その日も、雨だった。火山の頂上から水蒸気が立ち昇っている。「サルロ隊長、揃いました」 セキを腕の中に収めたサルロに、一人の騎兵が近づく。「わかった。サルロ隊、蛇騎士の拠点への偵察に出るぞ!」 馬の腹を蹴ったサルロに率いられ、三十騎の小隊は一路西へ向かう。先頭を行く二十騎はハンドガンにサーベル、胸甲と完全武装で、それを追う十騎は通信設備を備える軽武装の騎兵だ。 ダカッポダカッポと蹄が鳴り、雨音の中に消えていく。「天気がよけりゃあよかったんだが」 サルロの隣に控えるガリヤがそう言った。「そうも言っていられないさ。少しでも早く、情報を集めなければならないのだから」 西進すること数時間、一行は火山の麓に到達した。「野戦魔通用意!」 小隊本部附きの下士官がそう声を挙げる。後方十騎が数十キロある野戦通信魔導通信機のセッティングを始め、三十分。「サルロ隊長、自分が、通信担当伍長であります」 サルロと大して変わらないであろう兵が、そう敬礼しながら言った。背中には、大ぶりな無線魔導通信機。角ばっていて、無骨なオリーブドラブの外見だ。「よろしく頼む。準備はできたか?」「はっ。今にでも出発可能です」「了解した。偵察隊は事前に通達した通り、二つの班に分かれて行動。第一班の十五騎は私とガリヤがつき、威力偵察を行う。第二班の五騎はなるべく隠密に敵情を視察し、小隊本部との連絡係にもなってもらう。いいな!」「了解!」 十五騎。それが多いのか、少ないのか、サルロにはわからない。ただ言えるのは、相手が全力で殺しにきた時、抗えるかもわからない数だということだ。 外套が降りしきる雨を弾く中、十五騎は岩だらけで起伏に富む地形を進む。視界は効かない。双眼鏡を持った兵士も、高台に上がっては首を横に振る。「こちら第一班。五キロ進出して猶会敵せず」 通信伍長が無線機にそう吹き込んだ。「この天気では、セリアードであってもまともに偵察できないな……」
Última atualização : 2026-08-10 Ler mais