Todos os capítulos de 銀の怪盗は真夜中に覚醒する: Capítulo 31 - Capítulo 40

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第31話 不協和音が聞こえる

14時過ぎ。 昼飯を食べ終えた俺たちは、午前中のボーリングの話で盛り上がっていた。「オレら、Aチームの圧勝だったな」 大地が得意げに言う。「ウチらBチームも結構追い上げたと思うけど?」 小松が言う。「紫音が足引っ張んなかったらお前ら、勝てたんじゃね?」 ノブがからかうように言う。 そんな会話の中、俺はうわの空だった。(……なんであんなことしたんだ俺)(てか、いつ洗濯してもらったっけ?)「紫音どうした?ボーッとしてさ」 ナオが尋ねる。「……いや、別に」「黒川くん、顔赤いよ?」 白石が顔を覗き込んでくる。「……ッ!」 慌てて顔を背けようとして、また腰に鈍い痛みが走る。「……いっ」 みんなが一斉に俺を見る。「……ははっ、ちょっと便所行くわ……」「女子の前でお前その言い方」 ナオがやれやれと言った感じで言う。 クスクスと笑うクラスメイト達。「……うるせぇ」 誤魔化すように席を立つ。◻︎◻︎◻︎ みんなから離れ、トイレの個室内。「……ヘクシュッ」 大きなクシャミが出る。 時計から、ログチーが話しかけてくる。「シルバー、風邪ひいたんじゃない?」「……ログチー、何か服出せ。寒い」 震えながら言う。「シルバーになっちゃうけどいいの?」「……ほんと肝心な時に役に立たねー!」「……ひどぉいー!」 ログチーが拗ねた声で呟く。 軽くログチーをあしらい、小さくため息を吐きながら、大地達の元に戻った。◻︎◻︎◻︎「お、戻ってきた」 大地が言う。「今からどうする?」 ノブが言う。「私たちは今からショッピングしに行くよー」 立石が言う。「……そうなんか」 大地が残念そうに呟く。 白石が軽く微笑みながら、「ありがとう……誘ってくれて……」 大地がソワソワしているのにも気づかず、ナオが返す。「俺らのほうこそ楽しかったし、ありがとな」「黒川がごめんなー!また一緒にやろうぜ!」 ノブが言う「黒川くん、寒そうだし、風邪ひかないでね?」 白石が別れ際に言う。「…ああ、サンキュ。…へ、ヘクシッ」 大地達が、やれやれといった顔をしていた。◻︎◻︎◻︎ 白石達と別れた後、時刻は15時になっていた。「……で、何するよ?」 ノブが言う。「……俺、帰るわ」「ヘクシュッ……」 大地がティッシュを
last updateÚltima atualização : 2026-08-04
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第32話 甘い匂いと、緊張と

「……ガキが!舐めてんじゃねーぞ!」 男がいきなり殴りかかってくる。 ヒョイと避けて、男は近くにあった椅子にぶつかる。顔を打ったのか、鼻血が出ている。「……プッ、鈍臭ぇ」 男のみっともない姿に思わず笑う。 男は興奮気味に俺を睨む。「ガキのくせに、俺の麗奈ちゃんを……」「……いい大人がキモいんだって!」 呆れたように返す。「……馬鹿にしやがって!」 男はテーブルに合った花瓶を俺に向かって振り落としてくる。 間一髪で避けるも、顔にガラス片が滲む。「……くっ」(こいつ、やべー奴じゃん)「……ガキが!」  ホテルの人が騒ぎに気づき、周りに人が集まってくる。(これ以上はやばいな…) 男がにじり寄ってきた瞬間―― 俺は持っていたリュックを男の顔に向かって思い切り投げつけた。(今だ!) その隙にホテルから出て、思いっきり走った。◻︎◻︎◻︎「はぁ…はぁ…」 路地裏で息を整える。そっと周りの様子を伺う。(追っては来てないな……) 帽子で顔を隠しながら、路地裏から出て、駅前に向かって歩く。「お巡りさん、こっちです」(ん?)「佐伯?」 佐伯がこちらを見る。「――黒川くんっ!?」 佐伯が慌てて駆け寄ってくる。軽くウェーブのかかった茶髪が揺れている。「……良かった、無事だったんだな」 安心して、力なく笑う。「……黒川くんこそ……あっ!」「……ん?」 佐伯と目が合う。「顔、血出てる!」「……あー、これ?」 指で顔に触れる。ガラスで切った頬が少しヒリっとした。「……いてっ」「……ごめん、ごめんね……」 泣きそうな顔で、俺を見つめてくる。 何だか気まずくて、思わず視線を逸らす。 佐伯はバッグからハンカチを取り出し、俺の頬にそっと触れた。「……ちょ、痛いって」(……近い)「動かないで」 細い指先で持つハンカチから、ひんやりした感触が伝わる。ふわっと甘い匂いがした。「……」 お互い何となく無言になる。さっきまで殴り合い寸前だったのに、今は女の子に顔を拭かれてる。 意味がわからん。 すっかり存在を無視されていた警察官がコホンと咳払いをする。「あー……とりあえず事情だけ聞いても?」「あ、はい!」 佐伯が慌てて離れる。 どこか名残惜しそうに、ハンカチをぎゅっと握りしめていた。◻︎◻︎◻︎ 
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第33話 命懸け?の侵入

「……あっ、そろそろ行かないと」 佐伯が少し気まずそうに言う。「……じゃあ駅まで送る」 駅に向かう間、俺たちはほとんど会話をしなかった。 駅前――「……それじゃあ……」 佐伯が軽く手を振る。「……ああ、またな」 手を振り返しながら、それだけ言って別れる。 俺は小さく息を吐いた。「……」 佐伯の姿が見えなくなった時、時計から、待ってましたと言わんばかりにログチーが話しかけてくる。「……シルバー、行くの?」「行くしか、ないだろ……」 スマホを出す。 検索欄に、ガールズバーLUNAと入れた。「……3つ先の駅か」「行くぞ!ログチー」  勢いよく歩き出した瞬間――「……あっ」「あーーーーー!」 周りがこっちを一斉に見る。 ハッと我に返り、慌てて帽子を深く被る。「シルバー、どうしたの?」「……財布」「えっ?」「……財布がない!」 数秒の沈黙。「……リュックの中だ……」「バカじゃん!!」 ログチーはクスクスと笑う。「うっせぇ!!仕方ねーだろ!」 思わず声が大きくなる。 通行人がチラッとこちらを見る。「……っ」 慌ててその場を足早に去る。「……どうすんの?」「……歩く」「3駅だよ!?」「うるせぇ!」 呆れた声でログチーが呟く。「こういう時こそ、シルバーでしょ!」「……っ!?」「今はやめろ!とりあえず人のいないところに……」 駅から出て、再度さっきの公園に向かった。 公園―― 周りに人がいないことを確認し、シルバーへと変わる。「……ヘクシッ」 鼻水が垂れてくる。 ログチーが肩から顔を覗きこみながら「……シルバー顔悪いよ?」 鼻をかみながら返す。「……それを言うなら顔色だろ!」 ゴミ箱にティッシュを捨てる。「……じゃあ、行くとするか」「うぃ!」 地面を蹴って、建物の上に上がる。 銀の怪盗は、身体の痛みを忘れたかのように建物から建物へ軽快に飛び移る。 まるで、夜の闇に溶け込むように。 目的地は――LUNA。◻︎◻︎◻︎ ガールズバーLUNA ―― 雑居ビルの屋上。 ビルはネオンがギラギラ光っている。 高校生が来る場所じゃない。「……さて、どうするか」 白いマントが夜風に揺れる。「……こういう場合は非常口、とか?」「シルバー、危ないけど、窓から行くほう
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第34話 ハッタリと苛立ちと

慎重に、屋上から下へ下へと降りて行く。ビルの裏側、店舗とは反対側の窓。 外から覗いてみる。事務所っぽい部屋。中の様子を伺うが、人の気配はない。「侵入するなら、ここか?」 窓が開いてるか確かめてみると、やっぱり鍵がかかっている。「……だよな」 窓を軽く叩く。「……普通のガラスっぽいな」 思わず口角が上がる。 スマホを出す。そして、思いきり鍵部分に向けてスマホの角をぶつけた。 パリィィン!! 窓が小さく音を立てた。「げっ!スマホも割れた!」 割れたスマホの画面を見て呟く。「……俺って不憫だよな」 ボソっと呟く。「……今更?」 ログチーが首を傾げる。 少し肩を落としながら、空いた穴から鍵を開け中に潜入した。 ――事務所内。 周りを見渡す。 ソファーに小さい机、本棚、デスク上にパソコン。机の引き出しを開けるが、特に気になるものはない。 パソコンの電源を入れる。パスワードを入れてくださいの表示。「……だよな」 ガタッ 扉側に人の気配。 デスクの下に隠れる。 声がヒソヒソと聞こえる。「……やめて、下さい」(佐伯?) 陰からそっと様子を見る。「……っ!?」 昼間の男……?暗くてよく見えない。「……昼間の件は許してあげるよ」「その代わり……、わかるよね?」 まとわりつくような男の声。 間違いない……奴だ! 椅子を蹴る。男がこちらを見る。 白いマントが窓から吹く風でふわりと揺れる。「……誰だ?お前は?」 月の光で逆光になり、顔は見えない。 俺は、男を見下ろしながら答える。「俺?」 口角を上げながら「――シルバー」「銀の怪盗だ」「……彼女からさっさと離れろ!」 男は驚き、助けを呼ぼうとドア側へ走る。「……逃げられると思うなよ?」 チェーンワイヤーを男に向けて投げる。 ワイヤーが男の身体に巻き付く。佐伯に向かって叫ぶ。「今の内に逃げろ!」 佐伯がビクッと驚いた後、こちらに一瞬視線を向けて、ドアから出て行く。 男が叫ぶ。「……離せ!!」(よし、行ったな) 男を見下ろす。「……離すと思うか?」 低めの声で静かに言う。 チェーンを手繰り寄せ、男を無理やりデスクの椅子へ座らせる。男の首元に、そっと鋭利な何かをあてる。「……ひぃ!」 男が悲壮な声を出す。(……これ、ただ
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第35話 温もりと身体の熱

慌ただしい1日だった。 ようやく自宅付近に戻れた俺は、いつもの公園で周りに誰もいないことを確認してからrevertと呟いた。「……ヘクシッ」(……さっさと帰ろう) 自宅前―― 時刻は23:00「……ヘクシッ」 鼻をすする。「……母さん、怒ってるよな」(連絡してないし……) 少し肩を少し落としながら、玄関を開ける。「ただいま……」 玄関の電気がパッとつく。「おかえり、紫音。遅かったわね」 母さんの少し心配そうな安心した声。 視線を少し逸らしながら呟く。「……ごめん……連絡出来なくて」 母さんは、俺の顔を見ながらふっと微笑む。「まあ、そういうこともあるでしょ」「……あら?」「……ん?」 母さんが俺の体をじっと見る。「紫音、あなた上着は? 外、寒かったでしょ」「へっ?」(しまった……完全に忘れてた!)「……あ、えーっと……大地に貸した。あいつ、どうしても貸して欲しいって言ってきてさ」「……大地くんが? あなたの上着を?」「……あ、うん、なんか匂い嗅ぎたいらしくて……」(何言ってんだ、俺……) 一瞬の沈黙。 母さんの顔が、見る見る引きつっていく。「あの……大地くんが?」「あ、ああ……」「……3週間は洗濯してない、あの上着を?」「……ま、まあ」(そういや、毎日アレ着てたな……)「意外な趣味ね……大地くん」「まあ、あいつも色々あんだよ」(ごめん大地……しばらく家には呼べねぇ) 母さんが少し呆れ気味に言った。「……もう、とりあえず、アンタ何か汗臭いし、先にお風呂入って来なさい!ご飯温めとくから!」 思わず、自分の服の匂いを嗅ぐ。(たしかに……)母さんがバタバタとダイニングに戻って行く。「……ヘクシッ。風呂、入るか……」 浴室内。 身体をシャワーで、軽く流し、湯船に浸かる。「……はあぁぁぁ……」 気持ち良すぎて、変な声が出る。 湯船の温かさに包まれ、身体の痛みが和らいでいく。「……風呂はいいなぁ」 ふと、無意識に呟く。 湯船から出て、顔を洗う。「……いてっ」 頬の傷がチクッと痛む。 湯気で曇った鏡に自分を映しながら、頬を触る。 昼間の出来事が頭を遮る。甘い佐伯の香り。「……クソッ」(消えろ、雑念……) 頭にシャワーをかけながら、少し乱暴に頭を洗う。 タオルにボデ
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第36話 夢と現実は曖昧なもの

 額に滲んだ汗を手で拭う。まだ心臓がバクバクと鼓動が早いままおさまらない。 呼吸を整えながらぼんやりと天井を見つめる。 胸の奥が妙にざわついている。 コンコン。「紫音ー? もうお昼だけど、起きてる?」 母さんの声が響く。「……起きてる」 掠れた声で返事をする。 ベッドから出ようとした瞬間―― ズキッ 頭に鋭い痛みが走った。「……紫音?」 様子がおかしいと思ったのか、母さんが部屋のドアを開ける。「紫音っ!!」 慌ててかけよってくる母さん。心配そうな顔で俺の額に手をあてた。「……っ!?すごい熱!!」「ちょっと氷枕持ってくるから、そのまま寝てなさい!」 ベッドに横たわりながら、また目を閉じる。 その後―― どれぐらいの時間が経ったのだろうか。 頭の氷枕がひんやりと心地よい。 ゆっくり目を開けると、いつの間にか目の前にじいちゃんが座っている。「……また、夢?」 じいちゃんは俺を見て微笑む。「紫音、珍しいの、風邪か?」 揶揄うような話し方。「……じいちゃん!!」 思わず飛び起きる。何故だかわからないけど、目に涙が滲んだ。「……なんじゃ?泣いとるんか?珍しいの」「泣いてねぇ!!」 手で涙を拭う。「……紫音」「……ん?何?泣いてねぇから!」「ほっほっ……身体がしんどいんじゃろ?」「……まあ」 じいちゃんはそう言って袖から何かを取り出す。「ほれ、これ飲め!」「……何だよ、これ?」 小さな瓶に、丸くて黒い――「……鼻くそ?」 じいちゃんは一瞬よろける。「いいから飲め!ほれ、水じゃ!」 手に取ったそれを見つめる。思いきって、口に放り込んだ。「……ゴクッ」「どうじゃ?」「……ゴホッ、これめちゃくちゃ臭ぇんだけど」 じいちゃんは一瞬考えてから言った。「良薬、鼻に臭しじゃ!」 飲んでた水を一瞬吹きそうになる。「それを言うなら良薬、口に苦しだろ!」「ほっほっ……まあそうとも言うな」「そうとしか言わねぇから!」「あまり興奮すると、身体に触るぞ?」 じいちゃんが俺の頭を優しく撫でる。「……もう、ガキじゃねぇんだから」 思わず悪態をついてしまう。 じいちゃんは俺を見つめながら「お前は、じいちゃんの宝じゃ……」 じいちゃんは触れた手を離し、「ゆっくり休め」 そう言って部屋を出ていっ
last updateÚltima atualização : 2026-08-13
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第37話 公園での再会

 翌朝5時――「……」 昼間によく寝ていたせいか、早く目が覚めた。 時計を見て二度寝しようかと思ったがやめた。「久しぶりに走るか…」 薄手のTシャツとジャージに着替え外に出る。 外はまだ暗く、肌寒い。「よし、行くか」 軽快に走り出す。 (風が気持ちいい……) 公園―― 手で汗を拭い、ボールを抱えてゴールへ向かう ゴール下に人影が見える。「……先約か」 仕方なく、近くのベンチに座る。 ゴールポストの方向を見ると同年代の女子がボールを投げていた。「あー、もうまた入らない!」「何なのよ!もう!」「また、失敗」 (……何回失敗してんだ?そもそもフォームが悪いんだよなぁ……) 何となく、目を離せずに見ていた。 女の子がこちらに気づく。「ちょっとアナタ!何笑ってんのよ!」「は?笑ってねぇし」 思わずそっぽを向く。「……嘘!下手だって見てたでしょ?」 頬を少し掻きながら「それは、まあ?」「ほら!やっぱり!」 彼女が俺の顔を怪訝そうにじっと見つめてきたかと思うと、なぜか急に顔がみるみると赤くなっていく。「えーーーーー?」「は?」(俺は、何もしていない……よな?) 彼女は両手を口に当てながら後ずさる。「……あ、危ねぇ!」 足元のボールにつまずきそうになった瞬間、手を伸ばす。が、間に合わず、そのまま二人まとめて地面へ倒れ込んだ。「うわっ!」 咄嗟に抱き寄せたせいで、完全に俺が下敷きになる。「っ……!」 背中に鈍い痛み。 数秒遅れて、柔らかい感触と体温に気づく。「……っ!」 近い。というか近すぎる。 目の前に、真っ赤になった顔。長い睫毛。潤んだ瞳、揺れるツインテール。「だ、大丈夫っ?」 女の子が心配そうに見る。(……近いっ) 胸の鼓動を誤魔化すかのように乱暴に答えてしまう。「……いいから、どけって」「……ご、ごめん!びっくりしちゃって……」 顔が真っ赤なまま、うつむいている。 砂を少し払って立ち上がる。「ほら、立てよ」 手を差し出す。 彼女が呆然とこちらを見つめる。(なんだこの既視感……)「……あっ!」 彼女が俺の手を掴んで呟く。「……思い出してくれた……?」 彼女は、ふわっと微笑んだ。公園ベンチ――「……」 笑顔で俺を見る空。(なんか調子狂う)「ね?また、
last updateÚltima atualização : 2026-08-14
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第38話 不意打ちの笑顔

「…プッ あははっ」 沈黙を破るかのように、空がクスクスと笑う。「なんでそんなにボロボロなの?」 空は、笑いをこらえながら、聞いてくる。「…別に。まあ、色々あんだよ」 人差し指で、そっと鼻を掻きながら、乱暴にスマホをポケットにしまう。「……ふーん」 空はまた顔を覗きこむように俺を見る。「じゃあ、これ……」 小さなカード。名前と電話番号とLINE IDが書かれている。「…っ、い、いらねー」 手で押し返す。 空は、少し頬を膨らましながら、「……私が受け取って欲しいの!!」 無理やり手に握らせてくる。 そして、目の前に人差し指を突き出しながら「言っとくけど、誰にでも渡してるわけじゃないんだからね!」「あなたに、持っててほしいから……」 上目遣いでこちらを見る。(うっ……)「……たくっ、うるさい奴だな」 視線を逸らし、少し乱暴に受け取る。「……言っとくけどな」「ただ、そう、持ってるだけだからな!」 空は嬉しそうに笑いながら「…うん!」と、返事をした。(なんなんだよ、こいつ。調子狂う…) 公園ベンチ――「……なあ?」「えっ?」 バスケットゴールを指差す。「バスケ、好きなのか?」「……う、うん。そうなの!」 急に身を乗り出し、顔を近づけてくる。「……だから!近いって!」 手で押し除ける。「……あっごめん!つい、興奮しちゃって」「…それで?」 空は俯きながら、「…あ、うん。好きだから上手くなりたくて練習するんだけどね」「でも、全然上手くいかない……」 悔しそうに呟く。 表情がコロコロ変わるのが、何だかおかしくてつい笑ってしまう。 空がこちらを向き、ちょっと睨む。「あ、今笑ったでしょ?」「……あ、ははっ、ごめん。つい……」 笑いを少しこらえながら空を見る。「アンタのはさ、フォームが悪いだけ」「……えっ?」「まあ、見てろよ?」 そう言って、俺は立ち上がる。 ボールを軽く、ドリブルしながら、ゴール前へ向かう。 その背中を、空はじっと見つめていた。 朝日が差し込み始めた公園。黒髪が風で揺れる。 そして―― きれいなフォーム。 まるで羽根がついてるかのように、身体がふわっと浮く。 軽く跳んでいるだけに見えるのに―― ザシュッ ボールは、吸い込まれるみたいにリングへ落ちた。
last updateÚltima atualização : 2026-08-15
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第39話 やっぱり運命!?

「……シルバーっ!」「いつまで浸ってんのさ?」「……っ!?」 ログチーの声でハッとする。「……別に浸ってねぇし!」「シルバー」「なんだよ?」「甘あぁぁぁぁぁぁい!」「ログチー、お前いい加減にしねぇと壊すぞ?」 腕時計は静かになった――◻︎◻︎◻︎ 時刻は7時30分――「やべっ」 慌てて制服に着替える。 小さなメモが落ちる。そっと拾って、机の引き出しにしまった。「……」 両頬をパンっと両手で叩く。「……よし、行くか!」◻︎◻︎◻︎ 校門近く――「紫音、オーッス」 大地が後ろから元気にかけよってくる。「……はよー」 欠伸をしながら返事する。「土曜日楽しかったな!白石可愛かったー」 にやける親友。「……まあ、良かったんじゃね?」 適当に合わせる。(……おれはその後散々だったけどな)「あ、そういえばさ」 思い出したように大地が言う。「んー?」「今日なんか、転校生くるらしいぞ!」「転校生?こんな時期に?」「ああ……、親の事情みたいだけどさ」「親の都合か……なんか大変だな」「可愛い子だったらどうする、紫音?」 呆れた目で大地を見る。「……どうするも何もねぇよ」「美少女でもか?」「別に、興味ねぇし」  ふいと、横を向く。「胸がめちゃくちゃデカくても?」「……っ!」 少し頬を赤く染めながら、大地を見る。「……見たのかよ?」「……例えばの話じゃん」「……興味ねぇ」(もう色々いっぱいいっぱいなんだよ!)「……てか、お前は白石だろ?」「そうだ!俺は白石一筋だ!」 横目で大地をみながら「……お前声デカいって!!」 大地は慌てて自分の口を塞ぐ。 そんな話をしながら、教室へ向かった。 教室―― ホームルーム前の教室はザワザワとしていた。 自席に着き、カバンを横にかけ、机に突っ伏す。「……だるっ」ナオが横から話しかけてくる。「紫音、相変わらず眠そうだな」「……まあな」 適当に返す。(なんか調子悪ぃ……) 熱は下がったはずなのに、頭の中から消えない……。朝日の中で笑っていたアイツの顔。『……今度こそ、運命だよね?』「……っ!?」(消えろ!雑念!) 机の角に思い切り頭をぶつける。「……何やってんだ俺」 小さく呟く。 ナオが怪訝そうにこちらを見ていた。 ガラ
last updateÚltima atualização : 2026-08-16
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第40話 はじまりと、おわり?

 ホームルームが終わり、担任が教室から出ていった直後―― 空の周りは、一瞬で人だかりが出来る。「ねぇねぇ蒼乃さんってどこから来たの?」「彼氏いるの?」「モデルとかやってた?」(……すげぇな) 何となく、その場にいるのが気まずくなって席を立つ。「……紫音、どこ行くんだ?」 ナオが尋ねてくる、「……便所」「そう言ってサボる気だろ?」(……するどい) ナオの視線を無視して、教室を出る。 廊下はまだ朝の空気が残っていて、少しひんやりしていた。(やっぱサボるか……) 俺は屋上に向かうことにした。屋上―― 屋上の給水塔で、俺はいつの間にか眠っていた。 誰かの視線を感じて、目を覚ます。太陽の逆光で、顔が見えない――(……蒼乃?) 慌てて起き上がる。「ここにいたんだ?」「……佐伯か?」(……違った) 佐伯は、柔らかく微笑みながら言う。「横に座っても……?」「……あ、ああ」 佐伯が横に座る。 腕が触れる距離。(なんか、近くね?) 佐伯は俺をまっすぐ見つめながら呟いた。「……あのね?」「ん?」「ちゃんとお礼が言いたくて……」「……別に、何も」 思わず視線を逸らす。「……軽蔑されるかもだけどね」 佐伯は少しずつ自分のことを語り出した。 年齢を偽ってガールズバーで働いていた事。 男に卑猥な写真を撮られて脅されていた事。 なぜか、店が訴えられて、データが消えた事。 バイトを辞めた事――。 無言のまま、俺は隣で聞いていた。「……助けてくれたのは、黒川くんでしょ?」 佐伯がまっすぐ見つめながら聞いてくる。「……俺は、何も」「……そう?」「でもね、私……」「黒川くんに助けてもらった気がするの」 そして少し照れくさそうに佐伯が言う。「想うのは自由だよね?」「ん?まあ……自由なんじゃね?」 言葉の意図がわからないまま返事する。「ちなみに、俺じゃないからな?」「佐伯がさ、困ってんのを見てた奴がいたんじゃね?」「……プッ」「……なんだよ?」「ううん、なんでもない」 佐伯はまっすぐ俺を見つめながら微笑んだ。「おかしな奴……」◻︎◻︎◻︎「……さて、と。じゃあ私、そろそろ戻るね」「あ、ああ」 佐伯が立ち上がる。「……?」「ん?どうした?」「……今、誰か来たような?」「気のせい
last updateÚltima atualização : 2026-08-17
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