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第三十一話 だって、超有名卓ゲだもの

「ところで、みなさん」 部室で、ノヴァルナが皆に話しかける。「ワタシ、将棋やってみたいです。ないですか?」「あー、そーいえば、置いてなかったね」「将棋部行けば置いてあると思うけど……」 きいろと歌留奈が、話を受ける。「あー、将棋なら、たまに親父と指すわ。明日、持ってこようか?」「お願いします」 にこが、快く応じてくれた。 そして、翌日。「えーと、まずはルール説明な。王か玉。これを取られると負けで、歩は一マスずつ前進できて……」 にこ先生の、将棋教室開催。真剣に聞くノヴァルナ。「頭入った? わかんないとこある?」「大丈夫です。進めてください」「じゃあ、駒をこういう風に並べて。飛車、これは右、角、これは左ね」 コトンコトンと、置いていくノヴァルナ。まだ、パチンとはいかないようだ。「で……。四枚落ちぐらいで始めるか。……そんじゃー、先手決めよう。じゃんけん……」 ノヴァルナの先手。「えーと……えい」 ノヴァルナ、いきなり真ん中の歩を突く。 にこ、「初手は角筋開けるか、飛車先を進めるかだよ」と言いたかったが、あえて黙っていた。 本格的な将棋盤の脚部には、木彫りのクチナシがあしらわれている。 これは、「余人が口を出すのはマナー違反」という思想から、つけられるようになったものだ。 また、自分のマリオネットになって指しても、楽しくないだろうという、にこの考えでもある。 にこ、まずは居玉を避け、玉を一歩前進。 彼女は、自分が駒落ちで指すのは初めてだが、こちらもまた、試行錯誤。 こうして、慣れない同士の奮闘は続き……。「あっぶ。なんとか勝ったぜ」「お見事です。将棋、難しいですね。でも、捕虜になった駒が寝返る発想、面白いです」「うん、ボクも見てて、それ思った」 きいろ、何しろシステマチックなゲームが大好きである。「ボクも覚えようかなー」「おう。ノヴァっちと、素人同士で指してみるといいんじゃねえか?」「いいねー。今度やろーね、ノヴァ子」「はい!」 下校時間手前を、知らせる鐘が鳴った。「あ、そろそろ帰らないと」 きいろが鞄を持つ。「じゃー、将棋盤は部室に置いとくか」 帰る準備を始める一同。「麻雀もやってみたいです」「麻雀……。誰か、打てる?」 歌留奈の問いに、一同首を横に振る。「でも、超有名卓ゲだもんね
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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第三十二話 女子力高めませんか?

「ところで、女子力高めませんか?」 部活でマーダーミステリー終了後、るうが不意にそんなことを言い出した。「どうした急に」「いえ、わたしたち、基本ゲームばかりしてるじゃないですか。それじゃ華がないので、お菓子でも作って、女子力高めたらいいんじゃないかと」「調理実習じゃだめなん?」「それじゃ、好きなものが作れないじゃないですか」 「なるほど」と、考えこむにこ。「女子力ってなんですか?」「女の子っぽい事しようっていう、お誘いです」「オー、ジェンダーロールですね」 ノヴァルナ、得心がいく。「しかし、アタシ、お菓子って柄じゃねーぞ?」「そこはギャップ萌えで!」「お、おう」 鼻息をふんすと吹き、興奮気味にサムズアップするるう。「この中で、キッチンが広いの誰のうちかなあ」「あの、ワタシの家はどうでしょう? オーブン、大きいのあります」「おお、それはいいね! ノヴァ子の家、行ってみたかったし」 ぽんと手を打つリーダー。「では、今度の土曜日でどうでしょう」「異議なーし」 一同、ノヴァルナの提案に乗るのであった。 ◆ ◆ ◆ 土曜日。「あ、ノヴァ子ー!」 学校に向かってくるノヴァルナの姿を認め、手を振るきいろ。「オー! 遅くなりましたか?」「だいじょぶだよ。ね、みんな?」 他の三人、うんうんとうなずく。「さっそく、行きましょう」「おー!」 ノヴァルナを先頭に縦列で歩く一同。 しばらくして……。「着きました!」 おしゃれな一軒家に到着。「おお~!」「入ってください」「おじゃましまーす」 皆で、上がり込む。「いらっしゃい。ノヴァルナのお友達ですね。………妻も、いらっしゃいませと言っています」 婦婦が、一同を出迎える。片方は、ドイツ語で喋っていた。「おお! ほんとにお母さんが二人なんだ!」「こら、きーちゃん失礼でしょ。すみません、うちのきーちゃんが」「気にしないでください。ドイツでも、まだ珍しいですから」 リビングに通される一同。「外は暑かったでしょう。飲み物をどうぞ」「いただきまーす」 キンキンに冷えたコーラを、飲み干すきいろたち。「あ~、涼し~」 リーダー、完全に弛緩。「もう。だらしないなあ、きーちゃん」 やっぱりおかんだなあ、と思うきいろであった。 やがて、暑さも引き。
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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第三十三話 キャンペーン!

「諸君! エクスプも大詰めだな!」 夜、Zoomをやっていると、きいろが腕組みして、不敵な笑みを浮かべていた。「そうだね」「どうした急に」 相変わらずのにこのツッコミに、ちっちっちっと指を振るリーダー。「キャンペーンを始めようと思うのですよ。成長バランスが適切か見たいし」 一同から、「おお~」と声が上がる。「なんで、明日はキャンペーン第一回やらない?」 「さんせー」と、これまた皆。「おっけーおっけー。じゃあ、明日十時、ボクんち集合ね」「昼飯は?」「ボクんちで用意する」 またも、「おお~」と声が上がる。「というわけでよろ。ノヴァ子は迎えに行った方がいい?」「大丈夫です。道、覚えました」「それは結構! じゃーみんな、また明日~。ボク、シナリオ作るから」「おつかれ~」 Zoomを切って、テキストエディタを立ち上げる。いよいよ、本格始動だ! ◆ ◆ ◆「こんにちは~」 るうが、入室してくる。「これで、全員揃ったね」 お茶菓子完備の客間で、きいろがあぐらをかいて、全員を待っていた。 人も揃ったので、お茶を淹れ、「それでは、始めまーす」と、厳かに宣言する。「注意事項、特になし。前回から、大幅にルール変わってはいないよ」「オー、投げ槍とか、接近戦のルールで使える割に、そこそこ射程長いですね」「ノヴァ子が、接近戦強くしてほしいって言ってたから」 わいのわいのと、キャラを作っていく。「みんなー、ごはんよ~」「ありゃ、時間が経つのはあっという間だね。ご飯食べたら、セッション進めよう」「りょーかーい」 母に呼ばれたので、一同着座。「今日は、チキンカレーですよ」「やっふぅ~! チキンカレー!」 きいろ、大興奮。「なあ、きいろ。カレーと焼きそばだったら、どっちが好きよ」「ぬぬぬ……甲乙つけられない……!」 本気で悩むきいろ。「お、おう。両方こよなく愛してるのはわかった。いただきますしようぜ」「そだね。いただきます!」 チキンカレーを頬張る一同。「から~い! うま~い!」 リーダー、ご満悦。「ほんとに美味しいですね」 るうも称賛。「ありがとう。おかわりもあるからね」「はい!」 笑顔で、水を飲む。「女の子が元気なのは、やっぱりいいものだね」「なーに、お父さん急に?」 きいろ、父の謎所感に
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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第三十四話 ノヴァルナGM奮闘記

「みなさん。昨日、シナリオできました」 あれから数日後、ノヴァルナが部室で宣言する。 一同、「おお~」と拍手。「やろ! さっそくやろ!」 リーダー、小動物のように瞳を煌めかせ、わくわくモード。「みなさんはどうですか?」 「異議なーし」と、まとまった。「では始めます。アーク帝国のキャンプ地を破壊した皆さんは……」 文字通り、前回からの続きた。自分の話を拾ってもらって、じんわり嬉しくなるリーダー。「コンガマトーの巣みたいですね。どうしますか?」「卵泥棒は気が引けるね」「同じく。写真だけでいいっしょ」 探検は進んでいき……。「ボス戦です」「うおおー! やっちゃるぜー!」「以下同文」 テンション・並な歌留奈。 しかし……。「うっそ! 全滅!?」「ガトリングガン、強すぎたかも」 落ち込み、反省するリーダー。「いえ、FPをもう少し抑えるべきでした」 実際、首の皮一枚まで届いていた。「やっぱり、戦闘力を数値化する方法は必要だねー」 きいろ、難しい顔。 こうして、反省点を洗い出すのも、テストプレイの大事な役目だ。 こうして、やいのやいのと問題点を洗い出していると、もう下校時間。「あ、こんな時間だ。明日のマスターは誰がやる?」「ワタシでいいですか?」 しゅっと、ノヴァルナが手を挙げる。「連投大変じゃない?」「いえ、今回のリベンジしたいです」「まあ、ノヴァ子がそう言うなら……」 一同、少ししんみりした気持ちで帰っていく。 ◆ ◆ ◆「戦闘力まとめたー!」 土曜、佐武家客間で、きいろがバン! と紙束を広げる。「やっぱり必要だよね、これ!」 一同から、「おお~!」と歓声が上がる。「大変だったんじゃない?」「大変だった! でも、賞に出すからね! 妥協できないよ!」 あまり眠れていないのか、ちょっとテンションが空回っている。「ノヴァ子、これでバランス取ってみて」「は、はい」 きいろの鬼気迫るテンションに、シナリオを見直すノヴァルナ。それによって、いくつか修正を加えていく。「きいろさんのパターンで、敵を組み直しました」「よし、やろう!」 きいろのテンションが、明らかにおかしいが、ともかくゲーム開始。 今度は、つっかえることもなく順調に進んでいく。「ボスです」 得物は、因縁のガトリングガン。果たし
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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第三十五話 づがれだ~!!

「づがれだ~!!」 佐武家客間。けったいなだみ声を上げ、机にへばるきいろ。他のメンバーも、大なり小なりこんな感じだ。 セッションセッション、またセッションで、エクスプをもう、かなり回している。愛しの我が子でも、さすがに限界が来ていた。「課題、やりますか?」「しばらく頭使いたくなーい」 ノヴァルナの提案、なしになる。みんな、頭がゆだっていた。「こーゆーときは! 散歩とかどうだぜ?」「一理ある~。けど、お外暑いよね~」 外では、九月だというのに、セミが元気に鳴いていた。「寝ましょう!」「るーこ、それ名案。昼寝しない?」「さんせーい」 やる気ゼロ一同、布団を敷き、カーテンを閉め、おやすみモード。るうは、当然にこの隣。 ◆ ◆ ◆「きいろ~? あらまあ、ぐっすり寝ちゃって。ほら、晩ごはんですよ~!」 皆の布団を引っ剥がしていく母。「ゔにゃ~! もう十分~」「スパゲッティー冷めちゃうわよ。ほらほら、起きた起きた」 母、なかなかに強硬である。「ぅおはよぉごじゃいまぁ~す」 寝ぼけ眼の娘に、父苦笑。「とんだ眠り姫だね」「なんとでも言って~」 一同に、ナポリタンの皿が配られていく。「入る?」「なんとか。いただっきまーす」 母の心配を他所に、食べざかり五人組の食欲は旺盛だ。「日本の皆さん、スパゲッティーすすりますね。ちょっとびっくりです」「お蕎麦とか、普通にすするからねー。食文化性の違いってやつ?」 歌留奈は普通に、巻いて食べられるが、他の三人は無理。ズビズバーとすするきいろたちであった。「ごちそーさま! エクスプやる元気が出てきたよ」「課題は?」「もちろんやります、サー!」 母相手ならマムではないかとか、色々な疑問はすっ飛ばし、皿洗いと歯磨きを済ませて、勉強会に向かう一同であった。 そして……。「おわ゙っだぁ~!」 皆、お疲れモード。「エクスプやる?」「気が変わったー。さすがに別のがいい~」 歌留奈除く一同も、同意のようだ。「きーちゃん、なにかおもしろいのある?」「お邪魔者とかどう?」 お邪魔者。金鉱堀りと、その妨害者に分かれて行うゲームだ。 金鉱掘りは金鉱目指して掘り進むが、お邪魔者はその名の通り、邪魔をするのが目的。 通路を変な方向へ捻じ曲げたり、妨害カードを駆使したりし
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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第三十六話 チクタクバンバン!

 楽しい合宿も終わり、今日も今日とて、部室でエクスプのブラッシュアップに励む一同。「ふい~……武器のバランスは取れてきたかなあ?」「ぼちぼちやな」 きいろに同意するにこ。「部室でも、お茶菓子広げられたらいいですよね~」「ギンコせんせーに見つかったら、怒られるってレベルじゃないと思う」 鈴木教諭大好きなきいろが言うのだから、相当厳しい雷が落ちることだろう。「少し、時間が余ってますね」「エクスプもう一本は厳しいかー。なんか、軽めのいきたいね」「すしゴーかお邪魔者やる?」「お寿司気分なので、すしゴーでいいですか?」「異議なーし」 るうの提案で、すしゴーと相成った。「オー。わさびに玉子……」 わさびは、つけたネタの得点を二倍する効果がある。 玉子は最低の一点。ノヴァルナ残念。「刺し身、あと一個きてー」 るうは、刺し身リーチ。「ボク、プリン食べる~」 プリン。多く食べていると、ボーナス点が付く。「ぬ、ノヴァっちが巻き寿司集めてる」「巻き寿司、おいしいですよね」 巻き寿司は一番多く持っていると高得点だが、深追いの叩き合いは、不毛である。 五者五様のプレイの結果……。「お、勝ったー!」 きいろ、デザート中心のマイペースプレイで勝利。「お刺し身は、妨害されるときついですねえ」「まあ、警戒されるよな」「私、いいとこなかったなあ」「ドンマイ」 きいろに慰められる歌留奈。 下校時刻になってしまったので、急いでカードを片付け、下校。「そういえば、フリーマーケットあるらしいですよ」「フリマかー。なんか、ゲームの出物あるかな?」「ま、こーゆーのは見るだけでも楽しいんじゃね?」 そんなことを言いながら、家路をたどる一同であった。 日曜日。結局フリマに来た、皆々。「なにっかいいのは、あっるのっかな~?」 るんるんモードで、先頭を進むリーダー。「あ、このポーチかわいい! これください」 きいろ、さっそくかわいいセキセイポーチをお買い上げ。「なんか、今日はもうこれだけでいい気分だよ~」「おいおい。アタシら何も買ってねーぞ」「見てください。ゲームがありますよ」 ノヴァルナの指差す先には、「チクタクバンバン」という、やたらレトロな品が。「年季入ってますねー」「昔流行ったのよ。押し入れを整理してたら、これが出てきて
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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第三十七話 明石焼き

「こんにちは」「おー、いらっ……!?」 週末。いつものように佐武家でくつろぐ一同。 そこに最後のノヴァルナが入ってきたが、あるものが皆の意識を奪った。 「明石焼き」と大書きされた、白いTシャツである。「どうしたん、それ……」 ツッコむ前に、まずは探りを入れる、にこ。「このシャツですか? 駅前で、おしゃれなのが売ってたので、買ったんです」 ふんすと鼻息を吹き、目に星が宿っているかのよう。 これは、相当気に入っていると、理解した一同であった。「へ……へー、なんでまた明石焼き?」「意味はわからないですけど、字がかっこよかったです!」「そうなんだー」 歌留奈、会話のキャッチボールを断念。「とりあえず! ノヴァ子も来たことだし! テストプレイやろう!」 声が震えているきいろ。センスを笑うのはよくないと理解しつつも、吹くのを我慢している様子。「はい! やりましょう!」 というわけで、ゲーム開始。「というわけで、生き別れの恋人は、ノヴァ子隊長のお陰で……ブフォ!」 きいろ、アウト。どうしても、GMとしてノヴァルナを見る機会が多いもので、我慢できなかったようだ。「大丈夫ですか?」「だ……大丈夫……ブフォー!」 当のノヴァルナに心配されるが、一度ツボに入ってしまったので、もうだめ。「きーちゃん! ちょっとごめんね。洗面所行きましょ」 歌留奈に介抱され、洗面所へ。「だめだよ、笑っちゃー」「ゴメン、頭では理解してるんだけど……あ、明石焼きは卑怯」 くっくっくと、我慢してた笑いを開放している。「……はー」「落ち着いた?」「なんとかー」 戻る二人であった。「ごめん、ちょうどいいところで」「大丈夫ですか?」「あ、うん」 ノヴァルナの気遣いに、リーダー、ちょっと気まずい。「えーと、ノヴァ子隊長のおかげで、生き別れた恋人は、無事再会できました! CPと物資どうぞ~」 きいろ、平常心を取り戻した。「あの、わたし思ったんですけど」「なんぞ?」 にこが受ける。「今度、みんなでカタン先輩みたいなシャツ着ませんか? いっそ」「ひょえ!?」 リーダー、変な声が出てしまう。「いや、面白いなそれ。変T大会やろうぜ!」「にこちゃん、変Tとか言わない!」「あ、わり」「よくわからないですけど、インフルエンサーですね、ワタシ」
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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第三十八話 あこがれのMTG!

「こん~。くつろいで~」 エアコンの冷房で弛緩しきったリーダーが、一番早くやってきた歌留奈を客間で迎える。 「焼豚」Tシャツを着て。「なんだかんだで、気に入ったのね、ソレ」「なんかねー。頭悪くて好き」 やがて、みんなもやってくるが……。「おま、そのTシャツ卑怯!」 爆笑するにこ。「ふっふっふ~。今のボクは、卑怯千万ですよ~」「オー? かっこいいじゃないですか。どうして卑怯ですか?」 ノヴァルナ、今日は「烏賊」と書かれた変Tを着ている。「くっ……ノヴァ子もいいセンスだね……!」 笑いをこらえるリーダー。「いや、みんな来たなら本題に入ろう。今日は、お父さんからMTGのカードを借りました~!」 「おお~!」と声を上げる一同。「万一があるといけないから、コモンとランドだけだけどね。お高いカード、万とかで取引されるから」「ひょえー。きいろのとーちゃん、どんだけ突っ込んだんだ?」「さあ? 怖くて聞いたこと無いな」 スリーブに入ったカードを、取り出すきいろ。「本来は自分でデッキ組むのが楽しいんだけど、まずはルール説明のために、出来合いので見本戦やるね」 きいろのルール説明が始まるが、文章で書くと複雑なので、軽く解説する。。 カードの多くは、タップという、カードを横倒しにする行為で、攻撃や特殊能力を発動する。 これを、ターン始めに再び立てることで、体勢を立て直す。 カードは一度に何枚でも出せるが、マナという、ランドカードから得られるエネルギーが必要となる。 二十あるライフがゼロになるか、山札がゼロになると負け。「……というわけで、やってみよー!」「おー!」 各自に、ランダムにデッキセットが配られていく。そして、じゃんけん。「アタシからかー……。えーと? アンタップ、アップキープ、ドロー。で、ランドってのを出せばいいわけか。このゴブリン置いてターンエンド」 こんな感じでゲームは進んでいき……。「カタン先輩に攻撃です!」 るう、意外と好戦的。というか、コモンだらけなので、皆「ウイニー」と呼ばれる速攻デッキだらけなのだが。「勝ったー!」 一日の長あってか、乱戦を制したのはきいろ。「やっぱ、経験値がモノいうな」「みんなも、初めてにしては上手かったよ! さ、今度はお楽しみ、自分でデ
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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第三十九話 紅葉狩りとお弁当

「十月も終わろうってのに、あっちいなあ~」 佐武家にやってきたにこが、ハンカチで汗を拭きながらぼやく。「こんにちは。涼んでってちょーだい。今、アイスティー持ってくるね」 にこと入れ替わりに、客間を出ていくきいろ。「こんにちは~。あれ? きーちゃんは?」「ちーす。アイスティー作りに行ってるぜ」「そっか。暑いねえ」 その後、他の二人も、合流する。「日本の秋、暑すぎませんか?」 ノヴァルナも、汗を拭き拭き愚痴をこぼす。「今年は異常ですよね」「も、じゃね?」 るうの言葉に、力なく返すにこ。「お待たせー。あ、みんな、いらっしゃい」 ピッチャーとグラスを持ったきいろが、戻ってくる。「なんか話してたの?」「んー? 暑さへの愚痴」 さっそく、アイスティーを飲るにこ。「ほんと、やんなるよねー。衣替えも遅れてるし」 きいろも、茶を飲む。「ところで、日本は紅葉きれいらしいですね?」「どうした急に」「いえ、せっかくですから、紅葉狩りしませんか?」 ノヴァルナが居住まいを正す。「あー、いいねー。今年は暑さのせいで、紅葉が遅れているらしいけど」「来週には、見頃らしいですよ」 「ほほー」と、スマホ片手に調べていたるうに、うなずく一同。「じゃあ、お弁当持って、集まりましょう! ワタシ、日本のお弁当文化大好きです!」「いいね。その頃には涼しくなってるといいけど」 きいろには悪いが、二〇二三年の猛暑は、十一月終盤まで続く。「来週の予定も決まったところで、締切も近いことだし、エクスプやりまっしょい!」 リーダーの号令で、エクスプ開始。今日のGMは、歌留奈。「もう、システム的にはあんまいじるとこ、なさそうだね」「そだねー。ボク的には、もっといじってあげたいけど、もう手をつけるところが思いつかないや。あとは、かるかんのイラスト待ちかな」「頑張るね!」 ぐっと握手する二人。美しきかな、女の友情!「来週が楽しみだねー」 のほほんと、茶をしばくリーダーであった。 ◆ ◆ ◆ 翌土曜。「あっづ~……」 F公園にやってきたきいろだが、暑さに参っていた。(お弁当、傷まなきゃいけど) などと思っていると、見慣れたメンバーが。「暑いね~」「ねー」 などと言いながら、紅葉池のほとりに向かう。「レジャーシート、
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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第四十話 ハッピー・ハロウィーン!

「そういえば、明後日、明々後日、ハロウィンだね!」「おっ、そうだな」 土曜夜、Zoomで会話していると、不意にきいろが切り出した。「ドンキ行ってさ、ハロウィングッズ買わない?」「いいですね!」 るうも乗り気。「ノヴァちゃんは?」「はい、興味あります!」「じゃー、れっつらごー!」 翌日曜。東F駅そばの、ドンキホーテに向かう。「おー。相変わらず、色々売ってんなあ」「すみませーん、ハロウィングッズどこですかー?」 さっそく、尋ねるリーダー。売り場に案内される。「魔女だ! ボク、これにしよ!」「せっかくだから、色違い五色にすっか? 戦隊っぽく」「あは、それいいね!」 皆で魔女グッズをお買い上げ。配色は、きいろ・黄、歌留奈・赤、にこ・青、るう・ピンク、ノヴァルナ・緑という塩梅。「明日が楽しみだね! あとは、ボクんちで遊ぶ?」「さんせーい!」 今日のお品は、昨日に引き続きMTG。一同、大ハマリしてしまった。「明日、明後日は部活なしね。お菓子をもらい歩こう!」「おー!」 翌日。放課後に各々の自宅で着替え、校門前に集まる皆。「トリック・オア・トリート! お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞー」 さっそく、ご近所訪問。順調にお菓子を貯めていく。「いいねー、ハロウィン!」「都昆布渡されるとは、思わなかったわ。好物だけど」 きいろ、歌留奈、ほくほく。「次はここかな」 ピンポーン。「はい、どちら様でしょう?」「トリック・オア・トリート! お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞー」「あら、ハッピー・ハロウィン。ちょっとまっててね」 がちゃりと扉を開け、三十歳になったかならないかぐらいの、女性が出てくる。「これでいい?」 渡されたのは、個包装のチョコ。「ありがとうございます!」「ふふ。うちの子たちも、さっきもらってきたのよ」「へー、そうなんですか」「じゃあね、可愛い魔女さんたち」 戻っていく女性。「よーし、この調子でガンガンもらっていくぜー!」 ところが、次のご家庭。「ありゃ。おじさん、ハロウィンだってすっかり忘れてたよ」 初老の男性が、困った顔をする。「あー。じゃー、いたずらですねー……」「何する?」「顔に落書きでも?」 わちゃわちゃ相談。「じゃあそれで。いいですか?」「いいよー」 額に、「
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