねてきた。 「……そんなこと、ないだろ」 ノブが顔を覗き込む。 「てかお前、顔色悪くね?」 「腹でも壊したんか?まさか下痢か?」 ナオが続ける。 「イケメンが下痢とか台無しだぞ」 「そこフォローしてやれよ」 ノブが軽く笑う。 「てかさ——」 ノブがニヤっとする。 「帰りゲーセン行かね?」 「いいねー!」 ナオが乗る。 「……わりぃ、今日は帰るわ」 席を立つ。 「あれ?もう帰んのか?」 大地が、意外そうに眉を上げる。 「まあ、……ちょっと用事」 「下痢がヤバいんだとさ」 ノブが茶化す。 「ちげぇから!」 大地は少し笑いながら、 「俺、これから部活だからさ」 「ああ」 「また明日な!」 「ん…」 大地はそのまま体育館へ向かって行く。 ノブとナオも、それぞれ帰る準備を始めた。 教室を出て、廊下を歩く。人の声が、少しずつ遠ざかっていく。 「……」 胸の奥に、何かが引っかかって、取れない感覚。 (……なんで、こんなに気になるんだよ) 足を止める。 考えようとして、やめる。 どんなに考えても、答えは出ず、モヤモヤ感を残したまま家に帰った。 ◻︎◻︎◻︎ 夕方、自宅。靴を脱ぎ、リビングに入る。 「おかえり」 母さんの声。 「……ただいま」 短く返す。 母さんが、首を傾げながら、俺に尋ねる。 「どうしたの?なんか元気ないわね」 「大地くんと喧嘩でもしたの?」 「……してねぇよ」 咄嗟に返す。苛立ちが出たのか、キツく返してしまう。 (母さんが悪いわけじゃないのに……) 母さんは、それ以上、何も聞かなかった。 そのまま、少し俺の様子を見て、キッチンへ戻っていった。 俺は無言のまま、ただそこに座っていた。 夜―― 風呂を出て、タオルで髪を拭きながら、自分の部屋に戻り、そのままドアを閉めた。 ドアにもたれかかったまま、目を瞑る。 どうしても今日の出来事が、頭から離れな
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第6話 目の前の、変な奴
「……起きた?いや、お前とは初対面だ!てか俺の名前はシルバーじゃない!!」 夢にしては妙にリアルだ。感覚もあるし……。 ただ、目の前に、『それ』がいる。 手のひらサイズの、黒紫の小さな体。羽根のような耳に、矢印みたいな尻尾。丸い目が、こちらをじっと見ている。 俺は気づくと無意識に手を伸ばしていた。指先でそっと触れる。 (やわらかい……) そのまま、なぞる。小さな体が、ぴくっと揺れた。 「ちょ、くすぐったいって!」 「……っ!?」 反射的に手を離す。 ぽとっ、と落ちる。 「きゅー……」 足元で、小さく丸まる。 俺は少し眉をひそめながら呟いた。 「……本物だったのか」 しゃがみ込んで、手を差し伸べる。 「……わりぃ」 そいつはもぞもぞと俺の身体を登ってくる。俺は、訝しげにそいつを見つめた。 「……問題なさそうだな」 「落とすなんてひどいよ、ご主人!」 そいつは、頬を膨らませてバタバタと、短い手足を動かしている。 「……は?」 「落としたのは悪かったけど、ご主人って何のことだよ?」 そいつが、肩をすくめながら、俺をまっすぐに見つめる。 「そんなの……キミに決まってるじゃないか!」 「……は?」 俺は軽く眉をひそめて、尋ねる。 「てか、何なんだよお前は……」 そいつが、一瞬咳払いをして、目をきらきらさせた。 「オレは、ログチー!キミの相棒さ!」 その瞬間―― 俺の顔から表情が消える。 「……帰れ」 「それはないよ〜、ご主人!」 少し拗ねたように、ぴょんと跳ねる。 「呼んだのはご主人だろ!」 「呼んでねぇし!」 「呼んだって!」 「シルバーって言っただろ!ご主人の呼び名!」 「……っ!?」 言葉が詰まる。確かに言った覚えがある。正直なところ強制的に言わされたが正しいけど。 ログチーが、得意げに言う。 「ついに……覚醒したね」 「待て!この状況!全然追いついてないんだけど?」 「え?そうなの?頭悪すぎない?」 「は?いきなり現れて、はいそうですか?って納得するのかよ!そっちのがおかしいだろ!」 「てか、覚醒ってなんなんだよ」 「まーそれは、おいおいわかるよ」 「お前雑すぎんだろっ!」
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第7話 白い影の正体
眠れない……。目を閉じても、落ち着かない。 心臓が、やけにうるさい。さっきまでの出来事が、頭から離れない。「……はぁ」 小さく息を吐く。 天井を見つめたまま、視線だけを動かす。枕元に置いた腕時計に、目をやる。「……なんなんだよ」 苛立ちを抑えるように、首の後ろを掻く「ご主人、眠れないの?」 俺は、無言のまま、背を向ける。「ご主人ってばー!」 少し苛立ちながら言葉を返す。「……いい加減、その呼び方やめてくんね?」「んー?」「……その、ご主人って呼び方」「なんか、むず痒い」「んー?」「じゃあ、やっぱりシルバー?」「ちげぇわ!」 ため息が漏れる。「……もう、好きに呼べよ」「うん!シルバー!やっぱりこっちのがしっくりくるよね」 嬉しそうな声が返ってくる。「……」 天井を見つめたまま、俺はは小さく息を吐いた。「……で?」「ん?」「さっきの話」「覚醒って、一体なんなんだよ」「んー?やっばり気になる?」「は?当たり前だろ?」「映画でもあるまいし、はい!覚醒しましたよーって雑な説明されてだな、はいわかりました!納得ー!って言う奴がどこにいる?」「いるなら、さっさと連れて来い!ここに!」 苛立ちをそのまま言葉に出す。 ログチーが、クスッと笑う。「キミは相変わらず短気だなぁ」「相変わらず?」  少し考えてログチーは言う。「まだ記憶が気になるけど……ま、いっか!」「体感した方が早いよね?」「……は?」 言ってることに理解が追いつかず、眉をひそめる。「ただ、あまりやりすぎちゃうと危険だからちょっとだけ体感してみる?」「体感って?」「シルバー、目を閉じて!」「……なんだよ、突然」「いいから!頭にイメージしてみて」「戻りたい時間とか、その日のイメージ、感じたこととか」「……」 時間とズレ。頭の奥に、あの違和感がよみがえる。うまく言葉にはできない。 でも、あの『ズレた感じ』それを、なぞりながら、俺は目を閉じた。 その瞬間—— 視界が、ぐらりと揺れた。 足元が、不安定になる。身体が、ふわっと浮くような感覚。画面がホワイトアウトし、音がなくなっていく。◻︎◻︎◻︎「……?」  ゆっくりと、目を開ける。そこは暗闇で、何も見えない。 ポケットからスマホを取り出す。画面の光で、周りを照らす。
last updateLast Updated : 2026-07-06
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第8話 謎のカード
「ちょっと!シルバー!」 「シルバーってばー!!聞いてる?」 耳元で叫ばれて、ハッとする。 目の前には、ログチー。 ぼやけていた意識が、だんだんクリアになる。 「……ん?」 視線を下に向ける。 白いジャケット。夜でもやけに目立つ。ふと、背中側で布がわずかに揺れた。 「……マント?」 思わず、眉をしかめる。 「やっぱり似合うねー!」 ログチーが、けらけらと笑う。 「ちょい盛ってみたー」 「盛るな!」 軽く叩く。 まだ違和感が抜けないまま、さらに視線を下げる。体を動かすたび、銀のチェーンがかすかに鳴る。 「……なんなんだよ、これ」 額に手をやり、やれやれと小さく息を吐く。 (……誰も見てねぇ、よな?) すぐに思考を切り替える。 「……なぁ」 「ん?」 俺は、ログチーを見て呟く。 「……さっきのやつさ、一体どれぐらい戻れるんだ?」 「んー」 ログチーは、手を口元に当てながら、 「……今は1日から、2日くらいかな」 手の指先に、少し力が入る。 「……今は?」 ログチーは、にやっと笑う。 「まだまだってこと。ただし能力が開花すれば……。まあ、今は気にしないで」 その後、ログチーの声が少しだけ落ちる。 「でも、これからどうなるかは、キミ次第だからさ……。上手く言えないけど」 「……なんだそれ」 続けてログチーに尋ねる。 「……なぁ」 「例えば……さ」 「……三年前、とかに戻ることもできるのか?」 無意識に手を力が入る。 「ん?」 ログチーが、きょとんとする。 「三年前?」 「……出来るのかっ?」 自分でも驚くほど声が強張っていた。 思わず、ログチーを力強く掴む。 「むぎゅっ」 「ちょっ——!」 「あ、わりぃ」 すぐに手を離す。 ログチーは、一瞬だけ真顔になる。 「……それは、無理だよ」 「さすがに、そこまでは戻れない……」 「……だよな」 ため息混じりに呟いた。 ログチーが首を傾げる。 「……三年前に何かあるの?」 「……記憶。いや……」 「ただ……聞いてみただけだ」 「ふーん?」 どこか納得していない声。 俺は、ログチーの言葉を遮るように、 「……さっきのやつ」 「もう一回やってみていいか?」 「えっ
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第9話 そこにあるはずのないもの
朝。目覚ましの音が鳴り響いている。 身体が重い。眠ったはずなのに、疲れが残っている。うるさい、と思いながら手探りで止める。  時刻は6時55分「全然寝れてねぇな……」 ベッドでそのまま横になりながら、天井を見つめる。昨夜のことが、まだ鮮明に頭の中に残っている。 黒いカード。 触れたときの熱。 鼓動のような感覚。「……夢、じゃないよな?」 小さく呟く。 上体を起こした時、視線がベッドの下に落ちた。黒いカードが、そこにあった。 ゾワッ。 背筋が凍りつくような感覚。そっと手を伸ばし、カードを手に取る。 冷たい。 何の変哲もない、ただのカード。 昨日のような熱は、ない。「……だよな」 軽く息を吐き、カードを机の上に置いた。 ――本当に、ただのカードなんだろうか。 考えを振り払うように立ち上がり、制服に着替えて部屋を出た。◻︎◻︎◻︎「おはよう」 キッチンから母さんの声。「……はよ」 席に座りながら、ふと違和感に気づく。いつも聞こえるはずの湯飲みの音がない。「あれ?……じいちゃんは?」 母さんが振り返る。「珍しく寝てるのよ。いつも早いのにねー」 軽い調子で母さんは答えた。「……まだ寝てるのか」 少し考えてから、立ち上がる。 廊下に出て、じいちゃんの部屋の前で足を止めた。「……じいちゃん?」 返事はない。 ドアを少しだけ開ける。布団の中で、じいちゃんは眠っていた。静かな寝息が聞こえる。「……寝てる、だけか」 一瞬、声をかけて起こそうかと思ったが、やっぱりやめた。静かにドアを閉め、そのまま家を出た。◻︎◻︎◻︎ 通学路—— 朝の空気が冷たい。歩きながら、ふとポケットに手を入れる。何もない。 そう思ったその時、指先に何かが触れる。「……は?」 取り出すと、黒いカード。一瞬、思考が止まる。「……なんでだよ」 机に置いたはずだ。確かに、置いた。 カードをじっと見つめる。 何も変わらない。ただのカードのはずなのに。 次の瞬間、苛立ちが込み上げる。「クソッ、わけわかんねー!」 思わず吐き捨てる。「ログチー、説明しろよ」 返事はない。「……おい」 沈黙。「……寝てんのかよ」 小さくため息をつく。カードをポケットに戻した。◻︎◻︎◻︎教室。「よ、紫音」 大地が手を上げる。
last updateLast Updated : 2026-07-06
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第10話 意図しない変身
 教室を出た。 廊下には、まだ昼休みの賑やかな声が響いている。(……まずいな) この時間に外へ出るのは、さすがに目立つかもしれない。 階段を下りる。昇降口を抜け、校門を出る。 通学路を少し逸れたところで、「ちょっと君……」 声をかけられる。 振り返ると、そこには知らない男が、不審そうに俺を見ていた。「学校は?」「……」 一瞬だけ、言葉に詰まる。「今、授業中じゃないのか?」 視線が、まっすぐ向けられる。(このオッサン、警察か……?やべぇな)「……すんません」 それだけ言って、踵を返した。「ちょ、待ちなさい!」 声が飛ぶ。 その場から逃げ出すように走り出す。(クソッ……!) 心臓が早くなる。視界が揺れる。 曲がり角を曲がり、そのまま、全力で走る。「……はぁっ」 息が上がる。「……ログチー!」 走りながら、腕時計に向かって小声で叫ぶ。「おい、起きろ!」 返事はない。「おいって……!」「……んー?」 間の抜けた声。「おはよー……シルバー」「今それどころじゃねぇんだよ!」 苛立ちが混ざる。「状況見ろ、追われてんだよ!」「えー……?」 寝ぼけたままの声。 その瞬間—— 視界が、揺れた。「……っ?」 身体の感覚が、変わる。 白いジャケット、翻るマント、腰元で、銀のチェーンが揺れる。「は?」 足が止まりかける。「ちょっ……待て!」 周囲の視線が、一気に集まる。「え、なにあれ?」「コスプレ?」「動画撮ろ」 周囲のざわめき。一斉にスマホを向けられる。「……っ!」 反射的にマントで顔を隠し、そのまま走り抜ける。(最悪だ……!) そのまま、人の間をすり抜けるように、視線を振り切り、路地裏に飛び込む。壁にもたれ、荒く息を吐いた。「……はぁっはぁっ」 外のざわめきが、遠くに聞こえる。「お前……!」 腕にしがみついたまま、ウトウトしているログチーに話しかける。「なんで勝手に発動してんだよ!」「え?え?」 ログチーが、ようやく状況を理解し始める。「ちょ、ちょっと待って!これオレじゃないって!」「はぁ!?」「ほんとだって!なんか勝手に——」「いいから戻せ!」 食い気味に言う。「今すぐだ!」「え、えっと……リバート?」「それだ!」「……Revert」 ——何も起
last updateLast Updated : 2026-07-06
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