「クラリス、準備はできたか?」父の厳格な声が部屋の中に響いた。「はい、お父様」クラリスは優雅に一礼し、長いドレスの裾を整えた。今日は、王城で開かれる舞踏会の日だ。今年10歳を迎える貴族の子女たちを祝うための大きな社交の場。「……本当に行かなきゃいけないの?」ヒカリがクラリスの肩の上で小さく光りながら呟いた。「当然よ、ヒカリ。私も公爵令嬢として、きちんと社交の場に出なければならないわ」「だけど、こういう場って気を張るんだろ? クラリス、無理してないか?」「……少しだけ」クラリスは苦笑した。「でも、大丈夫よ。お父様もお母様も一緒ですし、何よりカインとヒカリも居るもの」「おう、当然だ」火の精霊・カインがどこからともなく現れ、腕を組む。「俺がついてる限り、下手なことは起こさせねえよ」「お、俺も!」「ありがとう。カイン、ヒカリ」クラリスは微笑んだ。***王城の大広間は、煌びやかな装飾で彩られ、豪華なシャンデリアが眩い光を放っていた。すでに多くの貴族たちが集まり、それぞれの子息、令嬢たちと談笑している。「クラリス、公爵家の令嬢として、堂々と振る舞うのだぞ」父が厳しく言う。「はい、お父様」クラリスは背筋を伸ばし、ゆっくりと会場へ足を踏み入れた。「うわぁ……すげぇな」ヒカリが驚きの声を上げる。「これが貴族の世界か……」「ふん、こんなのただの見せびらかしみたいなもんだろ」カインはつまらなそうに言うが、どこか警戒しているようにも見えた。***「おや、公爵令嬢のクラリス嬢ではありませんか」優雅な声が響く。クラリスが振り向くと、そこには金髪の美少年――王子、エドワードが立っていた。「エドワード王子……!」「久しぶりですね。あなたも今年、10歳の誕生日を迎えられたと聞きました」「はい。エドワード王子もおめでとうございます」クラリスは優雅に一礼する。「ありがとうございます。今日は、ぜひ一緒に踊っていただきたいのですが……」「えっ……」突然の誘いにクラリスは驚いた。「どうしました?」「い、いえ……その、踊りはまだ完璧とは言えませんので……」「大丈夫ですよ。私もまだ練習中ですし、何よりクラリス嬢と踊れることが嬉しいのです」エドワードが微笑む。(……これが、将来婚約する相手)クラリスは一瞬、複雑な気持ちにな
Última actualización : 2026-08-29 Leer más