「紗和がやったっていうのか?そんなはずがない。紗和は、あんなことをする人間じゃない」怜央には信じられなかった。莉乃は涙に濡れた顔で訴えた。「あんなことをする人間じゃない?怜央くん、あなたは何年もあの女に騙され続けてきたのよ。あの女は、昔から善良なんかじゃない。男を騙すことにかけては、誰よりもうまいわ。学生の頃だって、海外留学のチャンスを手に入れるために、白河先生と不適切な関係を続けていたって、学校中で噂になっていたでしょう?あんなに若い頃から、ずっと計算高かったのよ。そのあとだって、白河先生との関係を一度も切っていない。そうじゃなければ、御堂ゲームスを辞めた途端、あそこまで手厚く引き立ててもらえるはずがないでしょう?相馬社長のパーティーにだって、白河先生の愛人みたいな顔をして出席していたじゃない。今だってそう。あなたと別れた途端、すぐ別の男を見つけてる。白河先生と手を組んで、あなたが8年かけて育てた、いちばん利益を生むプロジェクトまで奪った。そのうえ上場のために、あなたから大金まで引き出したのよ。怜央くん、あなたは当事者だから、紗和のことを実際よりずっとよく見てしまってるの。だから、あの女がどれだけ冷酷で計算高いか分からないのよ」莉乃の言葉が重なるたび、怜央は返す言葉を失っていった。胸の中まで掻き乱されるように痛む。それでも、最低限の判断力までは失っていなかった。「だが、あのプロジェクトはもともと紗和のものだ。投資提携だって、御堂家の危機を乗り切るために、俺のほうから持ちかけた。それのどこが冷酷なんだ?」莉乃は冷笑した。「怜央くん、あの女は取り繕うのがうまいだけよ。学生時代、あのプロジェクトを買いたいという会社があったんでしょう?普通の学生なら売って、数千万円を手に入れるわ。当時の紗和にはお金がなかった。それなのに売らずに、そのプロジェクトを利用して、あなたから御堂夫人の座を手に入れたのよ。そんなの、十分計算高くて腹黒いと思わない?それに、紗和は最初からあなたを愛してなんかいなかった。宗一郎おじいさまを利用しても、思うように財産を手に入れられないと分かったから、全部計画したのよ。あなたの成功まで自分のものにしておきながら、あなたのほうが紗和に借りがあるように思い込ませた。それでも、本当にあの女があなたを
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