Todos os capítulos de 銀の怪盗は真夜中に覚醒する: Capítulo 21 - Capítulo 30

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第21話 噛み合わない歯車

 翌朝、スマホの目覚ましアラームが鳴り響く。 布団の中から手を伸ばし、スマホを寝ぼけながら探す。 手に触れたスマホのアラームを切り、目をこすりながら画面を見る。 時刻は7:02 「……眠い」 思わず口から言葉が漏れる。 今日は土曜日だけど、中川のおっさんに取り戻したUSBを届けないとな…… 「……ふぅ」 眠い目をこすりながら、ベッドから起き上がる。 が、それと同時に、全身に痛みが走る。 「いってぇー!」 思わず声に出る。 「シルバー、うるさい……」 時計からログチーの声が聞こえる。 「昨日はそれほどでもなかったのに、今日は身体がめちゃくちゃ痛ぇんだよ……」 「アドレナリンでも出てたんじゃない?」 ログチーが眠そうな声で答える。 ログチーの言葉を無視して、腰を押さえながら ゆっくりと階段を降りる。 「おはよー紫音、早いわね」 「……ん……はよー」 欠伸をしながら答える。 父さんもじいちゃんもまだ寝てるのか、リビングには母さんしかいない。 身体の痛みに耐えながら、そろそろと椅子に座る。 テーブルに置かれたトーストをかじりながら母さんに話しかける。 「今日ちょっと出かけてくる」 「夜ご飯は?」 何かの下ごしらえをしながら母さんが返す。 「……金欠だし、家で食べる」 「……えっ?」 「ん?」 何が疑問なのかわからず首を傾げる。 「あら?あらあらあらあら?」 母さんがニヤニヤしながら近づいてくる。 「……昨日使いすぎたの?」 (デートで奢ってあげたのかしら) 「……ん?まあ、たしかに身体は使ったなー」 (打ち身に、スタンガン、筋肉痛……) 「……身体?紫音、意外と肉食なのね」 (お赤飯炊かなきゃ!!) 「……何の話?」 怪訝な顔で返す。 「……紫音、最初が肝心よ?」 引き出しから出した何かを手に握らせてくる。 「…… だから、何の話だよ?」 話しながら、手の中を見る。半分に折った1万円札。 (……1万円!!臨時収入か!) 思わず顔が緩む。 「付き合ってすぐに金欠だなんてカッコ悪いじゃない?お母さんは紫音の味方よ?」 「……は?」 うんうんと勝手に納得している。 「はぁ……」
last updateÚltima atualização : 2026-07-13
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第22話 11月8日、朝の再会

 昨日の夜じゃなく…… 11月8日の朝を強くイメージする。 頼む…… 上手くいってくれ…… 視界が歪む。足元の感覚が薄れていく。 ……ルバー「シルバーってば!」 呆れ顔でログチーが叫んでいる。 誰もいない屋上。日差しが目に入って眩しい。 日差しを隠すようにスマホをポケットから出し、時間を確認する。 11月8日8時20分。「……戻ってる!」 思わず立ち上がるが、マントに引っかかり前に倒れる。「……いたたた」「シルバー、かっこ悪っ」 ログチーが冷ややかに言ってくる。「うるせー!!」「……とりあえず今日着てた服に変えてくれ」「これじゃあ目立って仕方ない」「仕方ないなぁ」 ブツブツ言いながらログチーは俺の服装を変える。 黒い帽子、黒縁眼鏡、白パーカーに、黒いアウター、黒いパンツに銀のチェーンがついている。「……チェーンはいらねーんだけど」「もう、文句ばっかり言わないでよ!」 ほっぺたを膨らましながら怒っている。 小さくため息をつきながら呟く。「まあ、いっか」 屋上からエレベーターで12階に降りる。 時刻は8時25分。 会社のドアが見えるところに隠れて、中川を待つ。 何人かが、通り過ぎて行くが中川は見当たらない。「……まさか、飛び降りてないよな」 ふと視線を上げると、目の前を中川が通り過ぎた。 いた! 慌てて、追いかける。「中川さん!!」中川が振り返る。「……キミは?」「……えーっと、その……」「中川さんに渡したい物があって……」 急にしどろもどろになる。 中川が優しく微笑む。「よくわからんが、中で話そうか……」(……もしかして不審者と思われてる?)(中に入ったら捕まる……とか?)「何をしてる?入ってくれ」 中川が言う。 虎穴に入らずんばなんとやら……だ。覚悟を決め、頷く。 中川の後ろを少し警戒しながらついて行く。当たり前な事だけど、正面ドアから入る。 同じオフィスなのに、夜とはうって変わって朝は全く違うオフィスに見えた。 中川の後をついていく間に、何人かの社員にジロジロと見られる。(まさに背水の陣だな……) 中川が奥の部屋に入る。紫音はその後をついて行く。 社長室と書かれている部屋。中にに入ると、中川が秘書と思われる女性に合図をする。「ちょっと席を外してくれ」「…
last updateÚltima atualização : 2026-07-14
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第23話 未来への軌道修正?

中川のオフィスを後にし、再度屋上に向かう。 セントラルビル屋上。まだ時間が早いのか、人の気配はない。 再度自分のポケットを確かめるが、やっぱり、USBは見当たらない……「……結局、USBどこ行ったんだ?」「屋上にも落ちてないし……」 再度周りを見渡す。 ログチーはキョトンとしながら言う。「役目が終わったから、消えちゃったんじゃない?」「未来が変わった証拠だよ、シルバー」「過去への干渉、未来への軌道修正みたいなやつ」「特に今回何も起きなかったけどバグってたし……」「色んなことが重なった結果……なのかもね」「……軌道修正、か」 独り言のように呟く。「……中川のおっさんが生きてた」「俺たちがやったことは……」「無駄じゃなかったよな?」 ログチーを見る。「ふふ……」「筋肉痛になった甲斐もあるよね、シルバー」 ログチーがクスクスと笑う。 屋上からの景色を眺める。 初めてのミッションは、全然決まらなかったけど—— 空に向かって、大きく伸びをする。 ログチーが呼びかけてくる。「……シルバー」「……なんだよ?」 ログチーを見る。「……今、いい顔してるよ」 にこにこしながら、ログチーが言う。 思わず視線を逸らし、軽口を叩く。「……うっせぇ、帰るぞ!」「……素直じゃないねぇ」 やれやれ……とログチーは呆れたように呟いた。 11月8日—— 時刻は9時40分「……で、ログチー、どうやって戻るんだ?」「……さあ、わかんない」 思わずズッコケる。 ログチーを両手で掴んで、揺らす。「……なんで、毎回そんないい加減なんだよっ」「……いや、そうじゃなくって……」 目を回しながら、ログチーが答える。 手を止めてログチーを地面に下ろす。 ログチーは、手を下に向けて合図する。「シルバー!ちょっと、そこに座って!」「……なんだよ……?」 地面に足を崩して座る。「何かの儀式か?」「……コホン!」 ログチーが咳払いする。「シルバー、正座!」「お、おう……」「……てか、足が痛いんですけど?」 ログチーが、キッと睨んでくる。「……わかったから」 素直に正座をする。 ログチーが口を開ける。「そもそも……」(何か偉そうだな….)「今、力がバグってる!って言ったでしょ?」(……たしかに言ってたな)
last updateÚltima atualização : 2026-07-15
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第24話 静寂の迷子

「ハァ……ハァ……」「すばしっこい奴だな……」「さすがだよ、ログチー」 両手を挙げて、降参のポーズをしてみる。 ログチーがこちらを振り向き、動きを止めて、ニヤリと笑う。(……かかったな) ログチーに狙いを定めて、両手で確保する。「ははっ油断したな?」 ログチーが手の中で暴れながら、「騙すなんてひどいよー!」 ほっぺたを膨らませながら言う。「俺の勝ちだな」 そう言ったと同時に、そのまま前のめりに倒れる。「……限界だ、体が痛ぇ、腹も減ったし……」(ん?) ふと思い出して、ポケットを探る。 少し潰れたまんじゅう。「これ……さっきのか」 その場に座り、フィルムを外す。少しだけ間を置いて、口に頬張る。「……うまっ」(身体中の疲れが吹っ飛ぶみたいだ……) ログチーが鼻をピクピクしてこちらを見ている。「……なんだよ」「一口」「は?」「いい匂いする」 じっと、まんじゅうを見つめてくる。(……こいつ) ログチーを横目に見ながら、頭を搔く。「しょうがねぇな」 少しちぎって差し出す。 ログチーは嬉しそうにかけらを握りしめて、パクッと一口で食べる。「……うまっ!!」「だろ?」 残りを口に放んだ後、その場に寝転ぶ。屋上には、風の音だけが響いている。「なあ、ログチー」「んー?」「帰れないって、マジなのか?」 ログチーは、ちょっと悩みながら言う。「Revertって言ったら帰れるのかなぁ」「でも、帰れる保証は出来ない」「でもさ」 ぽすっと肩に乗る。「今は“戻れない”ってだけで……」「今は?」「うん」「そのうち戻れるかもしれないし」「戻れないかもしれない」「……」(どっちだよ……)「……まあ、考えてもわかんねぇなら」「試すしかないだろ?」 ログチーが、ハッとして俺を見る。「シルバー!」 ログチーが言い終わる前に、俺は目を閉じて小さく呟く。「Revert」「……ん?」 足元から、感覚が—— 消えない……「アレっ?」 真横から呆れたログチーの声が聞こえる。「もう!また勝手なことして!」「元の姿に戻りたかっただけだし……」 図星をつかれて、つい視線を逸らす。無意識にポケットを探る。 カサッ。 手に何かが当たる。 黒いカード。「さすがに何も書いてないよな……」 無意識にカ
last updateÚltima atualização : 2026-07-20
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第25話 朦朧とした意識の中で

 ここ、どこだ……? 暑さも、寒さも感じない。風もない。 人の気配も音もなく、 ただ—— 何もない空間が広がっている。「……」 わからないまま、前に進む。歩いても、歩いても、景色は変わらない。同じ風景がずっと続いている。 たまらなくなり、腕時計に話しかける。「おいログチー、どうなってる?」「……」 返事はない。 いつもなら、すぐ返ってくるのに……「おい、無視すんなよ」「……」 腕時計を軽く叩く。「なんだよ、寝てるのか?」「……」 反応はない。「は、はは、なんだよ、怒ってんのか?」「……」 ログチーは答えない。「ログチー?」 そっと腕時計をなぞる。「……ッ!」 時計の針が止まっている——? 呆然とその場に座り込む。「……はは、俺、一人かよ」 乾いた笑いが、虚しく響いた。◻︎◻︎◻︎ どれぐらい時間が経っただろうか。少し息を吐き、立ち上がる。「……出口を探そう」 無意識に呟き、前を向いて歩き出す。 とりあえず前へと進む。相変わらず、周りの風景は変わらない。時間の感覚もない。どれぐらい歩いたのかもわからない。 スマホは圏外表示。時間は11月8日9時44分から変わっていない。 体力が限界に近い。意識が朦朧とする。頭の中で、色んな思考が巡る。 腹減った…… ……なんで、こんな…… 身体が……重い…… 足が、痛い…… ……視界が揺れる。 足がもつれて、前に倒れる。 ……俺は……ここで……死ぬのか? 意識が段々と遠のいていく。 ……疲れた……眠い…… ログチー…… そのまま、意識が途切れた。◻︎◻︎◻︎ 声が聞こえてくる——「紫音、バスケやろうぜ!」 大地?「紫音、いい加減にしないと遅刻するわよ?」 母さん? ……戻ってきたのか? うっ……身体が動かねぇ……。 目も開かない。「紫音、父さんとコンビニに行こう!」 父さん?「夢と現実は曖昧なもんじゃの……」 じいちゃん!? 手が届きそうで、届かない。声が出ない……。「シルバー、大丈夫?顔悪いよ?」 ログチー?お前どこ行ってたんだよ! てか、人の顔面に文句つけんな!それを言うなら、顔色だろっ? うっすらとした意識の中で、身体の感覚がふわっと浮いたような気がした。◻︎◻︎◻︎???——「……ん」 ……知
last updateÚltima atualização : 2026-07-20
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第26話 命の恩人は?

ドアが、静かに開いた。 その先にいたのは、クロノスだった。「……クロノス?」 思わず声が出る。「ってことは、ここ……あの店か?」「……アルカだ」 低い迫力のある声で短く答える。「シルバー、クロノスさんが助けてくれたんだよ?」 ログチーが嬉しそうに言う。 クロノスは表情を変えないまま、紫音を見る。「……動けるなら、降りてこい」 それだけ言って、背を向けた。 クロノスが去った後、「……ふぅ」(相変わらず、圧がすごいな……) ログチーを横目で見る。「お前……あの人苦手じゃなかったっけ?」「顔が怖いだけ、みたいだよ」 少し照れくさそうに笑う。「誤解してたかな?って感じ」「……なんだよそれ」 小さく笑いながら、ふと気づく。「てかさ、お前なんでその姿なんだ?」 ログチーは少し考えてから口を開いた。「……シルバーに声が届かなくなって」「怖くなって……動きたいって……」「……そう強く願ったんだ……」「そしたらね」「気づいたらこの姿になってた」 ログチーが嬉しそうに笑う。「……そっか」 つられるように、紫音も小さく笑う。「……さて、と」「……行くか」 ドアを開ける。 薄暗い電灯が、階段をぼんやり照らしていた。足元を確かめながら降りていく。 一番下のドアを開けると―― クロノスが、静かにこちらを見ていた。 特に言葉はない。 ただ、ゆっくりと左へ視線を向ける。 つられて視線を動かす。 そこには、料理が並んでいた。 唐揚げ、ハンバーグ、エビフライ、コーンスープにサラダ。白いご飯と、柔らかそうな白パン。(……これ、俺の好物ばっかりだ)「これ、もしかして……」 クロノスを見る。「俺のために用意してくれたのか?」「……食え」 短い一言。 いそいそと席に着き、手を合わせる。「いただきます」 箸で唐揚げを掴み、口に運ぶ。「……っ、うま」 噛み締めた瞬間、何故だか視界が滲んだ。 クロノスは、何も言わずそれを見ている。「シルバー、泣いてるの?」 ログチーが首をかしげる。 紫音は慌てて顔を逸らす。「……な、泣いてねーし」 手の甲で目元を拭う。「……湯気だよ、湯気」 一口、もう一口と口に頬張る。「……美味いな」「すげぇ、美味い……」「……そうか」 クロノスが短く返事する。 そ
last updateÚltima atualização : 2026-07-23
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第27話 図星と代償

クロノス……?」 背中に汗が滲む。圧倒的な威圧感。 クロノスは、後ろを向き、何かぶつぶつ言っている。「クロノス?」 耳を澄ますと、……俺のエビフライ、とっておきのエビフライ……。(まさか、このおっさん……)「ただのコミュ障か……?」 思わず呟く。 クロノスの眼光が光る。「……はは、俺、声に出てた?」 視線を逸らし、笑って済まそうとする。「……ははは、わりぃ」 頭をかく。 クロノスが、その場でしゃがみ込む。ちらっとこちらを見ながらクロノスが呟く。「……なぜ、わかった?」「は?」「……何が?」 クロノスを見ると、何故か身体が震えている。「……もしかして、図星?」「…………」 何とも言えない空気感。(この風貌で?)(ダメだ……顔がニヤける)「……プッ……はははっ」 耐えきれずに笑う。 静かにクロノスが呟く。「……笑うな」「……わりぃ、恩人に対して失礼だよな」 頭を下げる。「……ほんとに助かった!」「ありがとう!クロノス!」「……その、全部食べちゃって……ごめんな」 手を顔の前に合わせて必死に謝る。「……美味かったか?」 クロノスは静かに言う。 顔を上げて、クロノスを見る。「……ああ、死ぬほど美味かった」 思わず笑顔が溢れた。 ログチーがこそっと呟く。「シルバーがいつもこの顔なら、女の子がほっとかないのにね」 クスクスと笑う。「……うっせぇ!」 ログチーを手で捕まえる。 バタバタもがくログチー。 傍目に見ながら、クロノスが何かを持ってくる。小さな箱。 クロノスは無言で、それを差し出す。「……」(何か言えよ!顔怖ぇよ!) 恐る恐る聞いてみる。「……何?これ?」「……」(開けろってことか?) 箱の中には小さな黒いピアスが一つ。 クロノスの顔を見る。「クロノス……俺、ピアス開けてないし」「せっかくで悪いんだけどさ?」 チラッとクロノスを見る。 後ろを向き、何かを探している。 そっと後ろから覗こうとすると、クロノスがいきなり振り返る。「……っ!?」 ログチーが驚いて、俺の顔に貼り付く。「うわあああああっ」「……っ!」 隙間から、クロノスの手を見ると、裁縫箱の奥に眠っていたような錆びかけの物騒な針を握っている。 まさか⸻? 顔からログチーを引き剥がす間
last updateÚltima atualização : 2026-07-24
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第28話 対価の正体

「シルバー、血が出てるよー」 さっきまで怯えていたログチーが、ポケットの中から顔を出す。「当たり前だっ!」 耳を手で抑える。 耳たぶがジンジンと痛む。指先に生暖かい血が滲んだ。 クロノスは満足そうに、カウンターにさっきのピアスと、アルコール液を置く。ツンとした匂いが鼻を刺す。「……つけねーから!」「つけろ……」 低い声。その場の空気が一瞬で張り詰める。 すごい迫力で睨んでくる。「……睨んでも、嫌なものは嫌だ!」 顔を背ける。「…………」「なんなんだよっ!」「……黙んな!怖ぇから!」「……つけろ」「……はぁ」「わかったよ!つけりゃあいいんだろ!」 渋々と箱からピアスを取り、左耳につける。チクっとした痛みが走る。 クロノスが、そっと小さな紙を差し出す。「ん?何だよこれ?……説明書?」 クロノスを見つめて呟く。「ってかお前が口で説明しろよ」 クロノスを見ると、こちらをガン見している。 瞬き一つしない。ものすごい圧だ。「……っ」 渋々と小さな紙に目を通す。「えーっと、何なに?トルマリン石のピアス」 普段は黒トルマリンで、黒く輝く。能力発動時は青く輝き、以下のことが可能。※ つけてる本人が触ると力が発動。 ① アルカに行ける、帰れる ② 自身の分身を出すことが出来る ③ 相手の嘘を見破る。(集中度合いによる)「……すげーじゃん!」 さっきまでの痛みが一瞬でどうでもよくなる。 ん?続きか? 手書きで何か書いてある……? ………… アルカ、バイト募集中!!「は?」 クロノスは、また不敵に笑う。「……てか、客いねぇのにバイト募集すんな!」「そもそも店長が、威圧的すぎるんじゃね?」「……そのエプロンも、何か返り血?みたいな変な文字書いてるしさ」「……店名だ」「いやいや、読めねぇし……」 手を横に振る。「……ちゃんと縫った!」「いやそこじゃねぇよ!」(てか、刺繍かよ……) 笑いをこらえながら、クロノスに聞く。「……不本意だけど、ピアスありがと、な」「……でも、交換出来るようなもん、 俺、持ってねーぞ?」 クロノスが、視線をログチーに向ける。 ログチーは首をブンブンと振る。「……ポケット?」 黒いカードを出す。「……これか?」 クロノスは頷く。カードを手に取り、不気味
last updateÚltima atualização : 2026-07-26
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第29話 満身創痍と、約束と

ラウンドワンの前に着いた時には、すでに正面で大地が腕を組んで立っていた。「……おせぇよ!」「悪い……」 軽く手を上げる。「……寝てた」(……忘れてた)「寝てた、じゃねーよ!」 呆れたようにため息をつく大地。「おーい!」 大地の後ろから声が聞こえてくる。 ノブとナオが笑いながら手を振っている。「紫音がおせぇって、大地抑えるの大変だったぞー」「君たちラブラブなんだからぁ」 ふざけてノブが言う。「「ちげぇわ!」」 俺と大地が同時に突っ込む。「息ぴったりじゃん!」 ナオがからかうように笑う。「うっせーな」 軽口を叩きながら、4人揃う。「で、どうする?」 大地が言う。「ボウリングか、スポッチャ」「ボウリングでいいんじゃね?」「賛成」「……どっちでもいい」(正直どうでもいい)「よし、決まりな」 そのまま店内に入る。 店内は週末ってこともあり、すごく賑わっている。受付を済まし、自分達のレーンに向かう。 時計からログチーの声が聞こえてくる。「シルバー、身体もう痛くないの?」「痛ぇに決まってんじゃん……」「全身も痛ぇし、耳も痛ぇよ……」 はぁ……と小さく呟きながら、肩を落とす。 大地達に視線を向けると、やる気満々の顔をしている。「……帰れねぇよな、やっぱ……」 ボソッと呟く。 自分達のレーンにつき、自分に合ったボールを探しに行く。 ボールを持つ。「……今の身体には、キツいなこの重さ」 軽めのにしようと、ボールを吟味していると後ろからふいに名前を呼ばれた。「……黒川くん?」 振り向くとそこには白石柚希が立っていた。「……白石、お前も来てたんだ」「うん!偶然だね」 柚希は少し照れ臭そうに答える。「……あー!紫音!!」 声の方向を見ると大地が硬直している。 白石も振り返る。「長瀬くん?」 大地が俺に向かって口パクで合図をしてくる。(ん?誘ってくれ?た、の、む、だって?) 思わず呆れ顔になりながら、視線を白石に向ける。無意識に首の後ろをかきながら白石を呼ぶ。「……白石」 白石がこちらを向く。「……白石も、友達と来てるのか?」「うん、4人で来てるんだ」 笑顔で答える白石。「……あのさ、良かったらだけど」「俺らと一緒にやらねぇ?」 自分で出た言葉に少し赤くなる。誤魔化
last updateÚltima atualização : 2026-08-02
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第30話 上着の行方

その後は、散々な結果だった。 身体の痛みが思った以上に響く。踏み込むたびに、腰が鈍く痛む。 狙いが全く定まらない。 ガーター。 また、ガーター。「うわ、またかよ!」 笑い声が上がる。(……クソッ) 痛む身体を我慢しながら、投げようとしたが、変に力みすぎて、ボールが指からすっぽ抜ける。 ゴンッ 落ちたボールが、足に直撃した。「っ……!」 声にならない声。 そのまましゃがみ込みたくなるのを、無理やり堪えた。「紫音、最初だけまぐれかよ!」 ノブが腹を抱えて笑う。「紫音、今回は俺の勝ちだなー」 大地も調子に乗ってくる。「オイオイ、あんまり煽んなよ……」 ナオが苦笑いで止めに入るが、場の空気は完全にいじりモードだった。 ふと、視線を感じる。 女子達の視線。 同情と、ちょっとした苦笑い。(……最悪だ)「……ちょっと、水買ってくる」 それだけ言って、席を外した。(マジ帰りたい……) 腰を押さえながら、ゆっくり歩く。 みんなから遠ざかった時、腕時計からログチーが話しかけてくる。「シルバー、散々だね」 クスクスと小さく笑う。「……うるせぇ」「せっかく女の子見てるのに、全然決まらないねー」「……んなもん、どうでもいい」(俺はさっさと帰って寝たいんだよ)ログチーにイラつきながら、時計に向かって文句を言おうとした瞬間、 ドンッ「きゃっ……」 誰かとぶつかった衝撃。 咄嗟に前を見ると、他校の制服、同い年ぐらいの長髪黒髪の女の子が転んでいた。「……っ」 手に持っていた飲み物が、服にこぼれている。「……ご、ごめん!」 反射的に手を差し出す。「……私こそ、ごめんなさいっ」 慌てて起き上がろうとした瞬間、彼女の濡れた服が、肌に張り付いた。「……っ!?」 思わず視線を逸らす。(目のやり場がねぇ……)「……あのさ、服が、その……」 上手く伝えられず、指でそっと示す。 彼女が自分の服を見て、大きな瞳を見開き、一瞬固まる。「……っ」 顔が一気に赤くなる。 慌てて手で胸元を隠した。「……見ちゃった?」「……ちょっとだけ……いや、見てねぇ!」 両手を左右に振る。 彼女の顔がさらに赤くなる。「……ほら」 上着を脱いで、そっと差し出す。「……えっ?」「……着ろよ」 ぶっきらぼうに言う。
last updateÚltima atualização : 2026-08-03
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