戦いを始めてから、どれだけ時間が経過しただろう。 期待した衛兵はまだ到着していない。だとしたら、俺がこの魔物を倒すしかないってことかよ。「攻撃力プラス補正は働いてるんだろうな!?」 一応はステータスを確認すると、ジョブはちゃんと勇者のまま。 得られた結論は攻撃力プラス補正があったとして、三階級の魔物と戦うにはレベルが足りないということだ。「あれ……?」 そういえば加護。悲運の女神シエラはあの呪文を俺に与えてくれた。ならば、武運の女神ネルヴァは俺に何をくれたというのだろう。 ステータスには間違いなくネルヴァの加護があるんだ。だったら、俺は何かしらの固有スキルを得ているかもしれない。「愛ばっか語りやがって説明不足とかないぜ……」 こうなるとステータス画面を触りまくるだけ。恐らくは勇者をタップすれば何かしら分かるんじゃないだろうか。「あっ……?」 一応は予想通りだった。しかし、内容までは想定していない。 シエラと並んで原初の三女神であるネルヴァはその地位に恥じない固有スキルを与えていたようだ。【烈火無双】 烈火無双はゲームで見たものと同じ。勇者アルクが最後に覚えたスキルであり、最大にして最強のスキルだった。 ゲーム時間の一日に一回という使用制限はあったけれど、このスキルのおかげでアルクは魔国の精鋭とも互角以上に戦えたんだ。「確か十秒だったな……」 シミュレーション要素まで含むアクションRPG。烈火無双さえ使用すればアルクは圧倒できた。使用期限である十秒内に問題となる強敵を屠れたんだ。「使うっきゃねぇよなぁ!!」 へたり込む女性が更に腰を抜かすかもしれない。 いや、格好いい俺の姿に惚れてしまうかもな。 下心を過度に含ませながら、俺は勇者の固有スキルを実行する。「列火無双!!」 刹那に力が湧き立つ。加えて、赤の女神ネルヴァを彷彿とさせる真紅の炎が俺の包丁に宿っていた。 全てを焼き尽くす炎の刃が刀身を覆うどころか、長剣のように伸びていたんだ。「悪ぃな……」 だからこそ、俺は謝罪にも似た言葉をかける。 この戦いの趨勢はもう決定したのだと。「雑魚の出番は終わりだ――」 ◇ ◇ ◇ 私は今もへたり込んだままです。 症状はかなり改善していたものの、呆気にとられてしまって立ち上がることすらできません。「そ
最後更新 : 2026-08-09 閱讀更多