Todos los capítulos de 光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!: Capítulo 11 - Capítulo 20

35 Capítulos

第11話 婚約の報せ

月日は流れクラリスは10歳になろうとしていた。そんなある日の午後、クラリスはいつものように書斎で本を読んでいた。隣では俺――光精霊ヒカリが、ふわふわと浮かびながら彼女の様子を見守っている。「ふぅ……今日の勉強はここまでにしましょうか」 クラリスが本を閉じて、軽く伸びをする。俺は優しく光を灯して彼女を労った。「お疲れ、クラリス。今日もたくさん勉強したな」「ありがとう、ヒカリ。あなたがそばにいてくれるおかげで、勉強も楽しく感じるわ」「それは何より!」 そんな穏やかな空気の中、突然、書斎の扉がノックされた。「お嬢様、旦那様がお呼びです」「……お父様が?」 クラリスは少し驚いた顔をしながらも、すぐに表情を引き締めて立ち上がる。「わかったわ。すぐに伺うわね」 俺はクラリスの肩の上にふわりと寄り添いながら、不安を感じていた。普段、公爵であるクラリスの父が直接呼び出すことは少ない。何か重要な話があるのだろう。(何の話だろう……まさか、嫌な予感がするな) そう思いながら、クラリスとともに執務室へ向かった。***「お父様、お呼びだと伺いました」 クラリスが扉を開けると、立派な書斎の中央に座る公爵がクラリスを見つめていた。「来たか、クラリス。そこに座りなさい」「……はい」 クラリスは緊張した様子で椅子に腰を下ろした。俺はそっと彼女の肩のあたりで光を灯す。「話というのはな……クラリス、お前の婚約が正式に決まった」「――!」 クラリスの体がわずかに震えるのがわかった。俺も驚いて、思わず光を揺らす。「婚約……ですか?」「ああ。お前はすでに知っているだろうが、王太子殿下とは幼いころから婚約の話が進められていた。しかし、これまで正式に決まることはなかった」「それが……なぜ今?」「王太子殿下が今年で十歳になられる。このタイミングで、王室から正式な婚約を確定させたいとの申し入れがあったのだ」 クラリスの指先がきゅっと握りしめられる。「……お父様は、この婚約をどう思っていらっしゃるのですか?」「ふむ……」 公爵はしばらく黙った後、低い声で答えた。「王太子殿下との婚約は、ルクレール公爵家にとって大きな名誉であり、国の安定にも寄与する。私としては、断る理由はない」「……そう、ですか」 クラリスの声には、どこか感情がこもっていなかった。
last updateÚltima actualización : 2026-08-16
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第12話 クラリスとヒカリ見えない壁

「……なぜ、まだ契約ができないんだ?」 俺――光精霊ヒカリは、クラリスの肩の上でぼんやりと光を揺らしながら悩んでいた。 クラリスとはもう長い間一緒にいる。俺たちは言葉を交わすこともできるし、クラリスも俺の存在を誰よりも大切に思ってくれている。それなのに、精霊契約だけは一向に進まない。「ヒカリ?」 クラリスが机に向かいながら、俺の様子に気づいて声をかける。「どうかしたの?」「いや……俺たち、どうして契約できないんだろうって考えてた」 クラリスは少しだけ表情を曇らせた。「私も、ずっとそれを考えていたわ。精霊学の本を読んでも、契約の条件に合致しているはずなのに……」「やっぱり、おかしいよな」 二人で考えても答えは出ない。もしかしたら、何か特別な理由があるのかもしれない。それから数日後、「クラリス様、本日はいよいよ属性診断ですね」執事のアーロンが優しく微笑みながら言った。「ええ……」クラリスは少し緊張しながら頷いた。今日、彼女は10歳の誕生日を迎え、王国の神殿で正式に属性診断を受けることになっていた。「クラリス、大丈夫だよ」ヒカリはクラリスの肩の周りをふわふわと飛びながら励ました。「うん……ヒカリがそばにいてくれるから、怖くはないわ」クラリスは微笑みながら答えたが、どこか不安そうだった。*神殿に到着すると、白いローブを纏った神官たちが待ち受けていた。「クラリス・フォン・ルーセント公爵令嬢ですね。本日は属性診断を執り行います」「はい、よろしくお願いいたします」クラリスは深呼吸し、神官たちの指示に従って大理石の祭壇の前に立つ。「それでは、クラリス様、目を閉じてください」神官がそう言うと、クラリスは静かに瞼を閉じた。そして、祭壇の中心にある魔法陣が淡く光り始める。「神よ、この者の属性を示したまえ」神官が祈りを捧げると、魔法陣から赤い光が溢れ出し、クラリスの身体を優しく包み込んだ。「……赤い光……?」クラリスがそっと目を開けると、神官が静かに告げた。「クラリス・フォン・ルクレール様。あなたの属性は『火』です」「……火属性、ですか?」クラリスは呟くように言った。その言葉を聞いた瞬間、ヒカリの心に嫌な予感がよぎる。(……やばい、そうだった!クラリスは火属性だった。何で今までクラリスが光属性だと思っていたんだ!)「火
last updateÚltima actualización : 2026-08-16
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第13話 ヒカリの火の精霊探し

「まずは火精霊を探すぞ!」俺――ヒカリは意気込んで空を飛び回った。クラリスの属性が火だと判明し、俺とは契約できないと分かった以上、代わりに火属性の精霊を見つけるしかない。「クラリス、俺が火の精霊を探してくるから待っててくれ!」「……ヒカリ、本当に探せるの?」クラリスはまだ少し落ち込んでいるようだった。「任せろ!精霊同士なら、なんとかなるかもしれない!」俺はクラリスの肩に軽く触れるように光を輝かせた。「ヒカリ……」「絶対にクラリスにぴったりな精霊を見つけてくる!」俺はそう言い残し、一気に屋敷の庭を飛び出した。***(さて……火属性の精霊ってどこにいるんだ?)俺は空を飛びながら考え込む。火の精霊なら、やっぱり火山とか、熱い場所にいそうな気がする。でも、そんな場所は公爵家の敷地にはない。「うーん……そうだ!」俺は以前、屋敷の奥にある温室のことを思い出した。そこは貴族の庭師が珍しい植物を育てている場所で、温度管理のために火属性の魔法が使われているらしい。(もしかして、そこに火の精霊がいるかも?)期待を胸に、俺は温室へ向かった。***温室の中は湿気が多く、まるで熱帯のジャングルのようだった。大きな葉が生い茂り、赤や黄色の花々が咲き誇っている。「うわぁ……ここ、意外と広いな……」俺は辺りを見渡しながら、火精霊がいそうな場所を探した。すると、温室の奥から、小さな炎がチラチラと揺らめくのが見えた。(あれは……!?)俺はそっと近づくと、そこには小さな火の玉のような精霊が浮かんでいた。「おお、いたぞ!火の精霊だ!」俺は嬉しくなって声をかける。「やあ、俺はヒカリ!光の精霊なんだけど、お前にちょっと頼みたいことがあってさ!」火の精霊はくるりと回転し、じっと俺を見つめてくる。「……お前、光の精霊か?」「そうそう!俺はヒカリ!お前、名前は?」「……名前?ない」「えっ、ないの?」「火の精霊は、契約者が名を与える。それが習わし」「へぇ、そうなんだ……」火の精霊は小さく燃えながら、俺をじっと見つめてきた。「で、お前、何の用?」「実はさ……クラリスっていう公爵令嬢がいるんだけど、火属性なのにまだ精霊契約できてないんだ。だから、お前、クラリスと契約してくれないか?」「クラリス……?」火の精霊は少し考える素振りを見せた。「
last updateÚltima actualización : 2026-08-18
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第14話 火の精霊と光の精霊

火の精霊がクラリスの周りをゆらゆらと漂いながら、じっと俺を見つめてきた。「なあ、お前に聞きたいことがある」「ん?何だ?」火の精霊は、炎をチラチラと揺らしながら、低い声で言った。「なぜ、お前は火属性持ちのそばにいる?」「え?」「お前は光の精霊だろう?なのに、なぜ火属性のクラリスのそばに長く留まっている?」「そりゃ……クラリスが大切だからだ!」俺は即答した。火の精霊はじっと俺を見つめ、少し間を置いてから続けた。「……おかげで、他の精霊が寄り付かなかったんだぞ」「え!?俺が原因だったのか!?」驚きのあまり、俺は宙を舞いながら光を揺らす。「そうだぞ。一人の人間に対して精霊は一体。基本的に、契約できる精霊は一体だけだ」「えっ……そんな設定、聞いたことないぞ!」俺が思わず叫ぶと、火の精霊は不思議そうに首を傾げた。「設定?お前、何を言っている?」「えっ……あ……いや、なんでもない!」やべぇ……ついゲームの話をしちまった。俺は誤魔化すようにふわふわと宙を舞いながら、火の精霊に話を戻した。「で、つまりどういうことだ?俺がクラリスのそばにいたから、他の精霊が近寄れなかったってことか?」「そうだ。精霊は本能的に、一人の契約者に対して一体の精霊しかつかないようになっている。すでに強い精霊がそばにいると、他の精霊は近寄らなくなる」「……マジか」俺は思わず肩を落とした。「お前が長くクラリスのそばにいたせいで、他の火の精霊たちは寄り付かなかった。だから、クラリスはずっと契約できなかったんだ」「そ、そんな……」俺はクラリスを守るつもりでずっと一緒にいた。それが結果的に、クラリスが精霊契約できない原因になっていたなんて……。「ごめん……クラリス……」俺が申し訳なさそうに呟くと、クラリスはゆっくりと首を横に振った。「ヒカリのせいじゃないわ。だって、私は……ヒカリと一緒にいたかったもの」「クラリス……」俺は言葉に詰まった。火の精霊が小さく炎を揺らしながら呟く。「……お前たちは、強く結びつきすぎているのかもしれないな」「え?」「普通、属性の違う精霊と人間は、自然に距離ができるものだ。しかし、お前たちはそうならなかった」「そりゃ、俺とクラリスは……」「……お前たちが特別なのかもしれないな」火の精霊はそう言いながら、クラリスの顔をじ
last updateÚltima actualización : 2026-08-18
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第15話 クラリスと火の精霊

クラリスは火の精霊をじっと見つめていた。彼女の目には、決意と迷いが混ざり合っている。「……私、本当にあなたと契約できるの?」火の精霊はふわりと宙を舞いながら、静かに炎を揺らす。「それはお前次第だ」「私次第……?」「そうだ。俺はお前を試す。お前が本当に火の精霊と契約するにふさわしいかどうかをな」「試すって……どういうこと?」火の精霊はゆらゆらと揺れながら、低い声で答えた。「火は力だ。破壊の象徴であり、同時に再生の象徴でもある。お前がその力を扱えるかどうか、確かめさせてもらう」クラリスは少し戸惑った表情を浮かべた。「どうすればいいの?」「単純なことだ。俺の出す試練を乗り越えろ。それができれば、俺はお前と契約する」「試練……?」「そうだ」クラリスは一瞬、不安そうに俺――ヒカリを見た。(大丈夫だ、クラリス)俺はそっと光を揺らして彼女を励ます。クラリスは小さく頷き、火の精霊を見つめ直した。「……分かった。私はあなたの試練を受けるわ」火の精霊は満足そうに炎を揺らした。「いいだろう。では、最初の試練だ」試練 その一:炎の意志「お前に火を灯してもらう」火の精霊がそう言うと、宙に小さな火の玉が浮かび上がった。「この炎を、手で掴め」「えっ!?」クラリスは思わず後ずさる。「でも、それって……」「怖いか?」火の精霊は試すような目でクラリスを見た。「火は危険だ。しかし、それを恐れていては何も掴めない」クラリスは唇を噛んだ。「……分かったわ」ゆっくりと手を伸ばし、炎に触れようとする。俺は思わず叫びそうになった。(クラリス、やめろ!火傷するぞ!)しかし、クラリスは躊躇いながらも、その炎を両手でそっと包み込んだ。「……あっ」驚いた表情を浮かべるクラリス。「熱くない……」火の精霊が満足そうに揺れた。「当然だ。火を恐れず、正しく向き合う者に、炎は害を及ぼさない」クラリスは安心したように微笑んだ。「私、できたのね……!」「よし、第一の試練は合格だ」試練 その二:火の心「次の試練は、お前の内にある炎を目覚めさせることだ」「私の中の炎……?」「そうだ。お前は火属性の持ち主だが、まだ火を理解していない。お前の内にある炎を感じ、それを形にしてみろ」クラリスは目を閉じ、深く息を吸い込んだ。(火の力……私の中にある
last updateÚltima actualización : 2026-08-22
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第16話 火の精霊と光の精霊 その2

クラリスが火の精霊と契約を交わした後、俺は火の精霊と向き合った。俺たちはお互いの力を感じながら、しばし沈黙する。(こいつ、ただの火の精霊じゃない……)ずっと感じていた違和感が確信に変わった。「なあ、聞きたいことがある」火の精霊は炎を揺らしながら、俺を見た。「なんだ?」「契約するのに、あんな試練って普通はあるのか?」俺の問いに、火の精霊はクスッと笑う。「普通はないな」「……え?」あまりにもあっさりとした答えに、俺は思わず虚を突かれる。「じゃあ、なんでクラリスに試練を与えたんだ?」火の精霊はゆっくりと宙を舞いながら、落ち着いた声で言った。「俺が普通の火の精霊じゃないからだ」「……どういうことだ?」「俺は上位の火の精霊だ」「――っ!」その言葉に、俺の光が大きく揺らぐ。「上位の……精霊?」「そうだ。お前も気づいているだろう? 俺がただの火の精霊じゃないことに」たしかに、普通の精霊にしては異質な存在だった。威圧感、力の質、すべてが規格外。「上位の火の精霊……」俺は呟きながら、自分の存在を考えた。(……いや、待てよ)火の精霊が普通じゃないのなら――「じゃあ……俺も?」火の精霊は笑った。「そうだ。お前も上位の光の精霊だ」「……は?」思わず間抜けな声を出してしまう。「そんな……俺が?」「お前、気づいてなかったのか?」「いや、知らねえよ!」俺は困惑しながら、光を揺らした。「だって俺、クラリスのそばにいるだけで、何の力も……」「違うな」火の精霊は鋭い視線を向けてくる。「お前が上位の精霊だからこそ、普通の精霊たちはクラリスの近くに近づけなかった。それだけの話だ」「……え?」俺は自分の光が少し震えるのを感じた。「俺のせい……だったのか?」「そういうことだ」火の精霊は炎をゆらゆらと揺らしながら、続けた。「上位の精霊は、普通の精霊とは違う。普通の精霊は本能的に上位の精霊を避ける。だから、お前がクラリスのそばにいたことで、他の精霊が近づかなかった」俺は沈黙する。(クラリスが精霊と契約できなかったのは……俺のせいだったのか?)ずっとそばにいてやりたかった。クラリスの力になりたかった。でも、そのせいで彼女は精霊契約ができず、孤独だった……?「……それをもっと早く教えてくれよ……」俺はポツリと呟い
last updateÚltima actualización : 2026-08-23
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第17話 クラリスと火の精霊 その2

庭の中央に立つクラリスと、燃え盛る炎のように揺らめく火の精霊。その光景を、俺――ヒカリはじっと見守っていた。火の精霊はクラリスを見つめ、低く静かな声で言った。「契約は成された。俺に名前を付けてくれ」クラリスは少し驚いた表情を見せたが、すぐに真剣な面持ちになった。「名前……ですか?」「ああ。契約した精霊には、主が名を与える。それが俺たちの決まりだ」俺はそっとクラリスの顔をうかがう。彼女は少し考え込むように視線を落とし、静かに呟いた。「名前……名前……」その横顔はどこか楽しげで、それでいて慎重だった。「うーん、どうしようかしら」「適当な名前だけはやめてくれよ?」火の精霊が冗談めかして言うと、クラリスはくすっと笑った。「もちろんです。あなたにぴったりの名前を考えますから」クラリスは腕を組み、じっと火の精霊を見つめる。「……あなたは炎のように力強くて、温かい……」「ふむ」「だけど、ただ燃え盛るだけじゃなくて、どこか穏やかさもある……」「ほう」「そう考えると……」クラリスはふわりと微笑み、はっきりとした声で言った。「――あなたの名前は《カイン》よ」「カイン……」火の精霊はゆっくりとその名を口にし、まるで味わうように繰り返した。「悪くないな」そう言った瞬間、火の精霊――いや、カインの炎が大きく揺らめき、鮮やかな赤と金の光を放った。「おぉっ……!」クラリスが目を輝かせる。「カイン……! なんだか、とてもあなたに合っている気がします!」「そうか?」カインは満足げに炎をゆらめかせながら、俺を一瞥した。「ヒカリ、お前は主から名をもらっているのか?」「え?」思わぬ質問に、俺は一瞬戸惑った。「いや、俺は……最初からヒカリだったし……クラリスがそう呼んだから、それが俺の名前になった感じだな」カインは少し驚いたような声を出した。「ほう……自然と名がついたのか。珍しいな」クラリスはその会話を聞きながら、小さく微笑んだ。「私は、ヒカリに名前をつけたつもりはなかったんです。でも、気づいたらそう呼んでいて……でも、それがぴったりだと思ったんです」「……俺も、クラリスにそう呼ばれるのがしっくりきてるしな」俺が言うと、クラリスは嬉しそうに微笑んだ。「うん、それでいいんです」カインは炎を少しゆらめかせ、納得したように頷く
last updateÚltima actualización : 2026-08-23
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第18話 クラリスとカイン

「さて、まずは俺の力を理解してもらうところからだな」カインが腕を組むように炎をゆらめかせながら、クラリスを見つめた。俺――ヒカリはその様子を少し離れた場所で見守っていた。クラリスは真剣な表情で頷く。「はい、カイン。私はあなたの力をしっかり理解して、使いこなせるようになりたいです」「よし、その心意気はいいな」カインがぐっと炎を強く燃え上がらせると、空気が一気に熱を帯びた。「火の精霊の力は、単純に炎を生み出すだけじゃない。熱を操ることもできるし、爆発的な力を引き出すことも可能だ。だが、何よりも大切なのは――」「コントロール、ですよね?」クラリスはすでに勉強していた知識を活かし、カインの言葉を先回りする。「おっ、さすが勉強熱心なお嬢様だな。その通りだ」カインは満足げに頷き、手をひらひらと動かすように炎を操った。「火は便利な力だが、同時に危険でもある。お前が無自覚に魔力を流せば、周囲を焼き尽くす可能性もあるんだぜ?」「そんな……!」クラリスは息を呑む。「だからこそ、まずは俺の力がどんなものかを知ることが重要なんだよ」「わかりました、カイン。私は慎重に、しっかりと学びます!」クラリスの真剣な表情に、カインは満足そうに頷いた。「よし、じゃあ試しに少しだけ俺の力を引き出してみろ。手を前に出して、俺の炎を感じてみるんだ」クラリスはゆっくりと両手を前に出し、深呼吸をする。「……ふぅ」カインが少しだけ力を解放すると、クラリスの掌の上に小さな炎が灯った。「わぁ……!」クラリスの瞳が驚きに輝く。「これが……カインの力……」「どうだ? 俺の魔力を感じるか?」「はい……温かくて、でも力強くて……」クラリスは慎重にその炎を見つめながら、そっと手を握り込んだ。すると、炎はすっと消える。「おっ、なかなか筋がいいじゃねえか」「えっ、これでいいんですか?」「ああ。今のお前は、俺の力をちゃんと意識して制御できたってことだ」カインの言葉に、クラリスは嬉しそうに微笑む。「じゃあ次は、その力を使いこなすための魔法の練習だな!」「はい、お願いします!」***「まずは基本の火球からだ。両手を前に出して、俺の力を少しずつ引き出すんだ」クラリスは言われた通りに両手を前に出し、集中する。「……カインの力を、少しずつ……」ふわりと、彼女の手のひ
last updateÚltima actualización : 2026-08-25
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第19話 カインとヒカリ

カインが腕を組みながら、じっと俺を見つめてきた。「なあ、ヒカリ」「なんだ?」「俺はクラリスを何から守るんだ?」その問いに、俺は少しだけ沈黙した。(……やっぱり聞かれるよな)カインは強い精霊だ。ただ命じられるままに力を貸す存在ではない。自分の契約者を守る理由を知りたがるのは当然だ。俺は小さくため息をつき、覚悟を決めた。「……カイン、話しておくべきことがある」「ほう?」カインが興味深そうに俺を見る。「俺には前世の記憶がある。そして、前世ではこの世界が"エテルニアの誓い"という乙女ゲームだったんだ」「……何を言ってる?」カインの赤い瞳が鋭くなる。「まぁ、信じられないだろうな。でも、クラリスには決められた運命があったんだよ」俺はゆっくりと話し始めた。「クラリスは、本来はゲームの悪役令嬢だった。王子の婚約者だけど、最終的には断罪される立場にあった」「断罪……?」カインの声が低くなる。「ああ。しかも、かなり厳しい形でな」「……そんなこと、俺がさせるわけがねえだろ」カインの炎が揺らめく。怒りを滲ませているのが分かった。「まぁ待て、今は状況が違うんだ」「どういうことだ?」「そもそも、この世界の流れが"エテルニアの誓い"と違ってきてるんだよ」「それは……どういう意味だ?」「例えば、お前の存在だ」カインが眉をひそめる。「俺の?」「そうだ。"エテルニアの誓い"では、クラリスは上位の火の精霊とは契約していない」「……なんだと?」カインの表情が険しくなる。「本来、クラリスが契約するのはもっと低位の火の精霊だったはずだ。でも今、クラリスと契約したのはお前だ。つまり、ゲームとは違う未来になりつつある」「……」カインは黙り込んだ。「そして俺も、本来ならクラリスのそばにはいないはずだった」「じゃあ、お前がここにいることも運命を変えてるってことか?」「ああ。だから、俺たちはこれからどうなるか分からない」カインはしばらく考え込んでいた。そして、やがてゆっくりと口を開いた。「……つまり、俺たちはクラリスを守るためにこの世界にいる、そういうことか?」「そういうことだ」「ふん……なら話は早い」カインは不敵に笑った。「クラリスを守る。それだけでいい」俺はカインのその言葉に、少し安心した。「……頼りにしてるぜ、カイン」
last updateÚltima actualización : 2026-08-25
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第20話 クラリスの魔法訓練

クラリスが火の精霊・カインと契約したことを知ると、公爵である彼女の父はすぐに動いた。「クラリス、お前に魔法の正式な訓練を受けさせることにした」父の厳格な声が響く。「……魔法の訓練?」「そうだ。精霊と契約したからには、魔法の基礎から学び、きちんと力を制御できるようにならなければならん」クラリスは少し驚いた表情を見せたが、すぐに真剣な顔になった。「わかりました。よろしくお願いいたします、お父様」こうして、公爵家には新しく魔法講師が雇われることになった。***「初めまして、お嬢様。私はイザーク・フォードと申します」講師としてやってきたのは、銀髪に眼鏡をかけた細身の男性だった。「これから魔法の基礎をしっかりと教えていきますので、よろしくお願いいたします」「よろしくお願いいたします、先生」クラリスは礼儀正しく挨拶をする。ヒカリとカインは少し離れた場所からそれを見ていた。「……ヒカリ、俺たちは黙って見てればいいのか?」カインが少しつまらなさそうに言う。「まぁな。クラリスの実力を知るためにも、まずは様子見だ」「ふん……」カインは腕を組みながらクラリスを見つめた。***「では、まず魔法とは何かという基本から説明しましょう」イザーク先生がクラリスに向かって語りかける。「魔法は、魔力を使い、属性ごとに異なる力を発現させる技術です」「はい」「お嬢様は火の属性を持っています。火の魔法の基本は"制御"です。炎は生き物のようなもの。勢いよく燃やすこともできれば、小さな灯火のように抑えることもできます」クラリスは真剣に聞いていた。「では、実際に魔法を使ってみましょう。お嬢様の魔力を手のひらに集め、炎を生み出してください」クラリスはゆっくりと目を閉じ、手を前に出した。(……炎を、生み出す)契約したばかりのカインを意識しながら、魔力を手に集める。「――っ!」ぽっと、手のひらに小さな火が灯った。「おお……!」「素晴らしい、お嬢様! 初めてにしては上出来です」イザーク先生が感心したように微笑む。「……すごいじゃねえか、クラリス」カインが満足そうに頷いた。「だが、まだまだこれからだぞ」クラリスは炎をじっと見つめた。「これが、私の魔法……」(まだ少し、不安定な気がする)そんなクラリスの気持ちを察したのか、イザーク先生が言っ
last updateÚltima actualización : 2026-08-29
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