彼は身をかがめ、唇が私の唇に置かれる。このキスはもはや奪われたものでも、儀式的でも、儀式の一段階でもない。自由なキス——条件も恐れも罪悪感もなく、与えられ、受け取られる。愛のキス。シンプルで純粋。私の決断を永遠に封印する。 どこか遠くで、ドアが閉まる。馬が疾走で遠ざかり、蹄が中庭の凍った土を打つ。一章が決定的にめくられる。エリクとリアナの物語は、この黒い石の宮殿で終わる。別の何かに場所を譲るために。 私はエリクを追いかけない。私の過去を、私の幼少期を、私がかつてあった少女を追いかけない。その少女は成長し、変わり、女になったから。私の居場所はここにあるから。氷の王の腕の中に。私の家となったこの宮殿に。私のものとなったこの王国に。私を壊し、再構築し、変容させ、明らかにしたこの愛の中に。 エリクは去る。一人で。しかし、名誉は無傷のままに。心は砕けているが、魂は安らいでいる。彼はヴァルクール、緑の丘、樹齢百年の樫の木を取り戻すだろう。多分、そこで愛すべき別の王女、築くべき別の人生、書くべき別の物語を見つけるだろう。 ケイルは私と共に残る。永遠に。 そして、私、ヴァルクールのリアナ、この石と氷の王国の王妃は、ついに自分が誰であるかを知っている。完全な意識の中で、自由に選んだ女。深く、情熱的に愛する女。見返りに、氷の王だけが提供できる、あの絶対的な愛で愛されている女。 そして、それ——愛され、愛するという単純な幸福——が、私には十分だ。今日のために。明日のために。続くすべての日のために。永遠のために。
Last Updated : 2026-09-16 Read more