「かるかんー。挿絵の進み具合どーお?」「七割……はいったと思う。締め切りまでには、絶対間に合わせるから!」「いや、急かすつもりはなかったんだけどさ」 部室で、そんな会話をしていた、きいろと歌留奈。「今日はエクスプやんの?」「いちおー、そのつもり。高レベル帯のバランスも見ておきたいから」 もう十一月だというのに、なかなか気温が下がらない。きいろが、魔法瓶の冷茶を飲む。「ほんと、佐武先輩まめですよね」「にひひ。ボク、これでけっこー完璧主義なのですよ!」 ふんぞり返る。「まー、百万狙うなら当然の姿勢よな」「そうですね。ワタシ、なんだか緊張してきました」 百万円と、商品化。その重みを改めて感じる、にことノヴァルナ。「わたしたちも、なにか手伝えることないですか、奥野先輩?」「んー。テストプレイやってくれるのが一番かな。やっぱり、絵は私じゃないとだし」「そうですか……。もっと、お手伝いしたいのですが」「その気持が一番嬉しいよ、るーこ!」 にかっと、サムズアップ。「ありがとうございます!」「じゃ、タイム・イズ・マネーってことで、さっそくやってこーか」 こうして、高レベル帯でのプレイを開始。「いやー、二重判定の意味がわかってきたぞ」「でしょー。成功率高くても、プレイが単調にならないんだ」 語尾に音符でもついてそうな、上機嫌リーダー。「スキルでの殴り合いになるね」「敵にもスキル持たせたかいがあるね! やっぱり、緊張感大事!」 さらに、鼻高々なリーダー。「30ダメージ! 届きましたか!?」「うん。敵ボスは、死にました。ちーん」「はー、緊張感あったなあ」 スポドリを飲む、にこ。「そうですね。手に汗握るっていうんですか? そういう感じでした」「ぬふ。好感触! これ、本気で百万狙いにいきたいね!」「おー!」 拳を付き合わせる一同。「さ・て、そろそろ下校時間だね。カエルが鳴くから帰りましょ~」 きいろ、引き続き上機嫌で、鼻歌など歌いながら帰り支度を始める。 ゲームデザイナーとして、完成一歩手前のこの状態が、一番楽しいのかもしれない。 ◆ ◆ ◆「そういえば、週末体育祭だねえ。めんどいなあ」 翌日、きいろが部室でぼやく。 今年は例年より暑いので、この時期までずれ込んだが、最近の体育の授業は、体育祭に向けてのものが
Last Updated : 2026-07-14 Read more