紗和の反応は、征臣の予想とはまるで違っていた。当然のように受け入れると思っていたのに、紗和は明らかに拒んでいる。征臣の胸は激しく波立ち、失望さえ覚えた。不機嫌さを隠さず、紗和を見つめた。「何だ。今日、御堂と花宮が結婚しなかったから、もう俺のものにはなりたくないのか?」二人が結婚してから、すでにしばらく経っている。征臣も一人の男だ。正式に夫婦となった以上、紗和を求める権利があると思っていた。だが、二人が再会してからの日はまだ浅い。紗和は10歳のときの事故で征臣を忘れてしまい、今も彼をどこか見知らぬ相手のように感じている。だから征臣は時間をかけて、少しずつ距離を縮めてきた。それでも、もう十分に待った。そろそろいいはずだと思った矢先、紗和にはっきり拒まれたのだ。腹が立つのも無理はなかった。自分には当然与えられるはずのものだと、征臣は考えていた。「そんなわけないでしょう?」紗和は、征臣の肩にそっと手を置いた。余計な誤解をさせたくないため、正直に話すことにした。征臣が怒るたびになだめるのも大変だが、何より、また全身から冷気を放つような姿には戻ってほしくない。「あのとき私から求めたのは、愛のない取引だと思っていたから。あなたが私を愛することも、私があなたを愛することもないと思っていた。だから、せめて夫婦としての関係を保とうとしたの。でも今は、二人で愛し合えるよう努力してみたいと思ってる。だから、きちんと関係を公にして、本当の意味で夫婦になってからにしたいの。待ってくれる?」「何をもって、本当の夫婦だというんだ。婚姻の手続きを済ませただけでは足りないのか?」征臣は納得できない様子だった。紗和は小さく首を振った。「今はまだ、誰も私たちの関係を知らないでしょう。きちんと式を挙げて、みんなに夫婦だと伝えてからにしたい」怜央とは、最後まで結婚を公にできなかった。人目を避けて妻でいなければならず、その一方で夫は別の女と堂々と親密に振る舞っていた。何もできずに耐え続けた日々は、紗和の心に深い傷を残している。もともと紗和は慎重な性格だった。怜央を3年も思い続けていた頃でさえ、触れ合いを受け入れたのは結婚してからだ。征臣との関係にも、心から夫婦になれたと思える区切りが必要だった。「わかった」征
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