Semua Bab たとえ異端になろうとも~蒼炎と黒炎を宿した騎士、サルロの魔王焼却譚~: Bab 41 - Bab 42

42 Bab

#41 望まざるが故に

 帝国と共和国の国境に、古い山城がある。その頂上で、隻眼の男と緑髪のダブルシードが話していた。 「ケラック、サルロ・ファージには気を付けろ」  ダブルシードは、立ち去り際に、ケラックという隻眼の男に告げた。 「奴の魔剣は、我々の鎧を容易く斬り裂く。致命傷を負うぞ」「ダブルシードは、随分と弱気になったものだな」  ケラックは低い声で笑った。 「まあ、撤退用の転移魔法は仕込んでおくとするか。ダブルシード、お前の助けは要らん」「ほう? 爆裂魔法を仕込んでやろうと思ったのだがな」「正面から殺し合いたい……そうすれば、俺が魔剣を手に入れることもできる」  古い様式を維持する玉座の間の扉を、彼女は開く。 「死ぬなよ、ケラック」  バタム、と閉じた扉。 「面白くなりそうだ、鉄殻戦団の、試運転としてはな……」  ◆  『蒼炎だ』  魔剣ゼイドは、サルロにそう告げる。 『汝から、蒼炎の力を奪った。そちらの方が、面白いものを見られそうだからな』  面白い、一体何が。彼はそう問う気力もなく、ガタガタと震える手を止めることすらできなかった。 『取引の条件を精査しなかった汝の責任だ。精々面白い破滅を我に見せてみろ、蒼騎士』  サルロは、壁を殴る。ピシリ、コンクリートに罅ができる。 『が、汝次第で返してやってもい
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-08-30
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#42 黒冠を描いた騎士たち

 サルロの背から、するりと赤い刃が抜かれる。それを覆うは、黒と赤の混じった雷霆。バチリ、バチリと不吉に鳴る。 「行こう」  サルロは、ガリヤを待たずに山城へと踏み込む。ダンケルがセキを連れて飛び立つ。それを見送ることもしない。  門を蹴り飛ばした彼を待っていたのは、鋼を纏った魔物の群れだった。ガルル、と唸る魔物と、それから降りる鎧の騎士たちを前に、魔剣を握り締める。 「撫で斬りにしてくれる」  そう呟いて、走った。  まず、魔物たちが彼に向かわせられた。黒を帯びた銀色の装甲と、馬並みの体躯を持つ魔物だった。その突撃を鎧で受けた彼だったが、かなり押し戻される。  だが、横に転がって受け流し、側方を取る。そこで魔剣を横腹に突き立て、横に振り抜くことで一体を屠った。  その背後から、もう一体。冷静に、彼は前脚を払う。前のめりに転倒したそれは、次の瞬間には首を刎ねられていた。 「行け、行けよ、狼ども!」  騎士たちの横には、狼大の、四足歩行の魔物がいた。鋼の鎧で武装したそれらは、一斉にサルロへと駆け出す。  サルロは、剣を左肩の上に持っていった。間合いを見定め、十分近づいた所で、一閃。雷が幕のように広がって、狼たちを飲み込み、消し去った。 蒼騎士剣術と赤き雷霆の融合。それを実現させた一撃だった。  が、それで終わる戦でもない。波濤めいて押し寄せる魔物の群れが、まだそこにある。長丁場にしたくはないサルロ。その彼の背後から、声が響いてきた。 「そこで、あなたがたに幾らかでも──」  聖典の詠唱だ。魔物の足は僅かに緩み、速度を落としつつある。
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