会社が大きくなる時、一番先に変わるのは社長室ではない。 会議の数だ。 報告の線が増える。 確認すべき数字が増える。 判断を待っている人間が増える。 そして、放置すれば、そこからまた穴が空く。 高瀬悠真は、その穴がどれほど危険かを知っていた。 桐谷健吾は、穴から入ってきた。 黒川亮介は、その穴を広げた。 青柳拓人は、その穴を隠すための箱を作った。 西岡大輔と山城直人は、穴に紙を貼った。 小田切修は、穴を見ないふりをした。 高瀬美咲は、穴を塞ごうとした雨宮彩乃を黙らせようとした。 だから、ネクストリンクはもう、穴を感覚で塞がない。 仕組みで塞ぐ。 午前八時三十分。 ネクストリンク本社、二十七階大会議室。 壁面モニターには、全国八支社の映像が並んでいた。 愛知。 北海道。 広島。 大阪。 高知。 長野。 青森。 鹿児島。 その中央に、東京本社。 今日から始まるのは、全国支社常設会議だった。 参加者は、本社経営陣と八支社の支社長、副支社長。 支社長八名。 副支社長八名。 合計十六名。 毎週月曜午前。 売上、採用、顧客、監査、契約、経費、労務、リスク、地域貢献、AI開発連携、支社間連携を確認する。 会議は長くなる。 だが、長くなるべき会議だった。 まず、愛知支社。 支社長、伊吹達也。 四十二歳。 製造業クラウド、東海営業、開発支援の責任者。 副支社長、久世拓真。
Huling Na-update : 2026-08-15 Magbasa pa